特定機能病院リハビリテーション病棟入院料とは
特定機能病院リハビリテーション病棟入院料は、特定機能病院の一般病棟で、回復期リハビリテーションを要する患者に対応するA319の特定入院料です。2026年度の基本点数は1日2,399点、生活療養を受ける場合は2,379点です。回復期リハビリテーション病棟入院料1〜5や、特定機能病院入院基本料とは区分が異なります。
この記事では、PT・OT・STや施設基準担当者に向けて、対象病院の制限、対象患者と算定日数、主な施設基準、リハ料の包括範囲を整理します。病院・病棟・患者の条件を分けて確認することが、算定の読み違いを防ぐポイントです。
制度確認日:2026年10月5日。厚生労働省の現行告示と地方厚生局の公開案内に基づく概要です。
基本点数と対象病院|特定機能病院ならすべて対象ではありません
A319は、特定機能病院であることに加えて、過去の届出状況と現在の施設基準を確認する必要があります。告示では、当分の間、2022年3月31日に現に回復期リハビリテーション病棟入院料の届出を行っている特定機能病院に限るとされています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 診療報酬上の区分 | A319 特定機能病院リハビリテーション病棟入院料 |
| 基本点数/日 | 2,399点 |
| 生活療養を受ける場合/日 | 2,379点 |
| 医療機関の条件 | 特定機能病院。当分の間、2022年3月31日時点で回復期リハビリテーション病棟入院料を届け出ていたものに限定 |
| 届出の単位 | 一般病棟の病棟単位 |
| 患者構成 | 回復期リハビリテーションの必要性の高い患者が80%以上 |
出典:参考資料1・2。点数は加算・減算等を含む請求総額ではありません。
新たな病棟整備を検討する際は、人員配置だけで判断せず、まずこの対象病院の条件に該当するかを確認します。また、病棟がA319を届け出ていても、入棟した患者全員が自動的にA319の算定対象になるわけではありません。

対象患者と算定上限日数
対象は、告示の別表第九に定める「回復期リハビリテーションを要する状態」にある患者です。算定上限は状態によって異なり、一律に150日や180日となる制度ではありません。
| 状態の区分 | 算定上限 | 確認点 |
|---|---|---|
| 脳血管疾患・脊髄損傷・頭部外傷等の発症後や手術後、義肢装着訓練を要する状態 | 150日以内 | 告示に列挙された疾患・状態への該当を確認します |
| 高次脳機能障害を伴った重症脳血管障害、重度の頸髄損傷、頭部外傷を含む多部位外傷 | 180日以内 | 脳血管疾患等のすべてが180日の対象になるわけではありません |
| 大腿骨・骨盤・脊椎・股関節・膝関節の骨折、二肢以上の多発骨折の発症後や手術後 | 90日以内 | 骨折部位と発症・手術後の状態を確認します |
| 外科手術や肺炎等の治療時の安静による廃用症候群 | 90日以内 | 単なる活動量低下と同一に扱わず、該当する状態を確認します |
| 大腿骨・骨盤・脊椎・股関節・膝関節の神経・筋・靱帯損傷後 | 60日以内 | 骨折や関節置換術後とは区分を分けます |
| 股関節・膝関節の置換術後 | 90日以内 | 対象となる手術と術後の状態を確認します |
| 急性心筋梗塞・狭心症発作など急性発症した心大血管疾患、または手術後 | 90日以内 | 慢性心疾患という病名だけで対象と判断しません |
出典:参考資料3。疾患名等は概要です。正式な対象範囲は別表第九の本文を参照してください。
日数は告示上の算定開始日から数える上限です。疾患別リハビリテーション料の標準的算定日数とは別に管理し、転棟・転院時には、それまでの算定経過と起算の扱いを医事担当者と照合してください。
A319の注1では、当該入院料の算定要件に該当しない患者について、A100の注2に規定する特別入院基本料の例により算定するとされています。「その病棟にいること」と「その入院料を算定できること」は分けて確認します。
施設基準は配置・提供体制・患者構成・実績を確認します
主な数値は、看護配置10対1、重症患者割合45%以上、リハビリテーション実績指数42以上です。これらに加え、専従職員、休日の提供体制、他の診療料の届出などを組み合わせて満たす必要があります。
| 確認項目 | 主な基準 |
|---|---|
| 医師 | 病棟に専従の常勤医師1名以上 |
| 看護職員 | 10対1以上。看護職員の最小必要数の70%以上が看護師 |
| 看護補助者 | 30対1以上 |
| PT・OT・ST | 病棟に専従の常勤PT3名以上、OT2名以上、ST1名以上 |
| 栄養・在宅復帰支援 | 専従の常勤管理栄養士1名以上、在宅復帰支援を担当する専従の常勤社会福祉士等1名以上 |
| リハ提供 | 回復期リハビリテーションを要する状態の患者に対し、1日当たり3単位以上のリハビリテーションが行われていること |
| 休日の体制 | 休日を含む週7日間のリハ提供体制 |
| 重症患者割合 | 新規入院患者の45%以上 |
| 退院先に関する割合 | 退院患者のうち、他の保険医療機関へ転院した者等を除く者が70%以上 |
| リハビリテーション実績指数 | 42以上 |
| 疾患別リハ料の届出 | 心大血管疾患・脳血管疾患等・運動器・呼吸器リハビリテーション料の、いずれも(Ⅰ) |
| その他の届出・体制 | 早期離床・リハビリテーション加算、早期栄養介入管理加算の届出。他の医療機関との連携、高次脳機能障害患者の退院後の障害福祉サービス等の利用を支える体制、必要な構造設備 |
出典:参考資料2。告示の主要項目を整理したもので、届出チェックリストの全項目ではありません。夜勤の取扱い、専従・常勤の具体的な扱い、集計期間・除外条件・評価方法などは施設基準通知と届出様式で確認してください。
「10対1」「30対1」は、ある時間帯の患者数をその場にいる職員数で割って判定するものではありません。看護配置は看護部、専従職員の配置は各部門、患者割合と実績は施設基準担当者と確認し、根拠となる勤務実績・評価・集計をそろえます。
また、1日当たり3単位という施設基準と、患者ごとの治療量の判断は同じではありません。具体的な集計方法は通知に従い、臨床では医師の指示、患者状態、目標に応じて実施内容を調整します。
リハ料は原則として別算定ですが、包括される場合があります
A319の注2では、第7部リハビリテーションの費用は、所定の例外を除いて入院料への包括対象から外れています。ただし、リハ料ごとの施設基準・患者要件・実施内容・記録を満たすことが前提です。
注意したいのは、基本診療料の施設基準等の別表第九の三に定める費用です。病棟のリハ提供実績と効果に関する一定の条件に該当すると、対象となる疾患別リハ料の1日6単位を超える部分が包括される扱いがあります。
この取扱いには、特掲診療料の施設基準等別表第九の三に規定する脳血管疾患等の患者で、発症後60日以内のものに行ったリハを除く規定もあります。全患者について一律に「6単位まで」「9単位まで」と判断せず、病棟の該当状況と患者の条件を照合してください。
実務では、病棟の入院料、疾患別リハ料の種類、患者の対象条件、包括の対象となる費用を医事部門と確認します。リハを実施する必要性と、その費用を別に請求できるかは、それぞれ判断します。
回復期リハ病棟入院料・特定機能病院入院基本料との違い
A319は、A308の回復期リハビリテーション病棟入院料や、A104の特定機能病院入院基本料とは別の区分です。名称が似ていても、点数や配置要件を置き換えて使うことはできません。
| 入院料 | 区分 | 本記事との役割の違い |
|---|---|---|
| 特定機能病院リハビリテーション病棟入院料 | A319・特定入院料 | 対象病院が限定された、回復期リハを担う病棟の入院料です |
| 回復期リハビリテーション病棟入院料 | A308・特定入院料 | 入院料1〜5の区分別に点数・施設基準を確認します |
| 特定機能病院入院基本料 | A104・入院基本料 | 一般病棟・結核病棟・精神病棟などの区分と、それぞれの施設基準を確認します |
回復期1〜5の全体像は、回復期リハビリテーション病棟入院料の解説で整理しています。A319の確認では、自院の受理通知に記載された正式名称を起点にしてください。
2026年度の届出|8月1日以降の継続算定を確認します
A319は、実績指数の基準変更に伴い、2026年8月1日以降の継続算定について再届出の対象となりました。回復期リハ病棟入院料2・4などの10月対応とは時期が異なります。
近畿厚生局の2026年7月22日付案内では、3月31日時点でA319を届け出ていた病棟が8月1日以降も算定する場合に届出が必要とされ、当該経過措置に係る書類として別添7(特定リハ)と様式49が示されています。10月時点では終了済みの手続きなので、現在の施設基準への適合と再届出の受理状況を確認します。
一方、通常の届出一覧には、別添7(特定リハ)のほか、様式5・6・7・9・20・49・49の2が掲載されています。経過措置に伴う再届出の書類と、通常の届出に必要な書類を同一に扱わないことが大切です。
提出書類・提出先・受付方法は管轄厚生局の案内を使用してください。届出漏れや基準未達が判明した場合は、院内の医事・施設基準担当者を通じて、算定と必要な届出の扱いを確認します。
療法士が院内で確認する情報
療法士は、患者の対象条件と評価・提供実績を、施設基準の集計へつなげる役割を担います。以下は公式の追加要件ではなく、部門間で情報を照合するための実務上の整理です。
| 場面 | 確認する情報 | 主な連携先 |
|---|---|---|
| 入棟前・入棟時 | 対象疾患・状態、発症・手術の経過、算定開始日、過去の算定状況 | 医師・医事部門・紹介元 |
| 評価時 | 重症度やADLの判定根拠、評価日、評価者間の整合 | 病棟看護師・リハ部門 |
| リハ提供時 | 指示・計画、実施単位・内容、患者状態、包括の該当状況 | 医師・医事部門 |
| 退院調整時 | 退院先、生活上の支援、障害福祉サービス等への接続 | 社会福祉士等・地域連携部門 |
| 施設基準の点検時 | 配置と休日体制、患者割合、実績指数、届出受理状況 | 看護部・施設基準担当者 |
次に確認すること
まず自院の受理通知でA319の届出を確認し、対象病院の条件、患者ごとの算定区分、2026年8月以降の受理状況を照合してください。そのうえで、リハ部門が管理する評価・提供実績と、医事部門が扱う算定情報をそろえます。
入院基本料と特定入院料の全体像から整理したい場合は、入院基本料とは?療法士向けに病棟機能を整理をご覧ください。
参考資料
- 厚生労働省. 診療報酬の算定方法:A319 特定機能病院リハビリテーション病棟入院料 [Internet]. [cited 2026 Oct 5]. Available from: 厚生労働省・現行点数表.
- 厚生労働省. 基本診療料の施設基準等:第九・二十一 [Internet]. [cited 2026 Oct 5]. Available from: A319の施設基準等.
- 厚生労働省. 基本診療料の施設基準等:別表第九・第九の三 [Internet]. [cited 2026 Oct 5]. Available from: 対象となる状態・算定上限日数・包括される費用.
- 近畿厚生局. 令和8年7月31日に経過措置の期限が到来する施設基準に係る届出について [Internet]. 2026 Jul 22 [cited 2026 Oct 5]. Available from: 8月1日以降の継続算定に係る届出案内.
- 東海北陸厚生局. 基本診療料の届出一覧(令和8年度診療報酬改定) [Internet]. [cited 2026 Oct 5]. Available from: 届出様式一覧.
- 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定について [Internet]. [cited 2026 Oct 5]. Available from: 施設基準通知・実施上の留意事項・疑義解釈等.
実際の算定・届出では、現行告示に加えて、施設基準通知・実施上の留意事項・疑義解釈と管轄厚生局の最新案内を確認してください。
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関・介護福祉施設・訪問リハの現場経験をもとに、評価・臨床手順・医療制度など、医療従事者の実務に役立つ情報を発信しています。現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、呼吸リハなどの臨床・教育活動に取り組んでいます。
- 脳卒中認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級

