- 誤嚥性肺炎 PT 実務ハブ|予兆・評価・予防を “毎日回る型” に固定
- はじめに:最短の使い方( 3 ステップ )
- 予兆 → 初期対応の流れ( 3 ステップ )を “施設の標準順番” にする
- 予兆チェック(観察テンプレ):拾い漏れを減らす “ 24 時間の見方”
- スクリーニング 5 点セット(最短ルート):単独判定を避ける
- 予防は “バンドル” : 7 要素を毎日チェックで回す
- 気道クリアランス(痰を “動かす → 上げる → 回収する” )
- 記録と申し送り( “ 1 行で伝わる形” に固定 )
- 現場の詰まりどころ(よくある失敗 → 修正)
- よくある質問( FAQ )
- 次の一手(いまの状況から 1 つだけ選ぶ)
- 参考資料
- 著者情報
誤嚥性肺炎 PT 実務ハブ|予兆・評価・予防を “毎日回る型” に固定
誤嚥性肺炎は「検査を増やす」より先に、予兆の拾い上げ → 最小スクリーニング → 初期対応 → 予防バンドルを “毎日回る型” にすると、抜け漏れと迷いが一気に減ります。ポイントは、嚥下だけを単発で見ず、体位・口腔・呼吸・活動・水分栄養をセット(バンドル)で回すことです。
このページは、病棟・老健・在宅で誤嚥性肺炎に直面する PT が、いま何をすべきか(次の 1 手)を最短で決められるように、実務の順番とリンクを 1 ページにまとめた “索引(ハブ)” です。詳しい手順は各プロトコル記事に接続します。
臨床の組み立て(評価 → 介入 → 共有)を迷わない “全体フロー” を先に確認すると、判断が速くなります。
臨床フローを 3 分で確認する( PT キャリアガイド )はじめに:最短の使い方( 3 ステップ )
迷いが強いときは、まずこの 3 ステップだけで OK です。
| ステップ | やること(最小) | 次のリンク(詳細) |
|---|---|---|
| 1)予兆を拾う | 「普段との違い」を 10 秒で言語化し、時間変化を追う | 予兆サインと初期対応(観察テンプレ) |
| 2)最小スクリーニング | 単独判定を避け、安全に進む / 止めるを決める | 嚥下評価の実務フロー / 不顕性誤嚥スクリーニング( 10 分 ) |
| 3)初期対応+予防へ | 体位・口腔・活動・呼吸・水分栄養を “小さく” 同時に整える | 誤嚥性肺炎 予防バンドル(実装テンプレ) |
予兆 → 初期対応の流れ( 3 ステップ )を “施設の標準順番” にする
誤嚥性肺炎は、評価が点在すると “やりっぱなし” になりやすいです。おすすめは、観察 → 判定 → 次アクションの順番を固定し、結果を 1 行で共有できるようにすることです。
- 観察:声(湿性嗄声)、咳(弱い・遅い・出ない)、痰(量・粘稠)、呼吸(努力感・ RR )、食後の変化、発熱・傾眠など
- 判定:最小スクリーニングを組み合わせ、偽陰性・偽陽性を減らす(単独判定を避ける)
- 次アクション:体位・口腔・活動・呼吸・水分栄養を “同時に小さく” 整え、再評価の予約をセットにする
この順番の実装を “そのまま採用” できる形にまとめた親記事はこちらです。
予兆チェック(観察テンプレ):拾い漏れを減らす “ 24 時間の見方”
予兆は「その瞬間」より、時間変化(食前・食後・夜間・翌朝)で拾えることが多いです。数値だけでなく、声・咳・痰・覚醒のセットで追うと見逃しが減ります。
| 観察 | 見方(コツ) | 次の一手 |
|---|---|---|
| 声 | 湿性嗄声( “ゴロゴロ” )/食後に悪化/口腔ケア前後で比較 | 体位・口腔ケア・吸引のタイミングを再設計 |
| 咳 | 弱い・遅い・出ない/咳で疲れる/痰が絡む | 咳テスト+気道クリアランス手技へ |
| 痰 | 量・粘稠度・色・ “切れにくさ” /食後に増える | 水分・呼吸再調整・排痰手技をセットで |
| 呼吸 | RR ↑、努力呼吸、食後に SpO₂ 低下、呼吸が浅い | 安全確認 → 呼吸評価・呼吸訓練へ |
| 覚醒・活動 | 日中傾眠、午後に崩れる、離床が減った | 早期離床・活動量の “微増” を毎日回す |
スクリーニング 5 点セット(最短ルート):単独判定を避ける
スクリーニングは “誤嚥を確定する検査” ではなく、危険信号を拾って次の評価( CSE / VE / VF )へつなぐ入口です。水飲みだけ・ RSST だけで決めると、偽陰性や過剰制限につながりやすいので、組み合わせで確度を上げます。
| ツール | 拾いやすいもの | 詰まりどころ | 詳細 |
|---|---|---|---|
| 観察(声・咳・呼吸) | 湿声・咳反射低下・食前後の変化 | 条件(体位・口腔・覚醒)が揃っていない | 嚥下評価の実務フロー |
| RSST | 唾液嚥下の反復困難(疲労・覚醒の影響も含む) | 回数だけで “安全” を決めてしまう | RSST の評価方法 |
| 水飲み( 3 oz など ) | むせ・湿声・呼吸変化の拾い上げ | 量・速度を固定しないと解釈が崩れる | 3 oz 水飲みテスト(使い分け) |
| 咳テスト | 不顕性誤嚥リスク(咳反射低下) | 単独で結論を出す(所見とセットで判断) | 咳テスト(手順・中止基準・記録) |
| 10 分プロトコル(組合せ) | “進む / 止める” の判定とトリアージ | 陽性後の初期対応が曖昧で止まる | 不顕性誤嚥スクリーニング( 10 分 ) |
予防は “バンドル” : 7 要素を毎日チェックで回す
誤嚥性肺炎の予防は、単発介入だと抜けやすいので、 7 要素をセットで毎日確認します。大切なのは “完璧に全部” ではなく、できるところから小さく回し、所見 → 介入 → 再評価を 1 行で残すことです。
気道クリアランス(痰を “動かす → 上げる → 回収する” )
痰が切れない・咳が弱いケースでは、咳だけで頑張ると疲労と低換気で悪化しやすいです。まずは、呼吸再調整 → 体位 → PEP / 排痰手技 → 出口(ハフィング / 最小の咳)の順で “やりすぎない設計” にします。
- PEP(陽圧呼気)|やり方・適応・禁忌と “やりすぎ” 対策
- 体位ドレナージ(体位排痰法)|やり方と禁忌
- コンフォートカフ II の使い方|人工呼吸器併用の排痰
- VOCSN-VC 使い方|マスク運用の排痰補助
記録と申し送り( “ 1 行で伝わる形” に固定 )
誤嚥性肺炎は、情報共有が崩れると介入が点在します。最低限は、①何が変わったか(予兆)②何で判定したか(組合せ)③何を変えたか(体位・口腔・呼吸・活動・水分栄養)④いつ再評価するかの 4 点を揃えます。
- 観察テンプレ:予兆サインと初期対応
- 順番の固定:対応プロトコル( PT )
現場の詰まりどころ(よくある失敗 → 修正)
| よくある失敗 | なぜ起きる? | 修正(最短) |
|---|---|---|
| 水飲みだけで結論を出す | 単独判定で偽陰性・過剰制限が増える | 観察+ RSST +咳テスト+ 10 分プロトコルで “組合せ” にする |
| 嚥下だけを見て終わる | 体位・口腔・活動・呼吸・水分栄養が抜ける | 予防バンドルを “毎日チェック” で回し、できるところから小さく同時に整える |
| 排痰が “頑張り” になる | 咳だけで疲労し、低換気・苦痛が増える | 呼吸再調整 → 体位 → PEP → 出口(ハフィング)で “やりすぎない設計” |
| 申し送りが曖昧で介入が点在 | 予兆・判定・対応・再評価の予約が揃っていない | 4 点(変化 / 判定 / 介入 / 再評価)を 1 行で残す |
よくある質問( FAQ )
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. 「むせがない」のに誤嚥性肺炎が疑われます。どう考えますか?
A. むせが目立たないケースでは、不顕性誤嚥(サイレント)の可能性があります。声(湿性嗄声)、咳の弱さ、食後の呼吸変化、痰の増加など “所見の組合せ” で拾い、10 分スクリーニングで安全にトリアージします。
Q2. RSST や水飲みが陰性でも、臨床的に怪しいときは?
A. 陰性=安全ではありません。観察所見(声・咳・呼吸・痰・時間変化)を優先し、検査は “組合せ” で確度を上げます。順番は 嚥下評価の実務フローに沿って進めると迷いにくいです。
Q3. 予防は何から始めるのが現実的ですか?
A. いきなり全部は難しいので、まずは体位(摂食・安静・睡眠)と口腔ケアを “毎日回す” 形に固定し、次に活動と呼吸、水分栄養を小さく追加します。具体は 予防バンドルをそのまま採用すると早いです。
Q4. 排痰が苦しそうで、やればやるほど疲れます
A. 咳だけで頑張ると疲労が増えやすいので、まず呼吸再調整と体位で “痰が動く条件” を作り、短時間の PEP や体位ドレナージで移送 → 出口(ハフィング)へつなげます。関連:PEP / 体位ドレナージ。
次の一手(いまの状況から 1 つだけ選ぶ)
- 予兆が怪しい:予兆サインと初期対応(観察テンプレ)
- 判定で迷う:不顕性誤嚥スクリーニング( 10 分 ) → 嚥下評価の実務フロー
- 再発予防を回したい:予防バンドル(実装テンプレ)
- 痰が詰まる:PEP / 体位ドレナージを “短時間で反応を見る” 設計にする
運用を整える → 共有の型を作る → 環境の詰まりも点検(無料チェックシート)
マイナビコメディカル|面談準備チェック&職場評価シートを開く参考資料
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・じょくそうなどで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- じょくそう・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、じょくそう・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


