- 脳CTの見方|新人PT・OTは「どこを見るか」を順番で固定します
- 頭部CTでまず確認する6ポイント
- 脳CTの「白い・黒い」は高吸収・低吸収として捉えます
- 頭部CT 確認・症状照合シート A4 v2
- 脳出血では高吸収域だけでなく広がりと圧排を確認します
- 脳梗塞では「CTで目立たない時期がある」ことを先に知っておきます
- 脳室・脳溝・正中偏位からmass effectを確認します
- 1枚だけでなく前回CTとの比較が重要です
- 画像所見は神経症状と照合して初めて臨床情報になります
- CTだけで離床・運動負荷の可否を決めません
- 記録では「自分が見たこと」と「正式な読影結果」を分けます
- 新人PT・OTが頭部CTで迷いやすい3つのポイント
- CTとMRIは役割が違います
- よくある質問
- 次に学ぶこと|CT・MRIの役割をつなげます
- 参考文献
- 著者情報
脳CTの見方|新人PT・OTは「どこを見るか」を順番で固定します
頭部CTを見るときは、所見名を暗記するよりも、撮影条件→左右と正常構造→高吸収域→低吸収域・左右差→脳室・脳溝・正中偏位→前回画像と症状の照合の順で確認すると整理しやすくなります。
特に重要なのは、CTだけで診断やリハビリ可否を決めないことです。急性期脳梗塞では単純CTで変化が目立たないこともあるため、画像所見だけでなく、意識、運動・感覚、言語、構音、視野、頭痛・嘔吐などの変化、読影レポート、医師方針と照合します。
この記事では、新人PT・OTが頭部CTを開いたときに「最初にどこを見るか」「白い・黒いをどう捉えるか」「脳出血・脳梗塞で何を確認するか」を、画像診断を代替しない範囲で整理します。
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頭部CTでまず確認する6ポイント
新人期は、頭部CTのすべてを一度に読もうとせず、毎回同じ6ポイントを確認することから始めると見落としを減らしやすくなります。
| 順番 | 確認すること | 見るポイント |
|---|---|---|
| 1 | 撮影条件 | 撮影日時、単純CTか造影CTか、前回画像の有無 |
| 2 | 左右・正常構造 | 左右表示、脳室、脳溝、皮質と白質の境界などを左右で比較 |
| 3 | 高吸収域 | 白く見える領域があるか、部位・広がり・前回からの変化 |
| 4 | 低吸収域・左右差 | 黒く見える領域、灰白質と白質の境界、左右差 |
| 5 | 圧排・偏位 | 脳室圧排、脳溝消失、正中偏位などのmass effect |
| 6 | 前回比較・症状照合 | 画像の経時変化を、神経症状・読影レポート・医師方針と照合 |

ポイントは、最初から病名を当てようとしないことです。まず「左右で違うところはあるか」「白いところ・黒いところはあるか」「脳室や脳溝の形は変わっていないか」と順番に確認し、その後に読影レポートや臨床症状と照合します。
脳CTの「白い・黒い」は高吸収・低吸収として捉えます
CTでは、X線をどの程度吸収するかによって画像の濃淡が変わります。新人期は細かなCT値を暗記するよりも、周囲の脳実質と比べて高吸収か低吸収かを確認することから始めると整理しやすくなります。
| 見え方 | 基本的な意味 | 代表例 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 白い | 高吸収 | 骨、急性期の血液、石灰化、造影剤など | 「白い=出血」と単純に決めない |
| 中間 | 脳実質 | 灰白質、白質 | 左右差や灰白質・白質境界の変化を見る |
| 黒い | 低吸収 | 髄液、浮腫を伴う虚血性変化、陳旧性病変など | 発症直後の脳梗塞では変化が目立たないことがある |
そのため、1か所の濃淡だけで結論を出すのではなく、左右差、周囲構造、経時変化、臨床症状まで確認します。
頭部CT 確認・症状照合シート A4 v2
頭部CTを確認するときの順番を、臨床で使いやすいようにA4シートへまとめました。旧版の「通常・軽負荷・延期」という介入区分は廃止し、画像確認→前回比較→神経症状との照合→読影レポート・医師方針の確認に特化しています。
Excel版は院内用に編集・入力したい場合、PDF版は印刷して手書きで確認したい場合に使用できます。
このシートは画像診断や治療判断を代替するものではありません。特に新規・増悪する神経症状がある場合は、シートを埋めることよりも医師への報告・相談を優先してください。
脳出血では高吸収域だけでなく広がりと圧排を確認します
急性期の頭蓋内出血は、単純CTで高吸収域として認識されることが一般的です。ただし、PT・OTが確認するときは「白い部分がある」で終わらず、どこにあるか、どの程度広がっているか、周囲構造へどのような影響があるかを読影レポートと合わせて確認します。
確認するポイント
| 項目 | 確認内容 | 臨床で照合すること |
|---|---|---|
| 部位 | 大脳半球、基底核、視床、小脳、脳幹など | 運動・感覚・意識・眼球運動などとの関係 |
| 広がり | 前回CTから拡大していないか | 神経症状の新規出現・増悪 |
| 脳室 | 脳室内への血液の広がり、脳室形態 | 意識変化、医師・読影レポートの評価 |
| 周囲への影響 | 浮腫、脳室圧排、脳溝消失、正中偏位 | 意識、頭痛、嘔吐などの変化 |
血腫量や予後を画像だけから独自に判断するのではなく、画像上の変化を見つけたら、正式な読影結果と医師方針へ戻ることが重要です。
脳梗塞では「CTで目立たない時期がある」ことを先に知っておきます
急性期脳梗塞で注意したいのは、発症早期には単純CTで虚血性変化がはっきりしないことがある点です。そのため、「CTで明らかな低吸収域がないから脳梗塞ではない」と判断することはできません。
単純CTは急性期脳卒中で頭蓋内出血を確認するうえで重要ですが、早期虚血性変化は軽微な場合があります。代表的には、次のような変化があります。
- 局所的な低吸収化
- 灰白質と白質の境界が不明瞭になる
- 島皮質の輪郭が不明瞭になる
- 基底核領域の境界が不明瞭になる
- 脳溝が浅くなる、または消失する
- 血管内血栓を反映して血管が高吸収に見えることがある
新人PT・OTがこれらを自力で確定診断する必要はありません。むしろ、症状に対してCT所見が乏しい場合もあると理解しておくことが重要です。急に麻痺が悪化した、失語や構音障害が出現した、視野・眼球運動が変化したなど、臨床所見が変わっている場合は画像の見え方だけで安心せず、速やかに共有します。
脳室・脳溝・正中偏位からmass effectを確認します
頭部CTでは病変そのものだけでなく、周囲の正常構造が押されていないかを見ることも重要です。浮腫や出血などによって周囲構造が圧迫される状態はmass effectとして捉えられます。
新人期は、少なくとも次の3点を左右比較してください。
| 確認部位 | 見るポイント | 注意する変化 |
|---|---|---|
| 脳室 | 左右差、形、大きさ | 一側が押されて狭くなっている |
| 脳溝 | 左右の見え方 | 局所的に浅い、または見えにくい |
| 正中 | 左右半球間の位置関係 | 正中構造が反対側へ偏位している |
これらの変化を認めた場合も、PT・OTが頭蓋内圧や重症度を独自に確定するのではなく、読影レポート・医師評価・意識や神経症状の変化を確認します。
1枚だけでなく前回CTとの比較が重要です
頭部CTは、1回の画像だけを見るよりも前回画像との経時比較で得られる情報が多くあります。同じ患者でも、急性期から亜急性期にかけて出血、浮腫、低吸収域、圧排などの見え方は変化します。
前回画像がある場合は、撮影日を確認したうえで、少なくとも以下を比較します。
- 高吸収域が新規出現・拡大・縮小していないか
- 低吸収域や左右差が変化していないか
- 浮腫や脳溝消失が強くなっていないか
- 脳室圧排や正中偏位が変化していないか
- 画像の変化と神経症状の変化が同じ方向を示しているか
特に「昨日より麻痺が強い」「反応が鈍い」などの変化がある場合は、CTだけを比較するのではなく、症状の発生時刻や推移も合わせて確認します。
画像所見は神経症状と照合して初めて臨床情報になります
PT・OTにとって画像を見る目的は、画像診断そのものではなく、目の前の患者に起きている変化を理解する材料を増やすことです。
たとえば、一側大脳半球の病変で対側の運動・感覚障害がみられることはありますが、症状と病変部位の対応は単純ではありません。言語、注意、視野、眼球運動、脳幹・小脳症状なども含め、画像だけで説明しきれないことがあります。
そのため、CT確認後は次のように整理します。
| 確認 | 具体例 |
|---|---|
| 意識 | 覚醒度、反応性、前回からの変化 |
| 運動・感覚 | 麻痺の左右・程度、新規出現、増悪 |
| 言語・構音 | 失語、構音障害、発話量の変化 |
| 視野・眼球 | 視野障害、眼球偏倚、複視など |
| 自覚症状 | 頭痛、嘔気、嘔吐、めまいなど |
CT所見と症状が一致しないこと自体も重要な情報です。特に急性期に症状が変化している場合は、「画像でははっきりしない」という理由だけで経過観察せず、医師・看護師などへ共有します。
CTだけで離床・運動負荷の可否を決めません
頭部CTに所見があるから離床できない、所見が安定しているから通常どおり離床できる、という単純な対応関係はありません。
リハビリテーションの開始・進行では、画像所見だけでなく、医学的安定性、意識・神経症状、循環・呼吸状態、治療内容、医師方針を統合します。特に発症24時間以内の急性期脳卒中では、離床の時期や負荷量を個別に判断する必要があります。
CTを確認する役割は、「離床可否をCTから決めること」ではなく、現在の神経症状や全身状態を理解し、見逃してはいけない変化を共有することと捉えると整理しやすくなります。
記録では「自分が見たこと」と「正式な読影結果」を分けます
画像を確認したあとに記録するときは、PT・OT自身の確認内容と、医師・放射線科医による正式な画像診断を混同しないようにします。
| 項目 | 記録する内容 | 記録例 |
|---|---|---|
| 画像情報 | 撮影日時、単純/造影、前回画像 | 本日撮影の頭部単純CTを確認。 |
| 正式所見 | 読影レポート・医師記録の要点 | 読影レポート上、前回CTと比較して明らかな増悪所見なし。 |
| 臨床所見 | 意識、運動・感覚、言語、構音、視野など | 意識状態に変化なく、新規の麻痺増悪を認めない。 |
| 共有内容 | 相談先、時刻、確認した方針 | 症状変化時は中止し、主治医へ報告する方針を確認。 |
「CT上○○と診断した」のように画像診断を断定するのではなく、必要に応じて「読影レポート上」「医師記録上」と情報源を明確にすると、記録の役割が分かりやすくなります。
新人PT・OTが頭部CTで迷いやすい3つのポイント
頭部CTでつまずきやすいのは、画像知識が足りないことだけではありません。確認する目的が曖昧なまま画像を開くと、細かな所見名に意識を取られてしまいます。
| 迷いやすいこと | 問題 | 対応 |
|---|---|---|
| 病名を当てようとする | 画像診断そのものが目的になる | 左右差・吸収域・圧排・経時変化の確認に戻る |
| CTが正常に見えて安心する | 早期脳梗塞の変化を捉えられない可能性がある | 神経症状と発症時刻を優先して照合する |
| 画像だけで離床判断する | 全身状態や医師方針が抜ける | 画像を医学的安定性を判断する情報の1つとして扱う |
CTとMRIは役割が違います
CTとMRIは「どちらが優れているか」ではなく、目的によって使い分けられます。単純CTは短時間で撮影でき、急性期に頭蓋内出血を評価するうえで重要です。一方、MRI、とくに拡散強調画像は急性期虚血性病変の検出に有用です。
PT・OTが両者の違いを整理するときは、病変の見え方だけでなく、「何を確認するためにその検査が行われたのか」を見ると理解しやすくなります。
よくある質問
Q1. 脳CTで白く見えたら脳出血ですか?
必ずしも脳出血とは限りません。急性期の血液は高吸収として白く見えることが一般的ですが、骨、石灰化、造影剤なども高吸収になります。部位、周囲構造、撮影条件、読影レポートと合わせて確認します。
Q2. CTで異常が見えなければ脳梗塞ではないですか?
いいえ。発症早期の虚血性脳卒中では、単純CTで明瞭な変化がみられないことがあります。神経症状が新規出現・増悪している場合は、CTの見え方だけで否定せず、医師へ共有します。
Q3. PT・OTがCTを見て離床してよいか決めてもよいですか?
CT所見だけで離床・運動負荷の可否を決めるものではありません。医学的安定性、神経症状、循環・呼吸状態、治療内容、医師方針を統合して判断します。CTはその判断材料の1つです。
Q4. CTとMRIはどちらから勉強したほうがよいですか?
新人PT・OTでは、まず頭部CTの左右、吸収域、脳室・脳溝、正中偏位、経時変化を確認できるようにすると整理しやすくなります。その後、MRIのDWI、FLAIR、T1・T2などへ進むと、急性期から慢性期まで病変を理解しやすくなります。
次に学ぶこと|CT・MRIの役割をつなげます
頭部CTの基本が整理できたら、次は「CTとMRIをいつ使い分けるか」と「MRIでは何を見るか」を分けて確認すると、画像読影の全体像がつながります。
参考文献
- 日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン委員会. 脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2025〕. 日本脳卒中学会; 2025.
- Prabhakaran S, Gonzalez NR, Zachrison KS, et al. 2026 Guideline for the Early Management of Patients With Acute Ischemic Stroke: A Guideline From the American Heart Association/American Stroke Association. Stroke. 2026. doi:10.1161/STR.0000000000000513.
- 日本医学放射線学会 編. 画像診断ガイドライン2021年版(第3版). 金原出版; 2021.
- Lövblad KO, Baird AE. Imaging of Ischemic Stroke. Continuum. 2010;16(3 Cerebrovascular Disease):27-42.
- Greenberg SM, Ziai WC, Cordonnier C, et al. 2022 Guideline for the Management of Patients With Spontaneous Intracerebral Hemorrhage. Stroke. 2022;53(7):e282-e361.
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。
現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。
保有資格
- 脳卒中認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級

