低血糖対応は「中止→補正→再評価→再開判定→記録」の 5 ステップで迷わない
糖尿病リハの現場では、低血糖が起きた瞬間の判断が安全性を左右します。本記事は、PT/OT/ST が同じ手順で再現できるように、発見時対応・再開基準・記録を 1 本化した実務版です。
まずは同ジャンルを短く回遊して、全体像と実装ポイントをつないでください。
低血糖対応フロー(発見→介入→再評価→再開)
現場では「個人差」より「手順固定」が重要です。発見時は、中止→測定→介入→15 分後再評価を固定し、再開は症状・再測定値・誘因整理の 3 条件で判断します。
低血糖発生時の 5 ステップ
- 運動を中止し、安全確保(転倒予防、体位調整、見守り)
- 血糖を測定(SMBG/CGM)
- 経口可能なら速効性糖質 15 gを摂取
- 15 分後に再測定し、必要なら同手順を反復
- 再開可否を判定し、記録・共有する
閾値別の対応早見表
| 区分 | 血糖値の目安 | 主な対応 | 再開判断 |
|---|---|---|---|
| アラート域(Level 1) | < 70 mg/dL(かつ ≥ 54 mg/dL) | 運動中止、速効性糖質 15 g、15 分後再測定(15-15 ルール) | 症状改善+再測定で安全域を確認後、軽負荷で再開検討 |
| 臨床的低血糖(Level 2) | < 54 mg/dL | 中止継続、補正優先。改善不十分なら速やかに報告 | 当日再開は慎重。再発リスク評価を優先 |
| 重症(Level 3) | 数値ではなく「他者介助が必要」 | 経口困難・意識障害は院内緊急手順で即時連携 | 再開しない。原因評価と治療計画調整を優先 |
現場の詰まりどころ
よくある失敗
| 失敗 | なぜ危険か | 回避策 |
|---|---|---|
| 症状だけで判断して測定を省く | 低血糖の見逃し・過補正につながる | 「中止→測定→介入」の順番を固定する |
| 改善確認前に再開する | 再低下・転倒リスクが上がる | 15 分後再測定と症状改善を再開条件にする |
| 記録が数値のみで終わる | 再発予防に活かせない | 症状・誘因・対応・再開可否まで記録する |
再開判定チェック
再開は血糖値だけで決めません。以下の 3 条件を満たすまでは、負荷を上げず慎重に対応します。
- 症状(冷汗、ふらつき、集中低下など)が改善している
- 再測定で安全域を確認できている
- 誘因(食事不足、薬剤タイミング、過負荷)を整理できている
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1.15-15 ルールは毎回同じでよいですか?
基本は「速効性糖質 15 g → 15 分後再測定」です。改善が乏しい場合は同手順を反復し、安定するまで再開しません。経口困難時は院内手順に沿って連携してください。
Q2.血糖値が戻ればすぐ再開してよいですか?
再開は、症状改善・再測定値・誘因整理の 3 条件で判断します。数値のみでの再開は避けます。
Q3.CGM だけで判断してよいですか?
CGM は有用ですが、症状との乖離があるときは SMBG で確認し、安全側で判断します。
Q4.最低限の記録項目は?
発生時刻、症状、血糖値、実施対応、再測定値、再開可否、次回予防の 7 点を最小セットとして残します。
次の一手
- 運用を整える:糖尿病リハの全体フロー(全体像)
- 共有の型を作る:足病変スクリーニングの実装手順(すぐ実装)
教育体制・人員・記録文化など“環境要因”を一度見える化すると、次の打ち手が決めやすくなります。
チェック後に『続ける/変える』の選択肢も整理したい方は、PT キャリアナビで進め方を確認しておくと迷いが減ります。
参考文献
- American Diabetes Association. Glycemic Goals and Hypoglycemia. Standards of Care in Diabetes. 公式ページ
- American Diabetes Association. Diabetes Care in the Hospital. Standards of Care in Diabetes. 公式ページ
- 日本糖尿病学会. 糖尿病診療ガイドライン. 公開ページ
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


