リハビリ実施時間の記録方法|20分未満・短縮・中断時の対応

制度・実務
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リハビリ実施時間は「予定単位」ではなく実績で記録する

リハビリ実施時間は、予定していた単位数ではなく、患者に実際に提供した訓練時間と内容に基づいて記録します。疾患別リハビリテーション料では、原則として20分以上の個別療法を1単位とするため、10分で終了した場合も実施した事実は記録しますが、その10分だけで1単位を算定することはできません。

検査による中断、疼痛による短縮、途中拒否、移動や待機が発生した場合は、実施した訓練と周辺業務を区別する必要があります。本記事では、PT・OT・ST向けに、令和8年度の診療報酬を踏まえた時間の考え方、短縮・中断時の記録例、電子カルテで重複記載を減らす方法を整理します。

算定できない日の考え方も確認したい方へ

この記事は「実施時間の記録方法」に絞って解説します。算定できない日全体の考え方は、以下の記事で整理しています。

リハビリが算定できない日の考え方を見る

実施時間と算定単位の基本|20分未満でも記録する

疾患別リハビリテーション料では、患者に対して20分以上の個別療法として訓練を行った場合を、原則として1単位とします。実施時間が20分に満たない場合、その実施分だけで1単位を算定することはできません。

ただし、「算定できないこと」と「実施した事実を記録しなくてよいこと」は別です。10分間の歩行練習後に検査で中断した場合も、実際の訓練内容、実施時間、中断理由を正確に残します。

リハビリ実施時間と算定単位の基本的な考え方
実施状況 記録の考え方 算定の考え方
20分の個別訓練 実施内容と開始・終了時刻を記録 その他の要件を満たせば1単位
10分で中断 10分間の実施内容と中断理由を記録 その10分だけでは1単位に満たない
40分の個別訓練 実際の訓練内容と時間を記録 その他の要件を満たせば2単位
説明のみで終了 説明内容と患者の反応を記録 説明のみを疾患別リハビリテーション料の訓練時間として扱わない
検査待ちを含む20分 訓練時間と待機時間を区別 待機時間を除いた実際の訓練時間で判断

上表は一般的な時間要件を整理したものです。実際の算定では、対象疾患、施設基準、医師の指示、算定上限、訓練内容に応じた評価区分なども確認します。20分以上実施したという事実だけで、算定できることが確定するわけではありません。

図解|実施時間の記録・算定判断フロー

実施時間を整理するときは、まず個別療法を実施した事実を確認し、待機・移動・説明などの時間と区別します。そのうえで20分以上の訓練時間があるかを確認し、最後にその他の算定要件を確認します。

リハビリ実施時間の記録・算定判断フロー。個別療法の実施有無、待機・移動・説明時間との区別、20分以上の実施時間、その他の算定要件を順に確認する。
リハビリ実施時間の記録・算定判断フロー。まず実際の実施内容を記録し、その後に算定要件を確認します。中断後の時間の取扱い、訓練内容による評価区分、施設基準などは、現行通知・疑義解釈に基づく個別確認が必要です。

図の「20分以上」は、一般的な疾患別リハビリテーション料の時間要件を確認するための目安です。中断を挟んだ時間を無条件に合算できるという意味ではありません。また、図にある「算定担当者へ確認」は、施設内の請求・算定担当者や管理者と要件を確認することを指します。

令和8年度改定|ベッド上での他動的訓練のみの場合は注意

令和8年度診療報酬改定では、一定の入院患者に対し、ベッド上から移動せず、ポジショニングや拘縮予防などを主目的とした他動的訓練のみを実施する場合について、評価の見直しが行われています。対象となる場合は所定点数の90%、1日2単位までとする取扱いが設けられています。

ただし、すべてのベッド上訓練がこの取扱いの対象になるわけではありません。対象患者や算定している入院料・加算、実施した訓練内容などによって判断が異なります。自動運動など、他動的訓練以外の内容が含まれる場合も、実際の実施状況と疑義解釈を確認する必要があります。

本記事の中心は実施時間の記録方法です。評価区分の詳細は、参考文献に示す令和8年度診療報酬改定の公式資料を確認してください。記録上は、「ベッド上で20分実施」だけでなく、何を目的としてどのような訓練を行ったかが確認できることが重要です。

20分未満・中断・短縮時は実施内容と終了理由を残す

予定していた訓練が途中で終了した場合は、「何を実施したか」「なぜ終了したか」「その後どう対応したか」を分けて記録します。予定単位をそのまま実績として扱わないことが基本です。

短縮・中断時に確認する内容
場面 記録する内容 次の判断
検査・診察で中断 実施内容、実施時間、中断理由 再開の可否と算定上の取扱いを確認
途中で拒否 実施済み内容、拒否の状況、対応 患者の意思を尊重し、再提案の必要性を検討
疼痛で短縮 症状が出た場面、終了理由、対応 負荷調整と再評価を検討
呼吸苦・血圧異常 症状、必要な測定値、実施状況、対応 安全を優先し、必要に応じて医師・看護師へ相談
疲労で終了 疲労の訴え、実施量、終了理由 次回の負荷量や実施方法を調整

検査で10分間しか実施できなかった場合

例えば、予定は2単位でも、歩行練習を10分間実施したところでCT検査の呼び出しがあった場合は、実施した10分間の内容と中断理由を残します。

記録例:歩行器歩行を見守りで実施。歩行時のふらつきは認めなかった。開始10分後にCT検査の呼び出しがあり終了。

開始・終了時刻が電子カルテに正確に保存されている場合は、自由記載欄に同じ時刻を繰り返すのではなく、歩行時の状態と中断理由を補足する方法が考えられます。

中断後に再開した場合は時間を分けて確認する

検査や処置によって中断した後、同じ日に訓練を再開することがあります。この場合は、中断前後の開始・終了時刻、訓練内容、中断理由をそれぞれ確認します。

例えば、午前に10分間、午後に15分間実施した場合、実施した事実としては両方を記録します。ただし、合計25分であることだけを理由に1単位算定できるとは判断しません。

算定上の取扱いは、現行の疾患別リハビリテーション料の要件と実施状況に照らして確認してください。中断時間や検査待ちの時間を訓練時間に含めないことと、中断前後の時間を無条件に合算しないことが重要です。

疼痛・呼吸苦などで短縮した場合

症状による短縮では、実施時間だけでなく、安全判断と対応を残します。症状が出現した場合は必要な観察を行い、継続が適切でないと判断したときは訓練を中止・変更します。

記録例:立位練習中に右膝痛が増悪したため終了。座位で症状の変化を確認し、看護師へ共有。次回は疼痛を再評価し、立位負荷量を調整する。

胸痛、強い呼吸困難、意識状態の変化、著しい循環動態の異常などが疑われる場合は、記録の完成よりも患者の安全確保と速やかな医療対応を優先します。再開の判断は患者の状態と施設の安全管理基準に従います。

移動・待機・説明・休憩は訓練時間に含める?

実施時間を判断する際は、患者に対して個別療法として訓練を提供していた時間かどうかを確認します。単なる移動介助、検査待ち、計画書の作成・説明、記録作成などを、個別療法の訓練時間に含めないことが基本です。

実施時間に含めるか迷いやすい場面
場面 基本的な考え方 記録のポイント
検査・処置待ち 個別療法を実施していない待機時間は含めない 中断時間と理由を確認
単なる移動介助 個別療法のための移動時間は含めない 移動介助と訓練を区別
歩行練習としての移動 実際に個別療法として行った内容から判断 目的、距離、介助量、観察所見
計画書の作成・説明 計画書の作成・説明時間は訓練時間に含めない 説明内容と患者・家族の反応
休憩 単なる休憩・待機と、個別療法として実施している活動を区別 休憩理由、前後の訓練内容、実際の訓練時間
記録作成 訓練時間に含めない 診療録等へ必要事項を記載

休憩時間は一律に訓練時間へ含めない

休憩については、訓練を行っていない単なる休憩・待機時間と、個別療法として実施している活動を区別します。

例えば、歩行練習後に患者が椅子で休んでいるだけの時間を、無条件に訓練時間へ含めることは適切ではありません。一方、姿勢保持や呼吸状態の観察など、治療上の目的を持って実際に個別療法を実施している場合は、その内容と算定要件を確認して判断します。

「休憩を挟んだ20分」という経過時間だけでは、20分間の個別療法を実施したことにはなりません。訓練内容と時間の対応を明確にすることが重要です。

病室から訓練室への移動を歩行練習として実施した場合

病室から訓練室まで歩いたという事実だけで、すべての移動時間が訓練時間になるわけではありません。

一方、歩行能力に応じて歩行練習を計画し、介助量、歩行距離、バランス、症状などを確認しながら個別療法を実施した場合は、単なる移動介助とは区別して考えます。

記録例:病棟廊下で歩行器歩行練習を実施。見守りで20m歩行可能。方向転換時に軽度のふらつきを認めたため、歩行速度を調整した。

実際の算定では、訓練目的と実施内容に加えて、対象となる疾患別リハビリテーション料の要件も確認してください。

短縮・中断時の記録例|専用欄にない情報を補足する

実施時間の記録では、すべての情報を自由記載欄に書き直す必要はありません。開始・終了時刻、実施内容、単位数などが電子カルテの専用欄に正確に保存されている場合は、その情報を前提として、患者の変化や判断の根拠を補足します。

短縮・中断時の自由記載例
場面 記録例 補足した情報
検査で中断 歩行練習開始10分後、CT検査の呼び出しにより終了。 中断時点と理由
疼痛で短縮 立位練習中に右膝痛増悪。練習を終了し、看護師へ共有。 症状、対応、共有先
途中拒否 歩行練習後に疲労を訴え、追加練習を希望せず。本人の意向を確認し終了。 拒否の状況と対応
説明のみ 離床への不安が強く、訓練は見送り。目的と方法を説明し、次回再提案する。 訓練未実施、説明内容、次回方針
体調不良で終了 端座位中に気分不良を訴えたため臥位へ戻し、看護師へ報告。 発生場面、安全対応、報告先

これらは記載方法を示す架空の例です。実際の診療録では、患者の状態と実施内容に合わせて記録してください。

症状の変化があった場合は、必要に応じて測定値、症状の経過、医師・看護師への報告内容を追加します。ただし、すべての症例で同じ測定項目を機械的に入力することが目的ではありません。

電子カルテでは開始・終了時刻と実施内容の重複記載を減らす

リハビリテーションの記録では、機能訓練内容の要点と開始・終了時刻を診療録等に残すことが重要です。ただし、必要事項が電子カルテのどの欄に保存されているかは施設によって異なります。

開始・終了時刻が自動記録され、ROM練習、筋力増強練習、歩行練習などの実施内容も専用欄に入力されている場合は、自由記載欄に同じ情報を繰り返すよりも、患者の反応、変化、中断理由、判断、次回方針を補足する運用が考えられます。

電子カルテでの記録欄の役割分担例
情報 記録場所の例 自由記載欄での対応
開始・終了時刻 電子カルテの自動記録欄 正確に保存されていれば重複記載を減らす運用を検討
実施内容・時間配分 リハビリ実施内容の専用欄 必要な要点が確認できる場合は同じ内容を繰り返さない
中断・短縮理由 経過記録・特記事項欄 理由と実施後の対応を補足
患者状態の変化 評価欄・経過記録欄 重要な変化と判断を記載
次回方針 経過記録・計画欄 変更が必要な場合に簡潔に記載

この表は、記録の重複を減らすための施設運用例です。国が自由記載欄への記載省略を一律に認めたという意味ではありません。診療録等全体で必要事項を確認できること、施設の記録規程と整合することが前提です。

専用欄が整っている場合の短い記録例

開始・終了時刻と実施内容が専用欄に記録されている場合、通常の実施日には、患者状態の変化や臨床判断を中心に記載します。

通常実施日の例:歩行時のふらつきは前回より軽減。方向転換時は引き続き見守りを要する。

短縮日の例:立位練習中に右膝痛増悪。練習を終了し看護師へ共有。次回は疼痛を再評価して負荷量を調整する。

ただし、専用欄に必要な情報が保存されていない場合や、診療録として確認できない場合は、自由記載欄などで不足情報を補う必要があります。

実施時間・単位数・診療録の整合性を確認する

記録の点検では、開始・終了時刻、実際の訓練内容、算定単位数、患者状態の経過に矛盾がないかを確認します。予定どおりの単位数が入力されていても、検査や処置による中断があれば実績との照合が必要です。

実施時間の記録で確認する5項目
確認項目 確認する内容 不一致があった場合
1. 実施時刻 実際の開始・終了時刻が記録されているか 実績を確認し、適切な方法で修正する
2. 訓練内容 個別療法として何を実施したか分かるか 必要な要点を補足する
3. 中断・休憩 待機や休憩を訓練時間と混同していないか 実際の訓練時間を確認する
4. 算定単位 実績と算定要件が一致しているか 算定担当者と確認する
5. 患者状態 短縮・中止理由と対応が確認できるか 必要な経過と判断を補足する

特に注意したいのは、予定2単位のまま実績を登録してしまうケースです。実際には10分で終了したにもかかわらず、予定どおりの単位数を請求すると、診療録と請求内容の不整合につながります。

記録の訂正が必要な場合は、施設の電子カルテ運用と診療録訂正ルールに従い、訂正履歴が確認できる方法で対応します。実施していない訓練を後から実施したことにする記録は行いません。

よくある質問

10分しか実施できなかった場合も記録しますか?

はい。疾患別リハビリテーション料として1単位に満たない場合でも、実際に実施した訓練内容、時間、中断理由などを記録します。記録することと算定できることは別です。

検査で中断し、同じ日に再開した場合は時間を合算できますか?

中断前後の実施時間と内容をそれぞれ正確に記録してください。算定上の合算可否は、実施状況と現行の算定要件に照らして確認する必要があります。中断時間を訓練時間に含めたり、無条件に合算したりしないことが重要です。

電子カルテで開始・終了時刻が自動記録される場合、本文にも書く必要がありますか?

診療録等として必要な時刻が正確に保存・確認できる場合は、自由記載欄への重複入力を減らす運用が考えられます。ただし、施設の記録規程に従い、必要事項が診療録等全体で確認できることが前提です。

病室から訓練室への移動は実施時間に含められますか?

個別療法のための単なる移動時間は、訓練時間に含めません。一方、歩行練習などを実際に個別療法として実施した場合は、その目的と内容、算定要件を確認して判断します。移動したという事実だけで算定対象にはなりません。

休憩を挟んで20分経過した場合は1単位になりますか?

経過時間が20分であることだけでは判断できません。単なる休憩・待機時間と、個別療法として実施した訓練時間を区別し、実際の訓練内容と現行の算定要件を確認してください。

次の一手

リハビリ実施時間の記録では、予定単位ではなく、実際に提供した個別療法の内容と時間を基準に整理します。20分未満の実施、中断、短縮、説明のみの日は、記録と算定を分けて考えることが重要です。

実施できなかった日の算定判断は リハビリが算定できない日の考え方、途中拒否や実施拒否への対応は リハビリ拒否時の記録方法 で確認できます。診療録全体の点検方法は リハビリ記録・計画書の点検に関する記事 も参考にしてください。

参考文献

  1. 厚生労働省.令和8年度診療報酬改定について.厚生労働省公式ページ.
  2. 厚生労働省.令和8年度診療報酬改定項目の概要.公式資料(PDF).
  3. 厚生労働省.令和6年度診療報酬改定について.過年度改定資料.
  4. 東北厚生局.保険診療に関する資料.関連資料(PDF).

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

2022年4月にrehabilikun blogを開設。医療・介護領域での臨床経験をもとに、PT・OT・STが現場で活用できる評価方法、実務手順、記録の考え方を発信しています。

脳卒中、褥瘡・創傷ケア、呼吸リハビリテーション、栄養・嚥下などを中心に、臨床での判断に役立つ情報を整理しています。保有資格は、脳卒中認定理学療法士、褥瘡・創傷ケア認定理学療法士、登録理学療法士、3学会合同呼吸療法認定士、福祉住環境コーディネーター2級です。

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