2026 年 6 月の臨時介護報酬改定|リハ職の給料・配置・働き方はどう変わる?
最終更新:2026 年 1 月 30 日(臨時改定の公表資料・報道を反映)
2026 年 6 月の介護報酬「臨時改定」は、点数の暗記よりも“ 処遇改善(賃上げ原資+職場環境)を現場まで届かせるために、職場の運用が整っているか ”が勝負になります。本記事は PT・OT・ST 向けに、①給料(配分される条件)②配置(人が増える職場の特徴)③働き方(残る/動くの判断材料)を、意思決定できる形にまとめます。
制度の全体像(改定の要点・用語・サービス別の概要)を先に押さえたい方は、まず親記事(総論)から読むのが最短です。
まず結論|“ 動きやすい職場 ” は 3 つの条件で決まる
臨時改定で差が出るのは、「賃上げ原資がある」かよりも、原資を “ 配分できる運用 ” があるかです。現場目線の結論は次の 3 点です。
①配分のルールが見える(誰に・いつ・どう配るか)/②職場環境要件を “ 仕組み ”で満たす(研修・面談・記録・ ICT など)/③人員配置の設計がある(訪問・通所・施設で「誰が何を持つか」)。この 3 点が揃う職場は、臨時改定の恩恵が「個人の給料」と「働きやすさ」に落ちやすいです。
| 論点 | 起きやすい変化 | スタッフが見るポイント | 管理側が先に整えること |
|---|---|---|---|
| 給料(処遇) | 原資は増えても、配分が曖昧だと個人に落ちない | 配分の基準・時期・説明の有無 | 配分ルールの明文化、説明・合意、記録 |
| 配置(人員) | 「増員」より、業務の持ち方(兼務・分担)が変わる | 兼務の線引き、担当の固定、引継ぎの型 | 担当表・標準手順・引継ぎテンプレの整備 |
| 働き方 | 面談・研修・ ICT など “ 仕組み ” の差が残業・離職に直結 | 面談頻度、研修の実装、記録の負担 | 面談設計、研修計画、記録の簡素化・ ICT |
臨時改定で “ リハ職の現場 ” に関係しやすい変更点
臨時改定は、幅広いサービスの点数を大改編するというより、処遇改善(賃上げ・職場環境改善)を強める方向が中心になりやすいのが特徴です。とくにリハ職は、訪問・通所・施設など「所属するサービス」で影響の出方が変わるため、自分の職場が “ どの枠で評価されるか ”を先に押さえるのが近道です。
細かな通知・算定要件は今後の整理で確定していくため、本記事では“ 現場で差が出る部分 ”(配分・運用・配置)に絞って解説します。制度の全体像(サービス別の整理)は、親記事に集約しています:2026 年 6 月 臨時介護報酬改定(親記事)。
施設別に見る|老健・特養・通所・訪問で “ 影響の出方 ” が違う
同じ「臨時改定」でも、現場で体感しやすい変化は施設タイプで異なります。ここでは、働き方に直結しやすい論点を“ 現場の困りごと ” 起点で整理します。
| 施設タイプ | 影響が出やすい論点 | 現場の詰まりどころ | 見分ける質問(面談で聞く) | 先に整える 1 手 |
|---|---|---|---|---|
| 老健 | 配置(担当の固定)と役割分担 | 兼務が増えて残業が増える | 担当表は誰がいつ更新?引継ぎの型はある? | 担当表+引継ぎテンプレを “ 1 枚 ” に固定 |
| 特養 | 配分の説明と “ 仕組み化 ” | 配分が不透明で納得感が落ちる | 配分の基準・時期・説明の場はある? | 配分ルール(対象/時期/基準)を文章で明文化 |
| 通所リハ | 稼働変動と記録負担 | 利用者増で記録・調整が詰まる | 記録の二重化は?キャンセル時の穴埋めルールは? | 記録の最小セット(重複カット)を先に決める |
| 訪問リハ | 要件を満たす運用(面談・研修・記録) | 個人の頑張りで要件を埋めて疲弊 | 面談・研修は勤務内?記録テンプレはある? | 要件を “ 仕組み ” で回す担当とテンプレを作る |
老健(介護老人保健施設):配置と役割分担が “ 実務 ” を左右
老健は「在宅復帰」「リハの提供体制」「多職種連携」が絡むため、処遇改善の原資があっても、役割分担(誰が何を持つか)が曖昧だと残業・兼務過多に繋がりやすいです。先に見るべきは、担当の固定と引継ぎの型、そして会議体(面談・目標・記録)が回っているかです。
特養:標準化(記録・業務)があるほど “ 配分 ” が説明できる
特養は、直接リハ提供の形が施設ごとに異なり、評価・介入の見せ方で納得感が変わります。賃上げ原資の配分を説明するには、個人の頑張りよりも仕組み(研修・面談・業務標準化)が重要です。
通所リハ:稼働と人員のバランスが崩れると “ しわ寄せ ” が来る
通所リハは稼働の変動が大きく、利用者増の局面では記録・計画・担当調整が詰まりどころになります。稼働を上げる前に、記録の型と担当表、キャンセル時の穴埋めルールを決めておくと、現場のしわ寄せが減ります。
訪問リハ:要件を満たす “ 運用の型 ” がある職場が強い
訪問リハは、処遇改善に絡む要件(キャリアパス・職場環境等)を、個人の努力で埋めると破綻しやすい領域です。現場がラクになるのは、要件を “ 仕組み ” で満たす職場です。実務の確認は各論にまとめています:訪問リハ × 処遇改善の要件チェックリスト。
現場の詰まりどころ|“ 配分されない・増えない・しんどい ” はなぜ起きる?
臨時改定の話題で最も多い詰まりは、「賃上げがあると聞いたのに、現場で変わらない」ことです。多くの場合、原因は制度そのものよりも運用(配分・説明・記録・配置)にあります。まずは “ 失敗パターン ” を押さえると、次の一手が決まります。
よくある失敗|配分が “ 個人 ” に落ちない 4 パターン
同じ原資でも、現場での体感が変わるのはここです。読者が巻き込まれやすい失敗は、次の 4 つに集約できます。
| 失敗パターン | 起きること | 見分ける質問 | 回避の方向性 |
|---|---|---|---|
| 配分ルールが不明 | 「評価されない」「不公平」に見える | いつ・誰に・何で配るか説明がある? | ルールの明文化と説明の場を作る |
| 職場環境要件が “ 形だけ ” | 研修や面談が負担増になる | 研修は勤務内?面談は記録が残る? | 仕組み化(計画・テンプレ・担当) |
| 兼務・役割が曖昧 | 結局、残業と押し付けが増える | 担当表と引継ぎの型がある? | 線引きと引継ぎテンプレを整える |
| 記録が増えるだけ | 本来業務が圧迫される | 記録は “ 目的 ” が共有されている? | 最小セット化・重複削減・ ICT 活用 |
回避の手順|“ 最小チェック 6 項目 ” だけ先に確認する
臨時改定の影響を “ 自分の働き方 ” に落とすには、細かい通知を追いかけるより、まず現場の 6 項目を確認するのが最短です。転職検討中の方も、面談前にこの 6 つが聞けると失敗が減ります。
- 配分の説明:配分基準・時期・対象の説明がある
- 面談の設計:目標・評価・フィードバックが年 1 回以上で回る
- 研修の実装:勤務内で参加でき、記録がテンプレで残る
- 担当の線引き:兼務の範囲が明確で、担当表が更新される
- 記録の最小化:同じ内容の二重記載がない
- 共有の型:引継ぎ・会議体・チェックリストがある
面談で使える:短い “ 確認フレーズ ”(コピペ用)
細かい制度の話より、運用が回るかを短く確認すると失敗が減ります。
- 「処遇改善の配分は、対象・基準・時期を文章で共有していますか?」
- 「面談は年に何回で、目標とフィードバックは記録に残りますか?」
- 「研修は勤務内で参加できますか?参加記録はテンプレがありますか?」
- 「兼務の範囲はどこまでで、担当表は誰が更新していますか?」
- 「記録の二重化(同じ内容を 2 回書く)は、どこを減らしていますか?」
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
2026 年 6 月の臨時改定で、リハ職の給料は必ず上がりますか?
必ず一律に上がる、とは言い切れません。臨時改定は処遇改善を強める方向が中心ですが、現場で差が出るのは「配分できる運用(ルール・説明・記録・体制)」が整っているかです。まずは本記事の「最小チェック 6 項目」で、職場の運用を確認するのが近道です。
どの職場が “ 恩恵が出やすい ” ですか?
制度の種類よりも、配分ルールが見える/職場環境要件を仕組みで満たす/配置設計がある、の 3 点が揃う職場が動きやすいです。逆に、兼務が曖昧で記録が増えるだけの職場は、原資があっても体感が出にくい傾向があります。
訪問リハは何を優先して準備すべきですか?
スタッフ個人の頑張りで要件を埋めると破綻しやすいため、まずは “ 仕組み化 ”(面談・研修・記録テンプレ・担当)を優先します。実務の確認項目は、各論のチェックリストにまとめています:訪問リハ × 処遇改善の要件チェックリスト。
転職を考えるとき、面談で何を聞けばいいですか?
「配分の基準と時期」「面談の頻度と記録の残し方」「研修の実施(勤務内か)」「兼務の線引き」「記録の二重化がないか」の 5 点を聞くと、働き方の差が見えます。制度の細部より、運用が回るかが重要です。
通知が出るまで何もしない方が安全ですか?
通知で点数や要件が確定するのは事実ですが、現場で差が出るのは “ 仕組み ” の部分です。担当表・引継ぎ・記録テンプレ・面談設計などは先に整えても無駄になりにくく、むしろ臨時改定の波を受け止めやすくなります。
次の一手|運用を整える → 共有の型を作る → 環境要因も点検する
最後に、行動を 3 つに絞ります。制度の情報収集で止まらず、現場で “ 変わる ” ところまで持っていきます。
- 運用を整える:2026 年 6 月 臨時介護報酬改定(親記事)
- 共有の型を作る:制度・実務ハブ(報酬/書類/会議体の索引)
教育体制・人員・記録文化など “ 環境要因 ” を一度見える化すると、次の打ち手が決めやすくなります。
チェック後に「続ける/変える」の選択肢も整理したい方は、PT キャリアナビで進め方を確認しておくと迷いが減ります。
参考文献
- PT-OT-ST.net. 介護報酬・臨時改定:処遇改善加算の拡充( 2025 年 12 月 24 日 ).
- PHC メディコム. 介護報酬「月 1.9 万円賃上げ」の改定、2026 年 6 月施行( 2026 年 1 月 8 日 ).
- Gem Med. 2026 年度 臨時介護報酬改定の改定率等に関する報道( 2025 年 12 月 29 日 ).
- Gem Med. 期中(臨時)改定で “ 全スタッフ ” の賃上げを検討等( 2025 年 12 月 8 日 ).
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


