新たな地域医療構想2040とは?リハ部門が2026年に確認すること
新たな地域医療構想2040は、病床の機能分化だけでなく、外来・在宅医療、介護との連携、人材確保なども含めて、地域の医療提供体制を考える枠組みです。2026年度は、都道府県による構想策定に向けた検討が進むとともに、医療機関機能・病床機能報告も実施されます。
リハビリテーション部門では、自院がどのような患者を受け入れ、どのように評価・介入し、退院・転院後の生活へつないでいるかを整理することが重要です。本記事では、制度上の変更点と2026年度の報告スケジュールを確認し、患者像・初回評価と介入・退院支援・地域連携の4項目から、部門で準備したい実務を解説します。

新たな地域医療構想2040で何が変わる?3つのポイント
主な変更点は、対象範囲の拡大、医療機関機能の明確化、病床機能の見直しです。病床数だけでなく、地域の医療機関がどのような患者を受け入れ、どのように連携するかが重視されます。
| 変更点 | 制度上の方向性 | リハ部門で考えること |
|---|---|---|
| 対象範囲の拡大 | 入院医療に加え、外来・在宅医療、介護連携、人材確保なども視野に入れる | 入院中の支援と退院後の生活を切り離さずに考える |
| 医療機関機能の明確化 | 地域で各医療機関が担う役割を報告・協議する | 患者像、リハ提供体制、退院・転院先を整理する |
| 病床機能の見直し | 従来の回復期機能を見直し、包括期機能を位置づける | 高齢者等への医療、早期リハ、生活機能、在宅復帰支援を考える |
ただし、すべての病院に同じ役割やリハビリテーション体制が求められるわけではありません。地域の医療需要、病院の機能、患者の状態、人的資源などに応じた役割分担が前提です。
リハ部門では、単純に訓練単位数を増やすことよりも、自院が担う医療機能に対して、評価・介入・退院支援がどのように貢献しているかを説明できるようにすることが実務上のポイントです。
2026年度のスケジュール|報告期間の変更と地域協議の流れ
2026年度は、将来の構想に向けた準備だけの年ではありません。一般病床・療養病床を有する病院・有床診療所を対象に、医療機関機能・病床機能報告が実施されます。
なお、2026年10月1日付の厚生労働省事務連絡により、報告事項・報告基準の変更に伴う報告期間の変更が案内されています。様式1は10月19日〜12月11日、様式2は11月2日〜12月11日とされ、報告再開について別途通知されるまで、様式の作成やデータ提出を行わないよう求められています。
| 時期 | 制度上の動き | リハ部門での対応 |
|---|---|---|
| 2025年度 | 国による新たな地域医療構想のガイドライン検討・とりまとめ | 制度の方向性と自院の役割を把握する |
| 2026年度 | 都道府県による将来の医療提供体制の方向性や必要病床数等の検討 | 患者像、入退院の流れ、リハ提供体制を整理する |
| 2026年10月19日〜12月11日 | 医療機関機能・病床機能報告の様式1の変更後報告期間 | 正式な報告再開案内と記入要領を確認し、担当部署と連携する |
| 2026年11月2日〜12月11日 | 同報告の様式2の変更後報告期間 | 報告に必要な実績データの確認・提供方法を整理する |
| 2027〜2028年度 | 医療機関機能に着目した地域の機能分化・連携等の協議を進める方向 | 地域での役割分担を踏まえ、部門の体制や連携方法を見直す |
重要:上記は2026年10月11日時点の情報です。報告の再開時期、報告事項、提出方法、期限は、今後の通知によって変更される可能性があります。報告担当者は、厚生労働省「医療機関機能・病床機能報告」で最新情報を確認してください。
また、医療機関機能・病床機能報告と、都道府県による地域医療構想の策定・協議は関連するものの、同じ手続きではありません。リハ部門で独自に集計する初回介入時期や退院支援の実績も、そのまま一律の法定報告項目になるわけではありません。
医療機関機能と病床機能の違い|包括期機能はどちらに当たる?
医療機関機能は医療機関が地域で担う役割、病床機能は病棟が提供する医療の機能に着目した区分です。包括期機能は病床機能の一つであり、医療機関機能の区分とは異なります。
医療機関機能は地域で担う役割を示す
新たな地域医療構想では、高齢者救急・地域急性期機能、在宅医療等連携機能、急性期拠点機能、専門等機能、医育及び広域診療機能などの観点から、医療機関の役割を整理します。
| 医療機関機能 | 役割の概要 | リハ部門の確認例 |
|---|---|---|
| 高齢者救急・地域急性期機能 | 高齢者等の救急患者を受け入れ、治療と生活復帰を支える | 入院早期の評価、離床可否の判断、退院支援への接続 |
| 在宅医療等連携機能 | 在宅医療や介護との連携を通じて地域での療養を支える | 退院時の情報提供、訪問・通所リハや介護施設との連携 |
| 急性期拠点機能 | 医療資源を集中的に必要とする救急・手術等に対応する | 急性期・術後の評価、集中治療部門との連携 |
| 専門等機能 | 特定の診療領域などで必要な専門的医療を担う | 対象疾患、専門的評価・介入、転院・退院時の連携 |
| 医育及び広域診療機能 | 医育や広域的な診療等を担う | 専門職教育や広域連携の実態を確認する |
表の右列は、リハ部門の検討に役立つよう整理した実務例です。公式の報告項目をそのまま転載したものではありません。自院の医療機関機能については、正式な報告基準、病院方針、地域での協議内容を踏まえて判断します。
包括期機能は病床機能の一つ
包括期機能は、従来の回復期機能を見直し、高齢者等の急性期患者への医療提供や、急性期を経過した患者への在宅復帰支援などを含む病床機能です。
令和8年度の病床機能報告様式では、高度急性期機能・急性期機能・包括期機能・慢性期機能などの区分が示されています。包括期機能と、地域包括ケア病棟や回復期リハビリテーション病棟などの診療報酬上の病棟区分は同義ではありません。
リハ部門では、病棟の機能を踏まえながら、身体機能だけでなく、ADL、栄養状態、摂食・嚥下、退院先の環境、介護サービスの利用可能性などを多職種で共有することが重要です。
リハ部門への影響|病院の役割によって優先事項は異なる
地域医療構想2040への対応を、すべてのリハ部門で「早期離床の強化」と捉える必要はありません。高齢者救急を担う病院、回復・在宅復帰を支援する病院、慢性期・長期療養を担う病院では、求められる支援内容が異なります。
| 主な患者・役割 | 優先して確認すること | 判断の境界 |
|---|---|---|
| 高齢者救急・急性期 | 初回評価、全身状態、離床の可否、退院支援開始時期 | 介入可能な状態か、延期・中止・医師相談が必要か |
| 回復・在宅復帰支援 | ADL、生活環境、家族支援、退院後サービスへの接続 | 現在の能力と支援体制で退院できるか、追加調整が必要か |
| 慢性期・長期療養 | 機能維持、廃用予防、褥瘡・呼吸・嚥下リスク、療養先との連携 | 機能改善を目指すか、状態維持・苦痛軽減・安全確保を優先するか |
| 在宅・地域連携 | 生活機能、介護力、訪問・通所サービス、情報提供 | 現在の支援体制で生活を継続できるか、サービス調整が必要か |
例えば療養病院では、早期離床率だけを部門の成果として設定することが適切とは限りません。長期療養の目的、患者の活動性、苦痛、皮膚状態、呼吸状態、退院・転院の可能性などを踏まえ、部門が果たす役割を整理する必要があります。
なお、地域医療構想は、離床の開始・中止について一律の医学的数値基準を定めるものではありません。実際の介入では、主治医の指示、病態、全身状態、施設の安全管理手順などに基づき、実施・変更・中止・相談を判断してください。
2026年にリハ部門が準備したい4項目
実務では、患者像、初回評価・介入、退院支援、地域連携の4項目を確認すると、自院の役割を整理しやすくなります。新しい帳票や配布物を作る前に、既存の診療記録や部門集計で把握できる情報を確認することを推奨します。
| 手順 | 確認する問い | 活用する情報の例 |
|---|---|---|
| 1.患者像 | どのような患者を受け入れ、どのような転帰につなげているか | 主な疾患、年齢層、入院経路、退院・転院先 |
| 2.初回評価・介入 | いつ評価し、どのように介入の可否を判断しているか | 初回評価時期、全身状態、介入内容、変更・中止・相談の記録 |
| 3.退院支援 | いつ退院後の生活課題を把握し、誰と共有しているか | ADL評価、家族・介護力、カンファレンス、情報提供 |
| 4.地域連携 | 退院・転院後に必要な支援へつながっているか | 連携先、情報提供内容、訪問・通所・施設等への引き継ぎ |
この表は、院内での検討に利用する独自の実務整理です。医療機関機能・病床機能報告の正式な様式ではありません。法定報告に必要な項目については、最新の報告マニュアルと確認・記入要領に従ってください。
部門実績を集計するときは定義をそろえる
部門の説明資料として数値を使う場合は、対象患者、集計期間、分母・分子、除外条件を明確にします。
例えば「入院早期介入率」を独自に算出する場合、何日以内を早期とするか、医学的理由で介入できなかった患者をどう扱うかを、施設内で定義する必要があります。定義が異なる数値を、他施設と単純比較しないことも重要です。
在宅復帰率や平均在院日数についても、患者構成や病棟機能によって意味が変わります。数値の高低だけでリハ部門の質を判断せず、患者の状態や退院先の事情と併せて解釈してください。
院内会議では自院の役割・現状・課題・次の対応を説明する
病院全体の方針が確定していない段階でも、リハ部門として把握できる事実を整理することは可能です。会議では、制度の説明を繰り返すより、現在の患者像と実績、把握できていない事項、次に確認する担当部署を示すと、具体的な議論につながります。
院内共有の説明例(架空の療養病院)
当院のリハ部門では、長期療養患者を中心に、生活機能の維持、廃用予防、呼吸・嚥下・皮膚状態などに配慮した介入を実施しています。
今後は、患者の状態と介入目的を整理し、退院・転院時の情報提供や多職種連携の実態を確認します。現時点では病院全体の医療機関機能に関する方針が確定していないため、リハ部門の実績を整理したうえで、医事課・地域連携部門・病院管理者と共有します。
まずは既存記録から確認できる患者像、介入目的、転帰、連携先を集計し、未把握の項目を明確にします。
上記は実在施設の報告ではなく、院内検討のための架空例です。正式な医療機関機能の報告内容や地域での役割分担は、病院管理者・関係部署との協議に基づいて決定します。
準備が進まないときの確認ポイント
- 病院の方針が未確定:リハ部門だけで機能区分を決めず、現在の患者像と実績を整理する。
- 必要なデータが抽出できない:電子カルテや医事データで取得できる項目を確認し、取得できない項目は未確認として扱う。
- 部署間で数値が異なる:集計期間、対象患者、分母・分子、定義をそろえる。
- 退院後の状況が分からない:地域連携部門や医療ソーシャルワーカーと、把握できる範囲や情報共有方法を確認する。
- 報告項目が変更されている:古い様式で作業を進めず、最新の公式通知と記入要領を確認する。
次の一手|制度上の報告とリハ部門の実務整理を分けて進める
まず、医療機関機能・病床機能報告の最新の取扱いを、院内の報告担当部署と確認してください。2026年度は報告期間の変更が通知されているため、旧スケジュールを前提に提出作業を進めないことが重要です。
そのうえで、リハ部門では患者像・初回評価と介入・退院支援・地域連携の4項目を整理し、自院の役割について何を説明できるか、どの情報が不足しているかを確認します。
なお、地域医療構想と診療報酬改定は関連するものの、制度上の目的や手続きは異なります。リハ領域の算定要件を確認したい場合は、令和8年度診療報酬改定のリハ領域まとめを参照してください。
また、リハビリテーション・栄養・口腔の多職種連携に関する具体的な算定・運用は、リハビリテーション・栄養・口腔連携加算の解説で確認できます。
参考文献・公式資料
制度情報の確認日:2026年10月11日。報告期間・報告様式・記入要領は変更される可能性があるため、実際の提出時には最新の公式資料を確認してください。
- 厚生労働省.新たな地域医療構想に関するとりまとめの概要.
- 厚生労働省.医療法等の一部を改正する法律の成立について(報告).
- 厚生労働省医政局地域医療計画課.新たな地域医療構想策定ガイドラインについて.令和7年度医療政策研修会資料.2026年3月17日.
- 厚生労働省.新たな地域医療構想策定ガイドラインについて(2026年1月資料).
- 厚生労働省.医療機関機能・病床機能報告.令和8年度報告マニュアル・確認・記入要領.
- 厚生労働省医政局地域医療計画課.令和8年度医療機関機能・病床機能報告及び外来機能報告の実施等に係る取り扱いについて.2026年10月1日.
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
2022年4月にrehabilikun blogを開設。急性期・回復期・療養病棟、介護施設、訪問リハビリテーションでの経験をもとに、理学療法士をはじめとする医療従事者に向けて、評価・臨床判断・実務に役立つ情報を発信しています。
現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションなどを中心に、患者の状態に応じた評価、リスク管理、多職種連携を重視しています。本記事では、公的資料に基づく制度上の事項と、リハ部門における独自の実務整理を区別して解説しています。
保有資格
- 脳卒中認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級

