GNRI・CONUT・PNIの使い分け|検査値ベース栄養評価

栄養・嚥下
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検査値でみる栄養評価: GNRI ・ CONUT ・ PNI は「入口の層別化」に使います

Alb ・総リンパ球数( TLC )・総コレステロール( TC )などの採血データから作る指標( GNRI / CONUT / PNI )は、低栄養リスクを短時間に層別化する入口に向きます。このページで決めるのは、「どれを入口に使うか」と「陽性後に何を追加するか」です。

一方で、これらは低栄養の確定診断そのものではありません。炎症・体液量・薬剤の影響を受けやすいため、数値だけで結論を出すとズレが起きます。比較表と実務フローを使って、評価 → 介入 → 再評価まで 1 本線で整理します。

最短で全体像を押さえる(同ジャンル回遊)

採血ベース指標は「栄養・嚥下」全体の中の 1 ピースです。入口 → 次工程までを 1 本線で確認したい場合は、ハブと親記事から入ると迷いが減ります。

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30 秒で決める: GNRI ・ CONUT ・ PNI の使い分け

まずは「必要なデータ」「向く場面」「ズレやすい条件」の 3 点で比べると、入口の選択で迷いにくくなります。大事なのは、どれが“万能”かではなく、今あるデータで最もブレにくい入口を 1 つ固定することです。

スマホでは表を横スクロールしてご覧ください。

採血ベース 3 指標の使い分け早見(成人・臨床運用の要点)
指標 必要データ 向く場面 ズレやすい条件 陽性後に足す情報
GNRI Alb +体重+身長( IBW ) 高齢者/体重情報を含めて層別したい 浮腫・脱水/急性炎症/体重測定条件の不統一 摂取量・体重推移・炎症・機能
CONUT Alb + TLC + TC 入院 routine 採血だけで優先度を共有したい 感染・免疫抑制・薬剤で TLC が変動/脂質治療で TC が低下 薬剤背景・疾患活動・体重推移・機能
PNI( Onodera ) Alb + TLC データが少なくても簡便に拾い上げたい 急性期炎症/免疫抑制/採血タイミング差 摂取量・炎症・体重推移・機能

図解: 3 指標の使い分けと陽性後の確認ポイント

比較表だけでは「結局どれを選んで、次に何を見るか」が頭に残りにくいことがあります。以下の図版は、 3 指標の役割と、陽性後に確認する 4 点セットを 1 枚で整理したものです。

GNRI・CONUT・PNI の使い分けと陽性後に確認する 4 点セットを整理した図版
3 指標の使い分けに加えて、陽性後は「摂取量・体重推移・炎症・機能」を確認して次の介入につなげます。

迷ったときの選び方:データ量で入口を 1 つ固定します

現場では「どれが最強か」を探すより、施設で揃いやすいデータを基準に入口を固定した方が、共有と再評価が安定します。同じ患者を毎回別の物差しで見ないことが、運用上はいちばん大切です。

  • Alb +体重+身長( IBW )が揃う: GNRI を入口にしやすいです。
  • Alb + TLC + TC が routine で揃う: CONUT を入口にしやすいです。
  • Alb + TLC しか揃わない: PNI で拾い上げを作り、追加情報で解釈を補強します。

陽性後に何を足すか:採血だけで止めず「 4 点セット」で次へ進みます

検査値で高リスクを拾った時点では、まだ「栄養低下が主因か」「炎症や体液量、薬剤の影響が大きいか」は決まりません。そこで同日中に、① 摂取量、② 体重推移、③ 炎症 / 疾患活動、④ 機能の 4 点を足してから、介入優先度と再評価日を決めます。

このページで扱うのは、あくまで入口の比較と次アクションまでです。低栄養の診断基準そのものは、GLIM 診断の記録と介入デザイン に分けて確認すると、役割がぶれません。

  1. 摂取量を足す:食事摂取率、補食、食欲、嚥下の影響を確認します。
  2. 体重推移を足す:単発体重ではなく、数日〜数週の変化で見ます。
  3. 炎症 / 疾患活動を足す:発熱、 CRP 、急性増悪、感染、手術直後などを確認します。
  4. 機能を足す:歩行量、握力、 ADL 、離床状況を見て、介入の優先順位を決めます。

A4 記録シート:比較 → 追加評価 → 再評価を 1 枚で残せます

記事の内容をそのまま現場で使えるように、検査値ベース指標の比較と、陽性後の追加評価をまとめて書ける A4 記録シートを用意しました。入口を決めたあとに「何を確認し、どう残すか」をそろえたいときに使いやすい構成です。

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GNRI:高齢者で「体重も含めて」見たいときの入口です

GNRI は Alb と体重( IBW )を使うため、「採血だけ」では拾いにくい体重要素を入口に入れやすいのが強みです。高齢者や回復期で、体重推移を意識しながら優先度を決めたい場面で使いやすい指標です。

一方で、浮腫・脱水・急性炎症があると数値の解釈がズレます。体重が保たれていても水分で見かけ上そう見えることがあるため、 GNRI 単独で安心せず、摂取量と機能の変化まで一緒に見ます。

CONUT: routine 採血だけで病棟の優先度を共有しやすい入口です

CONUT は Alb ・ TLC ・ TC の 3 項目を点数化するため、病棟で「誰を先に見るか」を短時間で共有しやすいのが利点です。採血の取りこぼしが少ない施設では、入口の標準化に向きます。

ただし、 TLC は感染や免疫抑制、 TC は脂質治療や疾患背景の影響を受けます。点数が高いから即「低栄養」とせず、薬剤と病態を確認してから、栄養で動かせる部分かどうかを切り分けるのがコツです。

PNI( Onodera ):情報が少ない場面でも作りやすい簡便な入口です

PNI は Alb と TLC の 2 項目だけで作れるため、情報が限られる場面でも拾い上げを始めやすい指標です。周術期文脈で語られることが多いですが、実務では「簡便に層別したい」ときの入口として理解すると使いやすくなります。

代表的な式( Onodera )は、PNI = 10 × Alb( g/dL )+ 0.005 × TLC( /μL )です。 TLC は炎症・感染・免疫抑制の影響を受けやすいため、値だけで決め切らず、摂取量・体重推移・機能を必ず横に置いて解釈します。

現場の詰まりどころ:ここで外すと解釈がズレます

採血ベース指標は便利ですが、便利な分だけ「数値だけで言い切る」失敗が起こりやすいです。まずは、起きやすいミスを潰してから、回避手順を固定してください。

よくある失敗( OK / NG 早見)

スマホでは表を横スクロールしてご覧ください。

検査値ベース指標で起きやすいミス( OK / NG と対策)
場面 NG(起こりがち) OK(こう直す) 記録に残す一言
Alb Alb だけで低栄養を断定する 炎症・体液量も同時に確認し、原因を切り分ける 「 Alb 低下は炎症 / 体液量も考慮 」
TLC TLC 低下をそのまま栄養不足とみなす 感染・免疫抑制・薬剤背景を確認する 「 TLC は感染 / 薬剤影響あり 」
TC TC 低下を低栄養と決め打ちする 脂質治療、肝疾患、炎症背景を確認する 「 TC 低下は治療 / 疾患も確認 」
体重 浮腫で体重が保たれているのに安心する 体重推移+摂取率+機能の 3 点でみる 「摂取 ◯%/体重推移/歩行 ◯」
運用 評価だけして次が決まらない 陽性の定義 → 介入 → 再評価日を同時に決める 「介入内容と再評価日を設定」

回避の手順(最短チェック)

  1. 採血指標( GNRI / CONUT / PNI )で入口の層別を決める
  2. 同日に、摂取量・体重推移・炎症・機能を追加して誤読を減らす
  3. 原因(摂取不足/炎症/悪液質など)で打ち手を分け、再評価間隔を固定する

ここまで整えても毎回同じところで詰まるなら、環境要因も見直します

評価・記録・報告の型が回りにくい背景には、教育体制・共通フォーマット・相談相手の有無など、職場環境の影響が隠れていることもあります。学び方と整え方をまとめて確認したい方は、 PT キャリアガイドも参考になります。

PT キャリアガイドを見る

よくある質問( FAQ )

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. 検査値だけで「低栄養」と判断していいですか?

おすすめしません。採血ベース指標は入口の層別化に強い一方、炎症・体液量・薬剤の影響を受けます。陽性なら、摂取量・体重推移・炎症・機能を追加し、原因と重症度をそろえてから判断するとズレが減ります。

Q2. どれを選べばいいか迷います( GNRI / CONUT / PNI )

高齢者で体重情報が取れるなら GNRI、 routine 採血 3 点( Alb ・ TLC ・ TC )が揃うなら CONUT、データが少なくても拾い上げを作りたいなら PNI から始めると整理しやすいです。いずれも、陽性後の追加評価を同じ手順で回すことがポイントです。

Q3. スタチン内服中で TC が低い場合、 CONUT は使えますか?

使えますが、 TC 低下が治療の影響で起きている可能性を前提に解釈します。 CONUT が高く出たときは、薬剤・炎症・疾患背景を確認し、体重推移と機能を足して整合を取ります。

Q4. PNI や GNRI が低いとき、次に最初に見るのは何ですか?

最初の 1 手は、摂取量と体重推移です。そこに炎症所見と機能低下を加えると、「食べられていない」のか「炎症で動いている」のかが整理しやすくなります。

次の一手


参考文献

  • Bouillanne O, Morineau G, Dupont C, et al. Geriatric Nutritional Risk Index: a new index for evaluating at-risk elderly medical patients. Am J Clin Nutr. 2005;82(4):777-783. doi: 10.1093/ajcn/82.4.777
  • Ignacio de Ulíbarri J, González-Madroño A, de Villar NGP, et al. CONUT: a tool for controlling nutritional status. First validation in a hospital population. Nutr Hosp. 2005;20(1):38-45. PubMed PMID: 15762418
  • Onodera T, Goseki N, Kosaki G. Prognostic nutritional index in gastrointestinal surgery of malnourished cancer patients. Nihon Geka Gakkai Zasshi. 1984;85(9):1001-1005. PubMed PMID: 6438478
  • Cederholm T, Jensen GL, Correia MITD, et al. GLIM criteria for the diagnosis of malnutrition – A consensus report from the global clinical nutrition community. Clin Nutr. 2019;38(1):1-9. doi: 10.1016/j.clnu.2018.08.002
  • Jensen GL, Cederholm T, Ballesteros-Pomar MD, et al. Guidance for assessment of the inflammation etiologic criterion for the GLIM diagnosis of malnutrition: A modified Delphi approach. JPEN J Parenter Enteral Nutr. 2024;48(2):145-154. doi: 10.1002/jpen.2590
  • Allison SP, Lobo DN. The clinical significance of hypoalbuminaemia. Clin Nutr. 2024;43(4):909-914. doi: 10.1016/j.clnu.2024.02.018

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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