Phalen テスト|手関節屈曲で CTS を確認

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Phalen テスト|手根管症候群の入口を “最小セット” で作る

Phalen テストは、手関節の掌屈位を保持して正中神経領域のしびれ・疼痛を誘発し、手根管症候群( CTS )の可能性を絞るためのテストです。強みは “その場でできる” ことですが、単独で確定させる検査ではありません。だからこそ本記事では、①適応(いつ使うか)②手順(再現性)③陽性の書き方(記録の型)④偽陽性の回避までを、臨床でブレない運用に固定します。

結論としては、Phalen は “入口” に置き、確認は Durkan(手根管圧迫)など別角度の誘発を 1 本だけ追加するのが最も迷いません。テストを増やす前に、症状(分布・夜間増悪・つまみ動作など)を 1 行で要約してから進めましょう。 [oai_citation:0‡PubMed](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15162113/?utm_source=chatgpt.com)

いつ使う?| “分布+夜間” が揃うと Phalen が効く

Phalen は、正中神経領域(母指〜中指中心)のしびれ夜間〜起床時の増悪があるときに、短時間で仮説を確認しやすいテストです。逆に、局所の痛みだけ(しびれの分布が曖昧)や、頸部由来が濃い所見がある場合は、Phalen を先にやっても解釈がブレやすくなります。

おすすめの並べ方は、①症状を 1 行で要約(分布+時間帯+増悪動作)→②圧痛(手根管部)→③感覚(正中/尺骨)→④ Phalen の順です。テストで “痛みを出す” より、再現された感覚がしびれなのか疼痛なのかを分けて記録する方が、次の一手(負荷調整・スプリント・受診相談)に直結します。 [oai_citation:1‡PubMed](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10865306/?utm_source=chatgpt.com)

手順| 30–60 秒で “再現性” を最優先にする

Phalen は、両手関節を掌屈位で合わせて保持し、症状が誘発されるかをみます。現場では 60 秒保持が多い一方、文献でも保持時間は幅があるため、あなたの現場ではまず 30 秒を基準にして “短時間で再現するか” を見て、必要なら 60 秒まで延長するとブレにくいです。 [oai_citation:2‡UCSD Internal Medicine Residency](https://ucsdim.com/wp-content/uploads/2016/07/jama-rational-clinical-exam-carpal-tunnel-2000.pdf?utm_source=chatgpt.com)

Phalen テスト:標準手順(成人・一般臨床の運用)
手順 やること 観察ポイント 中止目安
1 姿勢を整える(肩・肘の力みを抜く) 首・肩の緊張で “別の痛み” が混ざらないか 強い疼痛で保持困難
2 両手関節を掌屈位で合わせて保持 しびれ(感覚異常)か、局所痛かを分けて聴く 症状が急激に強まる
3 30 秒で反応を確認(必要なら 60 秒まで) 出現までの時間(例: 10 秒、 20 秒)を記録 冷汗・気分不良
4 左右差を確認(同条件で) 左右差が “分布” と一致するか 再現性が取れない

陽性の基準| “正中神経領域のしびれ” を主語にする

臨床での “陽性” は、正中神経領域のしびれ・疼痛が再現/増悪することです。ここで大事なのは、局所の痛み放散するしびれを混ぜないこと。局所痛だけを陽性扱いにすると、腱・関節由来の痛みが紛れて精度が下がります。 [oai_citation:3‡PubMed](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15162113/?utm_source=chatgpt.com)

Phalen テスト:記録の型(そのままカルテに落とす用)
項目 記載例 意図
条件 両手掌屈位、保持 30 秒 再現性の担保
結果 15 秒で母指〜中指のしびれ再現(+) “何が” いつ出たか
左右差 右(+)左(−) 分布との整合
補足 局所痛のみはなし、放散は正中神経領域 偽陽性の回避

解釈| Phalen 単独で決めず “確認 1 本” を足す

Phalen は有用ですが、臨床所見の精度は一定ではなく、病歴・分布・他の所見と合わせて判断するのが基本です。合理的なのは、Phalen が陽性なら “別角度の誘発” を 1 本だけ足して、所見が揃うかを確認することです。代表が Durkan(手根管圧迫)で、同じ CTS でも刺激の方向が違うため、判断がブレにくくなります。 [oai_citation:4‡PubMed](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1796937/?utm_source=chatgpt.com)

また、歴史的には手根管での正中神経圧迫に関する報告があり、Phalen 系の誘発は “典型像(分布・夜間)” があるときほど解釈しやすいことが示唆されています。 [oai_citation:5‡PMC](https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8991863/?utm_source=chatgpt.com)

現場の詰まりどころ| “迷い” を 3 本で戻す

Phalen は簡単に見えて、実は “詰まり” が 3 つあります。①痛みとしびれが混ざる ②保持条件が揃わず再現性が落ちる ③陽性を介入に落とせない、です。ここはボタン無しで、戻り道だけ用意します。

よくある失敗| OK/ NG を “記録の型” で潰す

Phalen で最も多いのは、「局所痛だけで陽性扱い」「肩や肘が力んで別の痛みが混ざる」「条件を毎回変えてしまう」の 3 つです。対策はシンプルで、再現された感覚(しびれ/疼痛)を分ける保持時間を固定する左右差は同条件で取る、の 3 点です。 [oai_citation:6‡PubMed](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10865306/?utm_source=chatgpt.com)

Phalen テスト:よくある失敗の早見(成人・一般臨床)
NG なぜ起きる まず直す 1 点 OK 記録の型
局所痛だけで(+)にする 痛みとしびれを同じ扱いにしている “しびれ” を主語にして聴く 母指〜中指のしびれ再現(+)/局所痛のみ(−)
条件が毎回変わる 保持時間・角度の固定がない まず 30 秒で固定する 保持 30 秒、 15 秒でしびれ(+)
肩・肘の緊張で “別の痛み” が混ざる 姿勢調整が後回し 脱力を 1 回入れてから開始 頸肩の緊張なし、同条件で左右差確認

回避の手順/チェック| 5 分で “増やさず決める”

迷ったら、テストを増やすより “整理” です。下を上から埋めると、確認テストは 1 本で足りることが多いです。

  1. 症状を 1 行で要約:分布(正中/尺骨)+夜間増悪の有無+増悪動作
  2. 圧痛:手根管部の圧痛(参考)を確認
  3. 感覚:母指〜中指(正中)と小指(尺骨)を分けて確認
  4. Phalen: 30 秒で実施し、出現までの秒数を記録
  5. 確認は 1 本:Durkan(手根管圧迫)など “別角度” を追加して揃うかを見る [oai_citation:7‡PubMed](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1796937/?utm_source=chatgpt.com)

よくある質問

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Phalen が陽性なら、 CTS で確定していいですか?

確定はできません。Phalen は “入口” として有用ですが、病歴や分布、他の臨床所見と合わせて判断するのが基本です。実務では、Phalen が陽性なら Durkan(手根管圧迫)など “別角度の誘発” を 1 本だけ追加し、所見が揃うかを確認すると迷いが減ります。 [oai_citation:8‡PubMed](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15162113/?utm_source=chatgpt.com)

痛みしか出ません。これは陽性ですか?

局所痛だけでは解釈がブレやすいです。Phalen は “正中神経領域のしびれ(感覚異常)” が主語になります。局所痛のみの場合は、姿勢(肩・肘の緊張)や条件(保持時間)の見直し、感覚検査で分布を整理してから再評価する方が安全です。 [oai_citation:9‡PubMed](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10865306/?utm_source=chatgpt.com)

手関節が硬くて掌屈位が作れません。

無理に掌屈を作ると別の痛みが混ざります。まずは症状の分布(正中/尺骨)と夜間増悪の有無を整理し、確認テストとして Durkan(手根管圧迫)など “角度依存が少ない” 方法で仮説を確認すると進めやすいです。 [oai_citation:10‡PubMed](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1796937/?utm_source=chatgpt.com)

どのくらいの時間保持すればいいですか?

現場運用としては 30 秒を基準に固定し、短時間で再現するかをまず確認するのがおすすめです。必要なら 60 秒まで延長しますが、条件が毎回変わると再現性が落ちるので、あなたの現場の “標準時間” を決めて運用を揃えるのが重要です。 [oai_citation:11‡UCSD Internal Medicine Residency](https://ucsdim.com/wp-content/uploads/2016/07/jama-rational-clinical-exam-carpal-tunnel-2000.pdf?utm_source=chatgpt.com)

次の一手|運用を整える→共有の型→環境も点検する

Phalen を “知っている” から “回せる” に変えるには、評価の並べ方と記録の型を揃えるのが近道です。まずは同ジャンル内で 3 段だけ整えると、再現性が上がります。

教育体制・人員・記録文化など “環境要因” を一度見える化すると、次の打ち手が決めやすくなります。

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参考文献

  1. D'Arcy CA, McGee S. The rational clinical examination. Does this patient have carpal tunnel syndrome? JAMA. 2000;283(23):3110-3117. doi:10.1001/jama.283.23.3110 [oai_citation:12‡PubMed](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10865306/?utm_source=chatgpt.com)
  2. MacDermid JC, Wessel J. Clinical diagnosis of carpal tunnel syndrome: a systematic review. J Hand Ther. 2004;17(2):309-319. doi:10.1197/j.jht.2004.02.015 [oai_citation:13‡PubMed](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15162113/?utm_source=chatgpt.com)
  3. Durkan JA. A new diagnostic test for carpal tunnel syndrome. J Bone Joint Surg Am. 1991;73(4):535-538. PubMed: PMID 1796937 [oai_citation:14‡PubMed](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1796937/?utm_source=chatgpt.com)
  4. Wainner RS, Fritz JM, Irrgang JJ, et al. Development of a clinical prediction rule for the diagnosis of carpal tunnel syndrome. Arch Phys Med Rehabil. 2005;86(4):609-618. doi:10.1016/j.apmr.2004.11.008 [oai_citation:15‡PubMed](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15827908/?utm_source=chatgpt.com)
  5. Zhang D, et al. Accuracy of provocative tests for carpal tunnel syndrome. (Open access). PubMed Central: PMC8991863 [oai_citation:16‡PMC](https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8991863/?utm_source=chatgpt.com)
  6. Phalen GS, Kendrick JI. Compression neuropathy of the median nerve in the carpal tunnel. JAMA. 1957;164(5):524-530. doi:10.1001/jama.1957.02980050014005 [oai_citation:17‡PMC](https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8991863/?utm_source=chatgpt.com)

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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