2026 リハ記録の見直しポイント|返戻を減らす「最小セット」と監査で見られる所

制度・実務
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2026 リハ記録の見直しポイント|返戻を減らす「最小セット」と監査で見られる所

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令和 8 年度( 2026 )診療報酬改定では、医療の質を担保しながら「効率化」「アウトカム重視」「医療 DX 」などの方向性が示されています。こうした年は、制度そのものよりも“運用の明確化”が進み、返戻が「やったのに証明できない」パターンで増えやすいのが実務の怖いところです。

本記事では、リハ部門でまず揃えるべき記録の最小セット、監査で見られやすい観点、よくあるミスと直し方をテンプレ化します。 SOAP を丁寧に書くより、「要件に当たる事実」を落とさないことが目的です。

この記事でわかること

①返戻を減らすために “まず揃えるべき 5 点” 、②監査で見られやすい記録の観点、③よくあるミス( NG 例)と直し方( OK 例)、④急性期・回復期・在宅でズレやすいポイント、をまとめます。

読み終えると、担当者が変わってもブレない「部門の記録ルール」を作りやすくなります。

返戻が増える理由:2026 は「制度」より「証明」が問われる

改定の年は、届出や要件の整理が進み、現場の運用がより“説明可能”であることが求められます。リハでは、早期介入、単位管理、退院支援、アウトカムなどの論点が出やすく、結果として「いつ」「誰が」「何を」「なぜ」やったかを、過不足なく残せているかが重要になります。

ここで意識したいのは、記録の量ではなく要件に当たる事実の抜け漏れです。逆に言うと、事実が揃っていれば文章量は最小でも返戻リスクを下げられます。

返戻を減らす「記録の最小セット」 5 点

まずは、施設・病期を問わず共通で効く “最小セット” を決めます。おすすめは次の 5 点です。

  • ①日付と時刻:初回・重要イベントは時刻まで(早期介入や 3 日以内要件が入った場合に強い)
  • ②実施可否の判断根拠:禁忌・中止基準、バイタル、安静度、疼痛などの根拠
  • ③実施内容(評価+介入):何を評価し、何を実施したか(目的とセット)
  • ④結果(変化)と次回計画:その日の反応、次回の目標、実施条件
  • ⑤多職種共有:報告先(病棟、主治医、看護)と共有内容(重要事項だけ)

ポイントは、 SOAP の形式にこだわらず、これらが “見える形” で揃っていることです。

監査で見られやすい観点( 6 項目)

監査では「記録が書いてあるか」より「要件に合っているか」が問われます。現場で見落としやすい観点を整理します。

監査・返戻で見られやすい観点と、記録で押さえるポイント
観点 見られ方 最小の書き方 よくあるミス
要件(開始日・対象) 対象患者か/開始タイミングは妥当か 入院日・初回介入日(時刻)+対象根拠 時刻なし/対象根拠が曖昧
医学的安全性 禁忌・中止基準の確認があるか バイタル+禁忌の有無+見送り理由 「問題なし」だけで根拠がない
介入の目的 何のために実施したか 目的 1 行(例:離床可否判断、廃用予防) 実施内容だけで目的がない
単位・時間の整合 実施時間と内容が釣り合うか 介入の要点を箇条書きで 3 つ 長時間なのに中身が薄い
継続性(計画) 再評価・次回計画があるか 次回目標+条件(例: SBP 〇以上で立位) 「経過観察」で終わる
共有(連携) 重要事項を共有しているか 共有先+内容(転倒リスク、禁忌など) 共有の記載がない

よくあるミス( NG )と直し方( OK )

ここでは、現場で多い “書いてあるけど弱い” パターンを、最小の修正で強くする形にまとめます。

リハ記録の NG → OK 変換(最小修正で説明可能にする)
場面 NG 例 OK 例(最小) 意図
初回介入 「初回評価。離床実施。」 「 〇月〇日 10:20 。SBP 120 / HR 78 / 禁忌なし。端座位 3 分可。離床可否判断+廃用予防として段階刺激。次回:立位可否を再評価。」 要件(時刻)と安全性、目的、次回計画を揃える
見送り 「体調不良のため中止。」 「 SBP 90 台でふらつき強く中止。看護へ報告。条件: SBP 100 以上で再評価(本日 15 時再訪)。」 見送りが“正しい判断”として証明される
長時間介入 「歩行練習実施。」 「歩行 10 m × 3(介助量:軽介助)。疲労で Borg 13 。休息導入し、家族へ介助方法を指導。」 時間と内容の整合を作る
多職種共有 「報告済み」 「看護へ:移乗は 1 人介助、右荷重でふらつき。主治医へ:離床中の血圧変動( SBP 120→ 95 )。」 共有した“重要事項”が残る

病期別:ズレやすいポイント(急性期・回復期・在宅)

同じ「リハ記録」でも、病期ごとに監査で刺さりやすいポイントが変わります。部門内のルール化は、ここを揃えるのが近道です。

急性期:早期介入と安全性(禁忌・中止基準)

急性期は「いつ開始したか」と「安全に判断したか」が特に重要です。時刻、禁忌、中止基準、安静度、循環動態の根拠を、毎回 “同じ並び” で書くと強くなります。

関連:急性期で「 3 日以内」初回介入を成立させる運用は、急性期リハ「 3 日以内」介入の作り方で具体例をまとめています。

回復期:単位の整合と目標(退院に直結する課題)

回復期は「単位の厚み」と「退院へつながる目的」の整合が見られやすいです。課題と目標がズレると、記録は量があっても弱くなります。 1 セッションの目的は “ 1 つに絞る” と説明可能性が上がります。

在宅:生活課題とリスク管理(家族・環境)

在宅では、機能訓練の内容より「生活課題」「環境」「家族の介助」「リスク(転倒・誤嚥・低血圧など)」が重要です。記録は “生活の場面” を 1 つ選び、課題と対策、家族への指導内容を残すと強くなります。

部門で統一する「 1 行テンプレ」

文章が苦手でもブレずに書けるように、部門内で共通化しやすい 1 行テンプレを用意します。下の 3 行を固定すると、記録の質が揃いやすいです。

  • 安全:バイタル( SBP / HR / SpO2 )+禁忌の有無(あれば理由)
  • 目的:本日の目的(例:離床可否判断/転倒予防/退院動作の獲得)
  • :次回目標+条件(例: SBP 〇以上で立位、疼痛 NRS 〇以下で歩行)

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. SOAP をきれいに書けば返戻は減りますか?

SOAP の形式そのものより、要件に当たる事実(時刻・安全根拠・目的・結果・次回計画・共有)が揃っているかが重要です。まずは最小セットを固定し、文章量は必要な分だけにすると、担当者間のブレも減ります。

Q2. 「問題なし」「安定」などの表現は避けた方がいい?

避ける必要はありませんが、根拠がないと弱いです。「 SBP 120 / HR 78 / 禁忌なし」のように数値や条件とセットで書くと説明可能性が上がります。

Q3. 見送りの記録はどこまで書けばいい?

見送り理由(根拠)と、再評価の条件(いつ・何が満たされたら実施)を残すのが最小です。見送りは悪ではなく安全な判断なので、記録で証明できる形にしておくのが重要です。

参考文献・一次情報

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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おわりに

リハ記録は、丁寧さより「要件に当たる事実を落とさない」ことが一番の返戻対策です。安全の根拠 → 目的 → 実施 → 結果 → 次回計画 → 共有、の並びを固定するだけで、担当者が変わっても質が揃います。

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