包括期充実体制加算とは?2026年度の施設基準・実績要件・届出を解説

制度・実務
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  1. 包括期充実体制加算とは?2026年度新設の80点加算
  2. 包括期充実体制加算の点数・算定期間
    1. 14日間は入棟日ではなく入院日から数える
  3. 対象病棟|地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟
  4. 病院全体の施設基準|200床未満・280床未満の特例
    1. 200床以上でも算定対象になり得る
    2. 急性期病棟がある場合の判断
  5. 救急・施設連携の体制要件|原則4項目を確認
    1. 医療機関の機能によって適用項目が異なる
    2. メディカルコントロール協議会への直接参加は必須?
    3. 介護保険施設等との連携は必ず3施設以上?
    4. 療養病床中心の病院における救急指定の例外
  6. 実績要件|緊急入院15人または30人・救急搬送等8%以上
    1. 自宅等からの緊急入院は15人以上または30人以上
    2. 救急搬送等の割合は8%以上
    3. 在宅患者・施設入所者の受入れ実績
    4. 退院時共同指導料2・介護支援等連携指導料2の実績
  7. 2026年度の経過的取扱い|退院支援実績の集計
  8. 特別の関係にある介護保険施設の除外
  9. 届出方法|様式13の3の2と必要な確認資料
    1. 届出後は毎月の実績確認が必要
  10. PT・OT・STの役割|退院支援に必要な情報を共有する
  11. 算定確認フロー|対象病棟から届出まで5段階
  12. よくある算定判断の間違い
  13. よくある質問
    1. Q1.包括期充実体制加算は何点ですか?
    2. Q2.200床以上の病院でも算定できますか?
    3. Q3.地域包括ケア病棟があれば算定できますか?
    4. Q4.自宅等からの緊急入院は15人以上ですか?
    5. Q5.救急搬送後の患者等の割合は8%ですか?
    6. Q6.メディカルコントロール協議会への参加は必須ですか?
    7. Q7.介護保険施設との連携は3施設未満でも認められますか?
    8. Q8.退院支援の実績は何回必要ですか?
    9. Q9.届出後に実績が基準を下回った場合はどうなりますか?
    10. Q10.PT・OT・STの配置人数は本加算の施設基準ですか?
  14. 次の一手|病床数・対象病棟・実績を照合する
  15. 参考文献
  16. 著者情報

包括期充実体制加算とは?2026年度新設の80点加算

包括期充実体制加算(A204-4)は、2026年度診療報酬改定で新設された入院基本料等加算です。高齢者の救急患者を受け入れ、在宅医療や介護保険施設等の後方支援を担う地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟について、医療機関の体制と実績を評価します。

点数は1日80点で、入院した日から起算して14日を限度に算定します。ただし、対象病棟があるだけでは算定できません。許可病床数、急性期病棟の有無、救急受入体制、介護保険施設等との連携、緊急入院や退院支援の実績などを確認する必要があります。

この記事では、包括期充実体制加算の対象病棟、施設基準、実績要件、例外規定、届出方法、疑義解釈を整理します。PT・OT・STが関わる退院支援についても、診療報酬上の必須要件と臨床実務を区別して解説します。

結論:算定可否は、①病院全体の条件、②対象病棟、③救急・施設連携体制、④後方支援・退院支援の実績、⑤届出と継続管理の順に確認します。特に、200床未満の原則と280床未満の地域特例、救急医療体制による緊急入院実績の違い、救急搬送等8%以上を見落とさないことが重要です。

PT・OT・STの方へ

本加算は、療法士の配置人数や訓練単位数を直接評価する加算ではありません。一方で、生活機能の評価、退院後の介助量の見通し、施設・在宅サービスへの情報共有は、対象病棟の後方支援機能を支える重要な業務です。

臨床評価の方法を確認したい場合は、評価ライブラリもご活用ください。

包括期充実体制加算の点数・算定期間

包括期充実体制加算は、所定の施設基準に適合し、地方厚生局長等に届け出た保険医療機関で算定する加算です。対象となる入院料を算定している患者について、入院日からの経過日数を確認します。

包括期充実体制加算の基本情報(2026年度)
項目 内容
診療報酬区分 A204-4
名称 包括期充実体制加算
点数 80点/日
算定期間 入院した日から起算して14日を限度
対象となる入院料 地域包括医療病棟入院料、地域包括ケア病棟入院料等
届出 所定の施設基準を満たしたうえで地方厚生局長等へ届出

14日間は入棟日ではなく入院日から数える

算定期間は、対象病棟に入棟した日から14日間ではなく、入院した日から起算して14日を限度とされています。

例えば、入院後に別の病棟から地域包括ケア病棟へ転棟した場合は、転棟日だけでなく、入院日からの経過日数を確認する必要があります。

80点を14日間算定した場合は、合計1,120点です。ただし、これは対象期間中に算定条件を満たした場合の単純計算であり、すべての入院患者に14日分を算定できることを意味しません。

対象病棟|地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟

包括期充実体制加算の対象は、地域包括医療病棟入院料または地域包括ケア病棟入院料を算定する病棟・病室です。

包括期充実体制加算の対象となる入院料
入院料 区分番号 確認事項
地域包括医療病棟入院料 A304 対象病棟の届出状況
地域包括ケア病棟入院料 A308-3 対象病棟・病室の届出状況

地域包括ケア病棟入院料については、地域包括ケア入院医療管理料を算定する病室も含めて確認します。

ただし、対象となる入院料を届け出ていることだけでは十分ではありません。病院全体の施設基準と、対象病棟における実績要件を別に確認する必要があります。

病院全体の施設基準|200床未満・280床未満の特例

病院全体に関する主な条件は、許可病床数、対象病棟の有無、急性期病棟の有無、入退院支援加算1の届出です。

包括期充実体制加算の病院全体に関する主な施設基準
確認項目 施設基準
許可病床数 原則200床未満
所定地域の特例 別表第6の2に掲げる地域では280床未満
対象病棟 A304またはA308-3を算定する病棟・病室を有する
急性期病棟 A100の急性期病院一般入院基本料または急性期一般入院基本料を算定する病棟を有しない
入退院支援体制 入退院支援加算1の届出を行っている

200床以上でも算定対象になり得る

原則として許可病床数200床未満の病院が対象ですが、「基本診療料の施設基準等」別表第6の2に掲げる地域では、280床未満の基準が適用されます。

そのため、例えば許可病床数268床の病院であっても、所在地が所定の地域に該当すれば、病床数だけを理由に対象外とはなりません。

一方、所定地域に該当しない268床の病院は、病床数の要件を満たしません。

判断の境界:「地方にある」「人口が少ない」といった一般的な認識ではなく、告示の別表第6の2への該当状況を確認してください。

急性期病棟がある場合の判断

施設基準では、A100の急性期病院一般入院基本料または急性期一般入院基本料を算定する病棟を有しないことが求められます。

病棟の名称が「一般病棟」であることと、急性期一般入院基本料を算定していることは同じではありません。病棟名称ではなく、実際の入院基本料の届出内容で確認してください。

救急・施設連携の体制要件|原則4項目を確認

救急・施設連携の体制要件は、原則として救急指定、地域での協議、協力対象施設入所者入院加算の届出、介護保険施設等との連携の4項目で構成されています。

ただし、医療機関の機能によって適用される項目が異なります。すべての病院に4項目を一律に当てはめないことが重要です。

救急・施設連携体制の主な施設基準
区分 主な内容 確認のポイント
ア:救急指定 第二次救急医療機関または認定された救急病院 指定・認定状況を確認
イ:地域での協議 受入可能な疾患・病態についてメディカルコントロール協議会等と協議 協議・情報共有の実施状況を確認
ウ:加算の届出 協力対象施設入所者入院加算を届け出ている 届出状況を確認
エ:施設連携 原則3以上の介護保険施設等の協力医療機関となっている 施設数・施設種別・例外規定を確認

医療機関の機能によって適用項目が異なる

施設基準通知では、原則としてアからエまでのすべてに該当することが求められます。

一方、次のいずれにも該当しない医療機関については、アおよびイへの該当が求められる取扱いです。

  • 在宅療養支援病院
  • 在宅療養後方支援病院
  • 地域包括ケア病棟入院料に係る届出を行っている病棟・病室を有する医療機関

つまり、施設連携に関するウ・エの適用は、医療機関の機能を確認して判断する必要があります。

注意:この例外は救急・施設連携体制の項目に関するものです。病床数、対象病棟、実績要件、入退院支援加算1の届出など、別に定められた施設基準まで免除されるわけではありません。

メディカルコントロール協議会への直接参加は必須?

2026年4月1日の疑義解釈(その2)問33では、地域のメディカルコントロール協議会への参加が必ずしも必要ではない場合が示されています。

例えば、在宅医療関係者と救急医療関係者が協議する場や、複数の病院が参加する地域の会議等で、受入可能な疾患・病態について定期的に情報発信している場合です。

また、近隣の医療機関と定期的に情報共有し、受入可能な疾患・病態を伝えている場合も示されています。

ただし、協議会への参加が必須ではないことと、地域との協議・情報共有が不要であることは異なります。実際にどのような連携を行っているか確認してください。

介護保険施設等との連携は必ず3施設以上?

原則として、3以上の介護老人保健施設、介護医療院、特別養護老人ホームの協力医療機関となっていることが求められます。

ただし、医療機関から半径10km以内の介護保険施設等について、すでにすべての施設が別の保険医療機関を協力医療機関としている場合や、対象施設が3未満しか存在しない場合は、連携施設数が3未満でも差し支えないとされています。

このため、単に連携先が2施設であることだけで対象外とせず、近隣施設の状況と例外規定を確認してください。

療養病床中心の病院における救急指定の例外

2026年4月20日の疑義解釈(その3)問3では、地域の事情により救急指定等を受けられない療養病床中心の医療機関について、一定の取扱いが示されています。

対象となるのは、A100一般病棟入院基本料を算定していない医療機関の療養病床で、A308-3地域包括ケア病棟入院料を届け出ている病棟・病室です。

救急指定等を受けられなくても、他の施設基準をすべて満たし、告示で定める地域包括ケア病棟入院料の所定の基準に該当し、医療機関が24時間救急患者を受け入れている場合には、救急指定等に関する基準を満たすものとみなす取扱いがあります。

判断の境界:療養病床を有するすべての病院が救急指定の要件を免除されるわけではありません。対象となる入院料、告示上の基準、24時間の受入体制、その他の施設基準を確認する必要があります。

実績要件|緊急入院15人または30人・救急搬送等8%以上

実績要件は、加算を届け出る対象病棟全体の実績を合計して確認します。

主な項目は、自宅等からの緊急入院、救急搬送等の割合、在宅・施設からの受入れ実績、退院支援実績です。緊急入院患者数については、救急医療体制の区分により必要人数が異なるため注意してください。

包括期充実体制加算の主な実績要件(2026年度)
実績区分 基準 集計期間 関係
自宅等からの緊急入院 原則15人以上。救急医療体制が所定の区分に該当する場合は30人以上 直近3か月 必須
救急搬送等の割合 8%以上 直近3か月 必須
在宅患者緊急入院診療加算1~3 合計12件以上 直近1年間 いずれか一方
協力対象施設入所者入院加算1・2 合計4件以上 直近1年間
退院時共同指導料2+介護支援等連携指導料2 合計3回以上 直近3か月 必須

在宅患者緊急入院診療加算の12件以上と、協力対象施設入所者入院加算の4件以上は、いずれか一方を満たせばよい関係です。両方を同時に満たす必要はありません。

なお、在宅患者緊急入院診療加算1・2の合計が4件以上あることは、望ましい事項として示されています。

自宅等からの緊急入院は15人以上または30人以上

対象病棟における自宅等からの緊急入院患者数は、直近3か月間で原則15人以上です。

ただし、地方厚生局の届出様式13の3の2では、救急医療体制の欄が「有」以外の場合は30人以上とされています。

したがって、救急指定等に関する例外規定が適用される場合も、緊急入院患者数を一律に15人以上と判断してはいけません。

救急医療体制による緊急入院患者数の確認
届出様式の救急医療体制 自宅等からの緊急入院実績
「有」に該当 直近3か月間で15人以上
「有」以外に該当 直近3か月間で30人以上

実際の届出では、最新の様式にある救急医療体制の選択肢と注記を確認し、該当する人数基準を適用してください。

また、ここでいう自宅等には、自宅や有料老人ホーム等が含まれますが、予定された入院ではないことが条件です。集計では、入院元と予定・緊急の区分を確認します。

救急搬送等の割合は8%以上

対象病棟における直近3か月間の入院患者のうち、次の患者を合計した割合が8%以上であることが求められます。

  • 救急搬送後の患者
  • 他の保険医療機関で救急患者連携搬送料を算定し、その医療機関から搬送された患者

例えば、対象となる入院患者が100人で、該当する患者が8人であれば、割合は8%です。

ただし、実際の届出では、対象病棟の範囲、集計対象期間、分母・分子に含める患者を通知に従って確認してください。

在宅患者・施設入所者の受入れ実績

後方支援に係る算定実績は、次のいずれかを満たす必要があります。

  • 直近1年間の在宅患者緊急入院診療加算1~3の算定回数が合計12件以上
  • 直近1年間の協力対象施設入所者入院加算1・2の算定回数が合計4件以上

届出時には、直近1年間の実績に代えて直近3か月間の実績を用いる取扱いも示されています。その場合は、在宅患者緊急入院診療加算が4件以上、または協力対象施設入所者入院加算が1件以上という基準を確認します。

実績の対象期間を混同しないよう、直近1年間の実績と、届出開始時に用いる直近3か月間の実績を分けて管理してください。

退院時共同指導料2・介護支援等連携指導料2の実績

対象病棟において、退院時共同指導料2と介護支援等連携指導料2の算定回数の合計が、直近3か月間で3回以上必要です。

これは、退院支援を実施した患者数ではなく、指定された診療報酬項目の算定回数で判断します。

また、2026年度改定に伴う介護支援等連携指導料の区分変更については、届出時の経過的取扱いと届出後の継続管理を区別する必要があります。

2026年度の経過的取扱い|退院支援実績の集計

2026年4月1日の疑義解釈(その2)問32では、介護支援等連携指導料2が2026年6月から新設されることに伴い、改定前の算定実績の取扱いが示されました。

2026年8月以前の届出において、2026年5月以前の期間が実績算出の対象となる場合には、改定前の介護支援等連携指導料の算定回数を実績に含めても差し支えないとされています。

一方、届出後に毎月実績を算出する際は、2026年6月以降の実績について、介護支援等連携指導料1を含めることはできません。

退院支援実績の経過的取扱い
場面 算入できる実績 注意点
2026年8月以前の届出で、5月以前が対象期間に含まれる場合 改定前の介護支援等連携指導料の算定回数を含めてよい 届出時の経過的取扱い
届出後の毎月の実績確認 退院時共同指導料2、介護支援等連携指導料2 2026年6月以降の介護支援等連携指導料1は含めない

疑義解釈では、この取扱いによって施設基準を満たさなくなった場合は、届出を取り下げることも示されています。

2026年11月時点では、8月以前の届出に関する経過的取扱いを、新たな届出にそのまま適用しないよう注意してください。

特別の関係にある介護保険施設の除外

2026年4月20日の疑義解釈(その3)問4では、特別の関係にある介護保険施設等を施設基準の実績に含められるかが示されています。

次の3項目については、特別の関係にある介護保険施設や、当該施設からの入院等を算入しない取扱いです。

  1. 原則3以上の介護保険施設等の協力医療機関となっていること
  2. 自宅等からの緊急入院患者を直近3か月間で所定人数以上受け入れていること
  3. 救急搬送後の患者等の割合が直近3か月間で8%以上であること

グループ内の介護保険施設等との連携が多い病院では、施設名だけでなく、特別の関係に該当するかを確認してください。

実務上は、施設一覧に「特別の関係の有無」を記録し、集計対象から除外する施設や入院を識別できるようにしておくと確認しやすくなります。

注意:この疑義解釈は、上記3項目についての取扱いを示しています。その他の実績要件まで一律に同じ除外方法を適用するのではなく、各要件の規定を確認してください。

届出方法|様式13の3の2と必要な確認資料

包括期充実体制加算を算定するには、所定の施設基準を満たしたうえで、地方厚生局長等へ届出を行う必要があります。

届出には、別添7の様式13の3の2を使用します。実際の提出書類と届出時期は、管轄する地方厚生局の最新案内を確認してください。

様式は、関東信越厚生局の令和8年度基本診療料届出一覧で確認できます。「包括期充実体制加算」の項目に、届出書と様式13の3の2が掲載されています。

届出前に院内で整理したい資料
確認区分 主な確認資料 担当部門の例
病院全体の条件 許可病床数、所在地、入院基本料の届出状況 医事課・施設基準担当
救急体制 救急指定、24時間の受入体制、地域での協議・情報共有の状況 地域連携部門・医事課
介護保険施設との連携 協力医療機関の指定状況、施設種別、特別の関係の有無 地域連携部門
緊急入院実績 入院元、予定・緊急の区分、対象患者数、15人・30人の適用区分 病棟・医事課
救急搬送等の実績 救急搬送、救急患者連携搬送料に係る搬送の記録 医事課・診療情報管理部門
後方支援実績 在宅患者緊急入院診療加算、協力対象施設入所者入院加算 医事課
退院支援実績 退院時共同指導料2、介護支援等連携指導料2 退院支援部門・医事課
入退院支援体制 入退院支援加算1の届出状況 医事課・退院支援部門

この表は院内確認用の整理例であり、すべてが届出時の添付必須書類という意味ではありません。

届出後は毎月の実績確認が必要

届出後も、直近3か月の緊急入院患者数、救急搬送等の割合、退院支援の算定回数など、継続して満たす必要がある施設基準を確認します。

特に退院支援実績については、2026年4月1日の疑義解釈で、届出後に毎月実績を算出することが示されています。

施設基準を満たさなくなった場合は、届出の取下げ等の対応が必要です。基準未達を確認した際は、適用時期と手続を施設基準担当者が確認してください。

実務上は、病棟・医事課・退院支援部門・地域連携部門で、月ごとの集計結果を共有できる管理表を設けると確認しやすくなります。

PT・OT・STの役割|退院支援に必要な情報を共有する

包括期充実体制加算は、病院の救急受入れと在宅・介護保険施設への後方支援機能を評価する加算です。PT・OT・STによる訓練の実施回数や配置人数が、本加算独自の施設基準として直接規定されているわけではありません。

一方、対象病棟では、入院早期から退院後の生活を見据えた評価と支援が重要です。

PT・OT・STが関わる臨床実務の例
場面 評価・支援の例 共有先の例
入院早期 移動能力、ADL、認知・コミュニケーション、嚥下機能の評価 病棟チーム
退院支援 退院後に必要な介助量、福祉用具、環境調整の検討 退院支援部門
介護保険施設との連携 移乗方法、歩行能力、食事動作、コミュニケーション方法の共有 施設職員
在宅復帰 生活動線、家族の介助負担、サービス利用の検討 患者・家族・ケアマネジャー等
再入院予防 転倒、廃用、活動量低下、摂食・嚥下の課題の共有 主治医・地域の支援者

これらは臨床上の実務例であり、本加算の算定要件として、表中の評価や支援をすべて実施することが義務付けられているわけではありません。

リハビリテーション部門としては、生活機能の評価結果を退院支援に活用し、必要に応じて退院時共同指導などの多職種連携につなげることが重要です。

算定確認フロー|対象病棟から届出まで5段階

包括期充実体制加算2026の施設基準確認フロー。病院全体の条件、対象病棟、救急・施設連携体制、実績要件、届出・継続管理の5段階を整理した図。
図:包括期充実体制加算【2026】施設基準の確認フロー。5段階で確認項目を整理した概要図です。救急医療体制の区分によっては、緊急入院実績が15人以上ではなく30人以上となるため、本文と届出様式も併せて確認してください。

包括期充実体制加算の算定可否は、次の5段階で確認すると整理しやすくなります。

  1. 病院全体の条件:許可病床数、別表第6の2への該当、急性期病棟の有無を確認する。
  2. 対象病棟:地域包括医療病棟または地域包括ケア病棟等の届出状況を確認する。
  3. 救急・施設連携体制:救急指定、地域での協議、協力対象施設入所者入院加算の届出、介護保険施設等との連携を確認し、適用される条件分岐を整理する。
  4. 対象病棟の実績:緊急入院15人以上または30人以上、救急搬送等8%以上、在宅・施設の受入れ実績、退院支援実績3回以上を確認する。
  5. 届出・継続管理:入退院支援加算1の届出、包括期充実体制加算の届出、毎月の実績確認体制を確認する。

図版を使う際の注意

図版は施設基準の概要を把握するためのものです。緊急入院患者数の15人・30人の区分、救急指定の例外、介護保険施設等との連携施設数の例外、特別の関係にある施設の除外については、本文と最新の届出様式を優先してください。

このフローは院内確認のための整理例であり、診療報酬上の必須様式ではありません。

よくある算定判断の間違い

本加算では、施設基準の一部だけを確認して算定可否を判断しないことが重要です。

包括期充実体制加算で間違えやすい判断
誤解 確認すべき内容
200床以上は必ず対象外 所定地域では280床未満の特例がある
地域包括ケア病棟があれば算定できる 病院全体の条件と体制・実績要件が別に必要
対象病棟への入棟日から14日間算定できる 入院した日から起算する
緊急入院は必ず15人以上 救急医療体制の区分によって30人以上となる場合がある
救急搬送割合は8分の1以上 基準は8%以上
介護保険施設との連携は必ず3施設必要 半径10km以内の施設状況に応じた例外がある
グループ内施設の実績もすべて数えられる 特別の関係にある施設等の除外規定を確認する
退院支援を行えば実績を満たす 所定の診療報酬項目の算定回数で判断する
届出後は実績確認が不要 毎月の実績確認と基準未達時の対応が必要

よくある質問

Q1.包括期充実体制加算は何点ですか?

2026年度に新設された1日80点の加算です。入院した日から起算して14日を限度に算定します。

Q2.200床以上の病院でも算定できますか?

原則は200床未満ですが、別表第6の2に掲げる地域では280床未満の基準が適用されます。病床数以外の施設基準も満たす必要があります。

Q3.地域包括ケア病棟があれば算定できますか?

それだけでは算定できません。病院全体の条件、救急・施設連携体制、対象病棟の実績、入退院支援加算1の届出などを確認します。

Q4.自宅等からの緊急入院は15人以上ですか?

原則として直近3か月間で15人以上ですが、届出様式の救急医療体制が「有」以外の場合は30人以上とされています。最新の様式と該当区分を確認してください。

Q5.救急搬送後の患者等の割合は8%ですか?

はい。直近3か月間の対象病棟の入院患者に占める、所定の救急搬送等の患者の割合が8%以上必要です。

Q6.メディカルコントロール協議会への参加は必須ですか?

必ずしも直接参加が必要とは限りません。2026年4月1日の疑義解釈では、地域の会議や近隣医療機関との定期的な情報共有による取扱いが示されています。

Q7.介護保険施設との連携は3施設未満でも認められますか?

半径10km以内の施設数や協力医療機関の指定状況によっては、3施設未満でも差し支えない場合があります。また、特別の関係にある施設は、所定の要件の施設数に算入できません。

Q8.退院支援の実績は何回必要ですか?

退院時共同指導料2と介護支援等連携指導料2の算定回数の合計が、直近3か月間で3回以上必要です。

Q9.届出後に実績が基準を下回った場合はどうなりますか?

施設基準を満たさなくなった場合は、届出の取下げ等の対応が必要です。退院支援実績については、疑義解釈で毎月の確認と基準未達時の届出取下げが示されています。

Q10.PT・OT・STの配置人数は本加算の施設基準ですか?

本加算独自の施設基準として、療法士の配置人数が直接定められているわけではありません。ただし、対象となる入院料には別途施設基準があります。

次の一手|病床数・対象病棟・実績を照合する

包括期充実体制加算を検討する場合は、まず許可病床数と対象病棟の届出状況を確認してください。

次に、救急・施設連携の体制要件について、医療機関の機能に応じた適用項目を整理します。そのうえで、緊急入院、救急搬送等、在宅・施設の受入れ、退院支援の実績を集計します。

特に、緊急入院15人・30人の適用区分、救急搬送等8%以上、特別の関係にある施設の除外、退院支援実績の毎月確認は、院内で共通認識を持っておきたい項目です。

PT・OT・STは、対象病棟での生活機能評価と退院支援を通じて、在宅・介護保険施設等への円滑な移行を支えることができます。

参考文献

  1. 厚生労働省.令和8年度診療報酬改定について(全体概要版).2026年.
  2. 厚生労働省.令和8年度医科診療報酬点数表.A204-4 包括期充実体制加算.
  3. 厚生労働省.基本診療料の施設基準等の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第70号).
  4. 厚生労働省.基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて.別添3・第2の2 包括期充実体制加算.
  5. 厚生労働省.疑義解釈資料の送付について(その2).2026年4月1日.問32・問33.
  6. 厚生労働省.疑義解釈資料の送付について(その3).2026年4月20日.問3・問4.
  7. 関東信越厚生局.令和8年度診療報酬改定に係る基本診療料の届出一覧.
  8. 関東信越厚生局.様式13の3の2:包括期充実体制加算の施設基準に係る届出書添付書類.

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを運営。理学療法評価、臨床手順、記録方法、診療報酬・施設基準など、PT・OT・STの実務に役立つ情報を発信しています。

制度解説では、告示・通知・疑義解釈などの一次資料を優先し、算定要件と臨床上の推奨事項を区別することを重視しています。

保有資格:脳卒中認定理学療法士、褥瘡・創傷ケア認定理学療法士、登録理学療法士、3学会合同呼吸療法認定士、福祉住環境コーディネーター2級。

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハビリテーション、リハビリテーション栄養、シーティング、摂食・嚥下。

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