FIM 5 点とは?運動項目と認知項目 5 点の違い
FIM は 18 項目を 7 段階で判定し、実際に「している ADL(普段必要な介助量)」を数値化する指標です。その中でも FIM 5 点 は、運動項目と認知項目で根拠の置き方が異なるため、評価者間でブレやすいポイントです。本稿では 運動 5 点/認知 5 点の定義を整理し、6 点や 4 点以下に迷ったときの入口判断を 1 ページで揃えます。
このページで答えるのは、「FIM 5 点を 6 点や 4 点以下とどう切り分けるか」です。一方で、18 項目全体の総論や 4〜1 点の詳細な割合計算までは広げすぎず、必要な論点は兄弟記事へ分けます。
評価の型は、個人の努力だけで身につくとは限りません。今の職場で教育体制がない、相談相手が少ない、採点の見本に触れにくいと感じるなら、学び方と環境の整え方を先に整理しておくと動きやすくなります。
結論:5 点は「他者の関与が残る」ゾーン
FIM 5 点は「ほぼ自立だが、他者の関与が残る」状態です。ここで重要なのは、運動 5 点と認知 5 点は同じ 5 点でも根拠が違うことです。運動では「監視・口頭指示・促し(身体介助なし)」、認知では「介助量が 10 % 未満(時々の助言やヒント)」を軸に整理すると、判断が揃いやすくなります。
まずは 5 点=他者の関与あり、6 点=他者の関与なし と切り分け、そのうえで運動と認知の根拠を分けて考えると、採点の迷いが減ります。
| 領域 | 5 点の定義(要点) | 境界の見方 | よくある臨床例 |
|---|---|---|---|
| 運動 | 監視・口頭指示・促しのみ(身体介助なし) | 手が出たら 4 点以下を検討 | 病棟内歩行の常時見守り/更衣の声かけ/階段での言語指示 |
| 認知 | 介助量 10 % 未満(時々の助言・ヒント) | 助言が頻回なら 4 点以下を検討 | 段取りのヒント提示で自己修正/会話の軽微な軌道修正 |
FIM 5 点 判定評価シート PDF
判定をその場で揃えたい場面では、5 点 / 6 点 / 4〜1 点の分岐と根拠メモを 1 枚で残せる評価シートを使うと便利です。申し送りや再評価でも、点数だけでなく「どの関与でそう判断したか」を共有しやすくなります。
今回の PDF は、評価前の条件整理、判定記録、まとめ、再評価メモまでを A4 1 枚で扱える構成です。病棟での共通言語づくりや、新人指導のたたき台としても使いやすい形にしています。
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FIM 5 点の全体像と 6 点との違い
まず 6 点との違いを 1 行で固定すると迷いが減ります。5 点の核は「他者の関与が残る」、6 点の核は「他者の関与なしで成立するが、条件つき」です。ここを先に分けておくと、5 点を便利札にしにくくなります。
| 点 | 合言葉 | 実務での判断 |
|---|---|---|
| 6 | 他者の関与なし(補助具のみ・条件つき自立) | 見守り・口頭指示が一貫して不要なら 6 |
| 5 | 他者の関与が残る(監視・助言) | 手は出ないが、促し・安全見守りが一貫して必要なら 5 |
つまり、6 点は条件つきの自立、5 点は軽い介入が残る状態として切り分けると、評価者間の解釈が揃いやすくなります。
FIM 運動項目 5 点:意味と臨床例
運動 5 点は監視・促し・口頭指示のみで、身体介助は不要な状態です。歩行や移乗、更衣で安全のための見守りは必要でも、体を支える・持ち上げる・方向づけるなどの物理的介助が入らなければ、運動 5 点の候補になります。
| 観察ポイント | 見方 | 記録の残し方(例) |
|---|---|---|
| 関与の種類 | 監視・声かけ・準備のみか | 「見守り+ 2 回の声かけで完遂」 |
| 接触の有無 | 一瞬でも体を支える介助が入ったか | 「接触介助なし」/「一瞬の支持あり」 |
| 安全配慮 | 転倒リスクのため近接監視が必須か | 「段差・方向転換で近接監視」 |
逆に、一瞬でも接触介助が反復して入る、あるいは手が出る前提での介助体制が必要なら、介助割合を見積もって 4 点以下を検討します。
FIM 認知項目 5 点:意味と臨床例
認知 5 点は介助量 10 % 未満が目安です。理解・表出・社会的交流・問題解決・記憶に対して、ときどき助言やヒントを提示すれば、本人が自分で軌道修正できる状態を想定します。ここで大切なのは、回数の印象だけでなく、制止・誘導・代行が入ったかを分けて見ることです。
| 場面 | 5 点に寄せやすい状況 | 4 点以下を検討する状況 |
|---|---|---|
| 理解/表出 | 言い直しの誘導が時々あるが、内容は概ね成立 | 内容が成立しない場面が頻回、代行や反復が多い |
| 問題解決 | 最初のヒントで自己修正できる | 段取り提示が頻回、危険行動の抑制が必要 |
| 記憶 | 時々のリマインドで遂行可能 | 常時プロンプトが必要、遂行できない場面が多い |
同じ 5 点でも 運動=監視・促し(身体介助なし)/認知= 10 % 未満の介助と根拠が違うため、まずここを混同しないことが迷いを減らす第一歩になります。
4〜1 点の介助割合:見積もり方(ブレを減らす)
介助割合は感覚で決めるとブレやすいので、工程分解 → 介助が入った工程を特定 → 合計 %の順で揃えると安定します。食事なら〈道具操作・口に運ぶ・嚥下〉、整容なら〈口腔ケア・整髪・手洗い・洗顔・髭剃り/化粧〉のように、工程を固定しておくのがコツです。
| 点 | 介助割合の目安 | 現場での言い換え |
|---|---|---|
| 4 | < 25 % | 最小介助(少し手が出る) |
| 3 | 25–49 % | 中等度介助(半分弱) |
| 2 | 50–74 % | 最大介助(半分以上) |
| 1 | ≧ 75 %/ 2 名介助・機械介助 | 全介助 |
判定は次の順番にすると迷いにくくなります。① 身体介助の有無で 6〜7 か 5 以下を決める → ② 運動/認知を区別して 5 点の定義を当てる → ③ 工程分解で介助 % を見積もる → ④ 記録は工程・ %・根拠・安全配慮(促し内容)をセットで残す。
つまずきやすい 10 ケース(判定と根拠)
新人が迷いやすい代表例を根拠つきで整理します。施設内の合議では、点数だけでなく「どの工程に、どんな関与が入ったか」を短く統一すると再現性が上がります。
- シャワー温度の設定のみ介助 → 準備介入に相当 → 運動 5
- 歩行は自立だが常時見守りが必要 → 身体介助なし/関与あり → 運動 5
- 立ち上がりで一瞬の接触介助が反復 → 身体介助あり → 4(割合で根拠化)
- 整容 5 工程中 2 工程が全介助 → 実施 60 % → 3
- 表出は概ね成立、時折言い直し誘導 → 介助量 10 % 未満 → 認知 5
- 階段は手すり併用+言語指示で完遂 → 身体介助なし → 運動 5
- 食事で口に運ぶが全介助、他は自立 → 工程分解で ≈ 67 % 実施 → 3
- 浴槽またぎで部分介助が 2 回入る → 身体介助あり → 4(割合で根拠化)
- 問題解決は最初のヒントで自己修正 → 介助量 10 % 未満 → 認知 5
- 記憶で常時プロンプトが必要 → 介助が頻回 → 3〜2(割合で決定)
迷わない判定フロー(チーム共有用)
下の 4 ステップをチームで共有すると、判定速度と再現性が上がります。カンファレンスでは、どの工程に介助が入ったか、監視・促しの内容を 1 行で残す運用が効果的です。
① 身体介助の有無:なし= 6/7 または(運動) 5 /あり= 4〜1
② 5 点の定義を分ける:運動 5=監視・促し(身体介助なし)/認知 5= 10 % 未満
③ 工程分解で介助 %:4(< 25 %)/ 3(25–49 %)/ 2(50–74 %)/ 1(≧ 75 %)
④ 記録の型:工程 × %・根拠・安全配慮・促し内容をセットで残す
現場の詰まりどころ:5 点がブレる 3 つの原因
先に確認:よくある失敗を見る
手順で戻す:判定フローを見る
関連:4〜1 点の介助割合を工程分解で揃える
| 原因 | 起きやすいズレ | 対策(チームで揃える) |
|---|---|---|
| 運動と認知の定義混同 | 助言があるから 5 で止めてしまう | 運動=監視・促し、認知= 10 % 未満を合言葉にする |
| 接触介助の扱いが曖昧 | 一瞬の支持を見守りと同一視する | 接触が入ったら 4 以下を検討し、割合で根拠化する |
| 記録が点数のみ | 後から根拠が追えず、測定者で変わる | 促し内容/工程/ % を 1 行で残し、再評価を安定させる |
よくある失敗:5 点を便利札にしない
- 失敗 1:迷ったら 5 点に寄せる → 関与の種類と頻度を書かずに終わる
- 失敗 2:接触介助が入ったのに 5 点 → 手が出た事実を見落とす
- 失敗 3:認知の 10 % 未満を確認しない → 助言が頻回でも 5 点にしてしまう
よくある質問
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
FIM 5 点とはどんな状態ですか?
FIM 5 点は、運動項目では監視・促し・口頭指示のみで身体介助は不要、認知項目では介助量 10 % 未満を意味します。どちらもほぼ自立ですが、軽度の他者関与が残るゾーンです。
FIM 5 点と 6 点の違いは何ですか?
6 点は他者の関与なしで成立する「条件つき自立」、5 点は監視・助言など他者の関与が残る状態です。補助具や時間延長だけで成立するなら 6、見守りや声かけが一貫して必要なら 5 を検討します。
運動 5 点の具体例は?
病棟内の常時見守り歩行、整容での声かけ 1〜2 回、階段での言語指示のみなどです。接触介助が入る場合は 4 点以下を検討します。
認知 5 点の具体例は?
会話の軽微な軌道修正、最初の段取りヒントで自己修正できるケースなどです。助言が時々か頻回かに加えて、制止・誘導・代行が入ったかも確認します。
評価シートはどんな場面で使えますか?
カンファレンス前の採点整理、病棟での申し送り、再評価時の条件固定、新人指導での採点のすり合わせに向いています。点数だけでなく、関与の種類と根拠を残せる点が利点です。
次の一手
- 運用を整える:FIM 総合ガイド( 18 項目と採点の全体像 )(全体像)
- 共有の型を作る:FIM 4〜1 点:工程分解で介助割合を安定化(すぐ実装)
参考文献
- Granger CV, Hamilton BB, et al. Performance profiles of the Functional Independence Measure. Am J Phys Med Rehabil. 1993;72(2):84–89. PubMed / DOI.
- Keith RA, Granger CV, Hamilton BB, Sherwin FS. The Functional Independence Measure: a new tool for rehabilitation. Adv Clin Rehabil. 1987;1:6–18. PubMed.
- Ottenbacher KJ, et al. The reliability of the Functional Independence Measure. Arch Phys Med Rehabil. 1996;77(12):1226–1232. PubMed / DOI.
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


