理学療法士の前期研修とは?54コマ・最短2年とD実地研修

制度・実務
記事内に広告が含まれています。

理学療法士の前期研修とは|全54コマ・最短2年が基本

理学療法士の前期研修は、日本理学療法士協会の生涯学習制度で、後期研修へ進む前に履修する研修です。全54コマで、A〜Cの座学22コマ+D実地研修32コマ、最短履修期間は2年間です。

迷いやすいのは、「D-1とD-2のどちらになるのか」「D-2はeラーニングだけで終わるのか」「54コマを終えればすぐ修了できるのか」という点です。本記事では、2026年9月時点の日本理学療法士協会の情報をもとに、前期研修の全体像から修了までを、実際に迷いやすい順番で整理します。

前期研修の結論

  • 前期研修は全54コマ
  • A〜Cの座学が22コマ
  • D実地研修が32コマ
  • 最短履修期間は2年間
  • D-1 / D-2は本人が自由に選ぶのではなく、主たる所属先の状況で決まる
  • D-2のeラーニングは最大31コマのため、eラーニングだけでは32コマを満たせない
理学療法士の前期研修の全体像。A〜Cの座学22コマとD実地研修32コマ、D-1とD-2、最短2年間、D-2の31+1コマを整理した図。
前期研修はA〜Cの座学22コマ+D実地研修32コマの計54コマです。D-2ではeラーニングが最大31コマのため、残りの履修方法も確認します。
理学療法士の前期研修54コマの内訳
区分 内容 コマ数 主な履修方法
A 初期研修 6コマ 士会主催研修会/eラーニング
B 理学療法の基礎 6コマ 士会主催研修会/eラーニング
C 理学療法の専門性 10コマ 士会主催研修会/eラーニング
D 実地研修 32コマ D-1:自施設での実地研修
D-2:他施設見学・eラーニング・症例検討会聴講
合計 54コマ 最短履修期間:2年間

前期研修の進め方|最初に確認する5つのこと

前期研修は、Aから順番に受講することだけを考えるより、「現在の履修状況→A〜C→D区分→残りコマ→最短修了日」の順で全体を確認すると迷いにくくなります。

  1. マイページで前期研修の履修状況を確認する
  2. A〜Cの未履修講座を確認する
  3. D実地研修の履修区分がD-1 / D-2のどちらか確認する
  4. D-1なら自施設、D-2なら代替方法で32コマを満たす
  5. 54コマだけでなく、自分の最短履修修了日も確認する

特に見落としやすいのがD実地研修です。A〜Cをすべて履修しても、Dが32コマに達していなければ前期研修は修了できません。まずマイページで、自分のD区分と現在の履修数を確認しておくと、その後の計画を立てやすくなります。

A〜Cの座学22コマ|eラーニングでも履修できる

A〜Cは合計22コマで、士会主催研修会またはeラーニングで履修します。内訳はA「初期研修」6コマ、B「理学療法の基礎」6コマ、C「理学療法の専門性」10コマです。

A〜Cの座学22コマ
講座 コマ数 履修方法
A:初期研修 6コマ 士会主催研修会/eラーニング
B:理学療法の基礎 6コマ 士会主催研修会/eラーニング
C:理学療法の専門性 10コマ 士会主催研修会/eラーニング

入会初年度のeラーニングは9月1日から視聴できる

日本理学療法士協会では、入会初年度に限り、A〜Cのeラーニングは入会年度の9月1日から視聴可能としています。受講する場合はマイページから無料の申込みが必要です。

入会初年度の前半に「前期研修のeラーニングが視聴できない」と迷った場合は、まず入会年度と視聴開始時期を確認してください。士会主催研修会を利用する場合は、各都道府県理学療法士会の開催情報も確認します。

D実地研修32コマ|D-1とD-2の違い

D実地研修は32コマです。ここで重要なのは、D-1 / D-2を本人の希望で自由に選択する制度ではないことです。マイページの「主たる所属先」に実地指導者となる登録理学療法士が在籍しているかによって履修区分が決まります。

D実地研修のD-1・D-2の違い
区分 主な条件 履修方法 必要履修
D-1:イ 主たる所属先に実地指導者となる登録理学療法士がいる 協会の新人理学療法士職員研修ガイドラインを参考にした自施設での実地研修 32コマ(48時間)
D-1:ロ 主たる所属先に実地指導者がおり、自施設独自の研修プログラムを利用する 自施設独自の研修プログラム 32コマ(48時間)換算
D-2 主たる所属先に実地指導者となる登録理学療法士がいない 他施設での見学研修/eラーニング/症例検討会の聴講 合計32コマ

マイページの「主たる所属先」に実地指導者となる登録理学療法士がいる場合はD-1、いない場合はD-2となります。D-1のうち、協会作成のガイドラインを参考にした研修が「イ」、施設独自の研修プログラムを利用する場合が「ロ」です。

なお、「その他所属先」に登録理学療法士がいても、D区分を決める在籍判定には加味されません。D区分は所属施設の状況によって研修途中で変わる場合がありますが、個人の希望で自由に変更することはできません。

D区分はマイページで確認する

D-1 / D-2を自己判断するのではなく、マイページの「生涯学習管理」から前期研修の履修状況を開き、D実地研修に表示されている履修区分を確認してください。

異動や転職、施設内の登録理学療法士の在籍状況が変わった場合は、履修途中で区分が変更されることがあります。すでに履修登録されたコマ数は保持され、変更後の区分で残りのコマを履修します。

D-2はeラーニングだけでは修了できない|31+1コマがポイント

D-2で特に迷いやすいのが、eラーニングをすべて視聴してもD実地研修32コマを満たさないことです。D-2のeラーニングは最大31コマのため、少なくとも別の履修方法を組み合わせる必要があります。

D-2は「31+1」で考えると分かりやすい

eラーニングを最大の31コマ履修する場合、残り1コマが必要です。他施設での見学研修または症例検討会の聴講などを組み合わせ、合計32コマを満たします。

D-2で利用できる3つの履修方法
履修方法 履修できる範囲 確認ポイント
他施設での見学研修 最大32コマ 最小1コマから。協会が認定した見学受入施設で履修する
eラーニング 最大31コマ これだけでは32コマに到達しない
症例検討会の聴講 最大1コマ 3回の聴講で1コマ。事前にB-5の履修が必要

D-2は3つの方法のいずれか、または組み合わせで32コマを満たします。そのため、必ず「eラーニング31+症例検討会1」に固定されるわけではありません。たとえば、他施設での見学研修だけで32コマを履修する方法もあります。

症例検討会は3回の聴講で1コマ

D-2で症例検討会を利用する場合、3回の聴講で1コマとして扱われます。6回聴講してもD-2として履修できるのは最大1コマです。

対象となるのは、後期研修E「領域別研修(事例)」として開催される症例検討会の聴講です。一般的な院内症例検討会であれば何でも対象になるわけではありません。

症例検討会を利用するならB-5を先に履修する

症例検討会をD-2の履修へ反映するには、前期研修B-5「症例報告・発表の仕方」を聴講前に履修しておく必要があります。B-5未履修のまま聴講した場合はD-2の履修とは認められず、再聴講が必要です。

D-2で「eラーニング31コマまで終わったのに修了にならない」という場合は、まず残り1コマとB-5の履修状況を確認してください。

前期研修は何年かかる?|最短2年の数え方

前期研修は、54コマを早く履修すればその時点ですぐ修了できるわけではありません。最短履修期間として2年間が設定されており、この期間は年度単位で計算します。

日本理学療法士協会では、入会年度の翌年度末が最短履修修了日です。年度途中に入会した場合も、その年度の4月入会者と同じ最短履修修了日になります。

前期研修の最短2年間の数え方
入会時期 入会年度 最短履修修了日
2026年4月 2026年度 2028年3月31日
2026年10月 2026年度 2028年3月31日

つまり、同じ2026年度内に入会した場合は、4月入会でも10月入会でも最短履修修了日は2028年3月31日です。54コマをそれより前に履修し終えても、最短2年間という期間要件を満たす必要があります。

最短履修修了日を迎え、必要な54コマを満たして前期研修を修了すると、その後に後期研修へ進みます。登録理学療法士取得までの全体像は、登録理学療法士までの全体ロードマップで整理しています。

前期研修が終わらないときはどこを確認する?

「かなり受講したはずなのに前期研修が終わらない」という場合は、受講数を最初から数え直すより、A〜C・D区分・Dの残コマ・最短履修期間を分けて確認すると原因を切り分けやすくなります。

前期研修が終わらないときの確認ポイント
状況 確認すること 次の対応
A〜Cは終わった D実地研修が32コマに達しているか マイページでDの履修数を確認する
D-2のeラーニングを全部視聴した 31コマで止まっていないか 他施設見学または症例検討会などで不足分を履修する
症例検討会を聴講した B-5履修後に対象となる症例検討会を聴講したか マイページで履修反映を確認する
D-1を終えた 実地指導者による履修登録が完了しているか 実地指導者・施設会員代表者へ確認する
54コマすべて終えた 最短履修修了日を迎えているか 入会年度から2年間の期間要件を確認する
異動・転職した D-1 / D-2の区分が変わっていないか マイページで現在の履修区分と残コマを確認する

前期研修を止めずに進めるなら「残り」を確認する

前期研修を進めるうえで重要なのは、独自の複雑な進捗管理を作ることではありません。マイページで「何が終わったか」より「何が残っているか」を定期的に確認する方が、修了に必要な行動を決めやすくなります。

特に確認したいのは、次の4点です。

  • A〜Cで未履修の講座は何か
  • 現在のD履修区分はD-1 / D-2のどちらか
  • D実地研修はあと何コマ残っているか
  • 自分の最短履修修了日はいつか

D実地研修の申請方法、D-1の履修登録、D-2の他施設見学など、Dに絞って詳しく確認したい場合は、前期研修D実地研修の進め方をご覧ください。

理学療法士の前期研修でよくある質問

Q1. 理学療法士の前期研修は全部で何コマですか?

A. 全54コマです。A〜Cの座学22コマとD実地研修32コマで構成されています。

Q2. 前期研修は最短何年で修了できますか?

A. 最短2年間です。年度単位で計算し、入会年度の翌年度末が最短履修修了日になります。年度途中の入会でも同じ入会年度であれば最短履修修了日は同じです。

Q3. 前期研修のeラーニングはいつから受けられますか?

A. A〜Cについては、入会初年度に限り入会年度の9月1日から視聴できます。受講する場合はマイページから無料の申込みが必要です。

Q4. D-1とD-2は自分で選べますか?

A. 原則として自由には選べません。マイページの「主たる所属先」に実地指導者となる登録理学療法士がいるかによって履修区分が決まります。

Q5. D-2はeラーニングだけで修了できますか?

A. できません。D-2のeラーニングは最大31コマで、D実地研修は32コマ必要です。他施設での見学研修または症例検討会の聴講などを組み合わせて32コマを満たします。

Q6. D-2の症例検討会は何回聴講すれば1コマになりますか?

A. 3回の聴講で1コマです。聴講前にB-5「症例報告・発表の仕方」を履修している必要があります。

次に確認する記事

前期研修から後期研修、登録理学療法士取得までの位置づきをまとめて確認したい場合は、登録理学療法士までの全体ロードマップをご覧ください。

D-1 / D-2の受講方法や実地研修の手続きをさらに詳しく確認する場合は、前期研修D実地研修の進め方で整理しています。


参考文献・参考リンク

  1. 公益社団法人日本理学療法士協会.登録理学療法士の取得方法[Internet].[2026年9月3日参照].Available from: https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/new/zenki-kouki/
  2. 公益社団法人日本理学療法士協会.前期研修について[Internet].[2026年9月3日参照].Available from: https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/new/zenki/
  3. 公益社団法人日本理学療法士協会.前期研修カリキュラム.2025年7月1日版[Internet].[2026年9月3日参照].Available from: PDF
  4. 公益社団法人日本理学療法士協会.前期研修:D 実地研修[Internet].[2026年9月3日参照].Available from: https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/new/registered/zenki_d/
  5. 公益社団法人日本理学療法士協会.実地研修受講・実施マニュアル.2025年7月1日版[Internet].[2026年9月3日参照].Available from: PDF
  6. 公益社団法人日本理学療法士協会.2026年度eラーニングコンテンツ一覧[Internet].[2026年9月3日参照].Available from: PDF

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

運営者プロフィール / 編集・引用ポリシー / お問い合わせ