BLSの評価方法|このページの結論
BLS(Burke Lateropulsion Scale)は、寝返り・座位・立位・移乗・歩行の5場面を0〜17点で評価する尺度です。採点で見るのは、姿勢が麻痺側へ傾いているかだけではありません。正中へ戻す誘導や動作介助に対して、抵抗がどの位置から、どの程度出るかを確認します。受動的に麻痺側へ崩れるだけの場合は、原則としてlateropulsionの得点には含めません。
この記事では、BLSの5項目の配点、座位・立位の角度基準、移乗・歩行が難しい場合の考え方、カットオフ、再評価時の注意点を整理します。採点後に使えるA4記録シートPDFと自動計算ツールも掲載しているため、初回評価から再評価まで同じ条件で運用したいPT・OT向けの実践ページです。
BLSとは|5場面のlateropulsionを0〜17点で評価する
BLSは、患者が姿勢を保持・修正するときや、動作を介助されたときに示すlateropulsionの程度を評価します。得点が高いほど、正中への修正や動作介助に対する抵抗が強いと解釈します。
- 評価項目:寝返り・座位・立位・移乗・歩行
- 合計点:0〜17点
- 主な評価対象:脳卒中後のlateropulsion、Pusher現象
- 所要時間の目安:約10分
- 主な用途:重症度の整理、場面差の確認、経時変化の追跡
BLSは合計点だけでなく、寝返りでは出ないが立位・歩行で出るなど、項目別の得点分布を確認できる点が特徴です。
BLSの構成と配点|寝返り・立位は4点、ほかは3点
BLSは5項目の合計17点で構成されます。寝返りと立位は最大4点、座位・移乗・歩行は最大3点です。
※ 表は横にスクロールできます。
| 項目 | 配点 | 採点の中心 |
|---|---|---|
| 寝返り | 0〜4点 | 他動的な寝返りに対する抵抗の強さと方向 |
| 座位 | 0〜3点 | 麻痺側傾斜位から正中へ戻す際に抵抗が始まる角度 |
| 立位 | 0〜4点 | 麻痺側傾斜位から正中・非麻痺側へ誘導した際の抵抗開始位置 |
| 移乗 | 0〜3点 | 非麻痺側方向への移乗に対する抵抗と必要介助量 |
| 歩行 | 0〜3点 | 歩行中に正中を保つ介助へ示す能動的な抵抗 |
| 合計 | 0〜17点 | 高得点ほどlateropulsionが強い |
注意:以下は原著の採点方法を臨床で確認しやすいように要約したものです。採点表の正式な文言や実施条件を確認するときは、原著論文の付録を参照してください。
BLSの採点基準|5項目で何点を付けるか
BLSの採点では、寝返り・移乗・歩行は主に抵抗の強さ、座位・立位は正中へ戻す途中で抵抗が始まる角度を確認します。
1.寝返り:0〜4点
麻痺側方向、続いて非麻痺側方向へ他動的に寝返りを誘導し、抵抗の強さを確認します。
- 0点:抵抗を認めない
- 1点:軽度の抵抗
- 2点:中等度の抵抗
- 3点:強い抵抗
- 追加1点:両方向への寝返りで抵抗を認める
最大点は4点です。両方向で抵抗がある場合は、それぞれを別々に合計するのではなく、最も強い抵抗の点数に1点を加えます。
2.座位:0〜3点
足底を床から離し、上肢支持を使わない座位で行います。体幹を麻痺側へ約30度傾けた位置から正中へ戻し、抵抗が始まる角度を確認します。
- 0点:正中へ戻す際に抵抗を認めない
- 1点:正中まで残り約5度以内で抵抗が出る
- 2点:正中から約5〜10度離れた位置で抵抗が始まる
- 3点:正中から10度を超えて離れた位置から抵抗が始まる
麻痺側へ受動的に倒れるだけでは加点しません。正中へ戻そうとした際に、体幹や上下肢で麻痺側へ重心を保とうとする抵抗があるかを確認します。
3.立位:0〜4点
必要な支持や介助を行った立位で、体幹を麻痺側へ約15〜20度傾けた位置から正中へ戻し、さらに非麻痺側へ正中を少し越える範囲まで誘導します。
- 0点:非麻痺側下肢へ重心を移すことができ、lateropulsionを認めない
- 1点:正中を越えて非麻痺側へ約5〜10度誘導した位置で抵抗が出る
- 2点:正中まで残り約5度以内で抵抗が出る
- 3点:正中から麻痺側へ約5〜10度離れた位置で抵抗が始まる
- 4点:正中から麻痺側へ10度を超えて離れた位置から抵抗が始まる
立位は、正中へ近づいた時点だけでなく、正中を越えて非麻痺側へ誘導した際の抵抗も評価するため、最大4点となります。
4.移乗:0〜3点
座位から非麻痺側方向へ移乗した際の抵抗を評価します。可能であれば麻痺側方向への移乗も確認しますが、採点の中心は非麻痺側方向への抵抗です。
- 0点:非麻痺側方向への移乗で抵抗を認めない
- 1点:軽度の抵抗
- 2点:中等度の抵抗があるが、1人介助で移乗できる
- 3点:lateropulsionによる強い抵抗があり、2人以上の介助を要する
筋力低下、失行、疼痛、意識障害など、lateropulsion以外の理由で介助者が増えている場合は、介助人数だけで3点と判断しません。
5.歩行:0〜3点
歩行中に評価者が身体を正中へ支持した際、患者が麻痺側へ重心を保とうとする能動的・反射的な抵抗を確認します。
- 0点:lateropulsionを認めない
- 1点:軽度
- 2点:中等度
- 3点:強いlateropulsionがあり2人介助を要する、またはlateropulsionが強く歩行できない
麻痺側へ受動的に倒れる、筋力低下で支持できない、医学的安全性のため歩行できないといった場合は、lateropulsionによる歩行不能と区別します。
採点で迷いやすい境界|受動的な傾きと実施不能を分ける
BLSで最も注意したいのは、姿勢が傾いていることと、正中修正への抵抗を同じものとして扱わないことです。

受動的に麻痺側へ倒れるだけでは加点しない
座位・立位・歩行では、麻痺、感覚障害、体幹機能低下などにより、麻痺側へ受動的に崩れることがあります。BLSで確認するのは、正中へ戻そうとした際に、患者が麻痺側へ重心を維持しようとする能動的または反射的な抵抗です。
立位・歩行ができないときは原因を確認する
原著では、lateropulsionが著しく強いため立位・歩行を実施できない場合、該当項目を最大点として扱います。ただし、次の理由で実施できない場合は、自動的に最高点とはしません。
- 全身状態や循環動態が不安定
- 重度の運動麻痺
- 疼痛や整形外科的問題
- 覚醒低下や指示理解困難
- lateropulsion以外のバランス障害
lateropulsionによる実施不能か判断できない場合は、実施できなかった理由を記録し、合計点の解釈にも注意します。
介助条件を変えると得点も変わりうる
移乗・歩行は介助量が採点に関係します。再評価時は、評価者、介助位置、支持物、補助具、歩行距離を可能な範囲で統一してください。
BLSのカットオフ|2点以上と3点以上の違い
BLSのカットオフは、採用する文献や評価目的によって異なります。施設内で2点以上と3点以上が混在すると結果の解釈が変わるため、使用した基準を記録に残します。
※ 表は横にスクロールできます。
| 基準 | 位置付け | 実務上の注意 |
|---|---|---|
| BLS 2点以上 | 従来から使用されてきた、より包括的な基準 | 軽度例も含みやすい一方、他尺度との分類が一致しないことがあります。 |
| BLS 3点以上 | 亜急性期脳卒中患者の分類妥当性を高める基準として提案 | 研究、介入計画、対象者の層別化では、どの基準を採用したか明記します。 |
| SEM 約0.8点 | 測定誤差の大きさを示す目安 | 1点の変化だけで改善・悪化を断定しません。 |
| MDC 約2.2点 | 測定誤差を超えた変化の目安 | 臨床的に重要な変化を直接示す値ではありません。 |
再評価では、合計点の差だけでなく、どの項目が変わったか、実施条件が同じだったかも確認してください。
BLSの実施手順|初回評価で条件を固定する
BLSの再評価を比較可能にするには、初回評価時に条件を記録します。
- 安全性を確認する:全身状態、起立耐性、疼痛、転倒リスクを確認します。
- 条件を記録する:評価者、場所、時間帯、補助具、介助位置、合図を残します。
- 寝返りを評価する:麻痺側方向と非麻痺側方向への抵抗を確認します。
- 座位を評価する:正中へ戻す途中で抵抗が始まる角度を確認します。
- 立位を評価する:麻痺側傾斜位から正中を越える範囲まで誘導します。
- 移乗を評価する:非麻痺側方向への抵抗と必要介助量を確認します。
- 歩行を評価する:安全に実施できる場合に、正中支持への抵抗を確認します。
- 得点と根拠を記録する:合計点だけでなく、抵抗の強さ・角度・実施条件を残します。
安全に実施できない項目を無理に行う必要はありません。実施しなかった項目と理由を記録してください。
BLS自動計算ツール
5項目の採点後は、以下のツールで合計点を確認できます。未入力項目がある場合は合計点と参考判定を確定表示しないため、未入力を0点として計算する誤りを防ぎやすい設計です。
このツールは合計計算の補助用であり、姿勢や抵抗を自動判定するものではありません。
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BLS記録シートPDF
BLSを再評価するときは、合計点だけでなく、評価条件と項目別の根拠を残すことが重要です。以下のA4記録シートには、患者情報、評価条件、5項目の点数、根拠メモ、再評価メモを記入できます。
記録シートは独自作成の記入用紙であり、尺度の設問文や正式な採点基準全文は収載していません。
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BLSの記録方法|点数・根拠・条件をセットで残す
BLSの記録では、合計点だけでなく、点が付いた項目、抵抗の出現位置、介助条件を残します。以下の型を使用すると、担当者が変わった場合も再評価しやすくなります。
- BLS合計:◯ / 17点
- 採用基準:2点以上/3点以上
- 項目別得点:寝返り( )/座位( )/立位( )/移乗( )/歩行( )
- 主所見:正中修正に対する抵抗を(場面)で認め、(角度・強さ・方向)が目立つ
- 評価条件:評価者、合図、介助位置、視線、補助具、座面高、歩行距離
- 実施不能項目:項目名と実施できなかった理由
- 次回の比較点:抵抗の開始角度、強さ、介助人数、項目別得点
記録例
「BLS 6/17点。寝返り0、座位1、立位2、移乗1、歩行2。座位は正中付近、立位は正中到達前から麻痺側へ重心を保つ抵抗を認めた。歩行は短下肢装具・四点杖・2人介助、10mで評価。次回も同条件で立位と歩行の抵抗開始位置を比較する。」
BLS結果の読み方|合計点より項目別の変化を見る
BLSの合計点はlateropulsionの全体的な重症度を整理する指標です。ただし、同じ合計点でも、点が付いた場面によって臨床上の意味は異なります。
- 寝返り・座位でも得点する:低い活動水準でもlateropulsionが現れている
- 立位・歩行のみ得点する:軽度例や回復途中で動的課題に所見が残っている可能性がある
- 合計点は同じで項目が変わった:場面別の変化を確認し、改善・悪化を合計点だけで判断しない
- 介助条件が変わった:前回得点との単純比較を避ける
BLSは治療手順を直接決める尺度ではありません。得点した場面をもとに、安全管理、動作観察、追加評価、介助方法の検討へつなげます。
BLS・Pusher現象の理解を深める本
BLSの採点を学んだあとは、脳卒中理学療法の全体像と、観察した動作を臨床推論へつなげる方法を学ぶと、評価結果をより活用しやすくなります。
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BLSのよくある質問
麻痺側へ受動的に倒れるだけでも得点しますか?
受動的な崩れだけでは、原則としてlateropulsionの得点にはしません。座位・立位・歩行では、正中へ戻す誘導に対し、体幹や上下肢で麻痺側へ重心を保とうとする能動的・反射的な抵抗を確認します。
立位や歩行ができない場合は最高点ですか?
lateropulsionが著しく強いため実施できない場合は、該当項目の最大点を検討します。ただし、重度麻痺、疼痛、全身状態、覚醒低下など別の理由で実施できない場合は、自動的に最高点とはしません。実施不能の理由を記録してください。
SCPで陰性でもBLSで得点することはありますか?
あります。SCPとBLSは評価項目と採点方法が異なります。軽度例や回復途中では、BLSの立位・歩行項目だけに得点する場合があります。どちらが正しいかだけでなく、どの場面で所見が出たかを共有することが重要です。
1点改善したらlateropulsionが改善したと判断できますか?
1点の変化だけで改善と断定することは避けます。SEMは約0.8点、MDCは約2.2点とされているため、評価条件と項目別の変化を確認します。MDCは測定誤差を超える変化の目安であり、臨床的に重要な変化を直接示す値ではありません。
次の一手
- Pusher評価の進め方と記録例:初回観察、尺度選択、再評価までの全体像を確認する。
- Pusher scale比較|SCP・BLS・CPの使い分け:BLSを選ぶ場面と、他尺度へ切り替える場面を整理する。
参考文献
- D’Aquila MA, Smith T, Organ D, Lichtman S, Reding M. Validation of a lateropulsion scale for patients recovering from stroke. Clin Rehabil. 2004;18(1):102-109. DOI / PubMed
- Clark E, Hill KD, Punt TD. Responsiveness of 2 scales to evaluate lateropulsion or pusher syndrome recovery after stroke. Arch Phys Med Rehabil. 2012;93(1):149-155. DOI / PubMed
- Bergmann J, Krewer C, Müller F, Jahn K. A new cutoff score for the Burke Lateropulsion Scale improves validity in the classification of pusher behavior in subacute stroke patients. Gait Posture. 2019;68:514-517. DOI / PubMed
- Bergmann J, Krewer C, Rieß K, Müller F, Koenig E, Jahn K. Inconsistent classification of pusher behaviour in stroke patients: a direct comparison of the Scale for Contraversive Pushing and the Burke Lateropulsion Scale. Clin Rehabil. 2014;28(7):696-703. DOI / PubMed
- Shirley Ryan AbilityLab. Burke Lateropulsion Scale. RehabMeasures Database
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。
現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。
保有資格
- 脳卒中認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級

