圧痕性浮腫の評価方法|押す時間と1+〜4+の見方

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圧痕性浮腫は「押す条件」をそろえて評価する

圧痕性浮腫(pitting edema)は、指で圧迫したあとに皮膚の凹みが残る浮腫です。評価では「何+か」だけを見るのではなく、どこを・どの体位で・何秒押し・どの程度くぼみ・どのくらいで戻ったかをそろえることが重要です。

下肢では脛骨前面や足背を母指で約10秒圧迫する方法が代表例として用いられますが、押圧時間や1+〜4+の定義は完全に統一されているわけではありません。本記事では、1+〜4+を絶対的な診断基準ではなく圧痕の程度を共有する目安として扱い、前回と比較できる評価・記録方法を整理します。

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圧痕性浮腫は何秒押す?部位と条件をそろえる

下肢の圧痕評価では、脛骨前面や足背を母指で約10秒圧迫する方法が代表的です。ただし、圧迫時間・圧力・評価部位は文献や評価法によって異なるため、「10秒だけが正しい」と考えるのではなく、採用する方法を決めて同条件で繰り返すことが重要です。

圧痕の深さは、押す強さや部位、体位によっても変化します。経時評価では、評価者が変わっても前回と同じ条件へ戻せるようにしておきます。

圧痕性浮腫の評価部位、条件固定、押圧、圧痕確認、1+〜4+の目安、記録までを示した図
圧痕性浮腫は、評価部位・体位・押圧時間をそろえ、圧痕の深さと戻り時間を記録します。1+〜4+はグレード単独ではなく、条件と合わせて扱います。
  1. 評価部位を決める:足背、脛骨前面、内果周囲などから、経時的に追いやすい部位を固定します。
  2. 体位をそろえる:臥位・座位などを統一し、下肢挙上直後など条件が異なる場合は記録します。
  3. 圧迫条件をそろえる:母指の掌側を用い、採用した方法に沿って一定時間圧迫します。約10秒圧迫は代表的な方法の1つです。
  4. 圧痕を確認する:指を離した直後の凹みの有無と深さ、元に戻るまでの時間を確認します。
  5. 同条件で比較する:左右差や前回差を見るときも、評価部位・体位・押圧時間を変えないようにします。
圧痕性浮腫を再評価するときに固定したい条件
条件 そろえる内容 理由
評価部位 足背、脛骨前面など同じ位置 部位による圧痕の違いを減らす
体位 臥位・座位など 重力や下肢挙上の影響を区別する
押圧時間 採用する方法に合わせて固定 押す時間による判定差を減らす
圧迫着 装着前後を区別する 介入条件の違いを明確にする
評価時点 可能なら時間帯や介入前後もそろえる 日内変動や介入による変化を区別する

安全面の確認:急に出現した左右差、強い疼痛、発赤・熱感、皮膚色の変化、呼吸苦などを伴う場合は、圧痕のグレード付けだけを続けず、原因評価と医師・看護師等への共有を優先します。

圧痕性浮腫1+〜4+は「代表的な目安」として見る

圧痕性浮腫は1+〜4+で表現されることがあります。代表的な分類では、圧痕の深さを1+=約2mm、2+=約4mm、3+=約6mm、4+=約8mmとして整理します。

ただし、この4段階評価はすべての施設・文献で同じ方法が使われているわけではありません。特に押圧時間、押圧する強さ、戻り時間の定義には差があります。そのため、1+〜4+だけで経時変化を判断するより、評価条件と実際の所見を併記するほうが再評価しやすくなります。

圧痕性浮腫1+〜4+で用いられる代表的な深さの目安
グレード 圧痕の深さの目安 記録で追加したい情報
1+ 約2mm 評価部位、押圧時間、戻り時間
2+ 約4mm 評価部位、押圧時間、戻り時間
3+ 約6mm 評価部位、押圧時間、戻り時間
4+ 約8mm 評価部位、押圧時間、戻り時間

※上表は圧痕の深さを用いた代表的な4段階分類です。圧痕評価には複数の方法があり、1+〜4+に完全に統一された押圧条件・戻り時間の定義があるわけではありません。院内基準や使用している評価法がある場合は、その方法を優先してください。

グレード単独で終わらせない

「右下腿2+」だけでは、前回と同じ方法で評価されたか判断できません。部位+体位+押圧時間+圧痕の深さ+戻り時間まで残すと、担当者が変わっても比較しやすくなります。

圧痕性・非圧痕性は「原因名」ではなく身体所見として扱う

圧痕性浮腫は押圧後に凹みが残る状態、非圧痕性浮腫(non-pitting edema)は腫脹していても明らかな圧痕を残さない状態です。ただし、圧痕の有無だけで浮腫の原因を確定することはできません。

たとえばリンパ浮腫でも、病期や組織変化によって圧痕を認める時期と認めにくい時期があります。「圧痕性だからリンパ浮腫ではない」「非圧痕性だからリンパ浮腫である」と単純に分けず、分布、皮膚所見、経過、左右差などと合わせて評価します。

圧痕性浮腫と非圧痕性浮腫の基本的な見分け方
所見 押圧後 解釈のポイント
圧痕性浮腫 凹みが残る 深さ・戻り時間・分布を合わせて記録する
非圧痕性浮腫 明らかな凹みが残らない 腫脹や皮膚・組織の硬さなども確認する

圧痕性浮腫の記録は「条件+結果」をセットにする

経時評価で重要なのは、グレードをきれいに付けることよりも、次回の評価者が同じ条件を再現できることです。記録では、評価条件と圧痕の結果を分けずに残します。

圧痕性浮腫で残しておきたい記録項目
項目 記録する内容 記録例
評価部位 左右と具体的な位置 右脛骨前面遠位部
体位 臥位・座位など 背臥位
押圧条件 押圧時間、必要に応じて圧迫着の有無 母指で約10秒、圧迫着なし
圧痕 深さ、グレード 約4mm、2+
戻り時間 圧痕が戻るまでの実測・概算時間 約20秒
補助所見 左右差、分布、皮膚所見など 右優位、熱感なし

記録例:右脛骨前面遠位部を背臥位・圧迫着なしで母指にて約10秒圧迫。圧痕約4mm、2+。圧痕は約20秒で回復。左に比べ右優位。熱感なし。次回も同部位・同条件で再評価する。

戻り時間を「すぐ」「しばらく残る」と表現するより、測れる場合は秒数や分数で残すほうが前回との差を判断しやすくなります。深さを正確に測れない場合も、使用したグレードと評価条件をそろえることで比較可能性を高められます。

Stemmer徴候はリンパ浮腫をみる補助所見として使う

Stemmer徴候は、足趾背側の皮膚を母指と示指でつまみ上げられるかを確認する身体所見です。一般に第2趾付近で確認し、皮膚をつまめない、または明らかにつまみにくい場合を陽性とします。

陽性はリンパ浮腫を示唆する所見ですが、陰性だからといってリンパ浮腫を否定できるわけではありません。臨床研究では、早期のリンパ浮腫などで偽陰性がみられています。Stemmer徴候だけで判断せず、腫脹の分布、皮膚・皮下組織の変化、周径、経過などと組み合わせます。

Stemmer徴候の見方
判定 所見 扱い方
陰性 皮膚をつまみ上げられる リンパ浮腫を否定する根拠にはしない
陽性 皮膚をつまめない、または著しくつまみにくい リンパ浮腫を示唆する補助所見として扱う

圧痕性浮腫の評価で起きやすい4つの失敗

圧痕評価のブレは、グレードを覚えていないことよりも、前回と条件が変わっていることで起こりやすくなります。特に以下の4点を避けます。

圧痕性浮腫の評価で起きやすい失敗と修正
NG 問題 修正
「2+」だけ記録する 前回と同じ条件か分からない 部位・体位・押圧時間・深さ・戻り時間を添える
毎回違う場所を押す 病状変化と測定差を区別しにくい 患者ごとに評価部位を固定する
異なる押圧時間を混在させる グレードの比較が不安定になる 採用する方法を決め、同じ押圧時間で評価する
Stemmer陰性でリンパ浮腫を除外する 早期例などを見落とす可能性がある 分布・皮膚所見・周径・経過と組み合わせる

よくある質問(FAQ)

Q1. 圧痕性浮腫は何秒押せばよいですか?

A. 下肢では脛骨前面や足背を母指で約10秒圧迫する方法が代表例として紹介されています。ただし、評価法によって押圧時間は異なります。院内手順がある場合はその方法を優先し、経時評価では同じ部位・体位・押圧時間にそろえてください。

Q2. 圧痕性浮腫の1+〜4+に統一された基準はありますか?

A. すべての評価法で共通する完全な統一基準があるわけではありません。代表的には圧痕の深さを1+=約2mm、2+=約4mm、3+=約6mm、4+=約8mmとする分類がありますが、押圧条件や戻り時間の扱いには違いがあります。

Q3. 1+〜4+だけ記録すれば経過を追えますか?

A. グレードだけでは、評価部位や押圧時間が変わった場合に比較しにくくなります。部位、体位、押圧時間、圧痕の深さ、戻り時間をセットで記録するほうが再評価しやすくなります。

Q4. Stemmer徴候が陰性ならリンパ浮腫ではありませんか?

A. 陰性でもリンパ浮腫を否定できません。特に早期例などでは陰性となる場合があります。腫脹の分布、皮膚・皮下組織の変化、周径、経過などと合わせて判断します。

次に確認すること


参考文献

  1. 佐藤文. 下肢の浮腫を視る―看護の立場から―. 日本フットケア学会雑誌. 2017;15(2):46-49. J-STAGE
  2. Gipson DS, Pal M, Desmond H, et al. Developing an Edema Clinician-Reported Outcome Measure for Nephrotic Syndrome. Glomerular Dis. 2023;3(1):132-139. doi:10.1159/000531505. PubMed
  3. Calzon ME, Blebea J, Pittman C. Quantitative measurement of pitting edema with a novel edema ruler. J Vasc Surg Cases Innov Tech. 2024;10(1):101373. doi:10.1016/j.jvscit.2023.101373. PubMed
  4. Goss JA, Greene AK. Sensitivity and Specificity of the Stemmer Sign for Lymphedema: A Clinical Lymphoscintigraphic Study. Plast Reconstr Surg Glob Open. 2019;7(6):e2295. doi:10.1097/GOX.0000000000002295. PubMed
  5. Executive Committee of the International Society of Lymphology. The Diagnosis and Treatment of Peripheral Lymphedema: 2023 Consensus Document of The International Society of Lymphology. Lymphology. 2023;56(4):133-151. PubMed

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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