退院前訪問指導料と退院時リハ指導料の違い|使い分けと記録

制度・実務
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退院前訪問指導料と退院時リハ指導料の違いは「訪問するか」「退院日に指導するか」です

退院前訪問指導料と退院時リハビリテーション指導料は、どちらも退院支援に関わる点数ですが、役割は同じではありません。結論からいうと、患家へ行き、家屋環境や生活動線を確認して在宅療養上の指導を行うのが退院前訪問指導料、退院日に患者・家族へ在宅での動作や訓練方法を指導するのが退院時リハビリテーション指導料です。本記事では、対象患者・実施場所・算定タイミング・記録の違いを比較し、現場で迷いやすい使い分けを整理します。

先に結論|家を見ないと決められないなら退院前訪問、退院日に実行方法を渡すなら退院時リハです

結論は、現地確認が必要なら退院前訪問指導料、退院日に在宅での動作・訓練方法を指導するなら退院時リハビリテーション指導料です。点数名が似ていても、見る対象と記録する内容が異なります。

退院前訪問指導料は、玄関段差、トイレ動線、寝室位置、介助スペース、家族の介助力などを患家で確認し、退院後の在宅療養を具体化するための点数です。一方、退院時リハビリテーション指導料は、退院日に患者・家族へ、退院後に行う訓練や生活動作の方法を伝えるための点数です。

比較表|退院前訪問指導料と退院時リハビリテーション指導料の違い

まずは、2つの違いを図で整理します。退院前訪問指導料は「患家へ行く」、退院時リハビリテーション指導料は「退院日に指導を渡す」と考えると、実務で使い分けやすくなります。

退院前訪問指導料と退院時リハ指導料の使い分け。退院前訪問指導料は患家へ行き家屋環境と生活動線を確認し、退院時リハ指導料は退院日に患者家族へ動作や訓練方法を指導することを示した比較図。
図1.退院前訪問指導料と退院時リハ指導料の使い分け

続いて、対象患者・実施場所・算定タイミング・記録の違いを表で確認します。スマホでは横スクロールできます。

退院前訪問指導料と退院時リハビリテーション指導料の比較
比較項目 退院前訪問指導料 退院時リハビリテーション指導料 実務での見分け方
区分・点数 B007・580点 B006-3・300点 点数差ではなく、目的で分ける
主な目的 患家を訪問し、退院後の在宅療養を具体化する 退院日に、在宅での訓練や生活動作を指導する 「家を見に行く」か「退院日に指導する」かで考える
実施場所 患家 退院時の患者・家族への指導場面 家屋評価が必要なら退院前訪問
対象患者 入院期間が1月を超えると見込まれる患者 入院中に疾患別リハビリテーション料等を算定した患者 退院時リハは入院患者なら誰でも算定できるわけではない
算定タイミング 指導の実施日にかかわらず退院日に算定 退院日に1回に限り算定 どちらも退院日が軸なので記録の分離が重要
回数 原則1回。要件を満たす場合は2回 退院日に1回 回数で迷うのは主に退院前訪問側
記録の中心 家屋構造、生活動線、介護力、在宅療養上の指導 起居、移乗、歩行、ADL、家族介助、注意点 環境調整か、退院後の実行指導かで分ける
混同しやすい点 1回算定と2回算定、訪問日と算定日の整理 対象患者、退院時共同指導料2との同日整理 迷う論点が異なるため、院内確認票も分ける

退院前訪問指導料とは|患家を訪問して在宅療養上の課題を整理する点数です

退院前訪問指導料は、退院後の生活を病棟内だけでは判断しにくい患者に対して、患家を訪問して在宅療養上の指導を行う点数です。家屋環境や介護力を実際に確認することが中心になります。

臨床では、玄関段差、廊下幅、トイレ動線、ベッド配置、手すりの必要性、夜間動線、家族の介助位置などが問題になりやすいです。単に「家を見た」ではなく、家を見た結果、何を変更し、誰に何を指導したかまで記録することが重要です。

退院前訪問指導料の詳しい算定要件や必要書類は、退院前訪問指導料の算定要件と必要書類で整理しています。

1回算定と2回算定で迷いやすい点

退院前訪問指導料は原則1回ですが、入院後早期に退院前訪問指導の必要があると認められる場合は、2回算定できる場合があります。ここで大切なのは、早く訪問した事実だけでなく、なぜ早期訪問が必要だったのか、2回目で何を最終調整したのかを分けて残すことです。

実務では、1回目を「退院可否や家屋課題の早期把握」、2回目を「退院直前の最終調整」として整理すると、記録の意味が明確になります。

退院時リハビリテーション指導料とは|退院日に在宅で実行する方法を指導する点数です

退院時リハビリテーション指導料は、退院時に患者・家族へ、退院後の在宅で行う訓練や生活動作の方法を指導する点数です。患家を訪問する点数ではなく、退院日に在宅生活へつなげる指導を行う点が中心です。

対象は、当該保険医療機関での入院中に、疾患別リハビリテーション料等を算定した患者に限られます。そのため、「退院する患者だから全員対象」と考えるのではなく、入院中に対象となるリハ関連点数を算定していたかを確認する必要があります。

退院時リハで指導する内容

退院時リハビリテーション指導料では、説明を長くするよりも、患者・家族が自宅で再現できる内容に落とし込むことが大切です。たとえば、起き上がり、移乗、歩行、トイレ、入浴、階段、家族介助、転倒予防、運動の回数や注意点などを、退院後に見返せる形で整理します。

実際の現場では、「説明した」だけでは不十分になりやすく、患者・家族がどの動作を、どの方法で、どの程度なら実行できるかまで確認しておくと、退院後の混乱を減らしやすくなります。

使い分け|迷ったら3つの質問で判断します

使い分けに迷ったときは、家を見ないと決められないか、退院日に具体的な動作指導が必要か、両方必要なら記録を分けられるかの3つで判断します。

退院支援で迷ったときの使い分け
確認する質問 該当する場合 主に考える点数
家を見ないと退院後の生活が判断できないか 玄関段差、トイレ動線、寝室位置、介助スペースが不明 退院前訪問指導料
退院日に患者・家族へ具体的な方法を伝える必要があるか 起居、移乗、歩行、介助方法、運動内容を指導する 退院時リハビリテーション指導料
家屋確認と退院時指導の両方が必要か 訪問で環境を調整し、退院日に動作方法も指導する 目的を分けて両者を整理

記録の分け方|退院前訪問は環境、退院時リハは実行方法を残します

記録では、退院前訪問指導料は環境と在宅療養上の指導、退院時リハビリテーション指導料は退院後に実行する動作・訓練指導を中心に残します。ここが混ざると、どちらも「退院支援を行った」という曖昧な記録になります。

療養病棟や回復期病棟では、退院支援に多職種が関わるため、記録の主語が混ざりやすいです。PT・OT・STが関わる場合でも、訪問で確認した内容なのか、退院日に患者・家族へ指導した内容なのかを分けておくと、後から確認しやすくなります。

記録で分けたいポイント
点数 記録に残したい主語 記録例の方向性
退院前訪問指導料 患家で確認した環境と、在宅療養上の指導 玄関段差、トイレ動線、寝室位置、福祉用具、家族介助、変更点
退院時リハビリテーション指導料 退院日に患者・家族へ指導した動作・訓練内容 起居、移乗、歩行、ADL、家族介助、運動内容、注意点

混乱しやすい点|どちらも退院日が請求上の軸になります

この2つが混乱しやすい理由は、どちらも退院日が請求上の軸になることです。退院前訪問指導料は、実際の訪問日が退院日より前でも、請求上は退院日に算定します。退院時リハビリテーション指導料も、退院日に1回に限り算定します。

そのため、日付だけで判断すると混乱します。大切なのは、退院前訪問は患家訪問による在宅療養上の指導、退院時リハは退院日に行う訓練・生活指導として、目的と記録を分けることです。

退院時共同指導料2との違いも整理しておきます

退院時リハビリテーション指導料は、退院時共同指導料2との関係でも混同しやすい項目です。特に、入院中の保険医療機関のPT・OT・STが退院時共同指導料2側の指導等を行った場合、同一日に退院時リハビリテーション指導料を別に算定できない整理があります。

一方、退院前訪問指導料で主に確認するのは、患家訪問の必要性、1回か2回か、在宅療養上の指導内容です。退院時共同指導料2との違いまで確認したい場合は、退院前訪問指導料と退院時共同指導料2の違いもあわせて確認すると整理しやすいです。

よくある失敗|点数名よりも記録の主語が混ざることに注意します

現場で起こりやすい失敗は、点数名を間違えることよりも、何を目的に、誰へ、どの場面で指導したのかが曖昧になることです。

退院前訪問指導料と退院時リハ指導料で起こりやすい失敗
よくある失敗 問題点 修正の考え方
どちらも「退院支援」で一括にする 記録の主語が曖昧になる 訪問で確認した内容と、退院日に指導した内容を分ける
退院時リハを入院患者全員に使えると考える 対象患者の確認が不十分になる 入院中に対象となるリハ関連点数を算定していたか確認する
退院前訪問の2回算定を日付だけで判断する 早期訪問の必要性と最終調整の意味が残らない 1回目と2回目の目的を分けて記録する
退院時リハの説明が長文だけになる 患者・家族が自宅で再現しにくい 起居、移乗、歩行、介助、注意点に絞って伝える
退院時共同指導料2との境界が曖昧 同日算定の整理で迷いやすい 参加職種、説明場面、算定する項目を退院前に確認する

よくある質問

各項目名をタップすると回答が開きます。

退院前訪問指導料と退院時リハビリテーション指導料の一番の違いは何ですか?

一番の違いは、患家を訪問して在宅療養上の指導を行うか、退院日に患者・家族へ在宅での訓練や生活動作を指導するかです。退院前訪問指導料は環境確認、退院時リハビリテーション指導料は退院後の実行方法の指導が中心です。

どちらも退院日に算定するなら、同じように考えてよいですか?

同じではありません。請求上は退院日が軸になりますが、退院前訪問指導料は患家訪問の内容、退院時リハビリテーション指導料は退院日に行った訓練・生活指導の内容を記録します。

退院時リハビリテーション指導料は退院する患者なら誰でも算定できますか?

誰でも算定できるわけではありません。入院中に疾患別リハビリテーション料等を算定した患者が対象になります。まずは入院中の算定状況を確認する必要があります。

退院前訪問指導料は2回算定できますか?

原則は1回ですが、入院後早期に退院前訪問指導の必要があると認められる場合は、2回算定できる場合があります。早期訪問の必要性と、再訪問で行った最終調整の内容を分けて記録することが大切です。

退院時共同指導料2と混同しやすいのはどちらですか?

退院時リハビリテーション指導料です。特に、入院中の保険医療機関のPT・OT・STが退院時共同指導料2側の指導等を行った場合、同一日に退院時リハビリテーション指導料を別に算定できない整理があるため注意が必要です。

次の一手

この比較で全体像を押さえたら、次は個別の算定要件と記録方法を確認すると実務に落とし込みやすくなります。


参考文献

  • 厚生労働省. 別紙1-1 医科診療報酬点数表. B006-3 退院時リハビリテーション指導料、B007 退院前訪問指導料. 公式PDF
  • 厚生労働省. 保医発0327第5号 令和8年3月27日. 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について. 公式PDF
  • 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定の概要. 包括期・慢性期入院医療. 公式PDF

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を2022年4月に開設。医療機関、介護福祉施設、訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・制度・記録の考え方を発信しています。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養、シーティング、摂食・嚥下、退院支援

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