GLIMの記録方法|診断から介入・再評価まで7ステップ

栄養・嚥下
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GLIMの記録は「診断根拠・介入・再評価」を1本につなげます

GLIMを現場で運用するには、診断名だけでなく、表現型基準、病因基準、重症度、介入担当、再評価日まで一続きで記録することが重要です。本記事では、栄養スクリーニング陽性後のGLIM評価を、7ステップの運用フロー、カルテ補助テンプレ、60秒共有テンプレに整理します。

対象は、病棟や施設でGLIMを記録・共有する医療従事者です。A4判定アルゴリズムと診断・記録シートも掲載しているため、施設内の手順確認やカンファレンスの書式づくりに使用できます。

GLIM評価の前に、スクリーニング方法を確認する

栄養スクリーニングの使い分けを見る

A4配布物|GLIM判定アルゴリズムと診断・記録シート

配布物は、GLIMの診断手順を確認するアルゴリズムと、診断根拠から再評価までを残す記録シートの2種類です。施設内の正式な手順や採用しているカットオフ値を確認したうえで、評価・記録の補助として使用してください。

GLIM判定アルゴリズム(A4)

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GLIM低栄養 診断・記録シート(A4/PDF)

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GLIM診断では5基準を確認し、表現型と病因を組み合わせます

GLIMでは、栄養リスクが認められた対象者について、3つの表現型基準と2つの病因基準を評価します。そのうえで、表現型基準を1項目以上、病因基準を1項目以上満たす場合に低栄養と診断します。

GLIMで確認する5つの基準
区分 確認する基準 記録の要点
表現型基準 意図しない体重減少 減少率と期間を記録する
表現型基準 低BMI 測定日、身長、体重、適用した基準を記録する
表現型基準 筋肉量減少 評価方法、測定値、採用したカットオフ値を記録する
病因基準 食事摂取量減少または消化吸収不良 程度、期間、具体的な原因を記録する
病因基準 疾患負荷または炎症 疾患・病態と判断根拠を記録する

診断基準やカットオフ値の詳細は、GLIMの判定枠組みを整理した総論記事で確認してください。本記事では、基準を満たしたかどうかだけでなく、判断根拠を記録し、介入と再評価へつなげる方法に焦点を当てます。

運用の詰まりは「期間・測定条件・具体的な病因」で起こります

GLIMの判断がスタッフ間で分かれる主な原因は、評価項目そのものより、記録の前提が揃っていないことです。特に、体重減少の期間、身体計測の条件、摂取不足や炎症の具体的な根拠を統一します。

  • 期間:いつからいつまでに、どの程度変化したか
  • 測定条件:時間帯、衣服、使用機器、浮腫や体液変動の有無
  • 病因:「食べられない」ではなく、嚥下、食形態、呼吸苦、消化器症状などへ分解する

測定条件を残していない場合、次回の数値変化が実際の変化なのか測定誤差なのか判断できません。記録時点で再評価方法まで決めておくことが重要です。

7ステップ|スクリーニング陽性後から再評価までの流れ

スクリーニング陽性後は、表現型、病因、診断、重症度、介入、再評価の順に整理します。以下はGLIM公式の診断基準そのものではなく、診断結果を施設内で運用するための実務フローです。

GLIM栄養評価でスクリーニング陽性後から診断・介入・再評価までを一貫して記録する流れ
スクリーニング陽性後は、表現型と病因を確認し、診断、重症度、介入、再評価まで一貫して記録します。
GLIMを記録・介入・再評価へつなげる7ステップ
順番 実施内容 最低限残す情報
1 栄養スクリーニング 実施日、ツール名、結果
2 3つの表現型基準を評価 数値、期間、測定条件、適用した基準
3 2つの病因基準を評価 摂取・吸収の状況、疾患負荷・炎症の判断根拠
4 GLIMによる診断 該当した表現型基準と病因基準
5 重症度を判定 中等度または重度と、判定に用いた表現型基準
6 介入計画を決める 課題、担当職種、実施内容、期限
7 再評価する 再評価日、追跡指標、測定条件

すべての情報を一度に取得できない場合は、確認できた項目と未評価の項目を分けます。「所見なし」と「未評価」は意味が異なるため、記録上も区別してください。

記録の基本|表現型は数値・期間・条件、病因は判断根拠を残します

表現型基準は数値だけでなく期間と測定条件を残し、病因基準は介入へつながる具体的な背景を記録します。診断名だけでは、再評価時に何が改善したのかを追跡できません。

表現型基準の記録例

体重減少は、次のように開始時点と現在値、変化率、期間をセットにします。

記録例:3か月前52kg、現在48kg。3か月間で4kg、7.7%の意図しない体重減少。午前、同一体重計、軽装で測定。両下腿に浮腫あり。

筋肉量減少を記録するときは、施設で採用している評価方法、測定値、カットオフ値を明記します。測定できない場合は、別の所見だけでGLIMの筋肉量減少基準を満たしたと断定せず、「未評価」として次の評価方法を検討します。

病因基準の記録例

摂取量減少は「食欲低下あり」だけで終わらせず、摂取量、期間、原因を整理します。

記録例:提供量の約40%の摂取が7日間継続。嚥下時の疲労と食形態の不一致が摂取量減少へ影響している可能性がある。

疾患負荷・炎症は、原疾患、感染、外傷、術後、急性増悪などの臨床状況を記録します。検査値を使用する場合も、数値単独で判断せず、疾患経過や臨床所見との関係を残します。

カルテ補助に使えるGLIM記録テンプレ

記録欄は、評価結果だけでなく、判断根拠、担当、期限、再評価日まで含めます。以下は公式のGLIM様式ではなく、診断から再評価までを抜けなく共有するための補助テンプレです。

GLIM記録テンプレ
記録欄 記載する内容 短い記録例
評価日 GLIM評価を行った日 2026年3月3日
スクリーニング ツール名と結果 施設採用ツール:陽性
表現型基準 該当項目、数値、期間、条件 3か月で体重7.7%減少
病因基準 該当項目と判断根拠 摂取量約40%が7日間継続
診断 該当した表現型基準と病因基準 体重減少+摂取量減少により低栄養
重症度 判定区分と根拠 中等度。体重減少率と期間から判定
介入計画 担当、実施内容、期限 栄養・嚥下・運動負荷を調整し2週間実施
再評価 日付、指標、測定条件 2週間後に体重、摂取量、活動量を確認

介入はGLIMの病因と個別評価から優先順位を決めます

GLIMは低栄養を診断する枠組みであり、それだけで具体的な栄養療法や運動処方が決まるわけではありません。該当した病因基準と追加評価をもとに、多職種で介入の優先順位を決めます。

病因と追加評価から考える介入の方向性
確認された課題 追加で確認すること 介入を検討する方向
摂取量減少 摂取割合、食欲、姿勢、食形態、嚥下、口腔、食事環境 食形態、食事環境、補食、嚥下・口腔対応を多職種で検討する
消化吸収不良 消化器症状、排便、疾患、治療内容 原因疾患の評価と栄養投与方法を医師・管理栄養士と検討する
急性疾患・炎症 循環、呼吸、発熱、疼痛、治療経過、離床の安全性 原疾患治療を優先し、安全範囲で廃用予防と活動量調整を行う
慢性疾患負荷 長期の体重・筋肉量・活動量、増悪歴、生活状況 継続可能な栄養支援と運動療法を個別に計画する
生活・社会的背景による摂取不足 独居、買い物、調理、経済状況、介助者、サービス利用 摂取量低下の背景として支援体制や食環境を調整する

生活・社会的要因は、それ自体がGLIMの独立した病因基準ではありません。食事摂取量の減少へどのように影響しているかを確認し、病因基準と介入計画を分けて記録します。

カンファレンスでは診断・病因・介入・再評価の順に共有します

GLIMの共有は、診断と重症度、主な病因、介入担当、再評価予定の順にまとめます。順番を統一すると、測定値の報告だけで終わらず、次の行動を決めやすくなります。

GLIMの60秒共有テンプレ
共有項目 伝える内容
1.診断・重症度 該当した表現型基準と病因基準、重症度と根拠
2.主な病因 摂取量減少、吸収不良、疾患負荷・炎症のうち優先する課題
3.介入 誰が、何を、いつまで実施するか
4.再評価 再評価日、確認する指標、測定条件

読み上げ例:3か月間の7.7%の体重減少と、7日間継続する摂取量減少からGLIM低栄養と判断しました。重症度は体重減少率と期間から中等度です。嚥下時の疲労と食形態を確認し、管理栄養士、ST、看護師、PTで介入します。2週間後に体重、摂取量、活動量を同条件で再評価します。

よくある失敗|未評価と陰性を区別し、再評価日を先に決めます

GLIM運用では、期間や測定条件の欠落、病因の抽象化、再評価の先送りが起こりやすくなります。記録前に以下の項目を確認してください。

GLIM記録で起こりやすい失敗と対策
よくある失敗 問題 対策
体重減少の期間がない 診断根拠や重症度を確認できない 開始時点、現在値、減少率、期間を記録する
測定条件が異なる 実際の変化と測定誤差を区別しにくい 時間帯、衣服、機器、浮腫を記録する
未評価を陰性として扱う 筋肉量減少などを見落とす可能性がある 陰性、陽性、未評価を分ける
病因が「食べられない」で止まる 具体的な介入を決められない 嚥下、食形態、食欲、呼吸、消化器症状などへ分解する
担当と期限がない 実施状況を追跡できない 担当職種、実施内容、期限を記録する
再評価日が未定 診断が単発で終わる 初回評価時に再評価日と指標を決める

GLIMの記録に関するよくある質問

各項目名をタップまたはクリックすると回答が開きます。

Q1.GLIMと栄養スクリーニングは何が違いますか?

A.栄養スクリーニングは、低栄養リスクがある人を拾い上げるために行います。GLIMは、栄養リスクが認められた対象者について、表現型基準と病因基準を評価し、低栄養の診断と重症度判定へ進む枠組みです。

Q2.筋肉量を測定できない場合はどう記録しますか?

A.筋肉量減少の項目を「未評価」と記録し、体重減少、BMI、摂取状況、炎症など、確認できたほかのGLIM基準を整理します。筋肉量減少を判定する場合は、施設で採用している評価方法とカットオフ値に従ってください。周囲長や身体所見を使用できるかは、国内の学会資料や施設基準を確認します。

Q3.炎症はCRPだけで判定できますか?

A.CRPなどの検査値だけで一律に決めるのではなく、原疾患、感染、外傷、術後、急性増悪などの臨床状況を含めて評価します。記録には、疾患負荷・炎症があると判断した根拠を残します。

Q4.再評価では何を確認しますか?

A.初回評価で確認した体重、摂取量、筋肉量、身体機能などから、介入目的に合う指標を選びます。体重や身体計測は、可能な限り初回と同じ条件で実施します。再評価時にはGLIMの診断名だけでなく、病因と介入内容が変化しているかも確認します。

次の一手|病態整理と施設内の運用確認へ進みます

GLIMの記録を作成したら、病因をより具体的に整理し、施設内で担当者と再評価方法を統一します。炎症や疾患背景を含めた低栄養の成因整理は、以下の記事で確認できます。

運用を整えたあとに、職場環境の詰まりも点検しておきましょう

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参考文献

  1. Cederholm T, Jensen GL, Correia MITD, et al. GLIM criteria for the diagnosis of malnutrition: a consensus report from the global clinical nutrition community. Clin Nutr. 2019;38(1):1-9. doi: 10.1016/j.clnu.2018.08.002. PubMed: 30181091.
  2. Cederholm T, Jensen GL, Correia MITD, et al. The GLIM consensus approach to diagnosis of malnutrition: a 5-year update. Clin Nutr. 2025;49:11-20. doi: 10.1016/j.clnu.2025.03.018. PubMed: 40223699.
  3. Barazzoni R, Jensen GL, Correia MITD, et al. Guidance for assessment of the muscle mass phenotypic criterion for the Global Leadership Initiative on Malnutrition diagnosis of malnutrition. Clin Nutr. 2022;41(6):1425-1433. doi: 10.1016/j.clnu.2022.02.001. PubMed: 35450768.
  4. Jensen GL, Cederholm T, Ballesteros-Pomar M, et al. Guidance for assessment of the inflammation etiologic criterion for the GLIM diagnosis of malnutrition: a modified Delphi approach. JPEN J Parenter Enteral Nutr. 2024;48(2):145-154. doi: 10.1002/jpen.2590. PubMed: 38221842.
  5. 日本栄養治療学会.GLIM基準について.https://www.jspen.or.jp/glim/glim_overview.2026年7月23日閲覧.

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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