令和 8 年改定:リンパ浮腫複合的治療料の見直し

制度・実務
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令和 8 年改定:リンパ浮腫複合的治療料「実態に即した評価」見直し

令和 8 年度の診療報酬改定に向けた「これまでの議論の整理(案)」では、リンパ浮腫複合的治療料について、より実態に即した評価を行う観点から評価の見直しが論点に挙がっています。対象患者の増加や治療の継続性、セルフケア支援の重要性を踏まえると、現場運用(誰が・どこで・何を・どの頻度で)に影響が出る可能性があります。

本記事は、現時点で公表されている「議論の整理(案)」の範囲で、何が変わりそうか今から準備できることを、実務目線で整理します(点数・算定要件・様式などの最終形は今後の議論で変わり得ます)。

改定対応は「情報収集」より先に、運用の型(記録・説明・再評価)を揃えるとラクになります。 PT キャリアガイドを見る(学び直しの導線)

結論:見直しの狙いは「治療の実態」に合わせた評価へ

整理(案)では、リンパ浮腫複合的治療料について「実態に即した評価」を行う観点から見直すとされています。つまり、現場で行われている支援(圧迫・スキンケア・運動・セルフケア指導・フォロー等)と、算定上の評価のズレを縮める方向性です。 [oai_citation:1‡厚生労働省](https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001631272.pdf)

今わかっているのは方向性までで、点数や具体要件は未確定です。なので本記事では、改定で影響が出やすい「記録」「指導の設計」「チーム連携」「継続支援」の 4 点に絞って、先回りの準備を提示します。

何が変わる可能性があるか(想定される論点)

ここからは「実態に即した評価」という言葉から逆算した想定です(確定ではありません)。ただし、準備の優先順位を決める材料としては十分使えます。

表:令和 8 年改定で影響が出やすいポイント(想定)
変わり得るポイント 現場で困りやすい所 今から整えること 記録のコツ
治療内容の「内訳」評価 何を実施したかが書類上で伝わりにくい 圧迫・スキンケア・運動・指導をチェック式で統一 1 回の介入で「実施+反応+次回課題」を 1 行で残す
セルフケア指導の重み 指導したが、継続状況が追えない 自己管理(着衣・皮膚・運動)の到達目標を決める 「できた/できない」の理由を 1 つだけ書く
フォロー頻度・期間 頻度が患者ごとにバラつき、説明もバラつく 軽症〜重症の「推奨フォロー間隔」を院内で決める 次回までの観察項目(皮膚・腫脹・疼痛)を固定
多職種連携の見える化 誰が何を担当したかが散らばる 担当(PT/OT/看護/医師)と役割を 1 枚に集約 申し送りは「変更点」だけに限定して短く

なお、評価設計を整えるときは「評価項目の全体像」を先に揃えると迷いが減ります。関連:評価の全体像(評価ハブ)

現場で重要なのは「継続支援」が途切れない設計

リンパ浮腫は、急性期の処置だけで終わらず、生活の中での自己管理が結果を左右します。制度側が「実態」を問題視する背景には、治療の価値が「手技」だけでなく、継続できる状態を作る支援(着衣・皮膚管理・運動・増悪時対応)にある、という流れがあると考えると読みやすいです。

なので改定対応のキモは、指導の標準化再評価の設計です。ここが揃うと、点数や要件が変わっても運用を崩さずに移行できます。

現場の詰まりどころ(よくある失敗)

失敗 1:指導内容が“担当者の頭の中”にある
「何を」「どの順で」「どのレベルまで」できれば OK かが共有されていないと、患者もスタッフも迷います。院内で最小限の型(着衣/皮膚/運動/受診目安)だけでも揃えると、説明がラクになります。

失敗 2:記録が長いのに、算定・連携で必要な情報が抜ける
長文でも、変化(腫脹・皮膚・疼痛)と次アクションが抜けると弱いです。記録は「変化 1 つ+原因 1 つ+次回 1 つ」に絞ると強くなります。施設の運用整理が難しいときは、面談準備のチェック類を“院内の棚卸し”に転用すると早いです。マイナビコメディカルの資料で進め方を整理する

今からできる準備チェックリスト

  • 介入内容(圧迫/皮膚/運動/指導)をチェック式で 1 枚に統一した
  • セルフケア到達目標(例:着衣の手順、皮膚観察、増悪サイン)を決めた
  • 重症度(軽・中・重)ごとにフォロー頻度の目安を決めた
  • 増悪時の受診目安(赤み、熱感、疼痛、発熱など)を説明文で統一した
  • 担当職種と役割分担(誰が説明・誰が再評価)を 1 枚に集約した

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. いつから変わりますか?

A. 現時点は「議論の整理(案)」段階で、点数や算定要件は未確定です。まずは方向性(実態に即した評価)を前提に、院内の運用を揃えておくのが安全です。

Q2. 何を準備すれば一番効率的ですか?

A. まずは「介入内容の内訳」と「セルフケア到達目標」を 1 枚にまとめることです。ここが揃うと、記録・説明・再評価が一気に整います。

Q3. 書類が増えそうで不安です

A. 新しい書類を増やすより、既存記録を「短く強く」する方向がおすすめです。チェック式+自由記載 1 行(変化・原因・次回)に寄せると、監査にも連携にも強くなります。

次の一手(この順でやる)

次は ①院内の型(チェック式)作成 → ②説明文の統一 → ③重症度別フォロー頻度の決定、の順がスムーズです。改定の他論点も並行で押さえると、制度対応の全体設計がラクになります。

参考文献

  1. 厚生労働省.令和 8 年度 診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(案).中医協 総-7(2026-01-14).PDF

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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