運動器 PROM ハブ|NDI・DASH・LEFS・HOOS・KOOS・ODI の使い分け

評価
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運動器 PROM 評価ハブ( NDI / DASH / LEFS / HOOS / KOOS / ODI の使い分け)

評価は「選ぶ → 条件固定 → 再評価」までセットにすると、チーム共有が一気にラクになります。 評価 → 介入 → 再評価の流れを確認する( #flow )

運動器リハの PROM(患者報告アウトカム) は、「痛みがある」だけでは拾えない 生活機能の困りごと QOL を数値化できるのが強みです。本ページは 部位別に迷わず選ぶための索引(ハブ)として、臨床でよく使う 6 つ( NDI / DASH / LEFS / HOOS / KOOS / ODI )を 選択 → 比較 → 記録の順でまとめます(短縮版として QuickDASH も併記します)。

想定読者:整形外科/回復期/外来/訪問で運動器症例をみる PT・OT。得られること:①「どれを使う?」が 5 分で決まる ②スコアの向き(高いほど良い/悪い)で混乱しない ③カルテとサマリーに同じ型で残せる。評価スケール全体の索引は 評価ハブ も参照してください。

このハブで扱う運動器 PROM 一覧

まずは「症状が強い部位(主訴)」で 1 つ選び、必要に応じて 短縮版( QuickDASH )部位特化( HOOS / KOOS )で深掘りします。

5 分で決める:PROM 選択フロー

PROM は「いくつも入れる」ほど良いわけではありません。最小セット( 1 つ+再評価の型)を先に作ると、評価設計が安定します。

迷ったら、①主訴の部位で 1 つ選ぶ → ②測定条件を固定 → ③次回の再評価日を先に決める、の順にするとブレにくいです。

  1. 主訴の部位で 1 つ選ぶ(頸= NDI /上肢= DASH(急ぎなら QuickDASH )/下肢= LEFS /股= HOOS /膝= KOOS /腰= ODI )
  2. 目的を決める(術前後の経過/外来での変化追跡/在宅での生活課題共有)
  3. 測定条件を固定する(説明文・想起期間・介助有無・記入方法)
  4. 再評価日を先に決める(例:外来 2 〜 4 週、入院 1 〜 2 週)
  5. 併用する客観指標を 1 つだけ足す(歩行速度/ TUG /階段/立ち上がりなど)
運動器 PROM の選び分け早見(成人・整形外科領域:目安)
困りごとの中心 まず選ぶ PROM 追加すると整理しやすい場面 一緒に残すと伝わる客観指標(例)
頸の痛みで生活が回らない NDI 仕事・睡眠など「高得点項目」を 1 行で補足 ROM 、疼痛 NRS 、上肢しびれ所見
肩〜手の動作がつらい DASH(時間がなければ QuickDASH ) 趣味・仕事負荷が大きい人は DASH を優先 挙上角度、疼痛誘発動作、握力
歩行・階段がつらい(下肢全般) LEFS 股/膝に主病変があるなら HOOS / KOOS で深掘り 10 m 歩行、 TUG 、階段、立ち上がり
股関節 OA / THA の経過を追いたい HOOS 屋外活動の量まで追うなら LEFS 併用も検討 疼痛 NRS 、歩行補助具、外転筋力
膝 OA / TKA / ACL の経過を追いたい KOOS スポーツ復帰の相談が多いならスポーツ尺度を重視 片脚スクワット、階段、関節水腫
腰痛で生活が制限される ODI 神経症状があるなら所見をセットで記録 疼痛 NRS 、 SLR 、知覚・筋力

比較表(特徴・スコアの向き)

混乱しやすいのが 「点数が上がる=改善」か「悪化」かです。ここだけ先に固定すると、説明と記録がブレません。

特に、LEFS と HOOS / KOOS は「高いほど良い」、NDI と DASH と ODI は「高いほど障害が強い」という向きで覚えると整理が速いです。

運動器 PROM の比較(成人・整形外科領域:代表例)
指標 主な対象 評価の中心 スコアの向き 使いどころ(臨床)
NDI 頸部痛・頸椎術前後・むち打ち 頸部痛による生活障害 高いほど障害が強い(点/%) 頸の困りごとを「生活機能」として共有
DASH / QuickDASH 肩〜手の疾患・術前後 上肢全体の機能障害( ADL / 仕事 / 趣味) 高いほど障害が強い( 0 〜 100 ) 疾患横断で「上肢の不自由さ」を 1 指標で追う
LEFS 股・膝・足関節など下肢全体 歩行・階段・荷重動作 高いほど良好( 0 〜 80 ) 下肢混在例でも「まず 1 つ」の軸になる
HOOS 股関節 OA / THA 術前後 疼痛・症状・ ADL ・スポーツ・ QOL 高いほど良好(各下位尺度 0 〜 100 ) 股関節の QOL まで含めて経過を追いたい
KOOS 膝 OA / TKA / ACL 等 疼痛・症状・ ADL ・スポーツ・ QOL 高いほど良好(各下位尺度 0 〜 100 ) 膝 OA とスポーツ膝を同じ枠で管理したい
ODI 慢性腰痛・脊椎手術前後 腰痛による生活障害 高いほど障害が強い(%) 中等度〜重度の生活障害まで追いやすい

現場の詰まりどころ(よくあるミス)

PROM を複数併用したときに詰まりやすいのは「説明のブレ」「記録のブレ」「再評価のブレ」です。ここを先に潰すと、チームで共通言語になりやすいです。

運用で迷ったら「説明文を固定して、カルテに 1 行残す」だけでも再現性が上がります。

PROM 運用の OK / NG(測定の再現性を上げる)
論点 OK(おすすめ) NG(よくある) 現場での対策
想起期間 「この 1 週間」など、毎回同じ言い方で統一 その日の気分で期間が変わる カルテに「説明文」を 1 行コピペで残す
スコアの向き 「高いほど良い/悪い」を先に固定して共有 指標ごとの向きを混同する 本ページの比較表を院内メモとして使う
欠損(未回答) 欠損の扱いをマニュアル化し、同じルールで再評価 その場で適当に埋める/平均を入れる まずは「未回答がある=再説明して再実施」を優先
下位尺度 HOOS / KOOS は「どの下位尺度を重視するか」を決める 合計っぽく 1 つに丸めてしまう 疼痛・ ADL ・スポーツ・ QOL のどれが主目標かで選ぶ
再評価タイミング 初回に「次回はいつ測るか」を決める 忙しいと測らなくなる/測定日が飛ぶ 外来は 2 〜 4 週、入院は 1 〜 2 週など「型」を作る

SOAP・サマリーの書き方テンプレ(チーム共有がラクになる)

カルテでは、最低限 指標名/スコア/測定日/一言解釈をセットで残すだけでも情報の通りが良くなります。

サマリーは「 PROM の変化が、歩行や ADL の変化とどう噛み合ったか」を 1 〜 2 行で示すのがコツです。

  • S:頸の痛みで長時間のデスクワークがつらい。睡眠も浅い。
  • O:NDI 26 / 50 点( 52 %、2025-12-25 )。頸部回旋で疼痛増悪。疼痛 NRS 6 / 10。
  • A:頸部痛に伴う生活障害は中等度〜重度。睡眠と仕事関連の制限が主。
  • P:姿勢・作業環境調整+運動療法を開始。 2 週後に NDI を同一説明で再評価。
  • 退院/転院サマリー例:「KOOS( ADL )は 42 → 61( 4 週)で改善。階段昇降の自立(手すり使用)と一致。今後はスポーツ尺度の改善を目標に、荷重下の動作練習を段階的に増量。」

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. DASH と QuickDASH は、どちらを優先すべきですか?

時間が確保でき、経過を丁寧に追うなら DASH、外来で回す必要があり短時間で回収したいなら QuickDASHが実務的です。どちらを選んでも「説明文」「想起期間」「測定タイミング」を固定して再評価できれば、臨床での変化は読みやすくなります。

Q2. 下肢は LEFS だけで十分ですか? HOOS / KOOS も必要ですか?

下肢全体の「まず 1 つ」の軸は LEFSが便利です。一方、股関節や膝の病態が主で「痛み・症状・ QOL まで踏み込みたい」「術前後を系統立てて追いたい」場合は HOOS / KOOSが強みになります。迷ったら「主目標が ADL か QOL か」で決めると整理しやすいです。

Q3. 再評価はどのくらいの頻度が現実的ですか?

外来は 2 〜 4 週、入院は 1 〜 2 週を 1 つの目安にし、症例の変化速度と介入量に合わせて調整します。大事なのは「毎回同じ条件(説明・期間・記入方法)」で測ることです。

Q4. 未回答があるときは、どう扱えばいいですか?

まずは 再説明して再実施が基本です。やむを得ず欠損が残る場合は「欠損があった」ことを明記し、次回も同じルールで扱えるようにします(欠損の取り扱いを症例ごとに変えると、変化の解釈が難しくなります)。

参考文献

  • Vernon H, Mior S. The Neck Disability Index: a study of reliability and validity. J Manipulative Physiol Ther. 1991;14(7):409-415. PMID: 1834753
  • Hudak PL, Amadio PC, Bombardier C. Development of an upper extremity outcome measure: the DASH (Disabilities of the Arm, Shoulder and Hand). Am J Ind Med. 1996;29(6):602-608. DOI: 10.1002/(SICI)1097-0274(199606)29:6<602::AID-AJIM4>3.0.CO;2-L
  • Binkley JM, Stratford PW, Lott SA, Riddle DL. The Lower Extremity Functional Scale (LEFS): scale development, measurement properties, and clinical application. Phys Ther. 1999;79(4):371-383. DOI: 10.1093/ptj/79.4.371
  • Nilsdotter AK, Lohmander LS, Klässbo M, Roos EM. Hip disability and Osteoarthritis Outcome Score (HOOS)—validity and responsiveness in total hip replacement. BMC Musculoskelet Disord. 2003;4:10. DOI: 10.1186/1471-2474-4-10
  • Roos EM, Roos HP, Lohmander LS, Ekdahl C, Beynnon BD. Knee Injury and Osteoarthritis Outcome Score (KOOS)—development of a self-administered outcome measure. J Orthop Sports Phys Ther. 1998;28(2):88-96. DOI: 10.2519/jospt.1998.28.2.88
  • Fairbank JCT, Pynsent PB. The Oswestry Disability Index. Spine. 2000;25(22):2940-2952. DOI: 10.1097/00007632-200011150-00017

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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おわりに

運動器 PROM は、安全確認 → 部位別 PROM → 客観テスト → 介入 → 同条件で再評価の順で回すと、数字が「行動の次の一手」に変わります。まずは 1 つを選んで測定条件を固定し、変化が読める形に整えていきましょう。

見学や情報収集の段階で「体制や教育」「症例の幅」「評価と記録の型」まで抜け漏れなく確認したいときは、面談準備チェック&職場評価シート( #download )も合わせて使うと、次のアクションが決めやすくなります。

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