SOAP の A の書き方|例文・テンプレ・30 秒チェック

制度・実務
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結論: A は「主問題 → 根拠 → 次の一手」を 1〜2 文で書き切れば十分です

SOAP の A( assessment )は、気の利いた文章を書く欄ではありません。O に基づいて何が問題で、なぜそう判断し、次にどう進めるかを短く残す欄です。A がそろうと、P( plan )の具体化と再評価が自然につながり、申し送りや添削も一気にラクになります。

この記事で答えるのは、A をどう 1〜2 文で書くかです。SOAP 全体の定義や監査総論は深掘りせず、1 行テンプレ、頻出 6 パターン、OK / NG、30 秒チェックに絞って整理します。まず「主問題 → 根拠 → 次の一手」の順を固定すると、忙しい日でもブレにくくなります。

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関連:制度・実務ハブへ / 代表的な子記事:O を 3 点に絞る 3 点ルール

なぜ A が書けないのか:よくある 3 パターン

A が止まる原因は、だいたい 3 つに集約されます。① O が多すぎて論点がぼやける。②「何が問題か」を言い切れず、曖昧語で逃げる。③ P を先に決めてしまい、A が後付けになる。この 3 つです。

立て直し方はシンプルです。主訴を 1 行、O を 3 点以内、A を「主問題は〜」で言い切るだけで骨格が立ちます。A が決まれば、P は “ やること ” の列挙ではなく、優先順位と再評価条件として書きやすくなります。

A を 1 行で書くテンプレ(そのまま使える型)

A は、結論 → 根拠 → 次の一手 の順で埋めると崩れません。ここで大切なのは、A と P を混ぜないことです。A は「なぜそう判断したか」まで、P は「何を、どの条件で行うか」以降、と分けると短くまとまります。

文章が苦手でも、まずは穴埋めで大丈夫です。さらに、再評価指標を 1 つ入れておくと、次回比較と申し送りがかなりラクになります。

SOAP の A は主問題・根拠・次の一手の 3 点で書く図版
SOAP の A は「主問題 → 根拠 → 次の一手」で整理すると、短くても伝わる記録になります。

(表は横スクロールできます)

A( assessment ) 1 行テンプレ(成人・リハの実務向け)
構成 穴埋め文 書く目的
結論 主問題は( )である。 「何が問題か」を言い切る
根拠 根拠は O の(数値・所見 2〜3 点)である。 判断の再現性を担保する
次の一手 よって(介入の方向性)を優先し、(再評価指標)で再評価する。 P を正当化し、次回につなぐ

頻出 6 パターン:A の書き方(例文)

ここからは、現場で出会いやすい典型パターンで A の例文を示します。ポイントは、O を 2〜3 点に絞り、A を 1〜2 文で完結させることです。

迷ったら、冒頭を「主問題は〜」で固定し、末尾を「よって〜を優先し、〜で再評価する」で閉じてください。これだけで、読み手に “ 次が見える ” 記録になります。

(表は横スクロールできます)

頻出パターン別:A( assessment )例文( PT / OT / ST 共通 )
場面 O(絞るポイント) A( 1〜2 文例 ) P の方向性(ひと言)
疼痛で動けない NRS、誘発動作、可動域( 1 つ ) 主問題は疼痛により課題動作が回避され、活動量が低下していることである。根拠は NRS( )と(誘発動作)での増悪であり、疼痛教育と負荷調整を優先し(再評価指標)で再評価する。 教育+段階負荷
歩行不安定 TUG、歩容所見( 1 つ )、介助量 主問題は歩行の安全性低下により転倒リスクが高いことである。根拠は TUG( )秒と(歩容所見)、介助量( )であり、安全条件での歩行練習を優先し TUG/介助量で再評価する。 安全条件で反復
立ち上がり困難 5xSTS、荷重左右差、代償 主問題は立ち上がりにおける荷重戦略の偏りと筋出力不足である。根拠は 5xSTS( )秒と(荷重左右差)、(代償動作)であり、課題特異的練習を優先し 5xSTS で再評価する。 STS の課題特異性
息切れ(呼吸) SpO₂ 変化、mMRC/RPE、歩行距離 主問題は運動耐容能低下により ADL で息切れが増悪していることである。根拠は SpO₂( )→( )% と mMRC( )、(歩行距離)であり、呼吸パターンと有酸素運動の漸増を優先し歩行距離/SpO₂ で再評価する。 呼吸+漸増
めまい・血圧変動 起立前後 BP、症状の条件、回復時間 主問題は体位変換での循環応答不全により介入継続が困難なことである。根拠は起立で BP( )→( )mmHg と症状出現であり、体位変換手順と負荷設定を調整し BP/症状で再評価する。 手順調整+再試行
認知・理解の課題 指示理解、注意の持続、必要介助(具体) 主問題は指示理解と注意の課題により訓練の自立度が上がりにくいことである。根拠は(指示理解の具体例)と(注意逸脱の頻度)であり、環境調整と課題の単純化を優先し介助量/遂行率で再評価する。 環境調整+単純化

症例で 4 行:A から P へつなぐ最短例

長文にしなくても、A が決まれば P は自然に書けます。ここでは「結論 → 根拠 → 次の一手(再評価)」が 1 セットで見えるように、最短の例を 4 行で示します。

大切なのは、A で判断を言い切ってから、P で実行条件を具体化する順番です。順序が逆になると、理由の薄い記録になりやすくなります。

(表は横スクロールできます)

症例 1 本(架空例):SOAP を 4 行でつなぐ
項目 記載(最短例)
S 「トイレまで歩くとふらつくのが怖い」
O TUG 18 秒、歩行は軽介助、立脚期に右側への体幹偏位(歩容所見 1 つ)
A 主問題は歩行の安全性低下により転倒リスクが高いことである。根拠は TUG 18 秒と軽介助、右体幹偏位であり、安全条件での歩行反復を優先し TUG/介助量で再評価する。
P 歩行は見守り〜軽介助の範囲で 10 分 × 2 回、歩行前に立位荷重の左右差修正を実施。次回は同条件で TUG と介助量を再評価する。

よくある失敗:A の OK / NG(修正の考え方)

A の NG は「所見の羅列だけ」「曖昧語だけ」「P の言い換えだけ」の 3 つに集約されます。A は感想ではなく、判断の結論です。結論が見えない文章は、監査でも教育でも詰まりやすくなります。

修正は単純です。NG 文の先頭に「主問題は〜」を足し、末尾に「よって〜を優先し、〜で再評価する」を付けるだけで骨格が立ちます。根拠は O のうち 2〜3 点に絞って差し込みます。

(表は横スクロールできます)

A( assessment )の OK / NG(すぐ直せる観点)
NG(避けたい) なぜ弱い? OK(修正例)
「TUG 18 秒。BBS 42 点。歩行軽介助。」 事実だけで結論がない 主問題は歩行の安全性低下である。根拠は TUG 18 秒と BBS 42 点、軽介助であり、安全条件での反復練習を優先し TUG/介助量で再評価する。
「改善傾向。もう少し頑張れそう。」 曖昧で再現性がない 主問題は(具体)である。根拠は(前回比の数値)であり、(方向性)を継続し(指標)で再評価する。
「筋力増強練習を実施した。」 P の記述であり A ではない 主問題は下肢筋出力低下により立ち上がりが不安定なことである。根拠は 5xSTS( )秒と(代償)であり、課題特異的練習を優先し 5xSTS で再評価する。

現場の詰まりどころ:A を書く前の 30 秒チェック

迷いが出やすいところだけ先に飛べるようにしておきます。

忙しい日は、A を考えてから書く時間が取りにくいです。そこで A の前に 30 秒だけ、主訴・O の絞り・結論・再評価指標の 4 点を確認すると、判断がブレにくくなります。

特に効くのは「O を絞る」「結論を言い切る」の 2 点です。ここがそろうだけで、A は短くても “ 読める ” 記録になります。

(表は横スクロールできます)

A 前 30 秒チェック(書けない時の立て直し)
確認 目安 詰まったら
S は 1 行? 困りごとが 1 つ見える 優先度が高い訴えに絞る
O は 3 点以内? 数値 1〜2 + 所見 1 「今日の判断に必要か」で削る
主問題は言い切れる? 安全性/耐容能/疼痛など 名詞でまとめる(転倒リスク、活動量低下 など)
再評価指標は 1 つ? TUG、5xSTS、SpO₂ など 次回も同条件で取れる指標を選ぶ

ここまで整えても毎回同じところで詰まる場合は、書き方だけでなく、教育体制・共通フォーマット・相談相手の有無など、職場環境の影響を受けている可能性もあります。

評価・記録の型をまとめて整理したい方へ

今の職場で、見本が少ない、相談しにくい、評価や記録の型がばらつくと感じるなら、学び方と環境の整え方を先に整理すると動きやすくなります。

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よくある質問( A の書き方 Q&A )

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Q1. A は長く書いた方が良いですか?

A. 基本は短くて大丈夫です。A の価値は文字数ではなく、O に基づいて結論が言い切れているか、P と再評価につながっているかです。「主問題は〜。根拠は O の 2〜3 点。よって〜を優先し、〜で再評価する」の 1〜2 文で十分に機能します。

Q2. O が多すぎて絞れません(全部大事に見えます)

A. SOAP の O は、今日の判断に必要な事実に限定します。全データを残したい場合は、測定一覧や別欄に集約し、SOAP の O は 3 点以内に圧縮してください。関連:O を 3 点に絞る 3 点ルール

Q3. 自信がなくて「〜と思われる」ばかりになります

A. 推測語そのものが悪いわけではありませんが、結論が曖昧になると読み手が困ります。まず「主問題は〜である」を先に置き、そのあとに根拠となる O を 2〜3 点添えると表現が安定します。迷う時は、結論を名詞でまとめると書きやすいです。

Q4. A と P の違いが曖昧になります

A. A は「なぜそう判断したか」、P は「何を、どの条件で行うか」です。A の末尾に再評価指標を 1 つ入れておくと、P が実行計画に落ちやすくなります。関連:A を P に落とす最短テンプレ

次の一手(運用に落とす)


参考文献

  1. Weed LL. Medical records that guide and teach. N Engl J Med. 1968;278(11):593-600. doi:10.1056/NEJM196803142781105PubMed
  2. Aronson MD. The Purpose of the Medical Record: Why Lawrence Weed Still Matters. Am J Med. 2019;132(11):1256-1257. doi:10.1016/j.amjmed.2019.03.051PubMed
  3. Donnelly WJ, Brauner DJ. Why SOAP Is Bad for the Medical Record. Arch Intern Med. 1992;152(3):481-484. doi:10.1001/archinte.1992.00400150015004PubMed

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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