理学療法士が現場で使える評価シート・PDFをまとめました
理学療法士の臨床では、勤務する病期や対象者の状態によって、優先して確認すべき項目が異なります。急性期ではリスク管理と離床可否、回復期ではADLと退院支援、療養病棟では生活機能の維持と二次障害予防を意識した評価が重要です。
このページでは、理学療法士が評価、記録、情報共有に活用できる現場ツールを、A4で印刷しやすいPDFとしてまとめています。現在は、急性期・回復期・療養病棟の初期評価シートを公開中です。
初期評価の抜けを減らしたい新人PT、異動後に評価項目を整理したい方、院内教育に使える資料を探している方は、勤務先や目的に合うシートからご活用ください。
評価シート、チェックリスト、書式、患者説明資料、評価尺度の早見表を順次追加します。原則として、A4印刷、手書き、電子カルテへの転記を想定した構成です。
- 急性期PT初期評価シート
- 回復期PT初期評価シート
- 療養病棟PT初期評価シート

公開中の理学療法士向け初期評価シート
病期別の初期評価シートは、すべての評価項目を一律に詰め込むのではなく、その現場で初日に確認したい項目と、評価漏れが起こりやすい項目を優先して構成しています。
各ページでは、評価項目の意味、見る順番、記録例、シート使用時の注意点を解説しています。PDFだけを使用するのではなく、最初に解説記事を確認したうえで、所属施設の基準に合わせてご活用ください。
急性期PT初期評価シート
医師指示、活動制限、荷重条件、バイタル、意識、ライン・ドレーン、基本動作、離床後の反応をA4・1枚で整理できます。
- 初回介入前の情報確認
- 離床時のリスク管理
- 介入後反応の記録
回復期PT初期評価シート
入院前生活、現在のADL、基本動作、歩行、階段、家屋環境、家族支援、退院先を整理し、退院支援につなげる評価シートです。
- 入院時の初期評価
- 退院生活から逆算した目標設定
- カンファレンス前の情報整理
療養病棟PT初期評価シート
全身状態、ベッド環境、姿勢・呼吸、ROM・拘縮、褥瘡・皮膚・浮腫、介助量、栄養・嚥下をA4・1枚で整理できます。
- 生活機能の維持
- 拘縮・褥瘡などの二次障害予防
- 介助方法と病棟申し送りの整理
各シートは、初期評価時の情報整理と評価漏れ防止を補助する資料です。評価結果、臨床判断、実施内容、患者の反応、申し送り、今後の計画は、所属施設の規定に従って電子カルテ等へ記録してください。
勤務先別に選ぶ評価シート
評価シートは、項目数の多さではなく、「その勤務先で意思決定に必要な情報を整理できるか」で選びます。同じ歩行評価でも、急性期では離床の安全性、回復期では退院後の移動、療養病棟では現在の生活能力や介助量を確認するなど、目的が異なります。
| 勤務先・領域 | 優先する評価 | 主な活用場面 |
|---|---|---|
| 急性期 | リスク管理、離床可否、バイタル変化、ライン類、荷重制限 | 初回介入、術後離床、病棟申し送り |
| 回復期 | ADL、歩行、階段、家屋環境、家族介助、退院後生活 | 初期評価、カンファレンス、退院支援 |
| 療養病棟 | 全身状態、拘縮、褥瘡、浮腫、ポジショニング、介助量 | 初期評価、ケア方法の共有、状態変化の確認 |
| 訪問 | 生活動線、住宅環境、介護力、福祉用具、社会参加 | 初回訪問、住宅評価、サービス調整 |
| 外来 | 疼痛、可動域、筋力、動作、仕事・生活への影響 | 初診、経過判定、セルフケア指導 |
今後追加する勤務先別評価シート
急性期・回復期・療養病棟に続き、勤務先や臨床場面に合わせた評価シートを順次追加します。
ICU・集中治療領域評価シート
循環・呼吸状態、鎮静、意識、デバイス、離床レベル、運動負荷への反応を確認するシートです。
訪問リハビリ初期評価シート
生活環境、移動手段、介護力、福祉用具、住宅内動線、本人・家族の希望を整理するシートです。
地域包括ケア病棟評価シート
短期間での退院支援、ADL、家族支援、サービス調整、退院先を整理するシートです。
外来整形理学療法評価シート
疼痛、関節可動域、筋力、動作時症状、仕事・生活への影響、セルフケアを整理するシートです。
離床・リスク管理に使えるチェックリスト
短時間で確認したい内容は、自由記載中心の評価シートよりも、チェックリスト形式が適しています。特に急性期や療養病棟では、評価開始前の確認事項を標準化することで、見落としを減らしやすくなります。
安静度、バイタル、症状、デバイス、転倒リスクなどを介入前に確認します。
臥位・座位・立位の血圧変化と自覚症状を整理します。
発赤、圧迫部位、体位、支持面、ずれ、湿潤などを確認します。
部位、左右差、圧痕、周径、皮膚所見、経時変化を整理します。
サマリー・申し送り・退院支援に使える書式
評価結果を記録するだけでなく、他職種や転院先へ必要な情報を伝えるための書式も順次追加します。情報量を増やすのではなく、「次に支援する人が必要な情報を探しやすい構成」を重視します。
- リハビリテーションサマリー
- 退院時指導書
- カンファレンス用情報整理シート
- 病棟スタッフへの申し送りシート
- 家屋評価・退院前訪問チェックシート
- 自主トレーニング指導書
配布資料は一般的な使用を想定しています。院内で正式な様式として採用する場合は、施設の規定、記録要件、個人情報の取り扱い、責任者の承認をご確認ください。
患者説明・自主トレに使える配布資料
患者さんやご家族へ渡す資料は、専門用語を減らし、何を・いつ・どの程度行うかが一目で分かる構成にします。説明だけで終わらず、自宅や病室で見返して行動につなげられる資料を目指します。
- 転倒予防の確認資料
- 自主トレーニング記録表
- ポジショニング説明資料
- 浮腫予防・下肢挙上の説明資料
- 呼吸練習・排痰方法の説明資料
- 福祉用具・動作方法の確認資料
評価尺度・手順を確認できる早見表
評価尺度の採点基準や手順を短時間で確認したい場面に向けて、A4のクイックリファレンスも整備します。評価尺度そのものを置き換えるのではなく、正式な基準や原著、公式資料を確認するための入口として使用してください。
| 分類 | 予定資料 | 想定場面 |
|---|---|---|
| ADL評価 | FIM・Barthel Indexの確認資料 | 評価前、採点確認、教育 |
| 運動機能 | MMT、Brunnstrom Stage、SIASの確認資料 | 初期評価、再評価 |
| リスク管理 | 起立性低血圧、運動中止基準、離床手順 | 介入前、離床時 |
| 皮膚・褥瘡 | 皮膚観察、発赤確認、ポジショニング | 病棟評価、情報共有 |
著作権や利用条件のある評価尺度は、公式項目をそのまま転載せず、目的、使い方、解釈、記録を補助する資料として作成します。
PT Clinical Toolsの共通設計
配布資料は、見た目の統一だけでなく、現場で継続して使えることを共通ルールとして整備します。PDFごとに必要な項目は変えますが、基本的な操作感や読みやすさはそろえます。
| 設計項目 | 基本方針 |
|---|---|
| 用紙サイズ | 原則A4。評価シートは可能な限り1ページで完結 |
| 印刷 | モノクロ印刷でも項目と罫線を識別できる構成 |
| 記入方法 | チェック、丸付け、短い記述を中心にする |
| 記入欄 | 説明を詰め込みすぎず、手書きできる空間を確保する |
| 情報量 | 網羅性より、判断や情報共有に必要な項目を優先する |
| 更新管理 | ファイル名で版数を管理し、紙面上には版数・日付・サイト名を表示しない |
評価シートを現場で使うときの流れ
評価シートは、すべての欄を埋めることが目的ではありません。評価前の情報収集から再評価まで、臨床判断を整理するための補助ツールとして使用します。
- 介入前にリスクと制限を確認する
安静度、荷重、バイタル、ライン、禁忌事項を先に整理します。 - 当日に必要な評価項目を選ぶ
全項目を一度に評価せず、患者の状態と目的に応じて優先順位を決めます。 - 結果だけでなく反応を記録する
介助量、疼痛、疲労、バイタル変化、代償動作を残します。 - 問題点と次回確認を絞る
問題点を並べすぎず、次の介入や再評価につながる内容を整理します。 - 電子カルテや申し送りへ転記する
評価シートを正式記録の代わりにせず、施設の記録方法に沿って必要事項を残します。
評価シート運用で起こりやすい失敗
評価シートは便利ですが、項目を増やしすぎると記入すること自体が目的になります。現場で継続して使うには、評価の優先順位と正式記録との役割分担を明確にする必要があります。
| よくある失敗 | 対策 |
|---|---|
| 全項目を毎回埋めようとする | 評価目的を決め、当日に必要な項目を選択する |
| 評価結果だけを書き、反応を残さない | 症状、バイタル変化、介助量、代償動作も簡潔に記録する |
| PDFだけで記録が完結したと考える | 正式な診療記録は施設の規定に沿って電子カルテ等へ残す |
| 患者情報を記入した用紙を持ち歩く | 個人情報の管理方法と廃棄方法を施設内で確認する |
| 施設の正式様式と混同する | 補助資料として使用し、正式様式への転記・記録を行う |
評価方法や採点基準を詳しく調べる
評価シートに記載する各評価尺度の目的、方法、採点基準を確認したい場合は、理学療法評価ライブラリもあわせてご覧ください。
理学療法評価ライブラリを見る
理学療法士向けPDFについてよくある質問
評価シートはどのような用途を想定していますか?
個人での学習、初期評価時の情報整理、院内業務での印刷利用、新人教育などを想定しています。正式な院内様式として採用する場合は、施設内の承認や記録規定をご確認ください。
院内で印刷して使用できますか?
院内業務での印刷利用を想定しています。ただし、患者情報を記入する場合は、所属施設の個人情報管理、保管、廃棄に関する規定を確認してください。
PDFを編集して再配布してもよいですか?
無断転載、販売、改変後の再配布はお控えください。院内で項目を調整したい場合は、元PDFを再配布するのではなく、施設内の正式な手続きを経て独自様式を作成してください。
評価シートだけで診療録の代わりになりますか?
評価シートは情報整理を補助する資料です。正式な診療記録は、所属施設の規定に従って電子カルテや所定の記録へ残してください。
新人理学療法士でも使用できますか?
新人PTでも確認項目を追いやすい構成を目指しています。ただし、評価結果の解釈、離床可否、運動負荷、皮膚・嚥下・栄養などの判断は、患者の状態、医師の指示、施設基準、多職種の評価を踏まえて行ってください。
どの評価シートを選べばよいですか?
急性期では離床の安全性、回復期では退院生活、療養病棟では生活機能の維持と二次障害予防を中心に選びます。所属する病棟だけでなく、今回の評価で決めたい内容に合うシートを選んでください。
次の一手|3つの評価シートから勤務先に合うものを選ぶ
PT Clinical Toolsでは、急性期・回復期・療養病棟の初期評価シートを公開しています。それぞれのシートは、同じ評価項目を並べたものではなく、各病期で理学療法士が優先して確認したい内容に合わせて設計しています。
まずは現在の勤務先に合う解説記事を読み、評価の目的と見る順番を確認したうえでPDFをご活用ください。今後は、訪問リハビリ、地域包括ケア病棟、ICU、外来などへ順次拡張します。
参考・利用上の注意
本ページは、理学療法士が臨床情報を整理するための配布資料を案内するページです。個別の疾患、評価尺度、離床基準、運動中止基準については、各ツールの解説記事に掲載する診療ガイドライン、原著論文、公的資料、施設内基準をご確認ください。
配布資料の内容は、特定の患者への診断、治療、離床可否を一律に判断するものではありません。患者の全身状態、医師の指示、多職種からの情報、所属施設の運用に応じて使用してください。
著者情報
rehabilikunblog編集部
療養病院で勤務する理学療法士が、臨床現場での評価、記録、情報共有、新人教育に活用しやすい資料を作成しています。現場で継続して使えるよう、公開後も内容やレイアウトを見直し、更新を行います。

