栄養スクリーニング・アセスメント・モニタリングの違い

栄養・嚥下
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栄養スクリーニング・アセスメント・モニタリングの違い

結論:栄養スクリーニングは、低栄養または低栄養リスクが疑われる人を短時間で拾い上げる入口の確認です。栄養アセスメントは、身体計測、摂取状況、疾病・炎症、身体機能などを詳しく調べ、問題の原因と介入方針を整理する工程です。栄養モニタリングは、介入後の変化を追跡し、栄養ケア計画を継続・変更する工程に当たります。

3つは別々の評価ではなく、原則としてスクリーニングで拾う→アセスメントで深掘りする→モニタリングで変化を追うという一連の流れです。本記事では、それぞれの目的、記録する内容、次の行動を比較し、臨床で運用を止めないための考え方を整理します。

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代表的な入口評価を実施する場合は、MNA-SFの評価方法を確認してください。

3つの違いを比較|目的・内容・出力

最も重要な違いは、スクリーニングはリスクの拾い上げ、アセスメントは問題の詳細化、モニタリングは介入後の追跡を目的とする点です。各工程の出力を分けて考えると、同じ情報を何度も評価したり、陽性判定後の対応が止まったりすることを防げます。

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栄養スクリーニング・栄養アセスメント・栄養モニタリングの比較
項目 スクリーニング アセスメント モニタリング
主な目的 低栄養または低栄養リスクが疑われる人を拾い上げる 栄養問題の程度、原因、介入上の課題を詳しく整理する 介入後の変化を追い、計画を継続・変更する
位置づけ 入口 詳細評価・診断・計画立案 介入後の追跡と見直し
主な内容 体重減少、食事摂取量、BMI、疾病の影響などを簡便に確認 体重変化、摂取状況、身体組成、疾病・炎症、身体所見、機能などを統合 摂取量、体重、身体組成、症状、活動・機能、介入実施状況などを追跡
代表例 MNA-SF、NRS-2002など 詳細な栄養評価、SGAなど 症例ごとに設定した評価項目と再評価時期
GLIMとの関係 低栄養リスクの確認 表現型基準と病因基準を評価し、低栄養の診断と重症度判定へ進む 診断後の変化や介入効果を追跡する
主な出力 判定、次の担当者、対応期限 栄養上の問題、診断・重症度、目標、介入計画 変化、目標達成状況、計画変更の要否、次回評価日
次の行動 必要な症例をアセスメントへ接続する 栄養介入を開始し、追跡項目を決める 継続、変更、追加評価、専門職への相談を判断する

臨床フロー|拾う・深掘りする・追跡する

臨床では、スクリーニング→アセスメント→介入計画→モニタリング→計画の見直しの順に進めます。ただし、明らかな体重減少、著しい摂取量低下など、詳細評価が必要なことがすでに分かっている場合は、スクリーニングの結果を待たずに専門職へ相談する判断も必要です。

運用を止めないためには、各工程の最後に誰が、何を、いつまでに行うかを記録します。「リスクあり」という判定だけでは、次の担当者や対応時期が決まらず、アセスメントへの接続が遅れる可能性があります。

栄養評価の流れ。スクリーニングでリスクを拾い、アセスメントで原因と重症度を調べ、介入計画を立て、モニタリングで変化を追い、計画を見直す
図:栄養評価は「拾う→深掘りする→計画する→追跡する→見直す」の順番を固定すると進めやすくなります

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5分で確認する栄養評価の流れ
ステップ 行うこと 記録すること
1. スクリーニング 対象者と使用場面に合うツールで低栄養リスクを確認する 使用ツール、スコア、判定、欠測項目
2. 次の対応を決定 アセスメントの必要性、連絡先、対応期限を決める 誰へ連絡したか、誰が対応するか、期限
3. アセスメント 体重変化、摂取状況、疾病・炎症、身体組成、身体機能などを統合する 主要所見、原因、栄養上の問題、重症度
4. 介入計画 目標、介入方法、担当者、評価項目を決める 目標、介入内容、開始日、担当者
5. モニタリング 設定した項目を追跡し、介入効果と新たな問題を確認する 変化、目標達成状況、計画変更、次回評価日

スクリーニングからアセスメントへ接続する期限は、患者の状態、診療環境、施設の手順によって異なります。施設内では「陽性判定後に誰へ報告するか」「どの時点までに詳細評価するか」をあらかじめ決めておくことが重要です。

陰性であっても、食事摂取量の低下、体重減少、病状の変化、手術、感染症、入退院など、栄養状態が変化する出来事があれば再スクリーニングを検討します。

代表ツールは対象者と目的に合わせて選ぶ

スクリーニングツールは、対象者、診療場面、取得できる情報に合わせて選びます。高齢者を対象とするMNA-SF、入院患者を対象として開発されたNRS-2002など、各ツールで想定する対象や評価項目が異なるためです。

スクリーニングでリスクが確認された後は、体重減少、BMI、筋肉量、食事摂取量、疾病や炎症の影響などを詳しく評価します。SGAは病歴と身体所見を統合する包括的な評価方法です。一方、GLIMは、妥当な方法によるスクリーニング後に、少なくとも1つの表現型基準と1つの病因基準を確認して低栄養を診断する枠組みです。

したがって、SGAとGLIMを必ず順番に実施するというよりも、施設の栄養管理手順と症例に応じて必要な評価を組み合わせると考えるほうが実務に合います。

スクリーニングツールそのものの選択に迷う場合は、栄養スクリーニングの使い分けで対象者と目的を整理してください。

記録は工程ごとに次の行動まで残す

記録では、測定値や所見だけでなく、その情報をどのように解釈し、次に何を行うかまで残します。工程を分けてテンプレート化すると、スクリーニング結果と詳細評価の情報が混在しにくくなります。

スクリーニングの記録例:
MNA-SFを実施。○点で低栄養リスクあり。食事摂取量低下と体重減少を認める。管理栄養士へ共有し、施設手順に従って詳細評価を依頼する。

アセスメントで記録する項目:

  • 現在体重、通常体重、体重変化と期間
  • BMIなどの身体計測
  • 食事摂取量と低下した期間
  • 消化吸収に影響する症状
  • 疾病負荷や炎症の影響
  • 筋肉量、筋力、身体機能
  • 栄養上の問題、目標、介入方針

モニタリングの記録例:
食事摂取量は前回より増加したが、体重減少が継続している。提供量、実摂取量、浮腫の有無を再確認し、栄養計画の変更について管理栄養士・医師へ相談する。次回評価日を設定する。

文章は、観察した事実→解釈→判断→方針の順にすると、多職種が次の行動を判断しやすくなります。

栄養モニタリングで追跡する項目

モニタリング項目は、すべての症例で同じにするのではなく、栄養上の問題、介入内容、目標に対応させて選びます。評価項目を増やしすぎると継続できないため、計画変更の判断に必要な項目を優先します。

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栄養モニタリングで確認する主な項目
領域 確認項目の例 確認する目的
摂取状況 食事摂取量、補助食品の摂取、食事に要する時間 計画した栄養量が実際に摂取できているか確認する
身体計測 体重、体重変化、浮腫、必要に応じた身体組成 栄養状態の変化を確認する
症状・病勢 食欲、悪心、下痢、便秘、疼痛、炎症や疾病の変化 摂取や代謝に影響する要因を確認する
機能 筋力、活動量、ADL、運動耐容能 栄養介入とリハビリテーションの目標達成状況を確認する
計画の実施 提供内容、経路、実施状況、多職種連携 計画どおりに介入できているか確認する

再評価の頻度は、病態の変化速度、低栄養リスク、介入内容、目標、施設手順に合わせて設定します。一定期間を待たず、摂取量の急な低下、体重変化、炎症の増悪、嚥下状態の変化などを認めた場合は、予定を前倒しして再評価します。

栄養スクリーニング・アセスメント記録シート

本記事で整理した「入口→詳細化→追跡」を1枚で確認できるように、A4記録シートを用意しています。スクリーニングの判定だけで終わらず、陽性後の担当者と次の対応まで記録できる構成です。

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よくある失敗と回避方法

栄養評価で起こりやすい失敗は、スクリーニングを実施すること自体が目的になり、次の評価や介入へ接続されないことです。判定、対応者、対応期限、再評価条件をセットで記録します。

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栄養評価を止めないためのOK・NG
場面 OK NG
ツール選択 対象者、使用場面、取得できる情報に合うツールを選ぶ 対象者にかかわらず同じツールを一律に使用する
陽性後の対応 次の担当者、連絡方法、対応期限を記録する 「リスクあり」と記録するだけで終了する
アセスメント 身体計測、摂取状況、疾病・炎症、機能を統合する 単一の検査値や体重だけで栄養状態を判断する
モニタリング 問題と介入目標に対応する項目を追跡する 介入後の評価項目や再評価日を決めない
記録 事実、解釈、判断、方針を分けて記録する 測定値と所見の羅列だけで終える

入口となるツールの選択に迷う場合は、MNA-SF・MUST・GNRIの違いで対象者と評価目的を比較してください。

よくある質問

各項目名をタップすると回答が開きます。

栄養スクリーニングと栄養アセスメントは必ず両方行いますか?

一般的には、まずスクリーニングで低栄養リスクを確認し、リスクがある人に詳しいアセスメントを行います。ただし、著しい体重減少や摂取量低下などから詳細評価が必要なことが明らかな場合は、形式的なスクリーニングだけに時間をかけず、施設手順に従って早期に専門職へ相談します。

栄養スクリーニングが陰性なら再評価は不要ですか?

陰性でも、その後に食事摂取量の低下、体重減少、病状の悪化、手術、感染症、嚥下状態の変化などが生じれば、再スクリーニングが必要になることがあります。定期的な実施時期に加えて、再評価を前倒しする変化の条件を決めておくことが重要です。

栄養モニタリングはどのくらいの頻度で行いますか?

一律の頻度ではなく、病態の変化速度、低栄養リスク、介入内容、目標、施設手順に合わせて決めます。再評価日を設定するだけでなく、摂取量低下、体重変化、炎症増悪など、予定を前倒しする条件も記録してください。

リハ職は栄養評価にどのように関われますか?

リハ職は、筋力、活動量、ADL、運動耐容能、食事姿勢、食事動作など、機能面の変化を評価して共有できます。診断や栄養処方に関する職務範囲は施設の体制に従い、管理栄養士、医師、看護師などと情報を統合します。

スクリーニング陽性後の放置を防ぐ方法はありますか?

判定と同時に、誰へ報告するか、誰が詳細評価するか、いつまでに対応するかを記録します。陽性・陰性だけを記録する運用よりも、次の行動を明文化したほうが担当交代時にも対応を引き継ぎやすくなります。

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参考文献

  1. Rubenstein LZ, Harker JO, Salva A, et al. Screening for undernutrition in geriatric practice: developing the MNA-SF. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2001;56(6):M366-M372. PubMed.
  2. Kondrup J, Rasmussen HH, Hamberg O, Stanga Z; ESPEN Working Group. Nutritional risk screening (NRS 2002): a new method based on an analysis of controlled clinical trials. Clin Nutr. 2003;22(3):321-336. PubMed. DOI:10.1016/S0261-5614(02)00214-5.
  3. Detsky AS, McLaughlin JR, Baker JP, et al. What is subjective global assessment of nutritional status? JPEN J Parenter Enteral Nutr. 1987;11(1):8-13. PubMed. DOI:10.1177/014860718701100108.
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  5. Kaiser MJ, Bauer JM, Ramsch C, et al. Validation of the Mini Nutritional Assessment Short-Form. J Nutr Health Aging. 2009;13(9):782-788. PubMed. DOI:10.1007/s12603-009-0214-7.
  6. Jensen GL, Cederholm T, Correia MITD, et al. The GLIM consensus approach to diagnosis of malnutrition: a five-year update. Clin Nutr. 2025;48:48-58. Full text.

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関、介護福祉施設、訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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