筋緊張低下と筋力低下の違い【見極め表+症例】評価→次アクション

臨床手技・プロトコル
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筋緊張低下と筋力低下の違い【見極め表+症例付き】評価→次アクションまで

「力が入らない」の背景が、筋緊張(トーン)の問題なのか、真の筋力低下(ウィークネス)なのかで介入は大きく変わります。本ページは、観察と触診、受動運動・反射、筋力テスト、機能課題を組み合わせて5分で方針仮決定→必要な評価と初期介入に繋げるための実務ガイドです。ページ冒頭にA4配布物(チェックリスト/症例記録シート)も用意しました。

評価→介入フローの全体像を素早く把握する

  • ✔ 安全確認(レッドフラッグ)→5分鑑別フローで仮決定
  • 見極め表:痙縮/固縮/筋力低下の典型パターン
  • A4配布物:鑑別チェックリスト/症例記録シート
  • ✔ 症例ミニケース3本(所見→解釈→次アクション)
  • ✔ 直後に行うべき関連評価と内部リンク導線

鑑別チェックリスト(A4・印刷)  症例記録シート(A4)

まず安全確認(レッドフラッグ)

  • 急性の片麻痺・失語など中枢神経徴候、急速進行、激しい頭痛/頸部痛
  • 進行性の筋萎縮や嚥下・呼吸筋症状の急悪化、重篤な電解質異常が疑われる

該当時は医師へ即時共有し評価を一時中断。該当がなければ以下のフローへ。

5分で仮決定:観察→受動→筋力→機能

  1. 観察・触診(30–60秒):抗重力保持、姿勢・アライメント、筋容積(萎縮/左右差/線維束攣縮)、安静時の張力。
  2. 受動運動・反射(60–90秒):速度依存の抵抗、クローヌス、DTR、病的反射。必要に応じ MAS を簡易評価。
  3. 筋力・持久(60–90秒):MMT/HHD、握力、反復での易疲労や速度低下。
  4. 機能課題(60–90秒):立ち上がり(STS)、歩行観察、必要に応じ TUG/歩行速度。

見極め早見表(痙縮/固縮/筋力低下)

筋緊張低下と筋力低下の見極め:典型所見と次の一手(成人・2025年版)
パターン 典型所見 よくある背景 次の一手(臨床)
痙縮(UMN) 速度依存の抵抗↑、クローヌス、DTR↑、折りたたみナイフ現象 脳卒中・SCI・脳性麻痺など MASで重症度把握→伸張・ポジショニング・課題特異的練習/装具・ボツリヌス連携
固縮(錐体外路) 粘土様/鉛管様で速度非依存、歯車様 パーキンソン病・PSP 等 オン/オフ把握、リラクセーション+運動課題、姿勢戦略・歩行戦略
筋力低下(末梢/筋原性/廃用) 安静時弛緩、DTR低下、筋萎縮/線維束攣縮、反復で易疲労 末梢神経障害、サルコペニア、廃用、筋疾患 等 HHD・握力で定量化→蛋白/栄養・活動量と併せて多職種連携、反復持久課題

症例ミニケース(所見→解釈→次アクション)

  1. 脳卒中後(屈筋群の痙縮優位):速度依存抵抗↑、DTR↑、クローヌスあり。解釈:痙縮優位。:MASで重症度→伸張・ポジショニング→課題特異的練習、装具/ボツ連携検討。
  2. パーキンソン関連の固縮:粘土様抵抗、オン/オフで所見変動。:服薬タイミング確認、リラクセーション→姿勢・歩行戦略のセット化。
  3. 高齢・廃用+低栄養の筋力低下:DTR低下、筋萎縮、反復で出力低下。:HHD/握力で定量→MSTNRS-2002 を併用し、栄養×運動で目標設定。

評価セット(すぐ使う)

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

MMT と HHD はどちらを優先すべき?
再現性と微小変化の検出には HHD を推奨。ベッドサイドなどで難しい場合は MMT+機能課題で補完します。
痙縮と固縮の見分け方は?
痙縮は速度依存で抵抗が増し、DTR↑やクローヌスが併発しやすい。固縮は速度非依存で粘土様/鉛管様の抵抗が持続します。
筋力低下の背景が廃用か神経かをどう探る?
左右差と神経学的徴候(反射・病的反射)の有無、反復での易疲労、筋容積の変化を組み合わせます。必要に応じて医師へ電気生理検査の情報提供を。

次にやるべきこと

鑑別がついたら、短期目標(2–4週)再評価タイミングを症例記録シートに記入し、多職種と共有してください。必要に応じて 評価ハブ から関連指標を追加します。

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