様式94の書き方|特別事情届出書の4項目と再提出

制度・実務
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様式94は「4つの欄」と「再提出」を先に確認すると書きやすくなります

様式94(特別事情届出書)は、ベースアップ評価料で対象職員の賃金水準を引き下げたうえで賃金改善を行う場合に使う届出書です。この記事では、制度全体ではなく、各欄に何を書くか、書く前に何をそろえるか、年度をまたぐ場合の再提出をどう確認するかに絞って整理します。事務担当者や管理職が、提出前の抜けを減らすための実務メモとして使える内容です。

様式94は何を書く書類か

様式94は、賃金水準を引き下げる必要がある事情と、その後の改善見込み、労使合意を説明する書類です。

通常の賃金改善計画書が「どのように賃金改善を行うか」を示す書類であるのに対し、様式94は「なぜ特例的に賃金水準の引下げを伴うのか」を補足する役割があります。

そのため、書式を開いてから文章を考えるよりも、先に次の4つを整理しておくと書きやすくなります。

様式94の書き方を5つの流れで整理した図版
様式94は、必要がある状況、引下げの内容、改善の見込み、労使合意、年度またぎの再提出確認という流れで整理すると進めやすくなります。

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様式94で整理する4つの記載欄
記載欄 書く内容 事前にそろえたい情報
必要がある状況 なぜ賃金引下げが必要か 収支状況、患者数、資金繰り、経営上の事情
引下げの内容 期間、対象、金額など 対象職員、実施時期、引下げ幅
改善の見込み 経営と賃金水準をどう改善するか 改善計画、収支改善の見通し、今後の方針
労使合意 いつ、どのように合意したか 合意日、説明資料、協議記録、合意確認

書く前に確認したい順番

様式94は、必要性、内容、見込み、合意の順に確認すると抜けを減らしやすいです。

実務では、いきなり文章を書き始めるよりも、まず「この届出が本当に必要なケースか」を確認し、その後に4つの欄ごとに材料を分ける方が整理しやすくなります。

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様式94を書く前の確認順序
順番 確認すること 見るポイント
1 必要ケースか確認する 賃金水準の引下げを伴う特例対応か
2 経営上の事情を整理する 赤字、患者数減少、資金繰りなどを説明できるか
3 引下げ内容を整理する 期間、対象、金額等が曖昧でないか
4 改善見込みを確認する 今後の経営改善と賃金水準の回復方針があるか
5 労使合意を確認する 合意の時期と方法を説明できるか

「必要がある状況」の書き方

この欄では、事業の継続を図るために、なぜ賃金水準の引下げが必要なのかを書きます。

単に「経営が厳しい」と書くだけでは、状況が伝わりにくくなります。患者数の減少、収支の赤字、資金繰りへの影響など、経営上の事情が分かるように整理するのが基本です。

文章にするときは、次のように「背景」と「必要性」をつなげると書きやすくなります。

記載の考え方:
患者数の減少や収支悪化などにより、一定期間にわたり経営状況が悪化している。そのため、事業の継続を図る観点から、対象職員の賃金水準を一時的に引き下げたうえで、賃金改善を行う必要がある。

「賃金水準の引下げの内容」の書き方

この欄では、いつからいつまで、誰を対象に、どの程度引き下げるのかを具体的に整理します。

引下げ内容が曖昧だと、必要性や労使合意の説明も弱くなります。期間、対象、金額等を先に一覧化してから、様式に落とし込むと確認しやすくなります。

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賃金水準の引下げ内容で確認する項目
確認項目 書く内容 注意点
期間 いつからいつまで引き下げるか 年度をまたぐ場合は再提出も確認する
対象 どの職員が対象か 職種や雇用区分を曖昧にしない
金額等 どの程度引き下げるか 金額、率、算定方法を説明できる形にする
理由との整合 必要がある状況と内容が合っているか 経営上の事情と引下げ幅が不自然でないか確認する

「改善の見込み」の書き方

この欄では、経営と賃金水準を今後どのように改善していくかを書きます。

「現在厳しい」という説明だけで終わると、様式94としては弱くなります。今後の収支改善、稼働率の回復、費用見直し、賃金水準の回復方針など、次の見通しを示すことが大切です。

様式上は、経営及び賃金水準の改善に係る計画等を提出して代替できる場合があります。書き切れない場合は、別資料の内容と矛盾しないように、様式本文では要点を簡潔にまとめると整理しやすくなります。

「労使合意」の書き方

この欄では、賃金水準を引き下げることについて、適切に労使合意を得ていることを書きます。

合意の有無だけでなく、合意の時期と方法も確認されます。実務では、説明日、協議日、合意日、説明資料、協議記録などを先に確認しておくと書きやすくなります。

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労使合意で整理したいポイント
確認項目 書く内容 実務のポイント
合意の有無 適切に合意を得ているか 説明だけでなく、合意確認まで整理する
合意の時期 いつ合意したか 年月日を確認する
合意の方法 どのように合意したか 会議、説明会、書面確認などを整理する
記録の有無 説明資料や協議記録があるか 後から説明できる状態にしておく

年度をまたぐ場合は再提出を確認する

様式94は、一度提出すれば必ず終わりとは限りません

地方厚生局では、年度を超えて対象職員の賃金水準を引き下げる場合、次年度の賃金改善計画書を提出する際に、特別事情届出書も再度提出する必要があると案内されています。

そのため、引下げ期間を整理するときは、必ず「年度内で終わるのか」「年度をまたぐのか」を確認してください。ここを見落とすと、翌年度の届出時に確認漏れが起きやすくなります。

様式94でよくある失敗

様式94では、各欄を別々に書きすぎると、全体のつながりが弱くなります

たとえば、「必要がある状況」では経営悪化を書いているのに、「改善の見込み」では具体的な回復方針がない場合、読み手には今後の見通しが伝わりにくくなります。

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様式94の提出前に確認したい失敗例
失敗例 起こりやすい問題 修正の視点
経営が厳しいだけで終わる 必要性が抽象的になる 患者数、収支、資金繰りなど具体的な事情を入れる
対象職員が曖昧 誰に影響するか分かりにくい 職種、雇用区分、対象範囲を確認する
改善見込みが弱い 一時的対応の説明が不足する 今後の経営改善と賃金水準の回復方針を書く
労使合意の時期が不明 合意の確認がしにくい 合意日、方法、記録を整理する
年度またぎを見落とす 再提出漏れにつながる 引下げ期間と次年度計画書の提出時期を確認する

提出前チェックリスト

提出前は、文章のきれいさよりも、4つの欄に必要な情報がそろっているかを確認することが大切です。

とくに、事業継続の必要性、引下げ内容、改善見込み、労使合意、年度またぎの有無は、提出前に担当者間で確認しておくと安心です。

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様式94の提出前チェック
確認項目 チェック内容 確認結果
必要性 賃金水準を引き下げる必要がある状況を説明できる
期間 引下げの開始時期と終了時期を確認した
対象 対象職員の範囲を確認した
金額等 引下げ幅や算定方法を説明できる
改善見込み 経営及び賃金水準の改善方針を整理した
労使合意 合意の時期と方法を確認した
再提出 年度をまたぐ場合の再提出を確認した

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

様式94は何を書く書類ですか?

事業の継続を図るために対象職員の賃金水準を引き下げる必要がある場合に、その状況、引下げ内容、改善見込み、労使合意を整理する書類です。

様式94を書く前に何を準備すればよいですか?

収支状況、対象職員、引下げ期間、引下げ幅、改善方針、労使合意の時期と方法を先に整理しておくと書きやすくなります。

労使合意はどこまで書く必要がありますか?

合意を得ていることに加えて、合意の時期と方法を説明できるように整理します。説明日、協議日、合意日、説明資料、協議記録などを確認しておくと安心です。

年度をまたぐ場合は再提出が必要ですか?

年度を超えて対象職員の賃金水準を引き下げる場合、次年度の賃金改善計画書を提出する際に、特別事情届出書も再度提出する必要があると案内されています。

様式94はPDFだけで確認すればよいですか?

管轄の地方厚生局で案内されている最新の様式や提出方法を確認してください。PDFだけでなく、Excel様式や提出先メールアドレスが案内されている場合があります。

次の一手

まずは、様式94に書く前に、必要がある状況、引下げの内容、改善の見込み、労使合意を1枚のメモに整理してください。そのうえで、年度をまたぐかどうかを確認すると、再提出漏れを防ぎやすくなります。

様式94が必要になる場面から確認したい場合は、ベースアップ評価料の特別事情届出書2026|必要な場面・書き方・注意点もあわせて確認してください。


参考文献

  1. 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定におけるベースアップ評価料等について. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00053.html
  2. 近畿厚生局. ベースアップ評価料等の届出について. https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kinki/gyomu/gyomu/hoken_kikan/shinryohoshuh04_00011.html
  3. 近畿厚生局. 様式94 特別事情届出書. https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kinki/r6-t94.pdf
  4. 東海北陸厚生局. ベースアップ評価料の届出について. https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tokaihokuriku/shinsei/shido_kansa/shitei_kijun/r06baseup.html

著者情報

rehabilikun のプロフィール画像

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を2022年4月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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