書類対応ハブ( PT )|評価依頼を「最小セット」で返す
書類対応で詰まりやすいのは、測定の難しさより「何を」「どの条件で」「どの時点の状態として」返すかが揃わないことです。このハブは、PT が現場で受けやすい評価依頼(診断書・意見書・申請関連)を、最小セット+短文化テンプレで回せるように整理します。
結論はシンプルで、条件(体位・方法・補助具)+数値( ROM / 筋力)+活動(仕事・ ADL の止まり方)をセットで返すと手戻りが減ります。まずは総論を 1 本押さえ、必要ならケース別へ進んでください。
想定読者(このハブが刺さる人)
評価依頼が来たときに「何を測ればいい?」「どの条件で書けばいい?」で迷いやすい PT 向けです。 ROM / 筋力の数値だけ返して手戻りが増えた経験がある人ほど、効果が出ます。
このハブでは、法律や制度の解説よりも、現場で返す情報の“型”に寄せて整理します。制度の細部は依頼元(医師・事務)に合わせつつ、PT は条件固定と短文化で勝ちにいきます。
5 分フロー(迷わない順番)
書類対応は、いきなり測定を増やすより前提合わせが先です。まずは次の順で揃えると、依頼元の転記が速くなり、手戻りが減ります。
- 時点:いつの状態(症状固定後/評価日)として返すか
- 条件:体位・方法・補助具の有無を固定して測る
- 数値: ROM と筋力(代償も 1 行)を押さえる
- 活動: ADL / 仕事動作の「安全に継続できない条件」を 1 行化
- 返し方:条件 → 数値 → 活動の順で短く返す( 3 行テンプレ)
最小セット(全ケース共通)
書類側が困るのは「数値がないこと」よりも、条件が混ざって解釈不能になることです。まずは、全ケース共通でこの 5 つを最小セットとして揃えます。
必要ならケース別記事で追加要素を足しますが、最初から全部盛りにしません(条件が崩れるため)。
| 項目 | 最低限の書き方 | メモ(例) |
|---|---|---|
| ROM | 体位/自動・他動/角度/制限因子 | 「肩屈曲:座位・他動 0–90°、疼痛で終末制限」 |
| 筋力・運動機能 | 主要筋の段階+代償/協調性 | 「股関節外転: MMT 3 、体幹側屈で代償」 |
| 移動・ ADL | 介助量+“できない理由” を 1 行で | 「階段:手すり必須、下りで膝折れが出やすく監視」 |
| 仕事動作(作業) | 姿勢/負荷/反復・持続を条件つきで | 「中腰保持: 2 分で疼痛増悪、立位へ移行が必要」 |
| 条件(安全・再現性) | 補助具/疼痛/疲労/日内変動/再現性 | 「午後に疼痛増悪、同条件で再現性あり」 |
そのまま使える「短文化テンプレ」
忙しい依頼元ほど長文は読まれません。条件 → 数値 → 活動の順で、まずは 3 行で返します。
ケース別記事ではこのテンプレを具体例つきで展開しますが、基本形はここで固定しておくとチーム標準化が進みます。
| 行 | 書く内容(型) | 例 |
|---|---|---|
| 1 行目(条件) | 時点/普段条件(補助具)/前提(業務など) | 「症状固定後、普段条件(杖なし)で評価。業務は中腰・反復が多い」 |
| 2 行目(数値) | ROM ・筋力の要点(体位・方法つき) | 「膝屈曲:背臥位・他動 0–110°、疼痛で終末制限/ MMT 3 」 |
| 3 行目(活動) | 安全に継続できない条件(反復・持続) | 「中腰保持: 2 分で疼痛増悪。反復屈伸は 10 回で膝折れが出やすい」 |
ケース別(各論)
同じ最小セットでも、ケースによって押さえる場面(活動)が変わります。必要なときに、該当ケースへ進んでください。
| ケース | 読みに行くページ | このページで強くなる点 |
|---|---|---|
| 労災(障害補償給付) | 労災で評価依頼が来る理由と返し方 | 仕事動作の 1 行化/ 4 点確認/最小セットの返却 |
| 交通事故(後遺障害診断書) | 交通事故で評価依頼が来るとき | 日常生活制限の拾い方/一貫性の出し方 |
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. まず何から揃えればいいですか?
最初は時点(いつの状態)と条件(体位・方法・補助具)を固定します。その上で最小セット( ROM ・筋力・ ADL ・仕事動作・条件)だけを先に揃えると、手戻りが減ります。
Q2. 仕事動作が分からないときはどうしますか?
推測で書くより、分かる範囲の条件(姿勢・反復・持続)で「安全に継続できない条件」を 1 行にします。確認できるなら重さ/回数/時間のどれか 1 つだけ聞くと短文化できます。
Q3. 数値より大事なことはありますか?
はい。数値は重要ですが、書類で効くのは条件が揃っていることです。同じ角度でも体位や方法で意味が変わるため、条件 → 数値 → 活動の順で返すと「使える情報」になります。
次の一手(運用を整える → 共有の型 → 環境も点検)
書類対応は「個人の頑張り」で回すほど消耗します。次の順で整えると、現場がラクになります。
- 運用を整える:最小セットとテンプレを、チームで共通言語にする
- 共有の型を作る:返却メモ( 3 行テンプレ)をフォーマット化して、手戻りを減らす
- 環境の詰まりも点検:教育体制や標準化が噛み合わないなら、外部の選択肢も確認する
続けて読む:書類対応で評価依頼が来たときの “最小セット” (総論) / 労災(障害補償給付)の評価依頼
参考文献
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


