認知症ケア加算/認知症ケアチーム|施設基準と運用フロー

制度・実務
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認知症ケア加算/認知症ケアチームの施設基準を「運用フロー+記録の型」で固定する

認知症ケア加算(認知症ケアチーム)で詰まりやすいのは、要件の暗記ではなく「対象抽出 → 評価 → カンファ → 実施 → 記録」が部署ごとにバラつき、説明できない状態になることです。本記事は、施設基準を 体制・運用・研修・記録の最小セットに落とし、病棟で回る形に固定します。

あわせて、ラウンドメモ/カンファシート( A4 PDF )を用意しました。まずは「運用の一本線」と「残る記録」を揃え、監査・差戻し・属人化の手戻りを減らします。

同ジャンルで回遊(冒頭の三段):施設基準の全体像 → 総論の詰まり解消 → 代表の子記事

施設基準ハブで全体像を確認する

5 分フロー:対象抽出 → 評価 → カンファ → 実施 → 記録を固定する

  1. 対象抽出:不穏・転倒リスク・昼夜逆転・拒否・チューブ自己抜去など、相談トリガーを病棟で共有します。
  2. 評価:BPSD(行動・心理症状)を「症状の羅列」で終わらせず、頻度・状況・身体要因・環境要因・介入反応まで最小セットで整理します。
  3. カンファ/ラウンド:決めるのは 3 点だけ(やること/担当/期限)。次回に結果が追える形にします。
  4. 実施:非薬物介入(環境調整・活動・排泄・疼痛・睡眠)を束ね、単発対応で終わらせません。
  5. 記録:議事録・看護記録・リハ記録が散らないよう、出力を 1 枚( 1 ファイル )に寄せます。

図で理解:運用の一本線(抽出→評価→カンファ→実施→記録)

院内でブレないために、まずはこの順番だけ固定します(途中で “口頭助言” に戻らないのがコツです)。

抽出 相談トリガー 評価 状況+要因 カンファ 提案→担当→期限 実施 非薬物介入を束ねる 記録 出力を 1 枚に寄せる 迷ったら「結果が次回に追えるか?」で判断(口頭助言に戻らない)

用語と表記のルール(院内でブレないための固定)

  • BPSD:本文では “ BPSD ”(英字)で統一し、初出で「行動・心理症状」と補足します。
  • せん妄:本文は “せん妄” 表記で統一(「譫妄」は使わない)。早期対応は子記事へリンクします。
  • 身体的拘束:本文は “身体的拘束” で統一(「抑制」等は状況説明に限定)。算定の扱いは子記事へリンクします。
  • ラウンド:チームが病棟を回る行為を “ラウンド” と呼ぶ(回診との混同を避ける)。
  • カンファ:会議は “カンファ” と表記し、“カンファレンス” は見出しでのみ使用します。

施設基準の押さえどころ:体制・運用・研修・記録の「最小セット」

施設基準は、項目を増やすほど運用が崩れます。まずは「監査で説明できる最小セット」に落とし、院内の保管場所( 1 か所)まで決めてしまうのが早いです。

認知症ケア加算:施設基準を回す最小セット(病棟運用の入口)
区分 固定すること 残す記録(最小) 詳しい解説
体制 相談窓口/運営担当/ラウンド同席の役割を明確化 構成員一覧(職種・役割・専任の説明) 届出様式 40 の 10/40 の 11 の書き方
運用 対象抽出 → 評価 → カンファ → 実施 → 再評価の順番を固定 ラウンド/カンファの実施ログ(頻度が追える) 提案→担当→期限→結果の 1 本化
研修 院内研修は「実施した」ではなく、テーマと反映点を一言残す 開催記録(日時・参加者・テーマ)+受講状況一覧 加算 1/2/3 の違い(比較・使い分け)
記録 議事録・看護・リハの分散をやめ、出力を 1 枚に寄せる 患者ごとの「現状→課題→提案→次回」 テンプレ運用のコツ

現場の詰まりどころ:迷子にならない「解決の三段」

ここは“読ませるゾーン”です。まずページ内アンカーで、つまずきの場所を先に特定します。

よくある失敗:BPSD 評価とカンファが「曖昧なまま終わる」

BPSD の評価は「困っている」の一言で止まりやすいです。発現頻度・状況・身体要因・環境要因・介入反応まで整理できると、非薬物介入が具体化しやすくなります。

BPSD 評価/カンファでのよくある失敗と回避(成人・入院患者想定)
よくある失敗 起きる理由 回避の一歩目
「徘徊が多い」「暴れて危ない」だけで記録が止まる 時間帯・きっかけ・前後関係が残らず、対策が立たない 「いつ・どこで・何の前後で・どのくらい」を 2 行で残す
身体要因(疼痛・便秘・感染・薬剤)の確認が抜ける 急性増悪やせん妄が「認知症だから」で見逃される 疼痛( NRS )・睡眠・排泄・内服の最小セットを固定
非薬物介入を試しても、誰が何をしたか共有されない 単発対応になり、効果のあるケアが継続されない 提案→担当→期限→結果で 1 行化(次回に追う)
身体拘束が固定化し、代替策の検討が止まる 不安(転倒・自己抜去)が強く、線引きと記録が揺れる 身体的拘束の扱い(所定点数の 40% )で運用を固定

回避の手順/チェック:運用を「残る形」にする最小セット

改善は「書類を増やす」ではなく、「運用の出力を 1 枚に寄せる」ことから始まります。まずは次のチェックが揃うか確認してください。

認知症ケア加算を回すセルフチェック(最小セット)
チェック OK の基準 NG のときの修正
対象抽出のトリガー 病棟で「相談に上げる基準」が共有されている 転倒・拒否・昼夜逆転・自己抜去など、 5 個に絞って掲示
BPSD の整理 頻度・状況・身体要因・環境要因・介入反応が残る 評価を“列挙”から“条件付き”へ(前後関係を 1 行追加)
カンファの出力 提案→担当→期限→結果が 1 枚で追える 議事録をやめ、患者ごとの 1 枚テンプレに寄せる
せん妄対策 入院前〜入院後早期にリスク確認と対策が動く せん妄リスク因子の確認と対策(運用フロー)に統一
身体的拘束 線引きが統一され、開始・解除・必要状況が説明できる 身体的拘束の扱い(所定点数の 40% )で運用を固定

配布 PDF:認知症ケアチーム ラウンドメモ/カンファシート( A4 )

院内で「出力を 1 枚に寄せる」ためのテンプレです。現状・課題・助言(提案→担当→期限→結果)・次回確認を 1 枚にまとめ、口頭助言で終わる状態を減らします。

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よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1.この加算の運用は、院内でどう回していますか?(一言で)

「対象を抽出 → 状況と要因を評価 → カンファで “提案・担当・期限” を決める → 実施 → 次回に結果を確認」の一本線で回しています。記録は出力を 1 枚に寄せ、口頭助言で終わらないようにしています。

Q2.対象患者はどうやって抽出していますか?

病棟で共有している “相談トリガー” に当てはまる患者を対象にしています(例:不穏、昼夜逆転、拒否、転倒リスク増大、自己抜去など)。抽出の根拠は、看護記録の状況記載と観察情報で説明できる形にしています。

Q3.カンファ(ラウンド)で決める内容は何ですか?

決めるのは 3 点です。「何をするか(提案)」「誰がするか(担当)」「いつまでに確認するか(期限)」。結果は次回に “できた/できない/理由/次の手” まで追える形で記録します。

Q4.記録はどこに残していますか?(分散しませんか?)

議事録・看護・リハの記録が分散しないよう、患者ごとの出力を 1 枚に寄せています。現状・課題・提案(担当/期限)・結果・次回確認が一続きで追えるので、説明がブレません。

Q5.せん妄対策はどう組み込んでいますか?

入院前〜入院後早期にリスク因子を確認し、ハイリスクには非薬物対策を束ねて実装します。運用フローは病棟で 1 本化し、確認日・担当・期限・結果が残る形にしています。関連:せん妄リスク因子の確認と対策(病棟フロー)

Q6.身体的拘束を実施した日の扱いはどうしていますか?

拘束は線引きを病棟で統一し、開始・継続・解除の判断が説明できるように記録します。算定上の扱い(所定点数の 40% )も含め、運用と記録の最小セットを固定しています。関連:身体的拘束は所定点数の 40%(運用と記録)

次の一手|運用を整える → 共有の型を作る → 環境も点検する

教育体制・人員・記録文化など“環境要因”を一度見える化すると、次の打ち手が決めやすくなります。

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参考文献

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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