エアマスターESの使い方|体重設定・背上げ・停電時対応

臨床手技・プロトコル
記事内に広告が含まれています。

エアマスターESの使い方|最初に確認する2つの操作

ケープの「エアマスターES」は、操作を「体重設定」と「背上げモード」の2つに絞った体圧分散式エアマットレスです。通常臥床では利用者の体重に合わせて内圧を設定し、食事や経管栄養などで長時間背上げするときは背上げモードへ切り替えます。

体重は20〜90kgを5kg刻みで設定し、電源投入・体重設定後は約20分待って、エアセルへ十分に空気が入ったことを確認してから使用します。背上げモードは圧切替を停止し、臀部の底づきを防ぐよう内圧を調整する機能で、約2時間後に自動解除されます。

操作がシンプルな製品でも、設定後の確認は必要です。皮膚・身体の沈み込み・背上げ時のずれ・端座位・移乗まで確認し、患者さんに現在の支持面が合っているかを評価します。

エアマスターESで最初に確認する操作
場面 操作 確認すること
設置直後 体重設定 実体重、設定値、約20分の準備時間
通常臥床 設定体重で圧切替 皮膚、沈み込み、疼痛、寝心地
長時間の背上げ 背上げモード 骨盤前滑り、仙骨部、姿勢
端座位・移乗 特別な離床モードなし 足底接地、マットレス端の沈み込み、介助量
停電・ベッド移動 特別な操作は不要 送風チューブを外さない、背上げを戻す
異常時 光サイン・エラーコードを確認 送風チューブ、エアセル、電源などを点検
エアマスターESの使い方を4段階で整理した図。体重設定、約20分の待機、背上げモード、停電・ベッド移動時の対応と、皮膚・沈み込み・端座位・移乗の確認ポイント
エアマスターESの使用手順。体重設定→約20分待機→通常臥床・背上げモード→停電時対応を整理しています。設定後は皮膚・沈み込み・端座位・移乗も確認します。

エアマスターESは厚さ12cmの交換タイプです。体圧分散マットレスの厚さや構造そのものから確認したい場合は、体圧分散マットレスの厚さ・構造・性能表示の見方も参考にしてください。

体重は20〜90kgを5kg刻みで設定する

エアマスターESでは、利用者の体重を20〜90kgの範囲で5kg刻みに設定します。

メーカー取扱説明書では、設定値は実体重より軽い側の最も近い値を選ぶよう示されています。たとえば44kgなら40kg、48kgなら45kgに設定します。

エアマスターESの体重設定例
実体重 設定値
40kg 40kg
42.5kg 40kg
44kg 40kg
48kg 45kg
62kg 60kg
78kg 75kg

体重設定後は、すぐに患者さんを寝かせるのではなく、約20分待ってエアセルに十分な空気が入ったことを確認します。準備中やモード移行中は体重表示下部のドットが点滅し、調整が終了すると消灯します。

体重設定後は、実際の支持状態も確認します。

  • 仙骨部や踵部に局所的な沈み込みがないか
  • 身体が過度に沈み込んでいないか
  • 骨突出部に疼痛や圧痕がないか
  • 圧切替による不快感や睡眠への影響がないか
  • 寝返りが以前より難しくなっていないか

入院・入所期間が長い患者さんでは、設定時の体重と現在の体重が一致しているとは限りません。浮腫の改善、栄養状態の変化、長期臥床による体重減少などがあれば、体重を再確認して設定値を見直します。

24本のエアセルが約5分間隔で圧切替する

エアマスターESは、24本の完全独立二層式エアセルを使用しています。通常使用時は、3本1組のエアセルが約5分間隔で膨張・収縮を繰り返す三連圧切替を行います。

圧切替中も全体の約3分の2のエアセルが膨張した状態で身体を支持する構造です。

通常臥床時に確認したいポイント
領域 確認内容
皮膚 仙骨部・踵部などの発赤、圧痕、疼痛
沈み込み 臀部・骨盤が局所的に沈み込んでいないか
寝返り 自力体動や寝返りが妨げられていないか
快適性 圧切替による揺れ、不快感、睡眠への影響
姿勢 体幹・骨盤・下肢が一方向へ偏っていないか

圧切替が正常に作動していることと、患者さんに適合していることは同じではありません。皮膚反応や自力体動を継続して確認します。

背上げモードは食事・経管栄養など長時間の背上げで使う

食事や経管栄養などで長時間背上げ姿勢をとる場合は、背上げボタンを押して背上げモードへ切り替えます。

背上げモードでは通常の圧切替を停止し、背上げ姿勢に適した内圧へ調整して臀部を支持します。メーカー取扱説明書では、モード移行後に内圧が整うまで約1分30秒とされています。

また、背上げモードは約2時間で自動解除され、通常の圧切替と設定圧へ戻ります。背上げを2時間以上続ける場合は、現在のモードを再確認します。

背上げモード使用時の確認ポイント
確認項目 見るポイント
骨盤 足元方向への前滑りがないか
仙骨部 ずれ・圧迫・発赤が増えていないか
踵 踵が固定され、身体だけが滑っていないか
体幹 左右へ崩れたり滑り座りになっていないか
寝具 衣類やシーツにしわ・たるみが集中していないか
症状 疼痛、呼吸苦、違和感が増えていないか

背上げモードがあるから、背上げ時のずれが起こらないという意味ではありません。モード使用後も実際の骨盤位置・仙骨部・踵・体幹姿勢を確認します。

なお、メーカーは背上げ時に必ず背上げモードを使用するよう案内しています。背上げモードを使用せずに背上げすると、内圧不足によって臀部が底づきする可能性があります。

エアマスターESはどんな人に向いている?

ケープの現行機能比較表では、エアマスターESは自力で寝返りができない人への使用を想定した高機能二層式タイプとして位置づけられています。

メーカー比較表では、中等度の骨突出がある場合や背上げ機能を利用する場合にも選択肢として示されています。

ただし、製品比較表はマットレスを選ぶ際の目安であり、患者さんの状態を一つの項目だけで判断するものではありません。

エアマスターES選定時に確認したい状態
領域 確認内容
自力体動 寝返りや姿勢修正がどこまで可能か
骨突出 仙骨部・踵部・大転子部などの突出程度
皮膚 発赤、既存褥瘡、疼痛、圧痕
拘縮 マットレスだけで接触面積を確保できるか
湿潤 発汗、失禁、皮膚浸軟、寝床内環境
背上げ 食事・経管栄養などで長時間背上げするか
介護環境 必要な体位変換や観察を実施できるか

より高度な骨突出、拘縮、皮膚湿潤、長時間の背上げ管理などが問題となる場合は、エアマスターESだけに限定せず、より高機能な支持面を含めて再検討します。

停電・ベッド移動時は約14日間内圧を保持する

エアマスターESには停電対策機能があります。

停電や電源プラグの抜去によって非通電になると、ポンプ内部の電磁弁が自動的にエアセルの空気漏れを遮断し、マットレス全体の内圧を約14日間保持します。

そのため、ベッド移動のため一時的にコンセントを抜く場合にも、特別な操作は必要ありません。

電源復旧後は、メモリ機能によって直前の体重設定へ自動復帰します。ただし、背上げモードは自動復帰しません。

停電時に確認すること
状況 対応
停電発生 特別な操作は不要
送風チューブ 外さない
背上げ中 ベッドを平らな状態へ戻す
圧切替 停電中は停止する
内圧保持 メーカー仕様では約14日間
電源復旧 直前の体重設定へ自動復帰
背上げモード 必要な場合は改めて設定する

停電中は圧切替が停止するため、通常時と同じ圧管理が継続するわけではありません。患者さんの皮膚・姿勢・体位変換の必要性を確認します。

メーカー取扱説明書では、停電中は2時間おきの体位変換が案内されています。ただし実際の体位変換方法・頻度は、患者さんの皮膚、全身状態、自力体動、既存褥瘡なども考慮し、施設の運用と合わせて判断してください。

厚さ12cm|設置後は床面高と端座位を確認する

エアマスターESは、既存のベッドマットレスと交換して使用する厚さ12cmのリプレイスメントタイプです。

エアマスターESのサイズ
タイプ 品番 サイズ 重量
840 CR-790 幅84×長192×厚12cm 6.1kg
900 CR-793 幅90×長192×厚12cm 6.5kg

設置では、専用カバーを表側にし、送風チューブが必ず足側になるように設置します。既存のベッドマットレスを下へ重ねる必要はありません。

厚手の敷き毛布や敷きパッドを重ねると、本来の体圧分散効果が得られにくくなる可能性があるため注意します。

マットレス交換後は、サイズがベッドへ合っているかだけでなく、離床環境も再確認します。

  • 端座位で足底が床へ接地できるか
  • 膝・股関節角度が変わっていないか
  • マットレス端で殿部が過度に沈み込まないか
  • 立ち上がりに適した床面高か
  • 移乗先との高さ関係は適切か
  • サイドレールとの高さ関係は安全か

取扱説明書では、端座位や移乗を行う際は補助者の立ち会いのもとで行うよう示されています。患者さんの能力や施設の離床基準も合わせて判断します。

皮膚・沈み込み・離床で確認したいポイント

エアマスターESの設定後は、ポンプが正常に動いているかだけでなく、患者さんの皮膚・姿勢・自力体動・離床への影響を確認します。

エアマスターES使用時の観察項目
領域 確認項目
体重設定 現在の実体重と設定値が合っているか
皮膚 発赤、圧痕、疼痛、既存褥瘡
沈み込み 仙骨部・骨盤が局所的に沈み込んでいないか
圧切替 疼痛、不快感、睡眠への影響
寝返り 自発性、頻度、介助量
背上げ 骨盤前滑り、仙骨部、踵、体幹姿勢
端座位 足底接地、体幹安定性、マットレス端の沈み込み
移乗 床面高、立ち上がり、介助量
微気候 発汗、失禁、皮膚湿潤、寝具

エアマットレスを使用していることだけを理由に、体位変換や皮膚観察を不要とは考えません。患者さんの自力体動、皮膚・組織の反応、全身状態などを見ながら個別に判断します。

支持面変更後の観察・再評価は、体圧分散マットレス導入後の再評価と記録でも整理しています。

赤い光サイン・エラー時にまず確認すること

エアマスターESでは、ポンプ前面の光サインから運転状態を確認できます。

正常作動中は青色に点灯し、異常が発生すると赤色に点灯します。異常時には操作パネルへエラーコードが表示されます。なお、エアマスターESの光サインには警告音はありません。

エアマスターESの主なエラー表示
表示 内容
E01 圧力センサの異常
E02 電磁弁の異常
E03 エアセルの内圧低下

赤い光サインやマットレスの膨らみ不足を認めた場合は、エラーコードだけを見るのではなく、以下を確認します。

  • 電源プラグが接続されているか
  • 電源が入っているか
  • 送風チューブが折れ曲がっていないか
  • 送風チューブがポンプへ十分に差し込まれているか
  • エアセルのTコネクターが外れていないか
  • 送風チューブキャップが外れていないか
  • エアセルに破損・空気漏れがないか

メーカーは使用中、できるだけ1日1回の点検を推奨しています。設置場所を変更した場合や、停電などで一時的に作動が停止した場合も状態を確認します。

取扱説明書に沿って点検しても改善しない場合は、使用を継続して様子を見るのではなく、販売店またはケープへ点検・修理を相談します。

エアマスターESの記録例

記録では製品名だけでなく、体重設定、背上げモード、皮膚、圧切替への反応、離床への影響を残します。以下は架空症例を用いた記録例です。

エアマスターES使用。実体重48kg、体重設定45kg。通常圧切替で使用。仙骨部・両踵部に持続発赤なし。圧切替による疼痛・睡眠障害なし。

食事時に背上げモードへ変更。内圧調整後に背上げ35°とした。骨盤の足元方向への移動を軽度認めたため、骨盤位置とシーツを修正。仙骨部の皮膚異常なし。

離床時は端座位で足底接地可能。マットレス端で著明な殿部沈み込みなし。体幹保持は見守り、移乗は軽介助。現設定を継続し、体重変化・皮膚・離床能力を再評価する。

エアマスターESの記録項目
項目 記録内容
製品 エアマスターES
体重 実体重/設定体重
背上げ 背上げモード、角度、使用時間
皮膚 発赤、圧痕、疼痛、湿潤
圧切替 疼痛、不快感、睡眠への影響
寝返り 自立度、頻度、介助量
離床 起き上がり、端座位、移乗、介助量
機器 光サイン、エラー表示、送風チューブ
判断 継続/体重設定変更/支持面再検討

「ES使用中」とだけ記録するより、何kgに設定し、その設定で患者さんの皮膚・動作がどうなっているかを残すと、多職種で再評価しやすくなります。

よくある質問

体重48kgの場合は何kgに設定しますか?

45kgに設定します。エアマスターESは20〜90kgを5kg刻みで設定し、メーカー取扱説明書では実体重より軽い側の最も近い値を選ぶよう示されています。

体重設定後すぐに使用できますか?

すぐには使用しません。電源を入れて体重を設定したあと、約20分で内圧が整います。エアセルへ十分に空気が入ったことを確認してから使用します。

背上げモードはいつ使いますか?

食事や経管栄養など、ベッドを背上げして使用するときに設定します。背上げモードは圧切替を停止し、背上げ姿勢に適した内圧へ調整します。約2時間で自動的に通常状態へ戻ります。

2時間以上背上げするとどうなりますか?

背上げモードは約2時間で自動解除され、通常の圧切替と設定圧へ戻ります。背上げを継続する場合は現在のモードを確認し、必要に応じて再設定します。

停電すると空気はすぐ抜けますか?

停電時はポンプ内部のバルブが自動的に空気漏れを遮断し、マットレス内圧を約14日間保持します。ただし圧切替は停止するため、患者さんの体位・皮膚状態は別に確認します。

ポンプの光が赤いのは故障ですか?

正常作動中の光サインは青色で、異常が生じると赤色に点灯します。操作パネルのエラーコードと、電源・送風チューブ・エアセルなどを取扱説明書に沿って確認してください。改善しない場合は販売店またはケープへ相談します。

まとめ|シンプルな2操作でも設定後の反応まで確認する

エアマスターESは、体重設定と背上げモードという2つの操作を中心とした体圧分散式エアマットレスです。

体重は20〜90kgを5kg刻みで設定し、設定後は約20分待ってから使用します。背上げ時は背上げモードへ切り替え、約1分30秒で内圧が調整されます。背上げモードは約2時間で自動解除されます。

停電・非通電時には内圧を約14日間保持し、復電後は直前の体重設定へ自動復帰します。一方、背上げモードは自動復帰しないため、必要時は改めて設定します。

操作がシンプルだからこそ、実体重と設定値、皮膚、身体の沈み込み、背上げ時のずれ、寝返り、端座位・移乗まで確認し、患者さんに現在の支持面が適しているかを評価することが重要です。

参考文献

  1. 株式会社ケープ.エアマスターES.製品情報.2026年10月8日確認.公式サイト
  2. 株式会社ケープ.エアマスターES 取扱説明書.2026年10月8日確認.公式取扱説明書(PDF)
  3. 株式会社ケープ.エアマスターES 製品カタログ.2026年10月8日確認.カタログダウンロード
  4. 株式会社ケープ.エアマットレス機能比較/対象者の目安.2026年10月8日確認.公式比較表
  5. 株式会社ケープ.よくあるご質問.2026年10月8日確認.公式FAQ

著者情報

rehabilikun 理学療法士

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関・介護福祉施設・訪問リハの現場経験をもとに、評価・臨床手順・医療制度など、医療従事者の実務に役立つ情報を発信しています。現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、呼吸リハなどの臨床・教育活動に取り組んでいます。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

運営者プロフィール|
編集・引用ポリシー|
お問い合わせ