- BLS の評価方法|このページの結論
- BLS 自動計算ツール
- BLS 記録シート PDF
- 現場の詰まりどころ|BLS がブレるのは “患者” より “条件” が動くとき
- BLS の特徴|SCP と “役割” を分けると運用しやすい
- BLS の構成| 5 場面で何を見るか
- 実施手順| 5 場面を “同条件” で回すコツ
- スコアリングで詰まりやすい 3 点(よくある失敗)
- カットオフと解釈|≥ 2 と ≥ 3 をどう使い分けるか
- よくあるミスと対策( OK / NG 早見表 )
- 介入の考え方|BLS は “介入の順番” を決めるために使う
- 記録の型| 30 秒で書けるテンプレ
- よくある質問( FAQ )
- 次の一手
- 参考文献
- 著者情報
BLS の評価方法|このページの結論
Pusher 評価は「目的 → 尺度 → 再評価条件」を先に固定すると回ります。
Pusher 評価の総論を見るBLS( Burke Lateropulsion Scale )は、寝返り・座位・立位・移乗・歩行の 5 場面で lateropulsion を観察し、0〜17 点で重症度を整理する尺度です。向いているのは、プッシャーの有無だけでなく、どの場面で強いか、再評価でどう変わったかを同じ条件で追いたい場面です。
この記事では、BLS の実施手順、採点でブレやすい点、カットオフ( ≥ 2 / ≥ 3 )の使い分け、記録の型に加えて、A4 記録シート PDF と自動計算ツールもまとめて掲載します。病態の総論や尺度選定の全体像ではなく、現場で BLS を回すための実務を先に固めたい人向けのページです。
BLS 自動計算ツール
BLS は 5 項目を合計して 0〜17 点で整理するため、合計点の確認をすばやく行いたい場面では自動計算ツールがあると便利です。未入力があるときは結果を確定表示しない設計にしているので、誤って 0 点扱いしにくい形で使えます。
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BLS 記録シート PDF
BLS を病棟や回復期で回すときは、点数だけでなく、点が付いた場面と評価条件を一緒に残すと再評価が安定します。下の PDF は、患者情報、条件固定、採点記録、再評価メモを 1 枚で整理できる A4 記録シートです。
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現場の詰まりどころ|BLS がブレるのは “患者” より “条件” が動くとき
BLS は 5 場面で lateropulsion を拾えるのが強みですが、合図、介助入力、視線条件、補助具、座面高、足底接地が少し変わるだけで点が動きやすい尺度でもあります。再評価で “本当に改善したのか” を読むには、まず評価条件を固定することが先です。
特に立位・歩行は、入力が強すぎると抵抗を誘発し、弱すぎると見逃します。BLS のズレは “患者の波” ではなく “評価者の条件差” で起きることが多いので、最初の 1 回目で条件メモを作っておくと、以後の解釈がかなり楽になります。
BLS の特徴|SCP と “役割” を分けると運用しやすい
BLS の強みは、寝返りから歩行までの機能場面に沿って lateropulsion を分解できることです。合計点だけを見るより、どの場面で点が付いたかを読むほうが、安全管理、介助量、課題設定に直結します。
臨床では、SCP を「陽性かどうかの芯を作る尺度」、BLS を「場面差と経過を追う尺度」と役割分担すると迷いにくくなります。BLS は、立位や歩行でだけ所見が出る軽度例や、回復途中の細かな変化を追いたい場面で特に使いやすいです。
BLS の構成| 5 場面で何を見るか
※ 表は横にスクロールできます。
| 場面 | 主に見ること | 臨床で詰まりやすい点 |
|---|---|---|
| 寝返り(仰臥位) | 姿勢修正への抵抗、押し返し | 介助方向が毎回違うと反応がぶれる |
| 座位 | 正中へ戻す入力への抵抗、側方へ押す挙動 | 座面高、足底接地、上肢支持で点が動きやすい |
| 立位 | 直立修正への抵抗の強さ、出現角、持続 | 入力の強さが一定でないと再現しにくい |
| 移乗 | 立ち上がり・着座での押し、修正拒否、踏み替え | 介助量が増えると lateropulsion 以外の要素が混ざる |
| 歩行 | 側方逸脱、介助入力への抵抗、支持物への依存 | 短距離で省略すると軽度例を落としやすい |
実施手順| 5 場面を “同条件” で回すコツ
BLS の再現性は、手順そのものより条件固定で決まります。評価前に、合図の文言、評価者の立ち位置、手の当て方、視線条件、補助具を決め、できるだけ毎回そろえます。
実施順は、寝返り → 座位 → 立位 → 移乗 → 歩行の流れで回すと整理しやすいです。重症例ほど前半で所見がはっきりし、軽症例ほど後半の立位・歩行で差が出やすくなります。
- 準備:評価場所、時間帯、補助具、介助位置、合図を固定します。
- 寝返り:体幹を中間位へ誘導し、押し返しや修正への抵抗を見ます。
- 座位:骨盤・体幹を正中へ戻したときの抵抗、上肢支持、側方への押しを確認します。
- 立位:直立へ戻す入力に対し、どの角度から抵抗が出るか、どれくらい続くかを見ます。
- 移乗:立ち上がり・着座・方向転換で lateropulsion が強まるかを確認します。
- 歩行:短距離でもよいので省略せず、側方逸脱、支持物依存、修正抵抗を見ます。
スコアリングで詰まりやすい 3 点(よくある失敗)
スコアが割れるときは、まず “症状” より “条件差” を疑うのが近道です。BLS は角度・入力・場面差の 3 つで解釈がぶれやすいので、ここだけ先にそろえると再評価が安定します。
- 角度が曖昧:床の目印や壁の垂直線を使い、出現角を “だいたい” で終わらせない。
- 介助入力が変わる:手の当て方(部位・方向・強さ)を固定し、誘発と見逃しの両方を避ける。
- 合計点だけを見る:BLS は合計よりもどの場面で点が付いたかを優先して読む。
カットオフと解釈|≥ 2 と ≥ 3 をどう使い分けるか
BLS のカットオフは、何のために線を引くかで決めると運用が安定します。拾い上げを優先するのか、分類の整合性を高めたいのかで、最適な基準は変わります。
変化量を読むときは、同条件での再評価が前提です。条件が動いた状態で 1〜2 点の増減だけを見ても、改善か誤差かの判定は難しくなります。
※ 表は横にスクロールできます。
| 目的 | 目安 | 実務での読み方 |
|---|---|---|
| 拾い漏れを避けたい | BLS ≥ 2 | 病棟の初回拾い上げやスクリーニングで使いやすい基準です。 |
| 分類の整合を高めたい | BLS ≥ 3 | 研究目的や介入計画、重症例の層別化で使いやすい基準です。 |
| 意味のある変化を見たい | MDC 約 2.2 点 | 1 点前後の増減は、まず条件差が混ざっていないかを確認します。 |
目安として、SEM は約 0.8 点、MDC は約 2.2 点です。つまり、1 点だけの変化を “改善” と断定する前に、合図、介助、視線、補助具が前回と同じだったかを見直すのが安全です。
よくあるミスと対策( OK / NG 早見表 )
※ 表は横にスクロールできます。
| よくある NG | 起きやすいズレ | OK(対策) | 記録に残すと良い項目 |
|---|---|---|---|
| 合図が毎回違う | 抵抗の出現タイミングが変わり、点がぶれる | 声かけの文言を短文で固定する | 合図の文言、介助レベル |
| 修正入力が強すぎる/弱すぎる | 抵抗を誘発/見逃し | 手の当て方と入力方向を手順化する | 手の当て方、入力方向 |
| 立位だけで点が跳ねる理由が不明 | 介入方針が曖昧になる | 出現角と持続を言語化し、場面差で読む | 出現角、持続時間 |
| 歩行を省略する | 歩行でのみ顕在化する軽度例を落とす | 短距離でもよいので歩行は必ず確認する | 逸脱方向、補助具の種類 |
介入の考え方|BLS は “介入の順番” を決めるために使う
BLS の価値は、正しい合計点を当てることではなく、どの場面から介入を始めるかを決めやすいことです。重症例ほど、環境調整 → 座位 → 立位 → 歩行の順に安全を積み上げるとブレにくくなります。
迷ったときは、点が付いた場面を 1 つ選び、その場面で lateropulsion が出にくい条件を探すところから始めると整理しやすいです。
- 座位で強い:骨盤・体幹の正中化、足底接地、視線の固定を優先する。
- 立位で強い:支持物、介助位置、荷重量、速度を段階化する。
- 歩行で強い:逸脱方向と支持物依存を先に整理してから距離や速度を上げる。
記録の型| 30 秒で書けるテンプレ
点数だけで終わらず、場面差と条件をセットで残すと、カンファレンスと再評価が一気に速くなります。以下の型をそのまま使うと、BLS の記録が安定します。
- BLS 合計:◯ / 17
- 点が付いた場面:寝返り(◯)/座位(◯)/立位(◯)/移乗(◯)/歩行(◯)
- 主所見:修正誘導に対し(抵抗/押し)を認め、特に(場面)で(出現角・持続)が目立つ
- 条件:評価者( )・介助レベル( )・合図( )・視線条件( )・補助具( )・座面高( )
- 次回の比較ポイント:(場面)での(抵抗の強さ/持続/出現角)
よくある質問( FAQ )
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
BLS の「 ≥ 2 」と「 ≥ 3 」はどちらを使うべきですか?
拾い漏れを減らしたい運用では ≥ 2、研究目的や介入計画、重症度の層別化では ≥ 3 を採用すると整理しやすいです。施設内で基準を固定し、記録用紙にも明記しておくと解釈差が減ります。
改善の “意味のある変化” はどのくらいですか?
目安として、SEM は約 0.8 点、MDC は約 2.2 点です。1 点程度の変化だけで改善と断定せず、まずは合図・介助・視線・補助具が前回と同じだったかを確認してください。
SCP で陰性なのに BLS で陽性になることはありますか?
あります。特に軽度〜回復途中では、立位や歩行でだけ lateropulsion が出ることがあり、BLS のほうが拾いやすい場面があります。その場合は “どちらが正しいか” より、どの場面で所見が出たかを共有するほうが実務的です。
歩行は省略してもよいですか?
重症例で安全確保が難しい場合を除き、短距離でも確認するのがおすすめです。歩行でのみ lateropulsion が顕在化する例があるため、そこを飛ばすと軽度例を見逃しやすくなります。
次の一手
- Pusher 評価の総論|導入〜再評価の標準フロー:尺度に入る前に、観察 → 初回判断 → 再評価頻度の全体像を固める。
- Pusher scale 比較|SCP・BLS・CP の使い分け:BLS を使うべき場面と、他尺度へ切り替える場面を整理する。
参考文献
- D’Aquila MA, Smith T, Organ D, Lichtman S, Reding M. Validation of a lateropulsion scale for patients recovering from stroke. Clin Rehabil. 2004;18(1):102-109. DOI / PubMed
- Clark E, Hill KD, Punt TD. Responsiveness of 2 scales to evaluate lateropulsion or pusher syndrome recovery after stroke. Arch Phys Med Rehabil. 2012;93(1):149-155. DOI / PubMed
- Bergmann J, Krewer C, Müller F, Jahn K. A new cutoff score for the Burke Lateropulsion Scale improves validity in the classification of pusher behavior in subacute stroke patients. Gait Posture. 2019;68:514-517. DOI / PubMed
- Bergmann J, Krewer C, Rieß K, Müller F, Koenig E, Jahn K. Inconsistent classification of pusher behaviour in stroke patients: a direct comparison of the Scale for Contraversive Pushing and the Burke Lateropulsion Scale. Clin Rehabil. 2014;28(7):696-703. DOI / PubMed
- Chow E, Parkinson S, Jenkin J, et al. Reliability and Validity of the Four-Point Pusher Score. Physiother Can. 2019;71(1):34-42. PubMed / PMC
- Shirley Ryan AbilityLab. Burke Lateropulsion Scale. Web
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


