Finkelstein テスト|ドケルバンを迷わず確認

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Finkelstein テスト|ドケルバン病を “痛くしすぎず” 確認する

Finkelstein テストは、橈骨茎状突起部(母指側手関節)の痛みが主訴のときに、第 1 背側コンパートメント( APL / EPB )の腱鞘炎(ドケルバン病)を疑うための誘発テストです。臨床で混乱しやすいのは、教科書や現場で “Finkelstein” と呼ばれている動作が、実際には Eichhoff 手技(握りこみ+尺屈)として運用されているケースが多い点です。

本記事では、①いつ使うか②正しい手順( Finkelstein / Eichhoff の違い)③陽性の書き方(記録の型)④痛みを出しすぎない工夫までを、現場でブレない形に固定します。 “強く痛がらせる” より、同じ条件で再現できることを優先してください。

いつ使う?| “母指側手関節痛+把持で増悪” が揃うと効く

Finkelstein は、橈骨茎状突起周囲の限局痛があり、つまみ動作・把持・母指の使用で増悪するケースで、ドケルバン病の可能性を短時間で絞るのに向きます。逆に、母指 CMC 関節症(母指付け根の関節痛)や、手関節背側の別部位痛が主役のときは、誘発で痛みが混ざりやすいので、痛みの “場所” を先に 1 行で特定してから実施します。

おすすめの並べ方は、①痛みの部位(橈骨茎状突起 “近傍” か)→②腫脹・熱感(軽く)→③母指運動での増悪(把持・外転)→④ Finkelstein の順です。テスト前に “痛みの主語(どこが痛いか)” を固定しておくと、結果の解釈がブレません。

手順| Finkelstein と Eichhoff を “別物” として固定する

ポイントは、Finkelstein は “検者が母指を把持して” 受動的に尺屈方向へ誘導すること、Eichhoff は患者が母指を握りこみ、その状態で尺屈方向へ誘導されることです。両者は似ていますが、痛みの出方と偽陽性の出やすさが変わるため、呼び名と手順を切り分けて運用してください。

Finkelstein/Eichhoff:手順と使い分け(成人・一般臨床)
項目 Finkelstein(推奨) Eichhoff(混同注意) 運用メモ
母指の位置 検者が母指を把持(受動) 母指を手掌内に握りこむ(能動) “握りこみ” は痛みが強く出やすい
誘導 手関節を尺屈方向へ(急激にしない) 拳を作ったまま尺屈方向へ 痛みが強い場合は “段階的” に
陽性の主語 橈骨茎状突起〜第 1 コンパートメントの痛み 同上(ただし別部位痛が混ざりやすい) “どこが痛いか” を必ず言語化
推奨 まずこちらで確認 実施するなら “強度管理” を厳格に 強く痛がらせるほど精度が上がるわけではない

陽性の基準| “橈骨茎状突起部の限局痛” を主語にする

陽性は、尺屈誘導により橈骨茎状突起部(第 1 コンパートメント近傍)に限局した痛みが再現されることです。ここで重要なのは、母指付け根( CMC )や手関節の別部位の痛みを “陽性” と混ぜないこと。痛みの部位がズレたら、いったん陰性扱いにして、部位特定(触診・動作)からやり直す方が安全です。

Finkelstein:記録の型(そのままカルテに落とす用)
項目 記載例 意図
条件 検者把持で母指を固定、手関節を段階的に尺屈 手技( Finkelstein )を明確化
結果 橈骨茎状突起部の限局痛が再現(+) 部位を主語にする
左右差 右(+)左(−) 一致性の確認
補足 CMC 近傍痛は誘発なし/別部位痛はなし 偽陽性の回避

解釈| “痛いほど陽性” ではない:偽陽性を減らす

研究では、Finkelstein は Eichhoff より特異度が高く、偽陽性が少ない可能性が示されています。だからこそ、運用としてはまず Finkelstein(受動)を標準にし、Eichhoff(握りこみ)を “強刺激の確認” として乱用しない方が、結果が綺麗に揃います。

また、文献上 “Finkelstein の記述そのものが混乱してきた” ことが指摘されています。手技名よりも、あなたの現場での手順(受動/握りこみ)を文章で固定しておくのが、引き継ぎや共有に強いです。

現場の詰まりどころ| “迷い” を 3 本で戻す

Finkelstein で詰まりやすいのは、① Finkelstein と Eichhoff の混同 ②痛みを出しすぎて解釈不能 ③痛む場所がズレているのに続行、の 3 つです。ここはボタン無しで、戻り道だけ用意します。

よくある失敗| “混同” と “強刺激” を先に潰す

最も多い失敗は、Eichhoff(握りこみ)を Finkelstein と呼んでしまい、痛みが強く出すぎて “どこが痛いのか” が崩れることです。対策は、受動( Finkelstein )を標準化し、尺屈誘導を “一気に” やらず、段階的に行うこと。痛みが強いほど診断精度が上がるわけではありません。

Finkelstein:よくある失敗の早見(成人・一般臨床)
NG なぜ起きる まず直す 1 点 OK 記録の型
Eichhoff を “Finkelstein” として運用 手技名と手順が曖昧 受動(検者把持)を標準に固定 検者把持で段階的尺屈( Finkelstein )
一気に尺屈して痛がらせる 強刺激=確実という誤解 段階的に誘導し部位を確認 橈骨茎状突起部の限局痛が再現(+)
痛む場所がズレても続行 “陽性” を急ぎすぎる 部位がズレたら陰性扱いで戻る CMC 近傍痛は誘発なし/別部位痛なし

回避の手順/チェック| 5 分で “迷いを消す”

迷ったら、テストを増やすより “整理” です。下を上から埋めると、痛みの混入が減ります。

  1. 痛みの場所を 1 行で固定:橈骨茎状突起 “近傍” か( CMC ではないか)
  2. 把持・つまみで増悪するか(母指の使用で再現するか)
  3. Finkelstein(受動):検者把持で段階的に尺屈し、部位が一致するか
  4. 痛みが強すぎるなら中止し、“段階” を落として再評価(強刺激は不要)
  5. 混同対策:カルテには “手技名” より “手順(受動/握りこみ)” を書く

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

これって Finkelstein ですか? Eichhoff ですか?

区別は “母指を誰がどう固定するか” です。検者が母指を把持して受動的に尺屈へ誘導するのが Finkelstein、母指を握りこんだ状態で尺屈へ誘導されるのが Eichhoff と整理すると迷いません。現場運用では、まず Finkelstein(受動)を標準に固定するのがおすすめです。

痛すぎます。続けていいですか?

続ける必要はありません。痛みが強いほど精度が上がるわけではなく、むしろ “どこが痛いか” が崩れて解釈不能になりがちです。段階的に誘導し、橈骨茎状突起部の限局痛として再現できる強度に落として実施してください。

陽性の “場所” はどこですか?

主語は橈骨茎状突起部(第 1 背側コンパートメント近傍)の限局痛です。母指付け根( CMC )や手関節の別部位痛が主役なら、いったん陰性扱いにして “部位特定” から戻す方が安全です。

陰性ですが、ドケルバンが疑わしいです。

陰性でも疑いが残る場合は、痛みの部位特定(触診・動作)に戻り、条件(受動/段階的誘導)を揃えて再評価します。手技名より “手順” を固定して記録することが、再現性の担保に直結します。

次の一手|運用を整える→共有の型→環境も点検する

Finkelstein を “知っている” から “回せる” に変えるには、手技の混同を潰して、記録の型を揃えるのが近道です。まずは同ジャンル内で 3 段だけ整えると、再現性が上がります。

教育体制・人員・記録文化など “環境要因” を一度見える化すると、次の打ち手が決めやすくなります。

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チェック後に「続ける/変える」の選択肢も整理したい方は、PT キャリアナビで進め方を確認しておくと迷いが減ります。

参考文献

  1. Wu F, Rajpura A, Sandher D. Finkelstein's Test Is Superior to Eichhoff's Test in the Investigation of de Quervain's Disease. J Hand Microsurg. 2018;10(2):116-118. doi:10.1055/s-0038-1626690
  2. Goubau JF, Goubau L, Van Tongel A, Van Hoonacker P, Kerckhove D, Berghs B. The wrist hyperflexion and abduction of the thumb (WHAT) test: A more specific and sensitive test to diagnose de Quervain tenosynovitis than the Eichhoff's Test. J Hand Surg Eur Vol. 2014;39(3):286-292. doi:10.1177/1753193412475043
  3. Elliott BG. Finkelstein's test: a descriptive error that can produce a false positive. J Hand Surg Br. 1992;17(4):481-482. doi:10.1016/S0266-7681(05)80280-3

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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