エアドクターの使い方|体重設定から警告灯・停電対応まで

臨床手技・プロトコル
記事内に広告が含まれています。

エアドクターの使い方|体重設定・警告灯・停電対応を確認

結論:エアドクターは、専用マットレスをベースマットレス上に設置し、送風チューブを接続して電源を入れ、約20分かけて膨張を確認したあとに体重設定を行って使用します。現行ポンプCR-259では、体重設定は30〜90kg・5kg刻みで、設定後は内圧が安定するまで約5分待ちます。

本記事では、株式会社ケープの公式取扱説明書に沿って、設置→約20分膨張→体重設定→約5分待機→使用開始→警告灯→停電対応の順に整理します。特に、背上げは30°まで、電源ランプ点滅時の確認、長時間停電時のチューブ栓の使い方など、現場で迷いやすい操作を1ページで確認できます。

この記事の対象:現在販売されているリニューアルポンプCR-259を中心に解説しています。旧式ポンプCR-239では体重設定範囲や警告・停電対策機能が異なるため、まず使用中のポンプ品番を確認してください。

エアドクターの使い方は7ステップで確認する

エアドクターは、電源を入れてすぐに使用する製品ではありません。公式取扱説明書では、電源投入後に約20分かけてマットレスを膨らませ、体重設定後にさらに約5分待ってから使用する流れが示されています。

エアドクター使用開始までの流れ。設置、送風チューブ接続、電源ON、約20分待機、体重設定、約5分待機、使用開始までを示した図版
  1. 専用マットレスをベースマットレス上に固定する
  2. 専用ポンプを正しく設置する
  3. 送風チューブをポンプへ接続する
  4. 電源プラグをコンセントへ差し込む
  5. 約20分待ち、マットレス全体に空気が入ったことを確認する
  6. 療養者の体重にダイヤルを合わせ、約5分待つ
  7. 異常がないことを確認して使用を開始する

設置時は、送風チューブが必ず足側になるようにします。チューブをマットレスの下に巻き込んだり、途中で折れ曲がったりすると、十分に空気を送れなくなるため注意が必要です。

重要:公式取扱説明書では「電源を入れてから20分間は使用しない」とされています。設置直後は、マットレス全体が十分に膨らんでいることを確認してから体重設定へ進みます。

体重設定は30〜90kg・5kg刻みで合わせる

現行ポンプCR-259では、療養者の体重に合わせて30〜90kgの範囲を5kg刻みで設定します。設定された体重をもとに、ポンプ内の圧力センサーがマットレス内圧を自動制御します。

体重設定後は、空気圧が変化して内圧が安定するまで約5分かかります。ダイヤルを合わせた直後ではなく、安定を待ってから使用を開始します。

※表は横にスクロールできます。

エアドクターの体重設定で確認するポイント
項目 内容
対象ポンプ CR-259
設定範囲 30〜90kg
設定単位 5kg刻み
設定方法 体重設定ダイヤルを療養者の体重に合わせる
設定後 内圧が安定するまで約5分待つ

エアドクターは、まず療養者の体重へ正しく設定する製品です。皮膚所見を見ながら任意に設定値を上げ下げするのではなく、正しい体重設定と機器状態の確認を優先します。

使用前に確認するポイント|背上げは30°まで

使用前は、エアの充填だけでなく、送風チューブ・マットレスのずれ・ベッド操作時の安全性を確認します。特に、メーカーは頭側挙上は30°までを限度として、専用マットレスがずれないことを確認するよう示しています。

  • マットレス全体に空気が入っている
  • 送風チューブが足側にある
  • 送風チューブが折れ曲がったり、ベッドに挟まったりしていない
  • 体重設定が療養者の体重と合っている
  • 頭側挙上は30°までとし、マットレスがずれていない
  • 専用カバーが正しく装着されている

また、取扱説明書では、エアドクター上で端座位や移乗を行う場合は補助者の立ち会いのもとで行うよう注意されています。支持面が動くため、離床時は転落・転倒にも注意が必要です。

エアドクターを含め、患者の状態からどの支持面を選ぶかを確認したい場合は、体圧分散マットレスの種類と選び方で整理しています。

電源ランプが点滅したら内圧異常を疑う

現行ポンプCR-259では、エアセルの内圧異常が生じると電源ランプが点滅します。点滅を消すことより、空気が十分に送られていない原因を確認することが重要です。

まず、以下を順に確認します。

  1. 送風チューブがポンプの差し込み口から抜けていないか
  2. 送風チューブが奥まで差し込まれているか
  3. チューブが折れ曲がったり、圧迫されたりしていないか
  4. エアセルと送風チューブをつなぐTコネクターが外れていないか
  5. エアセルに破損・パンクがないか

確認しても点滅が続く場合や原因が分からない場合は、使用を継続せず、販売店・レンタル事業者または株式会社ケープへ相談します。

マットレスが膨らまない・柔らかすぎるときの確認順

「膨らまない=すぐ故障」と判断せず、電源・チューブ・体重設定を先に確認します。公式取扱説明書のトラブルシューティングでは、主に以下が確認項目として挙げられています。

※表は横にスクロールできます。

エアドクターが膨らまない・柔らかすぎる場合の確認
確認すること 対応
ポンプが作動していない 電源プラグが正しく接続されているか確認する
送風チューブが抜けている ポンプの差し込み口へ奥まで確実に接続する
送風チューブが折れている 折れ曲がりや圧迫を解消する
体重設定が違う 療養者の体重にダイヤルを合わせる
一部のエアセルだけ膨らまない Tコネクターの外れやエアセルの破損を確認する

故障と間違えやすいポイント:エアドクターは交互圧タイプのため、エアセルが1本おきに空気が抜けたように見えることがあります。これは20本のエアセルが交互に膨張・収縮している正常な動作です。

停電時は3時間以内か3時間以上かで対応を分ける

現行ポンプCR-259では、停電が約3時間以内か、約3時間以上になる見込みかで対応が異なります。停電中はエアマットレスへの空気供給が停止しますが、マットレス内の空気が直ちにすべて抜けるわけではありません。

約3時間以内の停電

メーカーでは、約3時間以内であれば特別な操作はせず、そのまま使用できるとしています。停電復旧後は、ポンプへの電源供給とマットレスの状態を確認します。

約3時間以上の停電

長時間の停電が予測される場合は、マットレス内の空気が流出するのを抑えるため、付属のチューブ栓を使用します。

  1. 送風チューブの途中を、つぶれるまでしっかり折り曲げる
  2. チューブを折り曲げたまま、ポンプから送風チューブを外す
  3. ポンプ右側面にあるチューブ栓を外す
  4. チューブを折った状態のまま、チューブ栓を送風チューブへ差し込む

メーカーは、電力が復旧するまで2時間おきの体位変換を行うよう案内しています。患者の状態や施設の褥瘡予防計画も踏まえ、安全に対応してください。

停電から復旧したら

電気が復旧したら、送風チューブを折り曲げた状態でチューブ栓を外し、ポンプの送風チューブ差し込み口へ奥まで接続します。その後、電源が入っていることを確認します。

停電中のマットレスの状態によって異なりますが、メーカーでは最大約20分程度でエアが再充填され、通常使用できる状態になるとしています。療養者を戻す前に、マットレスの膨張状態を確認します。

旧式ポンプCR-239を使っている場合は同じ操作と思わない

エアドクターには旧式ポンプCR-239も存在するため、ポンプの品番確認が重要です。株式会社ケープによると、旧式CR-239と現在のCR-259では以下の違いがあります。

※表は横にスクロールできます。

エアドクター旧式ポンプと現行ポンプの主な違い
項目 旧式 CR-239 現行 CR-259
体重設定範囲 40〜80kg 30〜90kg
内圧低下警告 なし 電源ランプ点滅による警告機能あり
停電対策 チューブ栓なし 停電時用チューブ栓あり

病棟や在宅で長期間使用されているエアドクターでは、旧式ポンプが残っている可能性があります。警告灯や停電対応を確認するときは、「エアドクター」という製品名だけでなくポンプ品番まで確認すると取り違えを防げます。

使用中は1日1回を目安に状態を点検する

メーカーは、使用中はできるだけ1日1回、専用マットレスの状態を確認することを推奨しています。設置場所を変えた場合や、停電などで一時的に作動が停止した場合は、その都度確認します。

  • 体重設定ダイヤルが療養者の体重と合っている
  • 送風チューブが折れ曲がっていない
  • 送風チューブがポンプへ正しく接続されている
  • 電源コード・プラグに破損がない
  • エアセルに空気が入っている
  • エアセルと送風チューブの接続が外れていない

この機器点検とは別に、褥瘡予防では皮膚状態、姿勢、ずれ、湿潤、栄養、活動性なども患者ごとに評価します。エアドクターを使用していることだけで褥瘡予防が完結するわけではありません。

エアドクターの主な仕様

エアドクターは、既存のベースマットレス上に設置する上敷きタイプです。現在のセットには840と900があり、主な違いはマットレス幅です。

※表は横にスクロールできます。

エアドクターの主な仕様
項目 840 900
セット品番 CR-238 CR-268
専用マットレス CR-279 CR-289
サイズ 幅84×長192×厚9cm 幅90×長192×厚9cm
重量 3.3kg 3.4kg
エアセル 20本
専用ポンプ CR-259
専用カバー 防水・抗菌防臭・伸縮
TAISコード 00206-000014

エアドクターの使い方でよくある質問

Q1. 電源を入れたらすぐ寝ても大丈夫ですか?

A. すぐには使用しません。メーカーは、電源投入後約20分待ち、専用マットレス全体に十分な空気が入ったことを確認してから使用するよう示しています。その後、体重を設定し、内圧が安定するまで約5分待ちます。

Q2. エアセルが1本おきにへこんでいます。故障ですか?

A. 必ずしも故障ではありません。エアドクターは20本のエアセルが交互に膨張・収縮する構造のため、1本おきに空気が抜けたように見える場合があります。電源ランプの点滅や一部だけ極端に膨らまないなど、別の異常がないかも確認してください。

Q3. 体重設定は皮膚の状態に合わせて強めたり弱めたりしますか?

A. 基本は療養者の体重にダイヤルを合わせます。現行CR-259は30〜90kgを5kg刻みで設定し、圧力センサーが内圧を自動制御する設計です。まず正しい体重設定になっているかを確認してください。

Q4. 電源ランプが点滅したらどうすればよいですか?

A. 内圧異常を知らせるサインです。送風チューブの抜け・差し込み不足・折れ曲がり、Tコネクターの外れ、エアセルの破損などを確認します。原因が分からない、または改善しない場合は販売店・レンタル事業者・メーカーへ相談してください。

Q5. 背上げは何度までできますか?

A. 公式取扱説明書では、頭側挙上は30°までを限度とし、専用マットレスがずれないことを確認するよう示されています。

次に確認したいこと

エアドクターは上敷きタイプで厚さ9cmの圧切替型エアマットレスです。製品名だけでなく、マットレスの厚さ・構造・支持面としての特徴から選びたい場合は、体圧分散マットレスの厚さ・構造の見方も確認してください。


参考文献

  1. 株式会社ケープ. エアドクター [Internet]. [cited 2026 Oct 6]. Available from: https://www.cape.co.jp/products/pdt005
  2. 株式会社ケープ. エアドクター 取扱説明書 [Internet]. [cited 2026 Oct 6]. Available from: https://www.cape.co.jp/wpMgr/wp-content/uploads/pdt005_torisetu_AirDoctor.pdf
  3. 株式会社ケープ. FAQ:エアドクター旧式ポンプとリニューアルポンプについて [Internet]. [cited 2026 Oct 6]. Available from: https://www.cape.co.jp/faq/?p=2280

著者情報

rehabilikun(理学療法士)のアイコン

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度など、医療従事者の実務に役立つ情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

運営者プロフィール / 編集・引用ポリシー / お問い合わせ