ODI の評価方法|腰痛による生活障害を 0〜100%で可視化する

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ODI(Oswestry Disability Index)とは?

ODI(Oswestry Disability Index)は、慢性腰痛や脊椎手術前後の「生活障害の程度」を 0〜100%で評価する代表的な患者立脚型アウトカム指標( PROM )です。痛みの強さだけでなく、身の回り動作・移動・睡眠・社会生活など、腰痛が日常生活にどの程度影響しているかを定量化できるため、保存療法と手術療法の双方で広く用いられています。1,2

ODI は 10 セクション(痛み強度/セルフケア/持ち上げ/歩行/座位/立位/睡眠/性生活/社会生活/移動)から構成され、それぞれ 0〜5 点の 6 段階で回答します。合計点をパーセンテージに換算することで、最小〜軽度〜中等度〜重度〜著明障害といった重症度分類が可能です。1,2,7 NRS や VAS のみでは見えにくい「生活全体へのインパクト」を見える化できる点が、ODI を腰痛評価の“定番”にしている理由です。

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ODI の 10 セクションとカバーする生活機能

ODI の 10 セクションは、腰痛による障害を ①痛み・姿勢保持 ②セルフケア・移動 ③休息・親密さ・社会参加 の 3 グループで捉えると理解しやすくなります。設問文そのものはここでは示しませんが、「どのような生活場面を見ているか」を把握しておくことで、スコア変化を具体的な行動レベルに結びつけやすくなります。

例えば、立ち座りや歩行が自立していても、長時間の座位や立位で症状が強くなる例、睡眠や社会生活に対する影響が大きく QOL が低下している例など、同じ ODI 30%でも内訳は大きく異なります。下の図は、ODI のセクションを生活機能のまとまりとして整理したイメージです。

ODI の 10 セクションと生活機能領域のイメージ ODI を「痛み・姿勢」「セルフケア・移動」「休息・親密さ・社会参加」の 3 グループにまとめ、それぞれがカバーする生活場面を示した図 ODI の 10 セクションと生活機能のまとまり ① 痛み・姿勢保持 ・痛み強度 ・座位(座っている時間) ・立位(立っていられる時間) → 姿勢保持と安静での痛み  コントロールの程度を評価 ② セルフケア・移動 ・身の回り動作(更衣・洗面など) ・物の持ち上げ(荷物・日用品) ・歩行(距離・補助具の有無) ・移動手段(車・公共交通機関) → 自立度・介助量・外出機会  の変化を可視化 ③ 休息・親密さ・社会参加 ・睡眠(寝つき・中途覚醒) ・性生活(親密な場面での制限) ・社会生活(友人との外出など) → QOL ・関係性・役割機能への  影響を評価

評価手順とスコアリング| 0〜5 点から 0〜100% へ

ODI は各セクションを 0〜5 点の 6 段階で評価し、原則 10 セクション合計 0〜50 点となります。1,2,22 一般的なスコアリングは、次のようにパーセンテージへ換算します。

  • ステップ 1:回答したセクションの合計点(最大 50 点)を求める
  • ステップ 2:合計点 ÷(回答したセクション数 × 5)で 0〜1 の比率を算出
  • ステップ 3:比率 × 100 で 0〜100% の ODI スコアとする(小数点は四捨五入)

例えば、10 セクションすべて回答して合計 20 点であれば、ODI =(20 ÷ 50)×100 = 40%となります。欠測項目がある場合の扱いは、原版マニュアルや院内ルールに従って「有効回答セクション数×5」を分母に用いる方法が一般的です。

スコアの解釈と重症度分類・MCID の目安

ODI の 0〜100% スコアは、以下のような重症度分類の目安で解釈されます。2,22

  • 0〜20%:最小〜軽度障害(多くは活動の工夫で対応可能)
  • 21〜40%:中等度障害(仕事・家事・趣味に明らかな制限)
  • 41〜60%:重度障害(多くの ADL が制限される)
  • 61〜80%:著明障害(身体機能・生活の両面で深刻な制限)
  • 81〜100%:寝たきりレベル、もしくは症状の誇張も含め要精査

MCID(最小限臨床的重要差)については、研究によって 4〜12 ポイント程度と幅がありますが、多くのレビューでは おおよそ 10 ポイント前後 を目安とすることが多いです。3,5,11,23 例えば ODI 40%→ 30%(−10 ポイント)であれば、測定誤差を超えた「患者が意味のある改善と感じやすい変化」と捉えやすくなります。一方で 2〜3 ポイント程度の変化は、日による変動や回答の揺らぎの範囲に収まることも多く、単独で改善・悪化と判断するには慎重さが必要です。

臨床での活用例|慢性腰痛・術前後・在宅腰痛

外来の慢性腰痛では、初診時・数週間〜数か月後に ODI を実施し、NRS・ROM・筋力・神経学的所見と合わせて、「運動療法・物理療法・薬物治療・心理社会的アプローチの組み合わせでどこまで生活障害が改善したか」を確認します。2,15,19 ODI のセクション別内容を意識すると、「歩行・外出には自信が戻ってきたが、長時間の座位や立位、睡眠の質が残存課題」といった具体的なゴール設定がしやすくなります。

脊椎術前後(PLIF・TLIF など)では、術前→術後 3 ヶ月→ 6 ヶ月→ 12 ヶ月と時系列で ODI を記録し、画像所見や神経学的所見だけでなく、生活障害の推移を患者さんと共有します。在宅・通所リハでは、高齢者の「腰痛による外出機会低下・活動量低下」を数値で示せるため、介護保険サービスや環境調整(手すり・昇降補助・シーティングなど)の必要性を説明する際にも有用です。

RMDQ・NRS・汎用 QOL 指標との使い分け

腰痛の評価では、ODI のほかに Roland-Morris Disability Questionnaire(RMDQ)、痛みの NRS/VAS、汎用 QOL 指標(SF-36/EQ-5D など)が併用されます。3,5,15 実務的な整理としては、次のようなイメージが便利です。

  • ODI:中等度〜重度障害も含めた「生活全体のインパクト」を評価する指標
  • RMDQ:軽〜中等度の腰痛障害に感度が高く、項目数も少なめで実施が容易
  • NRS/VAS:痛み強度のみを評価し、生活影響はカバーしない
  • SF-36/EQ-5D:疾患横断的な QOL を評価し、他疾患との比較に適する

例えば、外来慢性腰痛では「ODI+NRS+簡便な歩行テスト」、術前後の研究場面では「ODI+汎用 QOL 指標」、在宅では「ODI+介護度・サービス利用状況」といった組み合わせが考えられます。評価設計全体の流れは、当ブログの評価ハブともリンクさせながら整理していくと、他の運動器評価(NDI/DASH/LEFS など)との共通構造が見えてきます。

記録とチーム共有のコツ

カルテには、少なくとも「ODI %スコア」「測定日」「解釈」をセットで記録します。例えば「ODI 38%:中等度障害。平地歩行は自立だが、立位 10 分で腰痛増悪し、買い物時間が短縮」といった形で、スコアを具体的な生活場面と結びつけて残しておくと有用です。2,10,31

カンファレンスや退院サマリーでは、「ODI 52%→ 30% に改善し、立位・歩行時間の延長と外出機会増加を認める」といった説明にすると、整形外科医・看護師・リハスタッフ間で共通理解を得やすくなります。患者さんや家族には、「100%中いまは 30%くらいの障害レベルで、できることが増えてきたが、長時間の同一姿勢や重い荷物運びにはまだ注意が必要」といったように、点数を生活イメージに翻訳してフィードバックすることが大切です。

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

ODI は何%くらい改善したら「リハビリの効果あり」と考えてよいですか?

ODI の MCID(最小限臨床的重要差)は研究により異なりますが、多くの報告では 4〜12 ポイント程度 のレンジが示されており、臨床的には 10 ポイント前後 を目安にすると分かりやすいとされています。例えば ODI 48%→ 36%(−12 ポイント)であれば、測定誤差を超えた有意な改善と解釈しやすく、「日常生活が楽になってきた」と本人が感じる可能性も高い範囲です。

一方で、評価指標はあくまで意思決定の材料の 1 つであり、本人の主観的な満足度や不安の程度、痛みスケール・神経学的所見・歩行テストや就労状況などと合わせて総合的に判断する必要があります。それでも「評価や運動器の勉強を続けているのに、今の職場では ODI や他の評価を十分活かしきれていない」と感じる場面が続く場合は、働き方そのものを見直すタイミングかもしれません。その際は、転職を検討すべきサインを整理した理学療法士のキャリアガイドも参考になります。

おわりに

腰痛の評価では、「レッドフラッグの除外 → NRS・VAS ・ ROM ・神経学的所見 → ODI・RMDQ で生活障害を把握 → 歩行・筋持久力・心理社会的因子も含めたゴール設定 → 再評価」というリズムを押さえておくと、単なる痛みスコアの変化にとどまらず、生活全体の変化を治療戦略に結びつけやすくなります。ODI は中等度〜重度の生活障害も含めて追いやすい指標なので、保存療法と術前後フォローの“共通言語”として位置づけておくと便利です。

一方で、PROM や機能評価を丁寧に回したくても、外来枠や病棟スケジュールの制約から「やりたい評価・介入まで手が回らない」と感じる場面も多いはずです。働き方を見直すときの抜け漏れ防止に。見学や情報収集の段階でも使える面談準備チェック( A4 ・ 5 分)と職場評価シート( A4 )を無料公開しています。印刷してそのまま使えますので、転職に限らず情報収集や見学の場面でもダウンロードページを活用してみてください。

参考文献

  1. Fairbank JC, Couper J, Davies JB, O’Brien JP. The Oswestry low back pain disability questionnaire. Physiotherapy. 1980;66(8):271–273.
  2. Fairbank JCT, Pynsent PB. The Oswestry Disability Index. Spine (Phila Pa 1976). 2000;25(22):2940–2952. doi:10.1097/00007632-200011150-00017.
  3. Bombardier C, Hayden J, Beaton DE. Minimal clinically important difference. Low back pain outcome measures. J Rheumatol. 2001;28(2):431–438.
  4. Roland M, Fairbank J. The Roland-Morris Disability Questionnaire and the Oswestry Disability Questionnaire. Spine (Phila Pa 1976). 2000;25(24):3115–3124. doi:10.1097/00007632-200012150-00006.
  5. Ostelo RWJG, de Vet HCW. Clinically important outcomes in low back pain. Best Pract Res Clin Rheumatol. 2005;19(4):593–607. doi:10.1016/j.berh.2005.03.003.
  6. Lauridsen HH, Hartvigsen J, Manniche C, et al. Responsiveness and minimal clinically important difference for pain and disability instruments in low back pain patients. BMC Musculoskelet Disord. 2006;7:82. doi:10.1186/1471-2474-7-82.
  7. 藤原 淳, 野原 裕. Oswestry Disability Index ─日本語版について─. 日本腰痛学会雑誌. 2009;15(1):11–18.
  8. Vianin M. Psychometric properties and clinical usefulness of the Oswestry Disability Index. J Chiropr Med. 2008;7(4):161–173. doi:10.1016/j.jcme.2008.07.001.
  9. Sheahan PJ, Nelson-Wong E, Fischer SL. A review of culturally adapted versions of the Oswestry Disability Index (ODI): the adaptation process, construct validity, test–retest reliability and internal consistency. Disabil Rehabil. 2015;37(21):2007–2014. doi:10.3109/09638288.2014.997875.
  10. Walsh TL, Hanscom B, Lurie JD, Weinstein JN. Is a condition-specific instrument for patients with low back pain/leg symptoms really necessary?: the responsiveness of the Oswestry Disability Index, MODEMS, and the SF-36. Spine (Phila Pa 1976). 2003;28(6):607–615. doi:10.1097/01.BRS.0000051910.98643.73.

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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