- DASHの評価方法|30項目の回答から上肢の障害を0〜100点で評価する
- DASHの採点方法|27項目以上を確認して0〜100点へ換算する
- DASH-JSSHの評価方法|先週1週間を基準に本人が回答する
- 欠損があるときの判断|「未実施」と「未回答」を分けて考える
- DASHのスコア解釈|高いほど障害が大きく、変化量は12〜14点が1つの目安
- DASHはいつ使う?上肢全体の生活障害を経時的に追いたいときに使う
- DASHとQuickDASHの違い|詳細に追うか、回答負担を抑えるかで選ぶ
- DASHの記録方法|スコア+n+困りごとを残す
- DASH記録シートv2|Excel原本・PDFをダウンロード
- DASHの評価でよくある質問
- 次の一手|DASHを選ぶか、QuickDASHへ短縮するか確認する
- 参考文献
- 著者情報
DASHの評価方法|30項目の回答から上肢の障害を0〜100点で評価する
DASH(Disabilities of the Arm, Shoulder and Hand)は、肩・肘・前腕・手を含む上肢の機能や症状について、本人が感じている困難を確認する30項目の患者報告アウトカム尺度(PROM)です。スコアは0〜100点で、高いほど障害が大きいと解釈します。
採点では、30項目中27項目以上の回答が必要です。このページでは、DASH-JSSHの回答方法、欠損時の扱い、計算式、MCID、QuickDASHとの違い、記録方法まで順番に整理します。後半には、再評価に使えるExcel原本とPDF版のDASH記録シートv2も掲載しています。
DASHの採点方法|27項目以上を確認して0〜100点へ換算する
DASHの機能障害/症状スコアは、回答済み項目の合計点と回答数(n)から計算します。30項目すべてに回答していなくても、27項目以上に回答していれば算出できます。
DASHスコア=(回答済み項目の合計点 ÷ 回答数[n]−1)×25
各項目は1〜5点で、換算後のスコアは0〜100点です。0点に近いほど障害が少なく、100点に近いほど障害が大きい方向になります。
※スマホでは表を左右にスクロールできます。
| 未回答 | 回答数(n) | 採点 | 対応 |
|---|---|---|---|
| 0項目 | 30 | 算出できる | n=30として計算 |
| 1〜3項目 | 27〜29 | 算出できる | 回答済み項目だけを合計し、実際のnで計算 |
| 4項目以上 | 26以下 | 算出できない | 欠損を補完せず、スコア算出不可として扱う |
計算例|29項目に回答し、合計82点だった場合
1項目が未回答で、回答済み29項目の合計が82点だった場合は、分母を30ではなく29として計算します。
(82 ÷ 29 −1)×25=45.7点
したがってDASHスコアは45.7/100です。記録には最終スコアだけでなく、「合計82点/n=29/欠損1」のように計算前の情報も残しておくと、再確認しやすくなります。
DASHミニ計算|合計点と回答数からスコアを確認する
回答済み項目の合計点と回答数(n)を入力すると、DASHスコアを計算します。nが27未満の場合や、合計点が回答数から考えて成立しない場合は計算しません。
function round1(x){ return Math.round(x * 10) / 10; }
function calc(){ if (sumEl.value === '' || nEl.value === ''){ msgEl.textContent = '合計点と回答数(n)を入力してください。'; return; }
const sum = Number(sumEl.value); const n = Number(nEl.value);
if (!Number.isInteger(n) || n < 27 || n > 30){ msgEl.innerHTML = '計算できません:回答数(n)は27〜30で入力してください。'; return; }
if (!Number.isInteger(sum)){ msgEl.innerHTML = '確認してください:合計点は整数で入力してください。'; return; }
const minSum = n; const maxSum = n * 5;
if (sum < minSum || sum > maxSum){ msgEl.innerHTML = '確認してください:n=' + n + 'の場合、合計点は' + minSum + '〜' + maxSum + '点の範囲です。'; return; }
const mean = sum / n; const score = (mean - 1) * 25; const missing = 30 - n;
msgEl.innerHTML = 'DASHスコア:' + round1(score) + ' / 100' + '/回答数 n=' + n + '/未回答 ' + missing + '項目'; }
function reset(){ sumEl.value = ''; nEl.value = ''; msgEl.textContent = ''; }
document.getElementById('dashCalcBtn').addEventListener('click', calc); document.getElementById('dashResetBtn').addEventListener('click', reset); })();

仕事・スポーツ/音楽の任意モジュールは別に採点する
DASHには通常の30項目とは別に、仕事とスポーツ/音楽活動について確認する任意モジュールがあります。それぞれ4項目で、4項目すべてに回答した場合のみスコアを算出します。
計算式は、(4項目の合計点 ÷ 4 −1)×25です。通常の30項目から算出する機能障害/症状スコアとは別のスコアとして記録します。
DASH-JSSHの評価方法|先週1週間を基準に本人が回答する
日本語で評価する場合は、日本手外科学会が公開しているDASH-JSSHなど、正式な日本語版を使用します。DASHは評価者がROMや筋力から点数を決める尺度ではなく、本人が自身の能力や症状について回答する患者立脚型の評価尺度です。
日本手外科学会のDASH/QuickDASH日本語版を確認する
回答は「先週1週間」を基準にする
DASH-JSSHでは、先週1週間の状態を基準として回答します。再評価では同じ正式版を使用し、評価日や記入時の支援方法など、前回と異なる条件があれば記録しておくと解釈しやすくなります。
先週していない活動でも、すぐ未回答にはしない
先週1週間に実際には行わなかった活動があっても、原則として「その活動を行ったとしたら、どの程度できたか」を本人が考えて回答します。「実際にしていない=未回答」ではありません。
評価者が本人に代わって答えを作るのではなく、本人が自身の能力を可能な範囲で判断します。それでも回答できない場合は、無理に補完せず欠損として扱います。
患側だけを使った能力として回答する尺度ではない
DASHは、特定の患側だけの能力を採点する尺度ではありません。左右どちらの上肢を使ったか、両手を使ったかにかかわらず、本人がその活動をどの程度行えるかを回答します。
普段から装具や補助具などを使用している場合は、通常使用している方法での能力を回答します。一方、他者の介助によって可能になった程度を、そのまま本人自身の能力として回答するものではありません。
欠損があるときの判断|「未実施」と「未回答」を分けて考える
DASHで迷いやすいのは、活動をしていなかった項目と、本当に回答できなかった項目を同じ「欠損」として扱ってしまうことです。まず本人がその活動を行った場合の能力を判断できるか確認し、判断できなかった項目だけを未回答として数えます。
採点時は次の順番で確認すると整理しやすくなります。
- 30項目について本人が回答できているか確認する
- 未回答項目を数える
- 回答数(n)が27〜30なら回答済み項目だけを合計する
- 合計点がn〜5nの範囲にあるか確認する
- (合計÷n−1)×25でDASHスコアへ換算する
- nが26以下ならスコアを算出しない
たとえばn=27なら、27項目すべてが1〜5点なので、回答済み項目の合計点として成立する範囲は27〜135点です。「DASHは30項目だから合計30〜150点」と固定してしまうと、欠損がある症例で整合しなくなるため注意します。
DASHのスコア解釈|高いほど障害が大きく、変化量は12〜14点が1つの目安
DASHは0〜100点で、高いほど上肢に関連する障害が大きい方向です。改善した場合は、一般に前回よりスコアが低下します。
「40点=中等度」のような公式カットオフはない
DASHには、「軽度」「中等度」「重度」を一定の点数で区切る公式カットオフは設定されていません。また、DASHが52点だったからといって、「52%の障害がある」ことを意味するわけでもありません。
単回の点数だけで重症度を決めるのではなく、本人が困っている活動、症状、前回からの変化、疼痛・ROM・筋力などの客観所見と合わせて解釈します。
MCIDは12〜14点程度が目安だが、一律の改善判定には使わない
2024年のシステマティックレビュー・メタ解析では、筋骨格系障害におけるDASHのMCIDについて、12〜14点程度が実用的な範囲として提案されています。
ただしMCIDは、対象集団や算出方法などによって変化します。「12点低下したから、すべての患者で臨床的に改善した」と機械的に判定するのではなく、本人が感じる変化や生活上の困難と合わせて判断します。
※スマホでは表を左右にスクロールできます。
| 確認項目 | 見るポイント | 記録例 |
|---|---|---|
| DASHスコア | 前回から何点増減したか | 52.0 → 36.0、変化量 −16.0点 |
| 本人の困りごと | 重要な活動や症状がどう変化したか | 洗髪時の困難が軽減 |
| 客観所見 | 生活上の変化と所見が整合するか | 疼痛、ROM、筋力などを併記 |
DASHはいつ使う?上肢全体の生活障害を経時的に追いたいときに使う
DASHは、上肢の筋骨格系障害について、身体機能や症状だけでは捉えにくい本人の生活上の困難を経時的に確認したい場面で役立ちます。
ROM、筋力、疼痛などの客観所見とは役割が異なります。DASHだけで障害の原因を特定するのではなく、本人がどのような活動で困っているのかを確認し、その背景を客観評価で掘り下げる使い方が基本です。
DASHとQuickDASHの違い|詳細に追うか、回答負担を抑えるかで選ぶ
DASHは30項目、QuickDASHは11項目で上肢の機能や症状を確認します。どちらも0〜100点で高いほど障害が大きい方向ですが、項目数や欠損ルールが異なるため、記録ではDASHかQuickDASHかを明記します。
※スマホでは表を左右にスクロールできます。
| 比較 | DASH | QuickDASH |
|---|---|---|
| 基本項目数 | 30項目 | 11項目 |
| 回答負担 | 比較的大きい | 抑えやすい |
| 特徴 | より多くの項目から上肢障害を確認できる | 短時間で実施しやすい |
| 欠損ルール | 30項目中27項目以上が必要 | DASHとは異なるため別に確認する |
| 経時評価 | 同一患者では使用した尺度名を記録し、前回と同じ尺度で比較する | |
DASHの記録方法|スコア+n+困りごとを残す
DASHを再評価へつなげるには、最終スコアだけでなく、回答数(n)と欠損数を残します。さらに本人が特に困っている活動や症状を1行添えると、数値の変化を生活場面へ戻して確認しやすくなります。
カルテ記載の最小テンプレ:
DASH-JSSH:合計( )点/n=( )/スコア( )/100
欠損:( )項目
評価日:( )/回答方法・記入支援:( )
本人が特に困っている活動・症状:( )
前回( )/100 → 今回( )/100、変化量( )点
DASH記録シートv2|Excel原本・PDFをダウンロード
DASHの採点情報を再評価まで残しやすいように、DASH記録シートv2をExcelとPDFの2形式で用意しています。本シートは記録用であり、DASHの質問項目や採点基準全文は収載していません。評価時はDASH-JSSHなどの正式版質問票と併用してください。
Excel版は入力・保存する原本として、PDF版は印刷して手書きする場合に使い分けられます。どちらも、回答数(n)、欠損数、合計点、DASHスコア、前回値、変化量、任意モジュール、本人の困りごと、客観所見、再評価メモを1枚で整理できる構成です。
記録シートでは、欠損がある場合の合計点を固定の「30〜150点」とせず、回答数nに応じたn〜5nとして確認します。たとえばn=27なら27〜135点、n=29なら29〜145点です。
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DASHの評価でよくある質問
DASHは何項目まで未回答でも計算できますか?
3項目までです。30項目中27項目以上の回答があれば計算できます。4項目以上が未回答の場合は、機能障害/症状スコアを算出できません。
先週していない活動は未回答にしますか?
必ずしも未回答にはしません。実際に行っていない活動でも、その活動を行ったとしたらどの程度できるかを本人が考えて回答します。評価者が回答を推測して埋めるのではありません。
DASHは患側の手だけでできるかを評価しますか?
いいえ。DASHは特定の患側だけに限定せず、左右どちらの上肢を使用したかにかかわらず、本人がその活動をどの程度行えるかを回答する尺度です。
DASHが52点なら「52%障害」という意味ですか?
いいえ。DASHの0〜100点は障害の程度を表す尺度ですが、そのまま障害率へ変換するものではありません。公式な軽度・中等度・重度のカットオフも設定されていません。
DASHが12〜14点改善すれば、必ず臨床的に改善したと判断できますか?
一律には判断できません。12〜14点は2024年のシステマティックレビュー・メタ解析で提案されたMCIDの実用的な範囲ですが、対象集団や算出方法によって値は変わります。本人が感じる変化、生活上の困難、客観所見と合わせて解釈します。
次の一手|DASHを選ぶか、QuickDASHへ短縮するか確認する
参考文献
- Institute for Work & Health. Scoring the DASH [Internet]. Toronto: Institute for Work & Health; 2006. Available from: https://dash.iwh.on.ca/sites/dash/files/downloads/dash_scoring_2010.pdf
- Japanese Society for Surgery of the Hand. 患者立脚型機能評価質問表:DASH JSSHバージョン [Internet]. Available from: https://www.jssh.or.jp/doctor/jp/infomation/dash.html
- Hudak PL, Amadio PC, Bombardier C; Upper Extremity Collaborative Group. Development of an upper extremity outcome measure: the DASH (Disabilities of the Arm, Shoulder and Hand). Am J Ind Med. 1996;29(6):602-608. doi:10.1002/(SICI)1097-0274(199606)29:6<602::AID-AJIM4>3.0.CO;2-L.
- Imaeda T, Toh S, Nakao Y, et al. Validation of the Japanese Society for Surgery of the Hand version of the Disability of the Arm, Shoulder, and Hand questionnaire. J Orthop Sci. 2005;10(4):353-359. doi:10.1007/s00776-005-0917-5.
- Franchignoni F, Vercelli S, Giordano A, Sartorio F, Bravini E, Ferriero G. Minimal clinically important difference of the disabilities of the arm, shoulder and hand outcome measure (DASH) and its shortened version (QuickDASH). J Orthop Sports Phys Ther. 2014;44(1):30-39. doi:10.2519/jospt.2014.4893.
- Galardini L, Coppari A, Ferriero G, Sartorio F, Vercelli S, Franchignoni F. Minimal Clinically Important Difference of the Disabilities of the Arm, Shoulder and Hand (DASH) and the Shortened Version of the DASH (QuickDASH) in People With Musculoskeletal Disorders: A Systematic Review and Meta-Analysis. Phys Ther. 2024;104(5):pzae033. doi:10.1093/ptj/pzae033.
- Institute for Work & Health. Frequently Asked Questions (FAQs): DASH Outcome Measure [Internet]. Toronto: Institute for Work & Health. Available from: https://dash.iwh.on.ca/frequently-asked-questions
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。
現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。
保有資格
- 脳卒中認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級

