リンパ浮腫療法士になるには4つの受験資格を満たす
日本リンパ浮腫治療学会認定のリンパ浮腫療法士(LT)になるには、対象となる国家資格を持ち、資格取得後2年以上の実務経験を積んだうえで、所定のリンパ浮腫治療研修を修了し、研修修了後に5症例以上の治療・指導経験を積む必要があります。
PT・OTも対象職種に含まれます。特に迷いやすいのは、「100時間以上ならどの研修でもよいわけではない」「5症例は研修前ではなく研修修了後に経験する」という点です。本記事では、受験資格から研修、5症例、申請、認定試験、登録までを、2026年9月5日時点の公式情報に沿って整理します。
| 確認項目 | 要件 | 迷いやすい点 |
|---|---|---|
| 国家資格 | 医師、看護師、理学療法士、作業療法士、あん摩マッサージ指圧師のいずれか | PT・OTも対象です |
| 実務経験 | 対象国家資格の取得後2年以上 | 研修修了後2年ではなく、国家資格取得後の実務経験です |
| 研修 | 座学33時間以上+実技67時間以上を含む、計100時間以上の所定研修 | 時間だけでなく、教育内容基準を満たす研修である必要があります |
| 症例経験 | 所定研修の修了後に5症例以上 | 研修前の症例や、同一症例への複数回介入を5症例として数えることはできません |
つまり、PT・OTであれば「資格取得後2年以上」→「所定研修を修了」→「研修修了後に5症例以上」という順番をまず押さえると、取得までの条件を整理しやすくなります。
リンパ浮腫療法士になるまでの流れ
リンパ浮腫療法士の取得では、研修と症例経験の順番が重要です。日本リンパ浮腫治療学会が示す取得フローは、研修修了後に5症例を経験し、その後に受験申込・書類選考・認定試験へ進む流れになっています。

- 対象国家資格と実務経験を確認する
対象となる国家資格を保有し、資格取得後2年以上の実務経験を満たしているか確認します。 - リンパ浮腫治療に関する所定研修を修了する
教育内容基準に準拠した座学・実技研修を修了します。 - 研修修了後に5症例以上を経験する
リンパ浮腫外来またはそれに準ずる医療機関で、医師の指示・指導のもと治療や指導を経験します。 - 受験申込と必要書類を提出する
募集期間中に受験申込を行い、症例リストや研修修了証など必要書類をそろえます。 - 書類選考を受ける
受験資格と提出書類が審査され、書類選考合格者に受験票が発送されます。 - 認定試験を受験する
認定試験に合格した後、認定登録へ進みます。 - 認定登録を完了する
登録時の条件を満たして認定登録を行うと、認定証と認定バッジが交付されます。
研修要件は座学33時間以上+実技67時間以上
受験資格となる研修は、単に合計100時間学習すればよいわけではありません。日本リンパ浮腫治療学会では、教育内容基準に準拠した座学45時限以上(33時間以上)かつ実技講習90時限以上(67時間以上)、合計135時限以上(100時間以上)の研修を要件としています。
| 区分 | 時限 | 時間 |
|---|---|---|
| 座学 | 45時限以上 | 33時間以上 |
| 実技 | 90時限以上 | 67時間以上 |
| 合計 | 135時限以上 | 100時間以上 |
したがって、「100時間受講したか」だけでなく、座学と実技それぞれの時間数、教育内容基準への適合、修了を証明できる書類まで確認する必要があります。受講予定の研修が受験資格につながるか判断に迷う場合は、申込前に研修主催者や日本リンパ浮腫治療学会の最新情報を確認してください。
5症例は研修修了後に経験する
リンパ浮腫療法士の受験資格で特に間違えやすいのが、5症例を経験する時期です。公式要件では、リンパ浮腫治療に関する所定研修を修了した後に、5症例以上の実施経験を積む必要があります。
| ケース | 5症例要件としての考え方 |
|---|---|
| 研修を受ける前に経験した症例 | 受験資格となる「研修修了後5症例」には含めません |
| 研修修了後に同じ患者へ5回介入した | 延べ回数ではなく最低5症例が必要なため、1症例として考えます |
| 研修修了後に異なる5症例を経験した | 施設・診断・治療や指導など、その他の要件も満たしているか確認します |
対象となる症例には、原発性リンパ浮腫、続発性上肢リンパ浮腫、続発性下肢リンパ浮腫、静脈性浮腫、低蛋白性浮腫と診断された症例が示されています。
また、症例経験を積む場所にも条件があります。リンパ浮腫外来、または名称としてリンパ浮腫外来を掲げていなくても、医師の指示・指導のもとにリンパ浮腫に対する治療や指導が行われていると認められる医療機関での臨床経験が必要です。
受験申請では症例リストを提出します。2026年度第18回認定試験では、症例リストに治療や指導を証明する医師の署名・捺印が必要とされ、各症例について実施経験を証明する資料の添付も求められています。日常の症例経験を受験時にまとめ直すのではなく、研修修了後から所属施設の規定に沿って必要情報を整理しておくと確認しやすくなります。
受験申込では症例・勤務・研修を証明する書類をそろえる
受験資格を満たしたら、募集期間中に受験申込を行い、必要書類を提出します。提出物は年度によって変更される可能性があるため、実際に申し込む年度の認定試験実施概要を必ず確認してください。
2026年度第18回リンパ浮腫療法士認定試験では、主に以下の書類が求められています。
- 受験申込書
- 最低5症例の症例リスト
- 勤務証明書または推薦状
- 履歴書
- 受験票
- リンパ浮腫治療に関する研修・講習会修了証のコピーとプログラム
- 国家資格免許のコピー
- 資料返却用のレターパック
症例数だけを満たしていても、研修内容や実務経験を確認できなければ書類審査を進められません。研修修了証やプログラムを保管し、症例経験についても医師の指示・指導を確認できる状態にしておくことが重要です。
2026年度の認定試験と現在の申込状況
2026年度の第18回リンパ浮腫療法士認定試験は、2026年10月25日に実施予定です。受験申込期間は2026年7月15日〜8月26日で、現在は受付を終了しています。日本リンパ浮腫治療学会は、第19回認定試験の受験申込を2027年7月頃に開始予定と案内しています。
| 項目 | 2026年度 |
|---|---|
| 試験日 | 2026年10月25日 |
| 試験方法 | 筆記試験・択一式(マークシート)50問、90分 |
| 受験料 | 16,500円 |
| 認定登録料 | 22,000円 |
| 第18回申込 | 受付終了 |
| 次回申込予定 | 第19回:2027年7月頃に募集開始予定 |
試験分野や募集人数、申請書類の提出期限などは各回で確認が必要です。受験年度が決まったら、古い年度の記事や研修案内だけで判断せず、日本リンパ浮腫治療学会の最新の認定試験実施概要を確認してください。
認定試験に合格したら登録を行う
認定試験に合格しただけでは、認定登録完了にはなりません。試験合格後に所定の認定登録を行います。
日本リンパ浮腫治療学会の案内では、認定登録時に日本リンパ浮腫治療学会の会員であり、年会費の未納がないことが条件です。受験時点で学会員でない場合でも、試験合格後に学会会員登録を行ったうえで、リンパ浮腫療法士の認定登録へ進む流れが示されています。
登録が完了すると、認定証と認定バッジが交付されます。「受験前から学会員でなければ受験できない」と混同せず、学会員であることが必要になるタイミングは認定登録時と整理しておくと分かりやすいです。
研修選びでは「受講できるか」と「LT受験資格になるか」を分けて確認する
リンパ浮腫に関する研修や「セラピスト」と名称の付く資格・講習は複数ありますが、それぞれをJCLT認定リンパ浮腫療法士と同じ資格として扱うことはできません。
研修を選ぶときは、まず自分がその講習を受講できるかを確認し、次に修了した研修がLTの受験資格として必要な教育内容・時間数を満たすかを確認します。さらに、研修修了後に5症例を経験できる環境まで確認しておくと、受講後に取得準備が止まりにくくなります。
よくある質問
PT・OTでもリンパ浮腫療法士を取得できますか?
はい。日本リンパ浮腫治療学会が示す対象国家資格には、理学療法士と作業療法士が含まれています。ただし、国家資格取得後2年以上の実務経験、所定研修の修了、研修修了後5症例以上など、他の受験資格もすべて満たす必要があります。
研修を受ける前に経験したリンパ浮腫症例は5症例に入りますか?
入りません。受験資格では、リンパ浮腫治療に関する所定研修を修了した後に5症例以上を経験することが求められています。研修前からリンパ浮腫患者に関わっていた場合でも、受験資格となる5症例とは分けて考えます。
100時間以上の研修なら、どの講習でも受験資格になりますか?
時間数だけでは判断できません。座学45時限以上(33時間以上)、実技90時限以上(67時間以上)、合計135時限以上(100時間以上)に加えて、教育内容基準に準拠していることが必要です。受講前に最新の公式要件と研修内容を確認してください。
受験する前から日本リンパ浮腫治療学会へ入会する必要がありますか?
公式の取得フローでは、学会員であることは認定登録時の条件として示されています。試験合格時に非会員の場合は、学会会員登録後にリンパ浮腫療法士の認定登録を行います。
リンパ浮腫療法士と医療リンパドレナージセラピストは同じ資格ですか?
同じ資格ではありません。リンパ浮腫療法士(LT)は日本リンパ浮腫治療学会の認定資格です。一方、医療リンパドレナージセラピストなどは別の団体・研修制度による資格や修了認定です。LT取得を目指す場合は、受講する研修がLTの受験資格要件を満たすかを確認してください。
次の一手
リンパ浮腫療法士を目指す場合は、まず自分の国家資格と実務経験年数を確認し、その次に「どの研修を受けるか」「研修後に5症例を経験できるか」の順で整理すると進めやすくなります。
- 資格制度の全体像から探す:資格ハブを確認する
- 研修・コースを比較する:リンパ浮腫療法士・セラピストのコース比較を見る
参考文献・参考資料
- 日本リンパ浮腫治療学会. 日本リンパ浮腫治療学会認定 リンパ浮腫療法士:受験資格. 公式ページ(参照:2026-09-05).
- 日本リンパ浮腫治療学会. 日本リンパ浮腫治療学会認定 リンパ浮腫療法士:資格取得までの流れ. 公式ページ(参照:2026-09-05).
- 日本リンパ浮腫治療学会. 第18回 リンパ浮腫療法士認定試験 実施概要. 公式ページ(参照:2026-09-05).
- 日本リンパ浮腫治療学会. 受験申し込み. 公式ページ(参照:2026-09-05).
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。
現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。
保有資格
- 脳卒中認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級

