【JST版活動能力指標とは】評価方法【老研式活動能力指標が基礎】

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リハビリくん
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サイト管理者のリハビリくんと申します。

この記事の内容
  1. この記事は「JST版活動能力指標」をキーワードに内容を構成しています。
  2. 「もう年だから」「一人で大丈夫かしら」─高齢者やそのご家族が抱くこうした不安に、科学的な答えを示すのが「JST版活動能力指標」です。
  3. 従来の老研式活動能力指標から進化したこの新しい評価方法は、現代の高齢者が「自立して活動的に暮らす」ために必要な 16 の能力を測定し、携帯電話の操作からパソコンでのメール送受信、教育番組の視聴まで、時代に即した生活機能を評価します。
  4. 単なる身体機能の評価にとどまらず、社会参加や情報収集といった高次生活機能まで包括的に測定することで、本当の意味での「生活の質」が見えてきます。
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理学療法士として以下の経験と実績を持つリハビリくんが解説します♪

リハビリくんの実績
  1. rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設
  2. 2025 年 7 月時点:185 記事公開(月間 3 万 PV)
  3. 実務経験(医療機関、介護福祉施設、訪問リハビリ等)
  4. 講師活動(脳卒中、褥瘡等をテーマに複数回講演)
  5. 脳卒中 認定理学療法士
  6. 褥瘡 創傷ケア 認定理学療法士
  7. 3 学会合同呼吸療法認定士
  8. 福祉住環境コーディネーター 2 級
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JST 版活動能力指標とは

これまで、高齢者が地域で自立して活動的に日常生活を送る上で必要な機能(高次生活機能)を評価するものとして、老健式活動能力指標が広く活用されてきました。

しかし、生活環境の変化に伴い、昔よりも元気で活動的なライフスタイルを持った高齢者が増加しています。

健康度が以前より高くなっている現代の高齢者の姿に合わせて、現代そして近い将来日本の高齢者の「一人暮らしでも自立して、より活動的に暮らす」ことができるかどうかを測定する指標の開発が進められてきました。

その結果、開発された指標が「JST 版活動能力指標」になります。

JST 版活動能力指標(JST-IC)とは、Japan Science and Technology Agency Index of Competence の略称になります。

老研式活動能力指標については、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【老研式活動能力指標の評価方法についての記事はこちらから

高次生活機能とは

ロートン(Lawton)は、高齢者が自立した生活を送る上で必要となる活動能力について、「生命維持」「機能的健康度」「知覚・認知」「身体的自立」「手段的自立」「状況対応」「社会的役割」の 7 つの水準からなると階層モデルを提唱しています。

また、その中でもより高度な能力(高次生活機能)が「手段的自立」「知的能動性」「社会的役割」であると述べております。

これらは単に身のまわりのことができるというだけではなく、地域で自立して活動的に日常生活を送るために必要な能力とされています。

この高次生活機能を評価する尺度である 「老研式活動能力指標」は信頼性・妥当性が確立された世界的にも認められた指標になります。

しかしながら近年、急速な高齢化や生活環境の変化、高齢者の健康状態、ライフスタイルの変化に応じた高次生活機能の中でもより高い能力を測定可能な尺度の開発が求められてきました。

こうした状況を踏まえ「JST 版活動能力指標(JST-Index of Competence:JST-IC)」 は、老研式活動能力指標を基盤としつつ、 現代そして近い将来の日本の高齢者における高次生活機能の中でもより高い能力、すなわち「一人暮らし高齢者が自立し活動的に暮す」ために必要な能力を測定する尺度として開発されたものになります。

JST 版活動能力指標 評価方法

16項目の質問により構成され、それぞれの質問に対し、「はい」か「いいえ」で回答してもらい、得られた回答により各領域の得点および合計点を算出します。

「はい」を1点、「いいえ」を0点として採点します。合計点の得点範囲は0点〜16点となり、得点が高いほど高次生活機能が優れているという評価になります。

領域は「新機器利用」「情報収集」「生活マネジメント」「社会参加」の4領域に分類されております。

各領域ごとに質問が4問用意されております。そのため、各領域の得点範囲は0点〜4点となります。得点が高いほど、それぞれの領域の活動能力が高く、積極的に活動していることを意味しております。

領域別の評価の視点は以下の通りになります。

  • 新機器利用:生活に使う新しい機器を使いこなす能力
  • 情報収集:より良い生活を送るため自ら情報収集し活用する能力
  • 生活マネジメント:自分や 家族、周辺の人々の生活を見渡し管理(マネジメント)する能力
  • 社会参加:地域の活動に参加し地域での役割を果たす能力

JST 版活動能力指標 評価項目

  1. 携帯電話を使うことができますか
  2. ATM を使うことができますか
  3. ビデオや DVD プレイヤーの操作ができますか
  4. 携帯電話やパソコンのメールができますか
  5. 外国のニュースや出来事に関心がありますか
  6. 健康に関する情報の信憑性について判断できますか
  7. 美術品、映画、音楽を鑑賞することがありますか
  8. 教育・教養番組を視聴していますか
  9. 詐欺、ひったくり、空き巣等の被害にあわないように対策をしていますか
  10. 生活の中でちょっとした工夫をすることがありますか
  11. 病人の看病ができますか
  12. 孫や家族、知人の世話をしていますか
  13. 地域のお祭りや行事などに参加していますか
  14. 町内会・自治会で活動していますか
  15. 自治会やグループ活動の世話役や役職を引き受けることができますか
  16. 奉仕活動やボランティア活動をしていますか

どの質問がどの領域に該当するかについては以下の通りになります。

  • 新機器利用:1〜4
  • 情報収集:5〜8
  • 生活マネジメント:9〜12
  • 社会参加:13〜16

JST 版活動能力指標 評価用紙

JST 版活動能力指標(JST-IC)の評価表をダウンロードできるようにしておきました!評価表が必要な方はこちらからどうぞ☺

JST 版活動能力指標 カットオフ値

現状では、カットオフ値は定められておりません。得点が高いほど高次生活機能が優れているという評価になります。

得点が低下している場合には、どの領域の活動能力の減弱により高次生活機能の低下を引き起こしているのかを考察しアプローチに繋げることが重要となります。

JST-ICと老研式活動能力指標の比較

これまで JST-IC については、65 歳から 84 歳までの全国サンプルを用いて、尺度の信頼性、4 因子構造(因子的妥当性)が確認されています。

また、このサンプルの同一対象者で老研式活動能力指標と JST-IC との分布を比較したところ、老研式活動能力指標では 13 点満点の者が 48.9%と強い天井効果を示していたのに対して、JST-IC は満点よりも低い点の者が最も多く、天井効果が回避され、老研式活動能力指標よりも難易度が高く、より高いレベルで高次生活機能が測定できる指標であることが確認されております。

加えて JST-ICは、高齢期の健康を構成する身体的側面、社会的側面、心理的側面といずれも中程度以上の相関を示しており、高齢期の健康を包括的に簡便にとらえる指標としても使用可能となっています。

JST-ICを使用することにより測定することができる高齢者の高次生活機能は以下の3つになります。

  1. 健康度の高い高齢者の活動能力が測定できる
  2. 包括的な健康度の向上も間接的に測定でき る
  3. 比較的高度な社会参加の側面も測定できる

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます!

この記事では「JST版活動能力指標:JST-IC」をキーワードに考えを述べさせていただきました。

こちらの記事でがJST 版活動能力指標における理解力向上をもたらし、臨床における生活機能評価に少しでもお力添えになれば幸いです!

参考文献

  1. 佐々木八千代,白井みどり.地域在住高齢者の社会活動と JST 版活動能力指標の関連.保健医療社会学論集.第32巻,1号,2021,p64-73.
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