こんにちは!リハビリくんです!
この記事では「ABMS-2(Ability for Basic Movement Scale)」をキーワードに内容を整理していきます。
リハビリテーションの治療対象の1つに基本動作能力の改善を目標とすることがあります。この場合、基本動作を分析することによって得られた所見から、対象者の基本動作能力の問題点を抽出し、その原因を推論してアプローチ方法を立案することになるかと思います。
基本動作の評価というものは目視による動作分析(主観的な評価)となることが多く、セラピストの力量に左右されます。あるいは、「自立」「一部介助」「全介助」と段階づけたりしますが、評価内容が大まかなところがあります。
前述した評価方法よりも更に細かく判定できるといいのですが、動作能力を細分化するのは以外と難しく、基本動作能力の改善を目標としてリハビリテーションを実施したとしても、レベルの変化が分かりにくい場合があります。
そのため、基本動作の評価における引き出しを増やすために ABMS-2(Ability for Basic Movement Scale)について紹介したいと思います。この記事を読むことで下記の事項を理解できるようにしたいと思います。
- 基本動作の分析は難しい
- 基本動作の評価方法について
- ABMS-2とは?
- ABMS-2の5つの評価項目と判定方法
こちらの記事が日々の診療での基本動作能力の評価や効果判定に、少しでもお力添えになれば幸いです。是非、最後までご覧になってください!
【簡単に自己紹介】
30代の現役理学療法士になります。
理学療法士として、医療保険分野と介護保険分野の両方で経験を積んできました。
現在は医療機関で入院している患者様を中心に診療させていただいております。
臨床では、様々な悩みや課題に直面することがあります。
そんな悩みや課題をテーマとし、それらを解決するための記事を書かせて頂いております。
現在、理学療法士として得意としている分野は「脳卒中」「褥瘡」「栄養」「呼吸」「摂食・嚥下」「フレイル・サルコペニア」についてです。そのため、これらのジャンルの記事が中心となっております。
主な取得資格は以下の通りです
脳卒中認定理学療法士
褥瘡 創傷ケア認定理学療法士
3学会合同呼吸療法認定士
福祉住環境コーディネーター2級
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動作分析はセラピストの力量によって左右される
寝返りや起き上がり、歩行等の基本動作は生活の中で基盤となる動作であり、リハビリテーションの治療対象の1つとなります。
リハビリテーションは、疾病などによって生じた課題を解決するために心身機能や活動制限、環境因子など多くの情報を基に対象者の状態像を把握し、課題解決に必要な要因を究明するなどして治療目標や介入内容などを立案する過程があります。
基本動作を治療対象とする場合も、動作を分析することによって得られた所見から、対象者の基本動作能力の問題点を抽出し、その原因を推論します。
臨床で動作分析を行う際には、目視によって対象者の動作を観察する方法を分析の入口とすることがほとんどだと思いますが、セラピストの経験年数や臨床能力の個人差などによっ て観察の要点や表現方法などの観察力が異なり、理学療法の介入効果そのものを左右すると考えられます。
基本動作の評価方法について
基本動作練習はリハビリテーションの中でも特に重要な訓練になると思います。基本動作能力の向上により活動と参加が拡大し、QOLの向上に繋がることも十分に考えられます。
しかし、前述したように基本動作の評価というものは目視による動作分析(主観的な評価)となることが多く、セラピストの力量に左右されやすいところがあります。
基本動作能力の評価において、能力を「自立」「一部介助」「全介助」で判定する方法があります。リハビリテーション実施計画書や生活機能チェックシート等の書式では、このような評価を行うことになっています。
非常にわかりやすいため判定を間違えないなどの良い面もありますが、動作能力の評価としては、かなり大雑把になってしまいます。自立を「100%自分で実行している」、全介助を「自分が行えるのは0%」とした場合、一部介助は「1〜99%の実行状況」を占めることになります。
このような設定のため、リハビリテーションの実施により基本動作能力が向上した場合であっても上記の基本動作能力の判定方法に従うと、一部介助から変わらないということはよくある話になります。
そこで、基本動作能力をもう少し細分化して表すことができる ABMS-2(Ability for Basic Movement Scale)について紹介したいと思います。
ABMS-2の概要
ABMS-2(Ability for Basic Movement Scale)は基本動作能力を簡易的に評価するスケールになります。「寝返り」「起き上がり」「座位保持」「立ち上がり」「立位保持」の5つの基本動作をそれぞれ、1〜6点で評価します。
基本動作(起居動作)のみで構成された評価尺度であり、ベッドやプラットフォーム等の横になる環境さえあれば、評価において特別な道具は不要となります。短時間で評価することができる点も特徴になります。
脳血管障害などの急性期の症例における有用性が高く、離床能力を反映する尺度になるとも考えられています。また、急性期脳卒中におけるABMS-2の点数が長期的機能予後の予測因子になることも報告されています。
評価項目
- 寝返り
- 起き上がり
- 座位保持
- 立ち上がり
- 立位保持
判定方法
ABMS-2の判定尺度は、6 点から 1 点の 6 段階評定となります。6 点に近づくほど能力が高く、2 点に近づくほど能力が低いことを指します。1点は安静指示などにより、その動作を行うこと自体が禁止された状態となります。
- 6 点:完全自立
- 5 点:修正自立
- 4 点:監視・口頭修正
- 3 点:部分介助
- 2 点:全介助
- 1 点:禁止
評価対象となる動作が 5 項目あるため、ABMS-2の総合点は最低 6 点、最高 30点となります。
ABMS-2と同じような期待を込められた評価尺度として、Basic Movement Scale:BMSという基本動作における評価尺度がございます。BMSについては、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【Basic Movement Scale:BMSについての記事はこちらから】
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます!
この記事では「ABMS-2(Ability for Basic Movement Scale)」をキーワードに考えを述べさせていただきました。
こちらの記事が日々の診療での基本動作能力の評価や効果判定に、少しでもお力添えになれば幸いです。
参考文献
- 上床裕之,中森正博,松島勇人,岡田和紀,岡本浩幸,若林伸一.急性期脳卒中片麻痺患者の ABMS II は歩行自立を予測する.医療法人翠清会梶川病院.
- 羽田拓也,安保雅博.急性期における評価と予後予測.MB Med Reha.2022年,No.282,p9-14.