MUSTとは?評価方法・3項目の採点・判定基準を解説

栄養・嚥下
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MUSTの評価方法|3項目・判定・使い方

まずは栄養スクリーニングの全体像を1分で確認したい方へ。
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GLIMの診断フロー

MNA®-SF・MUST・GNRIの比較

MUST(Malnutrition Universal Screening Tool)は、成人を対象に、BMI、非意図的な体重減少率、急性疾患による栄養摂取への影響の3項目から低栄養リスクを評価するスクリーニングツールです。採血を必要とせず、外来、病棟、介護施設、在宅などで共通して使いやすいことが特徴です。

この記事では、MUSTの3項目の採点方法、合計点によるリスク判定、判定後の初期対応を実務向けに整理します。本文には、BMI・体重減少率・MUST合計点を確認できる自動計算ツールと、評価条件や再評価結果を残せるA4記録シートPDFも掲載しています。

MUSTは低栄養リスクを抽出するスクリーニングであり、低栄養の確定診断ではありません。中等度・高リスクとなった場合は、摂取量低下の原因や疾患負荷を整理し、必要に応じてGLIM基準による診断へ進みます。

MUST自動計算ツール

身長、現在体重、3〜6か月前の体重、急性疾患による栄養摂取への影響を入力すると、BMI、非意図的体重減少率、各Stepの得点、MUST合計点、リスク分類を確認できます。

今回の自動計算ツールは、身長と体重を入力できる客観的測定ルートを前提としています。身長や体重を測定できない場合は、BAPEN公式資料や施設の運用に沿って、自己申告値、代替計測、暫定評価などを検討してください。

自動計算ツールの使い方
  1. 身長と現在体重を入力します。
  2. 3〜6か月前の体重と、体重減少が非意図的かを入力します。
  3. 急性疾患により、5日を超えて栄養摂取がない、またはその見込みがあるかを選択します。
  4. BMI、体重減少率、各Stepの得点、合計点を確認します。
  5. リスク分類に応じて、共有先、介入内容、再評価日を決めます。
MUST自動計算ツールを別画面で開く

スマートフォンで入力欄を大きく表示したい場合や、記事とは別画面で評価したい場合に利用してください。

自動計算結果だけで低栄養を診断しない

MUSTは低栄養リスクを抽出するスクリーニングです。体重やBMIだけでなく、浮腫、腹水、脱水、補液、摂取量、炎症、疾患、嚥下、口腔状態、本人の希望を合わせて評価してください。

MUST記録シートPDF

MUSTの身体計測、3項目の採点、リスク分類、背景因子、介入内容、再評価結果をA4用紙1枚で整理できます。紙での運用、多職種共有、前回との比較に使用してください。

MUST記録シート(A4・PDF)

身長、体重、体重減少率、急性疾患影響、合計点、初期対応、再評価を1枚にまとめた記録用紙です。

MUST記録シートPDFを開く

MUST記録シートをプレビューする

プレビューできない場合は、こちらからMUST記録シートPDFを開いてください

MUSTが役立つ場面

MUSTは、成人の低栄養リスクを採血なしで短時間に統一評価したい場面に適しています。外来、一般病棟、回復期病棟、介護施設、在宅など、異なる場面でも同じ3項目で評価できます。

一方、高齢者の認知、抑うつ、移動能力、食事内容まで包括的に評価したい場合は、MNA®-SFなど別の評価が適することがあります。施設の対象者と評価目的に合わせて選択してください。

MUSTの使用場面と次の対応
場面 MUSTが向く理由 評価時の注意 次の一手
外来・初回面談 成人の低栄養リスクを短時間で層別できる 過去体重と体重減少の意図を確認する 陽性なら摂取低下の原因と診断の必要性を確認する
一般病棟・回復期病棟 BMI、体重減少、急性疾患影響を共有しやすい 補液、浮腫、入院前後の測定条件を記録する 合計点に応じて再評価日と共有先を決める
介護施設・在宅 採血がなくても継続評価しやすい 同じ体重計と条件で経時変化を追う 体重、摂取量、活動量を同じ記録で確認する
高齢者の包括評価 MUST単独では認知、気分、活動性を十分に拾えない 目的に応じて別尺度との併用を検討する MNA®-SFなどとの使い分けを確認する

MUSTの評価方法|5ステップ

MUSTは、Step 1〜3で3項目を採点し、Step 4でリスク分類、Step 5で初期対応を決めます。評価だけで止めず、再評価と多職種共有までを1セットにすることが重要です。

  1. Step 1:身長と体重からBMIを算出し、0〜2点で採点します。
  2. Step 2:過去3〜6か月の非意図的体重減少率を算出し、0〜2点で採点します。
  3. Step 3:急性疾患により5日を超えて栄養摂取がない、またはその見込みがある場合に2点を加えます。
  4. Step 4:3項目を合計し、低・中等度・高リスクに分類します。
  5. Step 5:リスクに応じて介入内容、共有先、再評価日を決めます。

最初に必要となる情報は、身長、現在体重、3〜6か月前の体重、体重減少が意図的かどうか、急性疾患による栄養摂取への影響です。測定条件や過去体重が不確かな場合は、その事実を記録してください。

Step 1|BMIスコア

BMIは、体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で算出します。MUSTでは、BMIが20以上で0点、18.5以上20未満で1点、18.5未満で2点です。

MUST Step 1|BMIの採点
BMI 得点 解釈 追加確認
20以上 0点 BMI項目では低リスク 体重減少率と急性疾患影響を確認する
18.5以上20未満 1点 境界域 最近の体重・摂取量の変化を確認する
18.5未満 2点 低体重 原因、期間、筋量、疾患、食事摂取量を確認する

浮腫、腹水、脱水、補液、切断、ギプスなどがあると、体重が実際の栄養状態を反映しにくくなります。体重の値だけでなく、測定条件と体液状態を必ず記録してください。

Step 2|非意図的体重減少率

体重減少率は、(過去体重−現在体重)÷過去体重×100で算出します。MUSTでは、過去3〜6か月に起きた非意図的な体重減少を評価します。

計画的な減量や意図的な食事調整による体重減少は、非意図的体重減少として扱いません。ただし、計画より速い減少、体調不良を伴う減少、筋力や摂取量の低下がある場合は、別途評価が必要です。

MUST Step 2|非意図的体重減少率の採点
体重減少率 得点 解釈 追加確認
5%未満 0点 体重減少項目では低リスク 摂取量低下が始まっていないか確認する
5〜10% 1点 臨床的に注意が必要な減少 食欲、嚥下、疼痛、活動量、疾患を確認する
10%超 2点 大きな非意図的体重減少 早期の原因評価と多職種共有を検討する

過去体重が不明な場合は、家族情報、健診記録、前医の診療録、介護記録などを確認します。推定値を用いた場合は、推定であることと情報源を明記し、実測値が得られた時点で更新してください。

Step 3|急性疾患による栄養摂取への影響

急性疾患があり、5日を超えて栄養摂取がない、またはその見込みがある場合は2点を加えます。該当しない場合は0点です。

ここで判断するのは、食事摂取量が少し減ったかどうかではなく、急性疾患によって実質的な栄養摂取がない状態が5日を超えるか、その可能性が高いかです。急性期医療以外では該当する場面が限られるため、条件を過度に広く解釈しないようにします。

MUST Step 3|急性疾患影響の採点
判定 得点 判断の目安 対応
該当しない 0点 急性疾患による5日超の無栄養状態がない BMIと体重減少率を合計する
該当する 2点 急性疾患があり、5日を超えて栄養摂取がない、またはその見込みがある 高リスクとして早期の栄養管理につなげる

Step 4|MUST合計点とリスク判定

Step 1〜3の得点を合計し、0点は低リスク、1点は中等度リスク、2点以上は高リスクと判定します。MUSTの結果は、栄養管理を開始する優先度と再評価頻度を共有するために使用します。

MUST合計点と低栄養リスク
合計点 リスク分類 臨床での意味 次の一手
0点 低リスク 現時点で低栄養リスクは低い 通常のケアを継続し、定期的に再スクリーニングする
1点 中等度リスク 悪化因子と摂取量の観察が必要 食事摂取量を記録し、短期間で再評価する
2点以上 高リスク 栄養介入を検討すべき状態 原因評価を行い、管理栄養士や医師へ早期に共有する

MUSTが陽性となっても、それだけで低栄養の確定診断にはなりません。体重減少、BMI、筋量などの表現型基準と、摂取量低下や炎症などの病因基準を確認し、必要に応じてGLIM基準による低栄養診断へ進みます。

Step 5|リスク別の初期対応

MUSTは、得点を記録するだけでなく、追跡項目、共有先、再評価時期まで決めて完了します。少なくとも体重、食事摂取量、疾患・症状、活動量を同じ記録で追跡すると、栄養介入とリハビリテーションをつなげやすくなります。

MUSTのリスク別初期対応
リスク 初期対応 追跡項目 再評価・共有
低リスク 通常のケアと食事を継続する 体重、摂取量、状態変化 施設・病棟の定期スクリーニング時に再評価する
中等度リスク 食事摂取量を記録し、原因を確認する 体重、摂取率、症状、食形態 短期間で再評価し、改善しなければ専門職へ相談する
高リスク 原因評価と栄養ケア計画を開始する 必要量、摂取量、体重、炎症、嚥下、消化器症状 管理栄養士、医師、看護師、リハ職などへ早期に共有する

再評価頻度は、BAPENの管理ガイド、施設のルール、対象者の状態に合わせて決めます。急速な体重減少、摂取量低下、急性疾患、治療内容の変更がある場合は、定期日を待たずに再評価してください。

MUST運用で起きやすい失敗

MUSTでは、点数だけで終える、過去体重が不明なまま止まる、浮腫や補液を考慮しない、急性疾患影響を広く取りすぎるといった失敗が起こりやすくなります。

先に見返したい場合は、体重減少率の計算方法リスク別の初期対応を確認してください。在宅や訪問場面の運用は、在宅・訪問リハの栄養スクリーニング手順も参考になります。

MUST運用で起きやすい失敗と対策
失敗 起こる問題 対策 記録ポイント
得点だけを付けて終える 介入、共有、再評価につながらない リスク分類後に担当者と再評価日を決める 初期対応、共有先、次回評価日
過去体重が不明なため評価を中止する スクリーニングの初動が遅れる 家族、健診、前医記録などから確認する 体重の情報源と推定値であること
浮腫・腹水・補液を考慮しない BMIや体重減少率を過小・過大評価する 体液状態と測定条件を記録する 浮腫、補液量、測定時刻、衣類
計画的な減量も減点する 非意図的体重減少リスクを過大評価する 減量の目的、経過、体調変化を確認する 意図的・非意図的の区別
急性疾患影響を摂取量低下全般に付ける Step 3を過大評価する 急性疾患と5日超の無栄養状態・見込みを確認する 急性疾患名、摂取できない期間と見込み

MUSTの記録例

BMI、非意図的体重減少率、急性疾患影響、合計点、測定条件、背景因子、初期対応、再評価日をセットで記録します。

【MUST】合計__点(低・中等度・高リスク)
Step 1:BMI__kg/m2/__点
Step 2:過去体重__kg→現在体重__kg/非意図的体重減少率__%/__点
Step 3:急性疾患影響あり・なし/__点
前回差:__点
測定条件:____
浮腫・腹水・補液:____
食事摂取量:____
摂取低下の背景:____
初期対応:____
共有先:____
再評価日・条件:____

MUSTのよくある質問

各質問をタップすると回答が開きます。もう一度タップすると閉じます。

MUSTは低栄養の診断に使えますか?

MUSTは低栄養リスクを抽出するスクリーニングです。陽性の場合は、摂取量低下や炎症などの原因を整理し、必要に応じてGLIM基準などの診断フローへ進みます。

身長や体重を測定できない場合はどうしますか?

BAPEN公式資料では、代替測定や主観的評価を含む方法が示されています。自己申告値や代替計測を使用した場合は、その方法と情報源を記録し、実測可能になった時点で更新してください。この記事の自動計算ツールは、身長と体重を入力できる場合の計算補助です。

計画的な減量も体重減少スコアに含めますか?

MUSTのStep 2で評価するのは、非意図的な体重減少です。計画的な減量は同じ扱いにはしません。ただし、予定より急速な減量、筋力低下、摂取不足、疾患の悪化がある場合は、別途栄養評価が必要です。

急性疾患影響の2点はどのような場合に付けますか?

急性疾患があり、5日を超えて栄養摂取がない、またはその見込みがある場合に2点を加えます。単に食事摂取量が減っているだけではなく、急性疾患と無栄養期間の条件を確認してください。

高齢者ではMUSTとMNA®-SFのどちらを使いますか?

成人を対象に短時間で汎用的に評価する場合はMUSTが使いやすいです。高齢者の認知、気分、移動能力、食事状況まで含めて評価したい場合は、MNA®-SFが適することがあります。対象者と評価目的に合わせて選択してください。

MUSTはどのくらいの頻度で再評価しますか?

設定やリスク分類によって異なります。施設のルールとBAPENの管理ガイドを確認し、体重、摂取量、疾患、治療内容に変化があった場合は定期日を待たずに再評価してください。

自動計算ツールだけでMUSTを評価できますか?

自動計算ツールは、BMI、非意図的体重減少率、急性疾患影響の集計を補助するものです。身長・体重が測定できない場合の代替手順、測定値の妥当性、原因評価、臨床判断を置き換えるものではありません。

次に確認する記事

MUSTで中等度・高リスクとなった後は、低栄養診断の流れと、対象者に合うスクリーニングツールの選び方を確認します。


参考文献

  1. Elia M. The “MUST” Explanatory Booklet. Redditch: BAPEN; 2024. 公式PDF
  2. Stratton RJ, Hackston A, Longmore D, et al. Malnutrition in hospital outpatients and inpatients: prevalence, concurrent validity and ease of use of the Malnutrition Universal Screening Tool for adults. Br J Nutr. 2004;92(5):799-808. doi:10.1079/BJN20041258PubMed:15533269
  3. Stratton RJ, King CL, Stroud MA, et al. Malnutrition Universal Screening Tool predicts mortality and length of hospital stay in acutely ill elderly. Br J Nutr. 2006;95(2):325-330. doi:10.1079/BJN20051622PubMed:16469149
  4. National Institute for Health and Care Excellence. Nutrition support in adults. Quality standard QS24. NICE公式ページ
  5. Cederholm T, Correia MITD, Gonzalez MC, et al. The GLIM consensus approach to diagnosis of malnutrition: a 5-year update. Clin Nutr. 2025. doi:10.1016/j.clnu.2025.03.018PubMed:40222089
  6. 日本栄養治療学会. GLIM基準について. 公式ページ

著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門分野

脳卒中、褥瘡・創傷ケア、呼吸リハビリテーション、リハビリテーション栄養、シーティング、摂食・嚥下

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