リハのアウトカム評価を院内で統一する方法|測定タイミング表・カンファ 1 枚テンプレ( 2026 対応 )
PT の転職・職場選びで迷ったら:失敗しない進め方(無料チェック付)
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令和 8 年度( 2026 )改定の基本方針では、アウトカムにも着目した評価の推進や、質の高いリハビリテーションの推進などが示されています。こうした年に現場が困るのは、評価そのものより「何を」「いつ」「誰が」測るかがバラバラで、比較・改善ができないことです。
そこで本記事では、院内でアウトカム評価を統一するための最小セット(指標の選び方+測定タイミング表+カンファ 1 枚テンプレ)を、現場で回る形に落とし込みます。評価を増やしすぎず、監査・返戻にも強い“説明可能な型”を作るのがゴールです。
アウトカムを統一すると何が良くなるか
アウトカムを統一すると、①介入の効果を“同じものさし”で追える、②病棟や担当が変わっても目標が揺れにくい、③退院支援・家族説明がスムーズ、④データが溜まり、教育・業務改善に使える、というメリットがあります。
逆に、統一されていないと「やっているのに結果が見えない」「カンファで話が噛み合わない」「指標が多すぎて測れない」が起きやすく、結局“現場の負担だけ増える”形になりがちです。
現場の詰まりどころ(よくある失敗)
| 詰まりどころ | 典型パターン | 対策(仕組み) | 記録ポイント(最小) |
|---|---|---|---|
| 指標が多すぎる | 担当ごとに測る物が違う | 全体は「 3 軸 × 1 指標」までに固定 | 採用指標の一覧(部門で 1 枚) |
| 測定タイミングが揺れる | 入院 3 日目/ 5 日目などバラバラ | 「入院後 72 時間以内」など条件で固定 | 測定日(時刻)+測定条件 |
| 誰が測るか不明 | 忙しいと後回しで抜ける | 病棟別に “測定担当” を明確化 | 担当者名(職種) |
| 再評価が続かない | 初回だけ測って終わる | 週 1 回など “節目” をカレンダー化 | 次回予定(いつ測る) |
| カンファに活きない | 数字だけで解釈がない | 1 枚テンプレで「解釈→次の一手」まで書く | 目標・次回プラン( 1 行) |
指標の選び方:院内統一は「 3 軸」で決める
院内統一は、まず評価を “増やさない” ことが重要です。おすすめは、以下の 3 軸で各 1 指標に絞る方法です。
- 軸 1 :活動( ADL ):退院・生活に直結する指標(例: Barthel Index など)
- 軸 2 :移動(歩行・移乗):離床・歩行能力の変化を追える指標(例:歩行速度、 6 MWT 、 TUG など施設に合わせる)
- 軸 3 :安全・症状:転倒リスク、呼吸困難、疼痛、せん妄、嚥下など“現場で困る症状”を 1 つ選ぶ
ポイントは、疾患別に細かく分けすぎないことです。病棟で共通に回る “コア指標” をまず固定し、必要なときだけ疾患別の追加指標(オプション)を使う運用にすると破綻しにくくなります。
測定タイミングの決め方:条件で固定する
「入院 3 日目」など日付で固定すると、週末や検査でズレて破綻します。回る形にするなら、タイミングは “条件” で固定するのがおすすめです(例:入院後 72 時間以内、退院前 72 時間以内、など)。
| 節目 | 推奨タイミング(条件) | 測るもの(コア) | 担当(例) | 例外時の扱い |
|---|---|---|---|---|
| 初回(ベースライン) | 入院後 72 時間以内(可否判断を含む) | ADL +移動+症状( 3 軸) | 主担当( PT / OT / ST ) | 不可なら理由+再評価条件を記載 |
| 中間(急性期) | 週 1 回(曜日固定) | 移動+症状(負担の少ない方) | 病棟担当 | 週末は最小セットのみ |
| 中間(回復期) | 2 週に 1 回(カンファ前日など) | ADL +移動(変化を重視) | カンファ担当 | カンファ延期時は翌週に繰越 |
| 退院前 | 退院前 72 時間以内 | ADL +移動+症状( 3 軸) | 主担当 | 転院・急変時は “直前値” を採用 |
| フォロー(在宅) | 開始後 30 日(目安) | 生活課題+安全(転倒・誤嚥など) | 訪問担当 | 訪問間隔が空く場合は次回で実施 |
カンファ 1 枚テンプレ(そのまま部門で使える)
アウトカムを “測って終わり” にしないために、カンファで必ず「解釈→次の一手」まで繋げる 1 枚を作ります。下の表を、病棟カンファの標準フォーマットにするのが簡単です。
| 項目 | 記入欄(例) | ポイント |
|---|---|---|
| 対象 | 病棟/疾患群/入院日/退院予定日 | “比較単位” を揃える |
| アウトカム( 3 軸) | ADL :( )→( )/移動:( )→( )/症状:( )→( ) | 数値は “前回比” を書く |
| 解釈( 1 行) | 改善/停滞/悪化の理由(仮説) | 原因は 1 つに絞る |
| 目標(次の 1 週) | 1 つだけ(退院に直結する動作) | “できる形” で書く |
| 次の一手 | 介入の変更点(量・方法・環境・指導) | 変える所を明確に |
| リスク | 転倒/誤嚥/低血圧/疼痛など | 観察項目を 2 つまで |
| 共有 | 看護・主治医・ MSW ・家族へ共有する 1 点 | 重要事項のみ |
負担を増やさない運用のコツ(最小で回す)
アウトカムは “全部測る” ほど失敗します。回すコツは、①コアは 3 軸だけ、②中間は軽い項目だけ、③カンファ 1 枚で解釈まで書く、の 3 点です。
追加指標(疾患別・研究目的)は、カンファの合意があるケースだけに限定し、オプションとして扱うと運用が崩れません。
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. 施設ごとに患者が違うのに、統一して意味がありますか?
意味はあります。施設の特色は違っても、まずは “共通で回るコア指標” を固定することで、病棟間・担当間の比較ができ、改善点が見えます。コアで回し、必要なときだけ疾患別の追加指標を使う二段構えが現実的です。
Q2. 指標は何を選べばいいか決めきれません
迷ったら「 3 軸( ADL /移動/症状)」で各 1 指標までに絞り、まず回ることを優先します。重要なのは “選ぶこと” より “測り続けられること” です。
Q3. 測定が抜けます。どうすればいい?
測定担当を病棟別に固定し、タイミングを “条件” で決めるのが効果的です(入院後 72 時間以内、退院前 72 時間以内、など)。抜けたときの例外ルール(理由+再評価条件)もセットで決めておくと回りやすくなります。
参考文献・一次情報
- 厚生労働省|令和 8 年度診療報酬改定の基本方針(公表ページ)
- 令和 8 年度診療報酬改定の基本方針の概要(厚生労働省 PDF )
- Donabedian A. The quality of care. How can it be assessed? JAMA. 1988;260(12):1743-1748.
- WHO|International Classification of Functioning, Disability and Health( ICF )
- 厚生労働省|医療 DX(政策ページ)
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下
おわりに
アウトカム評価は「安全の確保 → 測定 → 解釈 → 次の一手 → 再評価」のリズムを部門で揃えるだけで、負担を増やさずに“改善に使えるデータ”になります。面談や見学の前に、職場の評価文化や教育体制を整理したい方は、こちら(面談準備チェック&職場評価シート)も活用してみてください。

