杖・歩行器の選び方と使い分け

ディスプレイ広告
スポンサーリンク
臨床手技・プロトコル
記事内に広告が含まれています。

目的と前提(適合=安全と自立)

杖・歩行器は転倒リスクの低減移動の自立を両立させるツールです。選定は「身体機能 × 環境 × ゴール」で決まり、採寸 → 練習 → 見直しのサイクルで最適化します。記事後半にFAQ採寸チェックリストも用意しました。

臨床と学びを両立|PTキャリアガイド

使い分け早見表(状況→デバイス)

状況別の推奨デバイス(成人・2025年版)
状況/課題 杖(T字/四点) 歩行器(固定/前輪/四輪) ポイント
片側下肢の軽〜中等度筋力低下 ◎ T字杖 健側で使用。歩容に合わせ支持周期を指導。
両側バランス低下・恐怖感大 △ 四点杖 ◎ 固定型 → 前輪型 安定性優先。段差/傾斜は固定型が安全。
長距離移動・屋外 ◎ 四輪(ロレータ) 休憩用シート・買物かご等の付属品も考慮。
片麻痺で立脚期が不安定 ○ 四点杖 ○ 固定型 歩行練習と併せ、FGAで経時評価。
パーキンソン病のすくみ足 ○ 四輪(レーザー付き等) 安全第一。段差や狭所は介助併用。

採寸とセットアップ

  1. 身長目安:肘屈曲 20–30° となる高さにグリップ。
  2. ランドマーク:上肢を自然下垂し、橈骨茎状突起(手首のしわ付近)と同高を基準に微調整。
  3. グリップ:痛みや握力に応じ太さ・形状を選択。
  4. 歩行器:肘角度 20–30°、キャスター径は段差・屋内外で選択。

練習と評価は目標設定フローに沿って段階化し、ABCFES-Iで心理面もモニターします。

練習の段階づけ

  1. 屋内平地(直線・方向転換)→ドア・段差→屋外。
  2. 歩行距離・速度・二重課題(デュアルタスク)を段階的に追加。
  3. 転倒歴とABCFES-Iで心理面も観察。

安全管理の要点

  • 先ゴム摩耗のチェック(溝消失は交換)。
  • 階段・傾斜は「上がるときは健側先行/降りるときは患側先行」を徹底。
  • 夜間は足元灯・センサー灯を併用。

よくある質問(FAQ)

杖の高さはどこで合わせますか?
基本は肘屈曲20–30°になるグリップ高。自然立位で腕を下げ、橈骨茎状突起(手首のしわ付近)と同高を基準に微調整します(本文「採寸とセットアップ」)。
四点杖とT字杖、どちらが安定しますか?
安定度は四点杖>T字杖ですが、歩行速度や段差・狭所での取り回しを考えると、状況に応じた使い分けが安全です(本文「使い分け早見表」)。
四輪歩行器(ロレータ)は屋内でも使えますか?
可能ですが、狭所・段差が多い環境では固定型/前輪型の方が安全なことがあります。屋外長距離は四輪が有利です。
パーキンソン病のすくみ足には何が向きますか?
レーザー等の視覚手がかり付き四輪歩行器が有効な場合があります。段差・人混みは介助併用を基本に、FGAで経時評価を。

採寸チェック(コピペ用メモ)

□ 自然立位で肘角度20–30°
□ グリップ→橈骨茎状突起の高さ
□ 杖は健側/歩行器は肘角20–30°
□ 先ゴム・ブレーキ・脚キャップ点検
□ 屋内外の段差と傾斜を確認
□ 練習:屋内→段差→屋外の順で段階化
□ ABC・FES-Iで心理面も確認
タイトルとURLをコピーしました