大殿筋トレーニングのやり方|立位・座位・ベッド上(PT/OT向け)

臨床手技・プロトコル
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大殿筋トレーニングのやり方|立位・座位・ベッド上の姿勢別メニュー(PT/OT向け)

大殿筋トレーニングは、立ち上がり・歩行の推進力・段差昇降の安定に直結する重要な介入です。特に「離殿はできるが伸び切らない」「歩行で推進が弱い」「立位で股関節伸展が使えない」場面では、大殿筋に入るフォームを先に固定すると、動作の再現性が上がります。

本記事では、立位が取れる方だけでなく、座位・ベッド上で開始するケースまで含めて、姿勢別の実施手順、よくある代償、修正キュー、進行条件、中止基準を実装目線で整理します。

評価から処方までの流れを短時間で整理したい方へ PT キャリアガイドで全体像を確認する

部位別・姿勢別の全体設計は 筋トレメニュー・やり方ハブ で一覧できます。シリーズ運用では、ハブ→各部位→ハブへ戻る導線を固定すると、院内共有が速くなります。

関連:評価の共通言語をそろえるなら 評価ハブ も併せて確認してください。

大殿筋を優先する場面

大殿筋を優先しやすい臨床場面(成人・実装向け)
場面 観察ポイント 介入の狙い
立ち上がり 終盤の股関節伸展が弱い、体幹前傾依存 股関節伸展トルクの改善、離殿後の安定化
歩行 立脚後期の推進不足、歩幅低下 推進力改善、歩容の効率化
段差・坂道 臀部より大腿前面優位、疲労集中 殿筋主導の運動連鎖を再獲得

開始前の最小評価(3分)

大殿筋トレ開始前の最小評価セット
評価項目 見るポイント 記録例
Sit to Stand 離殿〜伸展終盤の出力、体幹代償 「終盤で股関節伸展不足、体幹過前傾」
歩行(数 m) 立脚後期の押し出し、歩幅 「右後期立脚で推進低下」
ブリッジ系課題 ハム優位・腰椎伸展代償の有無 「挙上時に腰部緊張増加」

姿勢別メニュー(立位・座位・ベッド上)

大殿筋トレーニングの姿勢別メニュー早見表(成人・2026年版)
姿勢 代表メニュー やり方 よくある代償 修正キュー
立位 ヒップヒンジ / ミニスクワット 骨盤中間位で股関節主導の屈伸。8〜12 回 × 2 セット。 膝主導、腰反り、踵荷重不足 「お尻を後ろへ」「踵で床を押す」
座位 座位前傾-伸展反復(殿筋意識) 坐骨支持を保ち前傾→股関節伸展を意識。10 回 × 2 セット。 反動で起こす、体幹のみで代償 「みぞおちは長く」「殿部で戻る」
ベッド上 ブリッジ / ヒップエクステンション 骨盤を水平に保って挙上、2 秒保持。8〜12 回 × 2 セット。 ハム攣り、腰椎伸展過多、骨盤回旋 「肋骨を下げる」「恥骨を軽く上へ」

図解(姿勢別)

読者が最も参照しやすいよう、立位・座位・ベッド上の 3 パターンを 1 枚にまとめた図解を掲載しています。患者説明やスタッフ間共有にご利用ください。

大殿筋トレーニングの姿勢別図解(立位・座位・ベッド上)

ヒップヒンジ / ミニスクワットは「股関節主導」を優先します。膝から先に曲げると大殿筋への負荷が抜けるため、可動域を浅くしてもフォーム維持を優先してください。

座位前傾-伸展反復は、坐骨支持と反動抑制が要点です。回数を増やすより、殿部で戻る感覚を再現できる回数帯に調整すると実動作へつながりやすくなります。

ブリッジ / ヒップエクステンションは、骨盤水平と腰椎過伸展の抑制が優先です。ハム攣りが出る場合は足位置をやや近づけ、挙上量を下げて再設定します。

回数・セット・進行条件

大殿筋トレの処方例(初級〜上級)
段階 回数 / セット 頻度 進行条件
初級 8 回 × 2 セット 週 3〜5 回 疼痛増悪なし、代償少なく完遂
中級 10〜12 回 × 2〜3 セット 週 3〜5 回 立ち上がり・歩行で推進改善
上級 片脚要素課題 6〜8 回 × 2 セット 週 2〜4 回 左右差縮小、動作中の再現性向上

現場の詰まりどころ(よくある失敗)

大殿筋トレで詰まりやすいポイントと対策
よくある失敗 原因 対策 記録ポイント
腰に先に入る 肋骨挙上・腰椎伸展代償 肋骨下制、骨盤中間位で可動域を調整 腰部違和感の有無、修正後の変化
ハムストリングばかり疲れる 足位置が遠い、殿筋収縮タイミング不良 足位置を近づけ、殿筋収縮を先にキュー 主観的負荷部位、攣り頻度
回数は増えるが動作に乗らない 課題特異性不足 立ち上がり・歩行へ段階的に転移練習 機能課題での転移(STS 時間・歩幅)

中止基準・注意点

  • 疼痛が増悪し終了後も残る場合は中止して再評価する
  • めまい、息切れ悪化、顔色不良など全身症状がある場合は中断する
  • フォームが維持できない回数帯は、回数より質を優先する
  • 術後・荷重制限・禁忌がある場合は医師指示と施設プロトコルを優先する

図版付きメニュー表(PDF)

大殿筋メニューを 1 枚で共有できる A4 PDF です。導入時はボタンで開き、必要に応じて印刷して運用してください。

大殿筋メニュー表(A4 PDF)を開く

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よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. 立位が不安定な方はどこから始めますか?

A. ベッド上のブリッジで殿筋収縮を作り、座位課題を経て立位へ進めると安全です。最初は回数より代償の少なさを優先してください。

Q2. ハムストリングばかり疲れます。なぜですか?

A. 足位置が遠い、または殿筋収縮のタイミングが遅い可能性があります。足をやや近づけ、開始時に殿筋へ意識キューを入れると改善しやすいです。

Q3. 進行の判断は何で行いますか?

A. 代償減少、疼痛増悪なし、立ち上がり・歩行での推進改善を基準にします。回数だけ増えてもフォームが崩れる場合は進行しません。

Q4. どのくらいの頻度が目安ですか?

A. 目安は週 3〜5 回です。疲労や疼痛反応を見ながら、低負荷・高再現性で継続できる設定に調整してください。

次の一手

大殿筋の次は、中殿筋と大腿四頭筋をそろえると、立ち上がり〜歩行までの下肢出力設計が一気に実務化しやすくなります。

運用を整える→共有の型を作る→環境の詰まりも点検する流れで進めたい方は、無料チェックシート も活用してください。

参考文献

  1. Distefano LJ, Blackburn JT, Marshall SW, Padua DA. Gluteal Muscle Activation During Common Therapeutic Exercises. J Orthop Sports Phys Ther. 2009;39(7):532-540. DOI: 10.2519/jospt.2009.2796
  2. Selkowitz DM, Beneck GJ, Powers CM. Which Exercises Target the Gluteal Muscles While Minimizing Tensor Fascia Lata Activation? J Orthop Sports Phys Ther. 2013;43(2):54-64. DOI: 10.2519/jospt.2013.4116
  3. Neumann DA. Kinesiology of the Hip: A Focus on Muscular Actions. J Orthop Sports Phys Ther. 2010;40(2):82-94. DOI: 10.2519/jospt.2010.3025

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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