FIM 7 点と 6 点の違いは「条件なし」か「条件あり」かで決める
FIM の 7 点(完全自立)と 6 点(修正自立)は、どちらも「介助者の身体介助を受けずに行える」状態です。違いは、補助具・通常より長い所要時間・安全配慮などの条件がつくかどうかです。条件なしで安全かつ適切に行えるなら 7 点、条件つきで自立しているなら 6 点と整理します。
この記事では、FIM の全体像ではなく、臨床で迷いやすい「7 点か 6 点か」の境界に絞って解説します。とくに、杖・手すり・リーチャーなどの補助具、時間延長、安全配慮をどう記録に残すかまで確認できる構成にしています。
7 点と 6 点は「補助具・時間・安全配慮」の 3 軸で分ける
判定を安定させるには、毎回同じ順番で確認することが重要です。7 点と 6 点は、①補助具を使うか、②通常より明らかに時間がかかるか、③安全配慮や環境調整が前提か、という 3 軸で切り分けると迷いにくくなります。
「介助なしだから 7 点」と考えると、補助具使用や安全配慮を見落としやすくなります。FIM の採点では、身体介助の有無だけでなく、どの条件で自立しているかを確認することが大切です。
| 比較軸 | 7 点(完全自立) | 6 点(修正自立) |
|---|---|---|
| 補助具 | 補助具を使わずに行える | 杖、手すり、装具、自助具などを使えば行える |
| 所要時間 | 通常範囲の時間で行える | 通常より明らかに時間がかかる |
| 安全配慮 | 特別な配慮なしで安全に行える | 転倒予防、慎重動作、環境調整が前提になる |
| 他者の関与 | 身体介助・見守り・声かけが不要 | 身体介助は不要。ただし条件つきの自立 |
| 記録の要点 | 条件なしで自立していることを書く | 何を使い、どの条件で自立しているかを書く |
FIM 7 点は「条件なしで安全にできる」完全自立
7 点は、対象動作を安全かつ適切に、補助具や他者の関与なしで実施できる状態です。手すり、杖、自助具、見守り、声かけ、環境調整などが不要で、通常範囲の時間で行えることが目安になります。
ただし、1 回だけできた場面をそのまま 7 点にするのは避けます。病棟生活や在宅生活で再現できるか、疲労時や環境が少し変わった場面でも安全性が保てるかを確認して判定します。
FIM 6 点は「条件つきで自立している」修正自立
6 点は、身体介助は不要でも、動作を成立させるために何らかの条件が必要な状態です。代表例は、補助具の使用、通常より長い所要時間、安全確保のための環境調整や慎重動作です。
臨床では「できているから 7 点」と判断しがちですが、杖や手すり、リーチャーなどを使っている場合は、完全自立ではなく修正自立として整理します。6 点は低評価ではなく、条件を明記した自立の評価です。
7 点か 6 点かを迷わない判定フロー
判定は、先に身体介助の有無を確認し、そのあとに条件の有無を確認すると安定します。身体介助が必要な時点で 7 点・6 点ではなく、5 点以下の検討に移ります。
- 身体介助、支え、誘導が必要かを確認する
- 身体介助が不要なら、補助具の使用有無を確認する
- 補助具がなければ、通常より明らかに時間がかかるか確認する
- 最後に、安全配慮や環境調整が前提になっていないか確認する
この順番で、条件なしなら 7 点、条件ありなら 6 点と考えます。条件の具体例は FIM 6 点(修正自立)の考え方 にまとめています。
FIM 7 点 / 6 点の記録シート
7 点と 6 点の境界をチームでそろえるには、補助具・時間・安全配慮を同じ欄に残すことが有効です。以下の記録シートは、評価時のメモ、申し送り前の整理、再評価時の比較に使えます。
中身をプレビューする
現場の詰まりどころは「介助なし= 7 点」と見てしまうこと
現場で最も多い詰まりは、身体介助がないだけで 7 点に寄せてしまうことです。実際には、補助具・時間延長・安全配慮がある場合、介助なしでも 6 点を検討します。
- よくある失敗で、補助具・時間・安全配慮の見落としを確認する
- 判定フローを使い、毎回同じ順番で確認する
- 5 点との境界に迷う場合は、FIM 5 点との違いで見守り・準備の扱いを確認する
ここまで整えても毎回同じところで詰まる場合は、書き方や手順だけでなく、教育体制・共通フォーマット・相談相手の有無など、職場環境の影響を受けている可能性もあります。評価・記録・報告の「型」をまとめて整理したい方は、PT キャリアガイドも参考になります。
場面別の境界は「何を条件に自立しているか」で見る
場面別に見ると、7 点と 6 点の違いはさらに明確になります。大切なのは、動作ができたかどうかだけでなく、何を使い、どの環境で、どの程度安全にできたかを残すことです。
| 場面 | 7 点に寄る所見 | 6 点に寄る所見 |
|---|---|---|
| トイレ動作 | 手すりや見守りなしで安定して実施できる | 手すり使用で自立している |
| 更衣 | 補助具なしで通常時間内に実施できる | リーチャーなどの自助具を使って実施している |
| 移乗 | 環境条件に依存せず安全に移乗できる | ベッド高調整や手すり使用が前提になる |
| 歩行 | 補助具なしで安全に移動できる | 杖、歩行器、装具を使えば自立している |
よくある失敗は「条件」を記録に残していないこと
7 点と 6 点の判定ミスは、採点そのものよりも記録の曖昧さから起こります。「自立」とだけ書くと、完全自立なのか修正自立なのかが次の評価者に伝わりません。
| よくある失敗 | 起きる理由 | 対策 |
|---|---|---|
| 補助具使用でも 7 点にする | 介助がないことだけで判断してしまう | 補助具使用があれば 6 点を検討する |
| 時間延長を見落とす | 達成可否だけを見ている | 通常より明らかに時間がかかるかを確認する |
| 安全配慮を記録しない | 慎重動作や環境調整を「自立」に含めてしまう | 転倒予防、環境調整、自己管理の条件を書く |
| 見守りを 6 点にする | 身体介助がないため修正自立と誤解する | 見守り・声かけが必要なら 5 点以下を検討する |
記録は「点数+条件+安全性」で残す
監査やカンファレンスで伝わる記録にするには、点数だけでなく、どの条件で自立しているかを 1 文で残します。とくに 6 点では、補助具・時間・安全配慮のどれが理由なのかを明記します。
- 7 点の記録例:更衣は補助具不要、通常時間内に安全に自立して実施。
- 6 点の記録例:更衣はリーチャー使用で自立。所要時間延長あり、転倒なく実施。
- 6 点の記録例:歩行は T 字杖使用で病棟内自立。方向転換時は慎重動作で安全性を確保。
このように残すと、「なぜ 7 点ではなく 6 点なのか」がチーム内で共有しやすくなります。
よくある質問(FAQ)
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FIM 7 点と 6 点は、どちらも自立ですか?
はい。どちらも身体介助なしで行えるという意味では自立です。違いは、補助具、時間延長、安全配慮などの条件があるかどうかです。条件なしが 7 点、条件ありの自立が 6 点です。
杖を使って歩ける場合は 7 点ですか?
杖を使っている時点で補助具使用が条件になるため、原則として 6 点を検討します。杖なしでも安全に通常時間内で歩ける場合は、別途 7 点の可能性を確認します。
時間がかかるだけでも 6 点になりますか?
通常より明らかに時間がかかり、その遅延が日常生活上の条件になっている場合は 6 点を検討します。単発の遅れではなく、病棟や在宅で再現するかを確認します。
見守りが必要な場合は 6 点ですか?
見守り、声かけ、準備、促しが必要な場合は、少なくとも 7 点ではありません。内容によっては 5 点以下を検討します。6 点は「他者の関与なしで、条件つき自立」の状態です。
6 点を 7 点に上げるには何を確認しますか?
補助具なしで行えるか、通常時間内に行えるか、安全配慮や環境調整がなくても再現できるかを確認します。3 つの条件が外れて、日常場面で安定すれば 7 点を検討します。
次の一手
参考文献
- Ottenbacher KJ, Hsu Y, Granger CV, Fiedler RC. The reliability of the Functional Independence Measure: a quantitative review. Arch Phys Med Rehabil. 1996;77(12):1226-1232. DOI / PubMed
- Dodds TA, Martin DP, Stolov WC, Deyo RA. A validation of the Functional Independence Measurement and its performance among rehabilitation inpatients. Arch Phys Med Rehabil. 1993;74(5):531-536. PubMed
- Kidd D, Stewart G, Baldry J, et al. The Functional Independence Measure: a comparative validity and reliability study. Disabil Rehabil. 1995;17(1):10-14. PubMed
- 厚生労働省. 日常生活動作(ADL)の指標 FIM の概要. 公式資料
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


