2026改定で病棟専従療法士の業務範囲が明確になりました
令和8年度診療報酬改定では、地域包括医療病棟、回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟に配置される専従の療法士等について、当該病棟の患者に必要な他区分の業務、病棟外・屋外での評価・指導、一定条件下での兼任が明確化されました。
重要なのは、「専従だから病棟から出られない」と一律に考えないことです。一方で、病棟専従であれば院内のどの業務でも自由にできるわけではありません。本記事では、PT・OT・STやリハ管理者向けに、何ができるのか、どこに条件があるのか、疾患別リハの専従者とは何が違うのかを整理します。
最終更新:2026年9月18日|令和8年度診療報酬改定の厚生労働省資料・通知を確認
結論|病棟外での評価・指導や他区分の業務も「必要性」で確認します
令和8年度改定後のポイントは、病棟専従という言葉だけで業務場所や仕事内容を制限しないことです。地域包括医療病棟、回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟の専従療法士等について、当該病棟の患者に必要がある場合の業務範囲が明確になりました。
| 確認事項 | 2026改定後の整理 | 注意点 |
|---|---|---|
| 病棟内の評価・指導 | ADLの維持・向上、自立等を目的とした評価・指導を行う | 疾患別リハの対象外患者も含め、各入院料の規定を確認する |
| 病棟外・屋外 | 必要に応じて配置病棟以外でも評価・指導等を実施できる | 当該病棟の患者への必要な業務であることが前提 |
| 他区分の業務 | 退院時リハビリテーション指導料等、認められた業務へ従事できる | 院内のすべての業務を自由に行えるという意味ではない |
| 兼任 | 一定の病棟・病室配置では専従療法士の兼任が可能 | どの専従配置でも兼任できるわけではない |

つまり、実務では「どの入院料の専従者か」「誰に対する業務か」「何のための評価・指導か」「別の算定要件がないか」を順番に確認すると整理しやすくなります。
対象は地域包括医療・回復期リハ・地域包括ケア病棟です
今回の「病棟(入院料)において配置される療法士の業務の明確化」で示された主な対象は、地域包括医療病棟入院料、回復期リハビリテーション病棟入院料、地域包括ケア病棟入院料に規定される専従療法士等です。
| 病棟 | 今回押さえるポイント |
|---|---|
| 地域包括医療病棟 | ADLの維持・向上等の評価・指導、必要な他区分業務、病棟外での業務を明確化 |
| 回復期リハビリテーション病棟 | 当該病棟患者へのリハ提供とADLの向上・自立等に関する評価・指導の業務範囲を明確化 |
| 地域包括ケア病棟 | 当該病棟患者へのADLの維持・向上等に関する評価・指導の業務範囲を明確化 |
ここで注意したいのが、病棟に配置される専従療法士と、疾患別リハビリテーション料の施設基準上の専従療法士を同じものとして扱わないことです。同じ「専従」という言葉でも、配置根拠と適用される規定が異なります。
病棟外・屋外での評価・指導も可能です
令和8年度改定では、当該病棟の患者への評価・指導等について、必要に応じて病棟外または屋外など、配置された病棟以外の場所で実施できることが明確化されました。
したがって、「病棟専従だから病棟フロアを出てはいけない」という理解は適切ではありません。生活動作や退院後の生活を見据えた評価・指導では、病棟の中だけでは確認しにくい課題があります。
病棟外で実施するときに確認する4点
- 配置されている病棟の患者に対する業務か
- その患者への評価・指導として必要か
- 病棟外で実施する目的を説明できるか
- 実施する内容が療法士に認められた業務の範囲か
病棟外で実施できることと、病院外で行う疾患別リハビリテーションの算定ルールは同じ話ではありません。「業務場所として可能か」と「診療報酬として算定できるか」は分けて確認します。
退院時リハ指導料など他区分の業務にも従事できます
今回の改定では、当該病棟の患者に必要がある場合、病棟専従療法士等がその他の区分番号に掲げる一定の業務へ従事できることも明確化されました。
厚生労働省の改定資料では、具体例として退院時リハビリテーション指導料等が示されています。また、各入院料の規定では、評価・指導に必要な場合に、医科点数表の該当項目のうちPT・OT・STが行うこととして認められている業務へ従事できることが示されています。
| 順番 | 確認内容 |
|---|---|
| 1 | 自分がどの入院料・入院医療管理料の専従者かを確認する |
| 2 | 対象が配置病棟の患者かを確認する |
| 3 | 当該患者への評価・指導として必要な業務かを確認する |
| 4 | PT・OT・STが実施することを認められている業務かを確認する |
| 5 | 別途算定する場合は、その診療行為固有の算定要件も確認する |
専従者として従事できることと、その診療報酬を算定できることは同義ではありません。別の診療行為を算定するときは、対象患者や実施者など、その項目固有の要件まで確認します。
兼任できるのは一定条件を満たす場合です
専従療法士の兼任についても、令和8年度改定で取扱いが明確化されました。
具体的には、療法士の配置が要件となる入院料を算定する病棟内に、療法士の配置が要件となる入院医療管理料を算定する病室がある場合、両者の専従療法士を兼任できることが示されています。
「専従でも兼任可能」という部分だけを切り取らないことが重要です。すべての専従配置について自由な兼任が認められたわけではなく、病棟・病室と配置要件の組み合わせを確認します。
院内の配置表を見直す場合は、職種名だけでなく、どの入院料・入院医療管理料の施設基準に基づく配置かまで確認すると、兼任可否を判断しやすくなります。
業務範囲が広がっても算定上限がなくなるわけではありません
病棟外で評価・指導できることや他区分の業務へ従事できることは、疾患別リハビリテーション料等の算定上限がなくなることを意味しません。
たとえば地域包括医療病棟入院料では、全入院患者へのADLの維持・向上等を目的とした評価・指導を担うため、専従の理学療法士等について1日につき6単位相当を超えた疾患別リハビリテーション料等は算定できないとされています。
この「6単位相当」は地域包括医療病棟入院料の規定として確認するものであり、3種類の病棟へ同じ上限を一律に当てはめるものではありません。
| 論点 | 確認すること |
|---|---|
| 業務範囲 | 病棟専従療法士として、その場所・内容の業務へ従事できるか |
| 算定要件 | 対象となる入院料や診療行為で、何をどの条件で算定できるか |
院内ルールを作る際も、この2つを混ぜずに整理することが重要です。
病棟専従療法士と疾患別リハ専従療法士は別に考えます
令和8年度改定では、病棟に配置される療法士の業務範囲だけでなく、疾患別リハビリテーション料に規定する専従療法士が従事できる業務も同時に見直されました。そのため、2つを混同しやすくなっています。
| 比較 | 病棟に配置される専従療法士 | 疾患別リハの専従療法士 |
|---|---|---|
| 配置の根拠 | 対象となる入院料・入院医療管理料 | 疾患別リハビリテーション料の施設基準 |
| 2026改定の主な論点 | 病棟外での評価・指導、他区分業務、一定条件下の兼任 | 疾患別リハ以外に従事できる業務と兼任の取扱いを明確化 |
| 業務の対象 | 原則として配置された病棟の患者への必要な評価・指導等 | 疾患別リハの業務に加え、職務上必要な一定の関連業務 |
| 20分=1単位相当 | 病棟外での評価・指導そのものへ一律に適用する規定ではない | 対象となる特掲診療料の業務時間を実施単位数へ反映する規定がある |
特に注意したいのが、「疾患別リハ以外の特掲診療料に係る業務へ従事した時間を合算し、20分につき1単位とみなして実施単位数に含める」という取扱いです。これは疾患別リハビリテーション料の専従療法士に関する単位管理であり、本記事で扱う病棟配置療法士の「病棟外で業務できる」という規定と同じものではありません。
院内では「配置根拠→患者→目的→算定」の順で確認します
今回の改定を院内運用へ落とし込むときは、新しい帳票を増やすことより、どの規定に基づく業務かを説明できる状態にすることが先です。
- 配置根拠を確認する:地域包括医療病棟、回復期リハ病棟、地域包括ケア病棟など、どの入院料・入院医療管理料の専従者かを確認します。
- 対象患者を確認する:配置されている病棟の患者に対する業務かを確認します。
- 業務目的を確認する:ADLの維持・向上、自立、生活動作、退院に向けた評価・指導等として必要かを整理します。
- 実施場所を確認する:病棟外・屋外で行う場合は、その場所で実施する必要性を確認します。
- 算定・兼任条件を確認する:他区分の算定や兼任を行う場合は、該当する告示・通知・施設基準まで確認します。
今回の改定によって、全国共通の新しい「病棟専従療法士用記録用紙」が定められたわけではありません。既存の診療録や院内共有方法を基本として、必要に応じて対象患者、実施目的、場所、評価・指導内容、結果が後から確認できる形にします。
よくある読み違いを整理します
| 読み違い | 2026改定後の整理 |
|---|---|
| 専従者は病棟から出られない | 必要な評価・指導等であれば、病棟外・屋外等で実施できることが明確化された |
| 病棟外なら何でもできる | 当該病棟の患者への必要な評価・指導等であるかを確認する |
| 専従者は他区分の業務を一切できない | 療法士が行うことを認められた一定の業務へ従事できることが明確化された |
| 専従同士の兼任が全面的に解禁された | 兼任可能とされた病棟・病室の配置条件に該当するかを確認する |
| 業務できれば必ず別算定できる | 従事できることと算定要件を満たすことは分けて確認する |
| 20分=1単位は病棟専従者にも一律適用される | 疾患別リハ専従療法士の実施単位数管理とは別論点として確認する |
よくある質問
Q1. 病棟専従のPT・OT・STは病棟外や屋外へ出てもよいですか?
当該病棟の患者への評価・指導等として必要な場合は、病棟外や屋外等、配置された病棟以外の場所で実施できることが明確化されています。ただし、「病棟外の業務なら何でも可能」という意味ではなく、対象患者と実施目的を確認します。
Q2. 病棟専従療法士は退院時リハビリテーション指導料の業務に関われますか?
厚生労働省の改定資料では、当該病棟の患者に必要な場合に従事できる他区分の業務例として、退院時リハビリテーション指導料等が示されています。実際に算定する場合は、退院時リハビリテーション指導料そのものの算定要件も確認します。
Q3. 「専従」でも他の専従療法士と兼任できますか?
すべての専従配置で兼任できるわけではありません。療法士の配置が要件となる入院料を算定する病棟内に、療法士の配置が要件となる入院医療管理料を算定する病室がある場合など、明確化された条件に該当するかを確認します。
Q4. 20分を1単位として扱う「みなし単位」も病棟専従療法士の病棟外業務に適用されますか?
同じ令和8年度改定で示されたため混同しやすいですが、別論点です。20分につき1単位とみなして実施単位数へ含める規定は、疾患別リハビリテーション料の専従療法士が対象となる特掲診療料の業務へ従事した場合の単位管理として整理されています。
次に確認したい記事
令和8年度改定のリハ領域を全体から確認する
疾患別リハ専従療法士の業務と「みなし単位」を確認する
参考資料
- 厚生労働省.令和8年度診療報酬改定について.2026.厚生労働省公式ページ
- 厚生労働省.令和8年度診療報酬改定 I-2-5 診療報酬上求める基準の柔軟化-⑤:病棟(入院料)において配置される療法士の業務の明確化.2026.PDF
- 厚生労働省.令和8年度診療報酬改定説明資料等について.2026.厚生労働省公式ページ
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。
現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。
保有資格
- 脳卒中認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級

