身長・体重の測定方法|立位困難時の代替と記録【Excel・PDF】

栄養・嚥下
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身長・体重の測定方法|立位困難時は方法を選び、条件を記録する

身長・体重測定で重要なのは、立位測定にこだわることではありません。立位で安全に測れるかを確認し、難しい場合は身体状況に応じて仰臥位での分割測定や推定身長などへ切り替えます。体重は、測定方法だけでなく、時間帯、食事・排泄、衣類・付属品、支持、機器、浮腫などの条件を残すことが経時比較につながります。

この記事では、成人の臨床場面を中心に、身長・体重の方法選択、立位困難時の代替法、推定値の扱い、体重測定条件、記録方法を整理します。実測値と推定値を混同せず、「どの方法・条件で得た数字か」まで記録できるExcel・PDFシートも掲載しています。

最初に判断|立位で安全に測れるかを確認する

最初に決めるのは「立位・仰臥位・推定のどれを優先するか」ではなく、その人に安全かつ再現可能な方法はどれかです。立位が安定していれば通常の実測を行い、立位が難しい場合は身体状況と測定可能な部位から代替法を選びます。

厚生労働省の障害者等を対象とした栄養ケア・マネジメントの手引きでは、立位が取れない場合の身長測定として、仰臥位での三点測定・五点測定や、膝高からの推定などが示されています。つまり、「立位できない=必ず一つの方法へ進む」のではなく、測定可能な条件に応じて方法を選ぶ考え方が基本です。

立位が困難な方の身長・体重測定の流れ。安全確認から身長と体重の測定方法選択、条件記録、前回との比較までを整理した図版
立位が難しい場合も、固定した一本道ではなく、安全性と身体状況から身長・体重の測定方法を選び、条件を記録して前回比較につなげます。

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身長・体重測定の方法選択|最初に確認すること
状況 選択肢 最低限記録すること 判断のポイント
立位を安全に保持できる 立位で実測 測定方法、姿勢、必要な支持 無理な支持や介助で測定値が変わらない条件にします。
立位は難しいが、仰臥位で身体各部を測定できる 仰臥位での分割測定 三点・五点などの方法、姿勢、拘縮・円背 分割測定法そのものを記録し、別の方法で得た値と区別します。
立位・分割測定が難しい、または推定法を採用する 推定身長 推定であること、推定法、使用式・出典、姿勢 実測値として扱わず、計算値の前提が分かるように残します。
体重計へ安全に移動できない 車椅子・ベッド・リフト等に対応した機器を検討 測定方法、機器、付属品、介助条件 施設設備と安全性を優先し、使用した方法を明記します。
安全に測定できる方法がない 欠測として扱う 欠測理由、次回の測定計画 無理に数値を作らず、測定できなかった理由を残します。

判断の基本:立位できない場合に「必ず仰臥位」「必ず膝高」と固定するのではなく、身体状況、測定可能部位、施設で採用している方法から選びます。どの方法を選んでも、方法名を記録へ残すことが重要です。

身長|立位困難時は分割測定または推定法を選ぶ

立位で身長を実測できない場合は、仰臥位で身体を分割して測る方法と、身体の一部から身長を推定する方法が選択肢になります。どちらが常に優れているというものではないため、患者の姿勢、拘縮、疼痛、測定可能部位を確認して選びます。

仰臥位での分割測定|「臥位実測」ではなく方法名まで残す

仰臥位での身長測定には、身体を複数の区間に分けて長さを測り、その合計から身長を求める方法があります。厚生労働省の手引きでは三点測定・五点測定が例示されています。

ここで重要なのは、「臥位で158cm」のように数字だけを残さないことです。分割測定は通常の立位実測とは測定方法が異なるため、「仰臥位分割・三点」「仰臥位分割・五点」など、採用した方法を一緒に記録します。

  • 円背や体幹変形がある場合は、姿勢条件を記録する
  • 股・膝関節の拘縮がある場合は、制限を記録する
  • 疼痛やライン類によって測定姿勢が制限された場合も残す
  • 異なる方法で得た値を、そのまま同じ実測値として比較しない

推定身長|推定法・使用式・姿勢まで記録する

分割測定も難しい場合や、施設で推定法を採用している場合は、膝高、デミスパン、尺骨長などから身長を推定する方法があります。ただし、日本栄養治療学会は、身長測定が困難な場合の標準的な身長推定法は確立していないとして、複数の推定法を紹介しています。

そのため、推定値では「158cm」と数字だけを残すのではなく、推定身長であること、使用した推定法、使用式・出典、測定姿勢を記録します。推定式は対象集団や年齢などの前提が異なるため、出典を確認せず別の式へ切り替えないことも重要です。

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身長を記録するときの区別|実測・分割測定・推定を混ぜない
種別 記録すること 記録例
立位実測 身長、立位実測であること、必要な姿勢条件 身長158.0cm/立位実測
仰臥位での分割測定 身長、分割測定であること、採用した方法、制限 身長158.0cm/仰臥位分割・三点/円背あり
推定身長 推定値、推定法、使用式・出典、姿勢 推定身長158.0cm/膝高/座位/使用式は記録欄参照
既存記録値 数値、測定日、情報源、方法が分かれば方法も記載 身長158.0cm/紹介状記載値/測定方法不明

推定身長をBMI・GNRIなどに使うとき

推定身長をBMIなどの計算へ使用する場合は、計算結果だけでなく、身長が推定値であることを追跡できるようにしておくことが重要です。異なる推定法や実測値へ変更すると計算結果にも影響するため、前回値との比較では身長の由来を確認してください。

GNRIについては、身長・体重の測定とは別に計算方法や解釈上の注意があります。具体的な運用はGNRIの使い方と運用手順で整理しています。

体重|時間帯・食事・排泄・付属品・機器まで確認する

体重の経時比較では、数字そのものよりもどの条件で測った数字なのかが重要です。食事、排便・排尿、浮腫などによって体重は変化するため、可能な範囲で測定条件をそろえます。

厚生労働省の手引きでも、体重は食事時間、排便・排尿、浮腫などの影響を受けるため、測定時間をできるだけ一定にし、測定方法もそろえることが示されています。

測定方法|立位だけに限定しない

体重計の種類は、患者の移動能力と施設設備に応じて選びます。立位が難しい場合は、車椅子体重計、ベッドスケール、リフト式の体重計などが選択肢になります。

  • 立位体重計:支持や介助によって荷重が抜けていないか確認する
  • 車椅子体重計:車椅子、クッション、付属品などの条件を確認する
  • ベッドスケール:寝具や付属品など、測定時に含まれる条件を確認する
  • リフト式など:施設で定められた手順と機器の使用条件を優先する

どの機器を使う場合でも、「○kg」だけではなく、測定方法と使用機器が分かる記録にすると、前回値との差を解釈しやすくなります。

体重比較でそろえたい条件

すべての条件を完全に同一にする必要はありません。臨床では、そろえられる条件をそろえ、違った条件は「差分」として記録する方が現実的です。

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体重の経時比較で確認する測定条件
確認項目 記録例 比較するときのポイント
測定方法 車椅子体重計 前回と方法が変わった場合は、その差を考慮します。
時刻・時間帯 08:30 可能なら近い時間帯で測定します。
食事との位置関係 朝食前 食前・食後が変わっていないか確認します。
排泄との位置関係 排尿後 便秘・下痢を含め、大きな条件差があれば残します。
衣類 病衣上下 衣類の量が大きく変わった場合は記録します。
付属品・寝具 同一クッション使用 クッション、毛布、装具などの変更を確認します。
支持・介助 手すり把持なし 立位測定では荷重が支持物へ逃げていないか確認します。
測定機器 ○棟 車椅子体重計 可能なら同じ機器を使用します。

浮腫・点滴・利尿があるとき|体重変化を栄養だけで解釈しない

体重は、栄養状態だけで変化する数字ではありません。浮腫、点滴・補液、利尿、排泄などによる体液量の変化が重なると、体重増減の意味が変わります。

たとえば体重が増えていても浮腫が増悪している場合、その増加をそのまま栄養状態の改善とは判断できません。反対に、利尿や浮腫改善に伴う体重減少を、すべて栄養悪化と捉えることも避けます。

再評価では、体重値と一緒に次の背景を確認します。

  • 浮腫の有無と、前回からの変化
  • 点滴・補液条件の変更
  • 利尿薬など体液量へ影響する治療条件の変更
  • 排便・排尿、便秘・下痢などの変化
  • 装具や付属品など測定重量へ影響するもの

記録|「数字+方法+条件」で残す

身長・体重の記録では、すべての情報を長文で残す必要はありません。最低限、数字、測定方法、前回比較に影響する条件が分かれば、再評価で使いやすくなります。

身長と体重では、記録の目的が少し異なります。身長は「実測・分割測定・推定・既存記録のどれか」と、その出所を明確にすることが中心です。体重は、今回値と前回値を比較できるよう、測定条件の変化を残すことが中心になります。

身長の記録例

立位実測:身長158.0cm/立位実測/自立立位

分割測定:身長158.0cm/仰臥位分割・三点/円背あり、膝伸展制限あり

推定:推定身長158.0cm/膝高より算出/座位/使用式・出典を記録

体重の記録例

例:体重54.2kg/車椅子体重計/08:30・朝食前・排尿後/病衣上下/同一クッション/下腿浮腫あり/点滴条件変更なし

再評価時は、前回と完全に同条件だったかを二択で考える必要はありません。「同条件に近い」「条件差あり」「比較に注意」のように比較可能性を判断し、違った条件を一緒に残すと解釈しやすくなります。

Excel・PDF|身長・体重測定 記録・再評価シート v5

記事の内容を実務で記録できるように、「身長・体重測定 記録・再評価シート v5」を用意しています。身長は実測・仰臥位分割・推定・既存記録を区別し、体重は今回値・前回値と測定条件の差を同じ紙面で確認できる構成です。

Excel版は電子入力・施設内での記録に、PDF版はA4での印刷・手書きに使えます。施設で定められた記録様式や測定手順がある場合は、そちらを優先してください。

Excel版:入力・再評価用。今回値と前回値、測定条件を一覧で記録できます。

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PDF版:A4・1枚。印刷して手書きで使用できます。

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無理に測らない|延期・方法変更を検討する場面

身長・体重は基本的な身体計測ですが、測定のために転倒や疼痛、ライン事故のリスクを高める必要はありません。安全に測定できない場合は、立位を中止して方法を変更するか、必要に応じて欠測として扱います。

  • 立位保持が不安定で、転倒リスクが高い
  • 立位中に冷汗、気分不良、失神前症状などが出現する
  • 疼痛や拘縮により測定姿勢の保持が困難
  • ドレーン、点滴、創部、装具などの安全確保が難しい
  • 必要な介助によって体重計への荷重条件が大きく変わる

測定を見送った場合も、「測れなかった」だけで終わらせず、欠測理由と次に検討する方法を記録すると、次回の対応につながります。

よくある失敗|比較できない数字を作らない

身長・体重で避けたいのは、測定値が少しずれることよりも、方法や条件が分からず、なぜ違ったのか説明できない状態です。次の4つは特に起こりやすいため、記録時に確認します。

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身長・体重測定で起こりやすいNGと対策
NG 問題 対策
推定身長を実測値として記録する BMIなどの前提が分からなくなる 「推定」と明記し、推定法・使用式・姿勢を残す
仰臥位測定をすべて「臥位実測」とだけ書く どの方法で得た値か再現できない 三点・五点など採用した分割測定法を残す
体重だけ記録して測定条件を残さない 前回との差が身体変化か条件差か判断しにくい 時刻、食事・排泄、付属品、機器など必要な条件を残す
浮腫や補液の変化を無視して解釈する 体液量の変化を栄養変化と誤認する可能性がある 浮腫、点滴・補液、利尿などの背景を併記する

よくある質問

項目名をタップすると回答が開きます。

Q1.立位できない場合、仰臥位での分割測定と推定身長のどちらを選びますか?

一律にどちらかを優先するのではなく、身体状況、拘縮・円背、疼痛、測定可能な部位、施設で採用している方法から選びます。仰臥位で身体各部を安定して測定できる場合は分割測定を検討でき、条件が難しい場合には膝高などを用いた推定法が選択肢になります。どちらの場合も、採用した方法を記録してください。

Q2.推定身長を使ってBMIやGNRIを計算してもよいですか?

測定困難な場面では推定身長を使用することがありますが、実測身長と同じものとして扱わず、推定値であること、推定法、使用式・出典を記録しておくことが重要です。再評価では、身長の算出方法が前回から変わっていないかも確認します。

Q3.体重測定の条件を毎回完全にそろえられません。比較できますか?

完全に同一条件にできなくても、条件差が分かれば解釈できます。時間帯、食事・排泄、衣類、付属品、支持、機器、浮腫や補液など、前回と違った条件を残してください。「条件差あり」「比較に注意」と判断できるだけでも、数字だけを比較するより安全です。

まとめ|身長は方法を明記し、体重は条件差まで残す

身長・体重測定では、「立位→仰臥位→推定」という固定的な一本道ではなく、安全性と測定可能な条件から方法を選ぶことが重要です。立位が難しい身長測定では、仰臥位での分割測定や推定身長を選択肢とし、実測・分割測定・推定を区別して記録します。

体重は、測定方法に加えて時間帯、食事・排泄、衣類・付属品、支持、機器、体液背景を確認します。すべてを完全に固定することより、前回と何が同じで、何が違ったかを説明できる記録にすることが、再評価で使える数字につながります。

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参考文献

  1. 厚生労働省. 障害福祉サービスにおける栄養ケア・マネジメントの実務の手引き(初版). 2022. 厚生労働省資料
  2. 日本栄養治療学会. GLIM よくあるご質問:身長が測定できない場合はどうすればよいですか? 日本栄養治療学会
  3. Chumlea WC, Roche AF, Steinbaugh ML. Estimating stature from knee height for persons 60 to 90 years of age. J Am Geriatr Soc. 1985;33(2):116-120. PubMed
  4. Cederholm T, Jensen GL, Correia MITD, et al. GLIM criteria for the diagnosis of malnutrition: A consensus report from the global clinical nutrition community. Clin Nutr. 2019;38(1):1-9. doi:10.1016/j.clnu.2018.08.002. DOI

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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