- 令和8年度改定|リンパ浮腫複合的治療料は「点数・対象・時間要件」をセットで確認します
- 結論|H007-4は「重症かどうか」と「実施時間」で500点・350点・150点に分かれます
- 2026年改定で何が変わった?|重症が2区分に分かれ、時間要件も整理されました
- 対象患者と重症の基準|対象はISL病期I期以降、重症はII期以降です
- 点数と時間要件|500点・350点・150点は「区分」と「1回の実施時間」で判断します
- 必須実施|スキンケアとセルフケア指導は毎回の一連の治療で必ず行います
- 実施者|専任医師、または医師の指導監督下の専任看護師・PT・OT等が行います
- 算定前に確認すること|直近1年間の算定実績と連携条件も見落とせません
- 記録には何を残す?|公式に押さえる事項と、院内運用で足すと便利な事項を分けます
- 算定確認の順番|5ステップで見ると迷いにくくなります
- よくある質問(FAQ)
- 更新履歴
- 次の一手|関連ページもあわせて確認してください
- 参考資料(一次情報・文献)
- 著者情報
令和8年度改定|リンパ浮腫複合的治療料は「点数・対象・時間要件」をセットで確認します
まずは改定全体の位置づけを確認してから、このページでH007-4の要点を押さえましょう
リンパ浮腫複合的治療料(H007-4)は、令和8年度診療報酬改定で重症が2区分に分かれ、重症・イ 500点、重症・ロ 350点、1以外 150点として整理されました。この記事では、厚生労働省の告示・通知に基づき、PT・OT・看護師などが確認しやすいように、点数、対象患者、重症基準、時間要件、必須実施、実施者、記録の考え方をまとめます。
このページで答えるのは、「どの患者が対象か」「重症とは何か」「何分実施するとどの点数になるか」「何を行えばよいか」です。施設基準の届出細則や弾性着衣の個別選定までは深掘りせず、H007-4の算定可否を判断するために必要な要点へ絞って整理します。
最終確認:2026-09-11(厚生労働省の0730訂正後資料を確認)
結論|H007-4は「重症かどうか」と「実施時間」で500点・350点・150点に分かれます
リンパ浮腫複合的治療料は、重症・イ:60分以上で500点、重症・ロ:40分以上60分未満で350点、1以外:20分以上で150点です。まずはこの3区分を固定してから、対象患者、重症基準、必須実施、実施者、連携条件を確認すると整理しやすくなります。
実務では、点数だけでなく、①対象患者か、②重症か、③必要時間を満たしたか、④必須の治療内容を含んでいるか、⑤実施者・届出要件を満たすかの順に確認するのが安全です。特に、スキンケアとセルフケア指導は毎回の一連の治療で必ず行う点、重症では原則として毎回圧迫を行う点を押さえておく必要があります。
| 区分 | 点数 | 1回の実施時間 | 算定頻度 | 対象の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 重症・イ | 500点 | 60分以上 | 月1回 (開始月から起算して2月以内は計11回) |
ISL病期II期以降 |
| 重症・ロ | 350点 | 40分以上60分未満 | 月1回 (開始月から起算して2月以内は計11回) |
ISL病期II期以降 |
| 1以外 | 150点 | 20分以上 | 6月に1回 | ISL病期I期以上 |

2026年改定で何が変わった?|重症が2区分に分かれ、時間要件も整理されました
令和8年度改定で最も大きい変更は、重症が1区分ではなく「イ」「ロ」に分かれたことです。これにより、重症患者では60分以上で500点、40分以上60分未満で350点という2段階の評価になりました。
そのため、改定後は「重症かどうか」だけでは足りず、重症区分に該当する患者に何分実施したかまでセットで確認する必要があります。改定内容を整理するときは、対象患者 → 重症基準 → 実施時間 → 必須実施 → 実施者・届出要件の順に見ると、院内で説明しやすくなります。
対象患者と重症の基準|対象はISL病期I期以降、重症はII期以降です
対象患者は、鼠径部・骨盤部・腋窩部のリンパ節郭清を伴う悪性腫瘍手術後の患者、または原発性リンパ浮腫と診断された患者で、国際リンパ学会(ISL)による病期分類I期以降のものです。そのうち、ISL病期II期以降が「重症」に当たります。
現場で迷いやすいのは、診断名だけで重症と判断してしまうことです。算定区分がずれないように、診療録では病期、確認日、確認者、算定区分をひとまとまりで残しておくと確認しやすくなります。
| 確認項目 | 内容 | 実務での見方 |
|---|---|---|
| 対象患者 | リンパ節郭清を伴う悪性腫瘍手術後、または原発性リンパ浮腫 | 診断名だけでなく病態の確認も必要 |
| 病期 | ISL病期I期以降 | 1以外はI期以上が対象 |
| 重症 | ISL病期II期以降 | 重症・イ/ロの前提になる |
| 記録の最小単位 | 病期・確認日・確認者・算定区分 | 担当交代時のずれを防ぎやすい |
点数と時間要件|500点・350点・150点は「区分」と「1回の実施時間」で判断します
点数区分を決める中心は、重症かどうかと1回の実施時間です。重症・イは60分以上、重症・ロは40分以上60分未満、1以外は20分以上で算定します。まず患者がどの区分に当たるかを固定し、そのうえで必要時間を満たしたか確認してください。
また、H007-4は患者1人1日につき1回算定します。算定頻度も異なり、重症は月1回(開始月から起算して2月以内は計11回)、1以外は6月に1回です。
| 区分 | 点数 | 要件 | 算定頻度 | 確認ポイント |
|---|---|---|---|---|
| 重症・イ | 500点 | 1回60分以上 | 月1回 (開始月から起算して2月以内は計11回) |
重症+60分以上 |
| 重症・ロ | 350点 | 1回40分以上60分未満 | 月1回 (開始月から起算して2月以内は計11回) |
重症+40分以上60分未満 |
| 1以外 | 150点 | 1回20分以上 | 6月に1回 | 対象患者+20分以上 |
必須実施|スキンケアとセルフケア指導は毎回の一連の治療で必ず行います
リンパ浮腫複合的治療料は、弾性着衣または弾性包帯による圧迫、圧迫下の運動、用手的リンパドレナージ、患肢のスキンケア、体重管理等のセルフケア指導などを適切に組み合わせて行った場合に算定します。
このうち、患肢のスキンケアと体重管理等のセルフケア指導は、一連の治療の中で必ず行う必要があります。さらに、重症の場合は毎回の治療で圧迫を行うことが原則で、圧迫を行わない医学的理由がある場合のみ例外として扱われます。
| 項目 | 内容 | 実務上のポイント |
|---|---|---|
| 圧迫 | 弾性着衣または弾性包帯による圧迫 | 重症では原則毎回実施。不可なら医学的理由を確認 |
| 圧迫下の運動 | 圧迫した状態での運動 | 複合的治療の構成要素として組み合わせる |
| 用手的リンパドレナージ | 病態に応じた用手的介入 | 他の要素と組み合わせて実施する |
| スキンケア | 患肢の皮膚管理 | 毎回必須 |
| セルフケア指導 | 体重管理等のセルフケア指導 | 毎回必須 |
実施者|専任医師、または医師の指導監督下の専任看護師・PT・OT等が行います
リンパ浮腫複合的治療料は、専任の医師が直接行う場合、または専任の医師の指導監督の下で、専任の看護師・理学療法士・作業療法士が行う場合に算定します。いずれの場合も、患者1名に対して従事者1名以上の割合で実施することが必要です。
なお、通知では、一定の要件を満たしたあん摩マッサージ指圧師が行う場合の取扱いも示されています。ただし、施設基準上の研修要件や院内の指示・報告体制が関わるため、実際の運用は届出内容とあわせて確認してください。
| 区分 | 実施者 | 補足 |
|---|---|---|
| 直接実施 | 専任の医師 | 保険医療機関の届出が前提 |
| 医師の指導監督下 | 専任の看護師・理学療法士・作業療法士 | 事前の体制整理が必要 |
| 補足 | 一定要件を満たすあん摩マッサージ指圧師 | 研修要件・指示・事後報告が必要 |
算定前に確認すること|直近1年間の算定実績と連携条件も見落とせません
H007-4では、点数や時間要件だけでなく、リンパ浮腫指導管理料の算定実績と連携先の条件も確認が必要です。通知では、当該保険医療機関において直近1年間にリンパ浮腫指導管理料を50回以上算定していない場合は、連携先として届け出た保険医療機関でリンパ浮腫と診断され、複合的治療を依頼する旨とともに紹介された患者に限って算定できるとされています。
そのため、実際の請求では、「自院で50回以上の実績があるか」、「連携先の届出と紹介状の扱いが整っているか」まで確認しておく必要があります。ここは制度理解だけでなく、院内の請求担当とのすり合わせも重要です。
| 確認項目 | 見ること | 実務上のポイント |
|---|---|---|
| 対象患者 | 悪性腫瘍手術後または原発性リンパ浮腫か | 病期もあわせて確認する |
| 重症基準 | ISL病期II期以降か | 重症・イ/ロの前提になる |
| 実施時間 | 60分以上、40分以上60分未満、20分以上 | 区分に応じて確認する |
| 治療内容 | スキンケア、セルフケア指導、重症時の圧迫 | 必須項目の抜けを防ぐ |
| 算定実績・連携 | 直近1年間のリンパ浮腫指導管理料50回以上の有無 | 不足時は連携先からの紹介条件を確認する |
記録には何を残す?|公式に押さえる事項と、院内運用で足すと便利な事項を分けます
記録については、公式に求められる事項と、院内で運用しやすくするために追加すると便利な事項を分けて考えると整理しやすくなります。公式資料に沿って最低限押さえたいのは、対象患者であること、病期、実施時間、治療内容、実施者、指示・報告の流れなどです。
一方で、開始時刻、終了時刻、中断有無、総実施時間などは、厚生労働省の文言そのものではありませんが、40分・60分の境界を説明しやすくする院内運用として役立ちます。制度要件と運用上の工夫を混同しないことが大切です。
| 区分 | 押さえる内容 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 公式に押さえる事項 | 対象患者、ISL病期、実施時間、治療内容、実施者、医師の指導監督、紹介・連携条件 | 算定要件の確認に必要 |
| 院内運用で足すと便利な事項 | 開始時刻、終了時刻、中断有無、中断理由、総実施時間、次回確認点 | 境界日の説明や担当者間共有に役立つ |
算定確認の順番|5ステップで見ると迷いにくくなります
H007-4は、点数だけを見るよりも、確認する順番を固定した方が判断しやすくなります。以下の5ステップで確認すると、見落としを減らしやすくなります。
- 対象患者かを確認する
- ISL病期から重症かどうかを確認する
- 実施時間が60分以上・40分以上60分未満・20分以上のどれか確認する
- スキンケア、セルフケア指導、重症時の圧迫を含む治療内容を確認する
- 実施者、届出、連携条件を確認する
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. 重症で45分実施した場合は何点ですか?
A. ISL病期II期以降の重症患者に対して、1回40分以上60分未満の複合的治療を行った場合は、重症・ロの350点です。
Q2. 重症の基準は何ですか?
A. 通知では、国際リンパ学会(ISL)による病期分類II期以降を重症としています。I期以上が対象ですが、重症に該当するのはII期以上です。
Q3. 毎回必ず行うものは何ですか?
A. 一連の治療において、患肢のスキンケアと体重管理等のセルフケア指導は必ず行います。また、重症では原則として毎回の治療で弾性着衣または弾性包帯による圧迫を行います。
Q4. 自院でリンパ浮腫指導管理料をあまり算定していない場合はどうなりますか?
A. 通知では、直近1年間にリンパ浮腫指導管理料を50回以上算定していない場合、連携先として届け出た保険医療機関でリンパ浮腫と診断され、複合的治療を依頼する旨とともに紹介された患者に限って算定できるとされています。実際の運用は医事課・請求担当と確認してください。
更新履歴
- 2026-09-11:記事全体を全面リライトし、配布物なしの構成へ更新しました。
- 2026-09-11:古い図版を削除し、新図版「リンパ浮腫複合的治療料(H007-4)の2026年改定要点」に差し替えました。
- 2026-09-11:厚生労働省の0730訂正後資料を確認し、点数、対象患者、重症基準、必須実施、実施者、連携条件の説明を整理しました。
次の一手|関連ページもあわせて確認してください
H007-4を個別に確認したら、次は改定全体の中でどの位置づけにあるか、また院内でどの順に実装するかを整理すると運用しやすくなります。制度の全体像を見直したい場合は、次の関連ページも参考にしてください。
参考資料(一次情報・文献)
- 厚生労働省.令和8年度診療報酬改定について.
- 厚生労働省.診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)医科点数表(H007-4).
- 厚生労働省.診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日保医発0305第6号)別添1 医科診療報酬点数表に関する事項(0730訂正後).
- International Society of Lymphology. The Diagnosis and Treatment of Peripheral Lymphedema: 2023 Consensus Document of The International Society of Lymphology. Lymphology. 2023;56(4):133-151. PMID:39207406.
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関・介護福祉施設・訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信しています。
脳卒中、褥瘡・創傷ケア、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下を中心に、PT・OT・ST・看護師・医師など医療従事者向けの実務記事を執筆しています。
- 脳卒中認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

