CBS とは? USN を ADL 観察で評価

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CBS( Catherine Bergego Scale )の使い方:半側空間無視を ADL 観察で 0–30 点評価

PT の転職で迷ったら、まずは “条件の棚卸し” から。 /pt-career-guide/ を見る ※記事のテーマに関係なく、現場で詰まりやすい “働き方の選択” も一緒に整理できます。

CBS( Catherine Bergego Scale )は、半側空間無視( USN )を ADL の場面観察から捉え、重症度を 合計 0–30 点で共有しやすい行動観察尺度です。机上テストでは拾いにくい「衝突・置き去り・取りこぼし」を、病棟や生活場面の言葉に翻訳して残せるのが強みです。

USN の評価全体( 5–10 分スクリーニング → 机上テスト → ADL 観察 )の “親記事(総論)” は、こちらで整理しています:半側空間無視( USN )スクリーニング検査| 5–10 分フロー

CBS( Catherine Bergego Scale )とは?

CBS は、食事・更衣・移動などの ADL を観察しながら、USN の “生活上の出方” を 10 領域で評価します。各領域は 0–3 点、合計 0–30 点で、点数が高いほど無視が重い(生活影響が大きい)と解釈します。

机上テストが「探索の偏り」を捉えやすい一方で、CBS は「事故や介助量に直結する困りごと」を拾いやすい設計です。退院や安全管理の話に直結させたいときほど、CBS の情報は強い武器になります。

スコアの読み方( 0–30 ):まずは “ 0–3 ” を揃える

CBS は、各領域を 0–3 点で評価します。ポイントは、点数そのものよりも「同じ場面・同じ基準」で観察し、チームでブレを小さくすることです。

CBS の 0–3 点の目安(成人/病棟運用の目安)
臨床での目安 観察のコツ
0 所見なし:自発的に左側へ注意・探索できる 声かけなしで “自然にできる” か
1 軽度:ときどき抜けるが、最小限の促しで修正できる 促し 1 回で戻るか(遅れ・気づき)
2 中等度:抜けが頻回で、繰り返し促しが必要 促しが必要な頻度/危険が残るか
3 重度:左側を一貫して無視し、安全に重大な影響 衝突・置き去り・介助なしでは危険

合計点の “一律カットオフ” は施設や対象で解釈が変わるため、まずは 同一条件での再評価と、ADL の危険(衝突・転倒・セルフケアの抜け)をセットで追うのが現実的です。

迷ったら「どの領域で 2–3 点が付くか」を優先して読み、介入と環境調整を “領域別” に具体化すると、チームの動きが速くなります。

実施の流れ:標準化のコツ(評価がブレる原因を潰す)

CBS の実施は「観察する場面を決める → いつも通りの ADL を見る → 最小限の声かけで推移を確認 → その場で記録」の順で回すとブレにくいです。評価中に “教えすぎる” と点が下がり、再現性が落ちます。

標準化のコツは、① 観察場面(更衣・整容・移動など)を固定、② 介助・声かけの有無を記録、③ 疲労・時間帯・環境(騒音・人の流れ)を残す、の 3 つです。再評価は “同じ条件” を守るほど意味が出ます。

観察 10 領域の実践ガイド:何を見ればいい?

ここでは、CBS の各領域を “観察ポイント” として整理します(公式の項目文をそのまま掲示せず、臨床での見方に翻訳しています)。チーム共有の目的は「事故が起きる場面」を具体化することです。

CBS 10 領域:観察ポイント(病棟/生活場面の実装メモ)
領域(例) 見たいこと よくある危険 記録の言い回し例
整容(顔・髪など) 左側の仕上げが抜ける/左右差に気づくか 片側だけ未実施のまま終了 左側の確認が自発的に出ない
更衣 左袖・左裾の扱い/着崩れの修正 片側が脱げて転倒リスク 左上肢の置き去りが残る
摂食 皿の左側の取りこぼし/片側だけ残る 誤嚥・栄養量不足につながる 左側の探索が遅い
食後(口腔・衣類など) 左側の汚れ・付着の見落とし 皮膚トラブル/衛生の低下 左側のチェックが抜ける
左側への注意(視線・頭部) 呼びかけ・刺激で左へ向くか 移動時の衝突 左側への定位が乏しい
身体の管理(患側の気づき) 左上肢の位置・安全の配慮 挟み込み・牽引・落下 左上肢の存在への注意が薄い
聴覚的注意 左側からの音・声への反応 呼びかけに気づかず危険 左側刺激の反応が遅い
空間への注意(病室・環境) 左側の障害物・動線の把握 車椅子・歩行で衝突 左側環境の把握が不十分
移動 進行方向の逸脱/左側への接触 転倒・衝突 左側へ寄る/ぶつかる
物品探索 左側にある物を探せるか 自己管理の抜けが増える 探索開始が右固定

観察で迷う場面は「どの刺激なら修正できるか」を残すと、介入につながります(声かけ/視線誘導/環境配置/視覚的マーカーなど)。

また、机上テストと ADL の結果がズレるほど “病識・注意の持続・二重課題” の影響が疑われるため、同一条件で再評価しながら推移を見ます。

閾値の運用例:院内ルール化のヒント

CBS は「点数を付けたら終わり」ではなく、安全管理・介助量・退院支援の判断材料として活かすと価値が上がります。例えば「 2–3 点が付く領域がある=事故リスクが高い領域が特定できた」と捉えると、目標設定が具体化します。

退院判断に落とし込む視点(事故が起きる場面の特定 → 退院条件の作り方)は、こちらでまとめています:USN で退院先判断|自宅復帰と転倒リスク

自己評価と観察者評価の乖離:病識の手掛かり

CBS は、観察者評価に加えて “自己評価” という切り口で、病識(気づき)の問題を扱いやすい特徴があります。本人が「できている」と感じているのに、観察では抜けが多い場合、事故リスクが上がりやすいです。

乖離を見たら、叱正よりも「気づきを促す仕組み(手順化・視覚的手掛かり・環境配置)」を優先し、同一条件で再評価して変化を追うと、説明と合意形成がしやすくなります。

紙筆検査との違い:使い分け早見

紙筆検査は短時間で “偏り” を拾いやすい一方、CBS は “生活の困り” を拾いやすい評価です。どちらが上ではなく、目的で使い分けます。

紙筆検査 と CBS の使い分け(目的別)
目的 向く評価 理由
まず USN を拾う 紙筆検査(抹消/線分二等分など) 短時間で左右差を見つけやすい
安全管理・介助量に直結 CBS( ADL 観察 ) 衝突・置き去り・取りこぼしを具体化できる
経時変化を追う 両方(条件固定が前提) 机上と生活の “ズレ” も含めて把握できる

臨床では、紙筆で “疑い” を拾ったら CBS で “生活影響” を押さえ、方針(安全・環境・介入)へつなげる流れが回しやすいです。

逆に、机上で軽く見えるのに事故が多いときほど CBS の情報が効きます。

現場の詰まりどころ:よくある失敗と修正ポイント

CBS は “観察” が中心なので、評価がブレる原因は「場面が毎回違う」「声かけが増える」「評価者ごとに基準が違う」の 3 つに集約されます。まず観察場面を固定し、声かけの段階(なし→ 1 回→反復)を記録で残します。

もう 1 つ多いのが「点数だけ残して、危険場面が書かれていない」パターンです。合計点と一緒に「どこで何が起きたか(衝突/置き去り/探索開始)」を 1 行で残すだけで、申し送りの質が上がります。

よくある質問( FAQ )

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Q1. CBS は誰が・どの場面で行うのが良いですか?

A. 基本は ADL をよく見る職種( OT / PT / 看護 など)で、観察場面(更衣・整容・移動・摂食など)を固定して実施するのがブレにくいです。評価者が変わる場合は、声かけの有無・回数と場面を記録しておくと比較しやすくなります。

Q2. 机上テストが軽いのに、CBS が重く出ます。どう解釈しますか?

A. 二重課題(姿勢制御+探索+判断)で悪化している可能性があります。机上の成績だけで安全を判断せず、衝突・置き去り・セルフケアの抜けなど “危険が出る場面” を特定して方針へつなげるのが重要です。

Q3. 再評価の頻度はどう考えますか?

A. 介入や環境調整を入れた後は、同一条件(同じ場面・同じ声かけ)で短い間隔でも再評価が有効です。点数だけでなく、危険場面が減ったか(衝突・置き去りなど)を合わせて追うと、チームで改善が共有しやすくなります。

参考文献

  • Azouvi P, Olivier S, de Montety G, Samuel C, Louis-Dreyfus A, Tesio L. Behavioral assessment of unilateral neglect: study of the psychometric properties of the Catherine Bergego Scale. Arch Phys Med Rehabil. 2003;84(1):51-57. DOI: 10.1053/apmr.2003.50062 / PubMed: PMID: 12589620
  • Chen P, Chen CC, Hreha K, Goedert KM, Barrett AM. Kessler Foundation Neglect Assessment Process uniquely measures spatial neglect during activities of daily living. Arch Phys Med Rehabil. 2015;96(5):869-876.e1. DOI: 10.1016/j.apmr.2014.10.023
  • Wilson B, Cockburn J, Halligan P. Development of a behavioral test of visuospatial neglect. Arch Phys Med Rehabil. 1987;68(2):98-102. PubMed: PMID: 3813864
  • Karnath HO, Rorden C. The anatomy of spatial neglect. Neuropsychologia. 2012;50(6):1010-1017. DOI: 10.1016/j.neuropsychologia.2011.06.027 / PubMed: PMID: 21756924
  • Ogourtsova T, Silva WS, Archambault PS, Lamontagne A. Virtual Reality Treatment and Assessments for Post-Stroke Unilateral Spatial Neglect: A Systematic Literature Review. Neuropsychol Rehabil. 2017. DOI: 10.1080/09602011.2015.1113187

おわりに

CBS は、USN を “生活の困り” に翻訳して共有できるのが最大の価値です。点数を付けたら、どの領域で事故が起きるか(衝突・置き去り・探索の偏り)まで 1 行で残し、環境調整と再評価へつなげると、チームの動きが速くなります。

評価の記録を整えたら、面談準備チェックと職場評価シートも一緒に確認しておくと、次の選択肢が広がります:/mynavi-medical/#download

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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