障害高齢者の日常生活自立度B1・B2の違い|判定基準と記録例

評価
記事内に広告が含まれています。

B1・B2の違いは「車いすへ自力で移乗するか、介助で移乗するか」です

障害高齢者の日常生活自立度のB1・B2は、どちらも屋内生活に介助を要し、日中はベッド上生活が主体となるBランクです。主な違いは、単純な離床時間の長さではなく、B1は介助なしで車いすへ移乗し、食事・排泄をベッドから離れて行う状態、B2は介助を受けて車いすへ移乗する状態であることです。この記事では、厚生労働省の判定基準に沿って、具体例、迷いやすいケース、記録例まで現場向けに整理します。

J・A・B・Cの全体像から確認したい場合は、障害高齢者の日常生活自立度|寝たきり度の判定基準と記録例を先に確認すると整理しやすくなります。

B1・B2の公式な判定基準

B1・B2を分ける中心的な基準は、車いすなどへの移乗を介助なしで行うか、介助を受けて行うかです。

障害高齢者の日常生活自立度B1・B2の判定基準
分類 公式基準の要点 実務で確認すること
B1 車いすに移乗し、食事・排泄はベッドから離れて行う 介助なしで移乗できるか、食事と排泄を離床して行っているか
B2 介助により車いすに移乗する 移乗時に介助が必要か、食事または排泄にも援助を要するか

厚生労働省の解説では、B1とB2は、座位を保つことや車いすへの移乗を自力で行うか、介助を必要とするかによって区分されています。ここでいう車いすは、一般のいすやポータブルトイレなどに読み替えても差し支えありません。

最初に押さえる結論

  • B1:介助なしで車いすなどへ移乗し、食事・排泄をベッドから離れて行う
  • B2:介助を受けて車いすなどへ移乗し、食事または排泄にも援助を要する

B1とB2の違いを比較

障害高齢者の日常生活自立度B1・B2の判定フロー
B1・B2は、日頃の移乗方法と食事・排泄を行う場所を確認して判定します。

B1・B2では、離床できるかだけでなく、誰の力で移乗しているかを確認する必要があります。

B1とB2の違いを判断する比較表
確認項目 B1 B2
車いすへの移乗 介助なしで行う 介助を受けて行う
食事 ベッドから離れて行う 介助を要する、またはベッド上で行う場合がある
排泄 ベッドから離れて行う 移乗や排泄動作に援助を要する
日中の状態 ベッド上生活が主体だが、自力で離床できる ベッド上生活が主体で、離床にも介助を要する
記録の中心 自力移乗、離床して食事・排泄 移乗介助量、食事・排泄時の援助内容

「車いすで長く過ごせるからB1」「ベッドで過ごす時間が長いからB2」と時間だけで分けるのは適切ではありません。B1・B2はどちらも日中のベッド上生活が主体となり得るため、まず移乗の自立度を確認します。

B1・B2を判定する3ステップ

判定は、Bランクへの該当、移乗方法、食事・排泄場面の順で確認すると迷いにくくなります。

  1. Bランクに該当するか確認する
    屋内生活に何らかの介助を要し、日中はベッド上生活が主体だが、座位を保てる状態かを確認します。
  2. 車いすなどへ介助なしで移乗するか確認する
    日頃から介助なしで移乗していればB1を検討し、人的介助が必要ならB2を検討します。
  3. 食事・排泄を行う場所と介助内容を確認する
    B1では、食事と排泄の両方をベッドから離れて行っているかを確認します。移乗や食事・排泄に援助を要する場合はB2側で整理します。

判定の順番

Bランクに該当する → 移乗が自力か介助か → 食事・排泄をどこで、どのような援助下で行っているか

B1の具体例

B1は、日中のベッド上生活が主体であっても、車いすなどへ介助なしで移乗し、食事・排泄をベッドから離れて行っている状態です。

  • ベッドから車いすへ自力で移乗する
  • 移乗時に介助者が身体を支える必要はない
  • 食事は車いすまたはいすに座って行う
  • 排泄はトイレまたはポータブルトイレで行う
  • 更衣など一部のADLには介助を要する
  • 1日の大半をベッド上で過ごすことがある

たとえば、歩行は困難で日中の多くをベッド上で過ごしていても、ベッドから車いすへの移乗を自力で行い、食事と排泄をベッド外で行っていればB1として整理しやすくなります。

B1の記録例

B1相当。日中はベッド上で過ごす時間が長いが、ベッドから車いすへの移乗は介助なしで可能。食事は車いす座位、排泄はポータブルトイレで行っている。更衣には一部介助を要する。

B2の具体例

B2は、車いすなどへの移乗に人的介助を必要とする状態です。

  • ベッドから車いすへの移乗に一部介助以上を要する
  • 立ち上がりや方向転換時に身体を支える必要がある
  • 移乗動作を自分だけでは完結できない
  • 食事または排泄にも介助者の援助を要する
  • ポータブルトイレへの移乗にも介助を要する
  • 離床の実施が介助者の対応状況に左右される

離床後に長時間車いすで過ごせる場合でも、ベッドから車いすへの移乗に人的介助を要するなら、B1ではなくB2として整理するのが基本です。

B2の記録例

B2相当。日中はベッド上生活が主体であり、ベッドから車いすへの移乗には中等度介助を要する。食事は車いす座位で行うが、移乗および姿勢調整に介助が必要。排泄はポータブルトイレを使用し、移乗と衣服操作に介助を要する。

B1・B2でよくある判定の間違い

よくある間違いは、移乗介助の有無を確認せず、離床時間や車いす座位時間だけで判定することです。

B1・B2でよくある誤判定と修正方法
迷いやすい考え方 問題点 確認し直すこと
長時間車いすで過ごせるためB1 移乗介助の有無が抜けている 車いすへの移乗を介助なしで行っているか
移乗は全介助だが、離床できるためB1 B1・B2の分岐と合わない 人的介助を要するならB2を検討する
ベッド上時間が長いためB2 B1もベッド上生活が主体となり得る 移乗方法と食事・排泄場所を確認する
リハビリでは自力移乗できたためB1 一時的な能力だけを見ている 概ね過去1週間の日頃の状態を確認する
夜間のみおむつを使うためB2 夜間のみのおむつは直ちに排泄介助とは扱わない 日中の排泄場所と介助状況を確認する

新人PTでは、「できるADL」と「しているADL」を混同しやすくなります。リハビリ室で一度自力移乗できても、病棟では毎回介助を受けている場合、日常生活自立度では日頃の状態を優先します。

能力と普段の生活が違う場合の考え方

状態が変動する場合は、最もよくできた場面ではなく、概ね過去1週間でより頻回にみられた日頃の状態を基準にします。

確認したいのは次のような点です。

  • 病棟や自宅で、普段は誰が移乗を行っているか
  • 移乗介助が必要な頻度
  • 食事をベッド外で行っているか
  • 排泄場所と移乗介助の有無
  • 朝夕や体調によって介助量が変わるか
  • 補助具や手すりを使用した状態で自力移乗できるか

療養病棟では、リハビリ時には手すりを使って自力移乗できても、病棟では安全管理上、毎回介助を受けているケースがあります。この場合は、リハビリ時の最大能力だけで決めず、看護師・介護士から日頃の移乗状況を確認し、実際に頻回にみられる状態を記録します。

B1・B2を記録するときの書き方

記録では、B1・B2というランクだけでなく、移乗方法と食事・排泄場面を添えます。

最低限、次の4点を含めると多職種間で解釈がそろいやすくなります。

  • 車いすなどへの移乗方法
  • 人的介助の有無と介助量
  • 食事を行う場所
  • 排泄場所と援助内容

記録の基本形

「B1またはB2相当」+「移乗方法」+「食事場所」+「排泄方法」+「必要な介助」

B1・B2の記録に残したい内容
項目 記載例
移乗 手すりを使用して自力、軽介助、中等度介助、全介助
食事 車いす座位で自力摂取、ベッド上で一部介助
排泄 ポータブルトイレ使用、移乗介助あり、衣服操作全介助
判定期間 概ね過去1週間の日頃の状態を確認
変動要因 朝は介助を要する、疲労時に介助量が増える

リハビリ職が確認したいポイント

リハビリ職は判定だけで終わらせず、B1からB2へ介助量が増えた理由や、B2からB1へ近づくための条件を整理します。

  • 起き上がりから移乗までのどこで介助が必要か
  • 手すりや移乗用具を使えば自力で行えるか
  • 疼痛、筋力低下、麻痺、失行、恐怖心の影響
  • 座位保持や立位保持の安定性
  • 介助者の方法によって能力発揮が変わらないか
  • 排泄動作まで含めて生活場面が成立するか

B2の方が一度だけ自力移乗できたとしても、直ちにB1へ変更するのではなく、日常生活の中で自力移乗とベッド外での食事・排泄が継続しているかを確認します。再評価では、能力の変化と実際の生活への定着を分けて記録することが重要です。

まとめ

障害高齢者の日常生活自立度のB1・B2は、車いすで過ごす時間の長さだけで分けるものではありません。

  • B1:介助なしで車いすなどへ移乗し、食事・排泄をベッドから離れて行う
  • B2:介助を受けて車いすなどへ移乗し、食事または排泄にも援助を要する

どちらも日中はベッド上生活が主体となり得ます。判定では、最もよくできた場面ではなく、概ね過去1週間の日頃の状態を確認し、移乗方法、食事場所、排泄方法、介助内容を根拠として残しましょう。

よくある質問

B1とB2の一番大きな違いは何ですか?

車いすなどへの移乗を介助なしで行うか、介助を受けて行うかです。B1は介助なしで移乗し、食事・排泄をベッドから離れて行います。B2は移乗に介助を要します。

車いすで長時間過ごせればB1ですか?

長時間過ごせることだけではB1になりません。車いすへの移乗に人的介助を要する場合は、B2を検討します。

移乗が軽介助の場合はB1とB2のどちらですか?

人的介助を受けて車いすへ移乗しているため、基本的にはB2側で整理します。手すりや補助具を使うだけで人的介助が不要な場合は、B1を検討できます。

リハビリ時だけ自力移乗できる場合はB1ですか?

一度できた能力だけでは決めません。概ね過去1週間の日頃の生活で、介助なしの移乗がより頻回に行われているかを確認します。

夜間だけおむつを使用している場合はB2ですか?

夜間のみおむつを使用することだけで、直ちにB2とは判断しません。日中の移乗、食事、排泄の状態を含めて判定します。

次の一手

B1・B2の分岐を確認したら、次はJ・A・B・C全体の位置づけと、障害高齢者・認知症高齢者の2種類の自立度を整理すると、主治医意見書や申し送りで迷いにくくなります。


参考文献

  1. 厚生労働省. 障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準.
  2. 厚生労働省. 認定調査員テキスト2009改訂版.

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

医療機関・介護福祉施設・訪問リハビリの現場経験に基づき、臨床で使いやすい評価、記録、プロトコルを発信しています。

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級