基本動作評価ハブ|BMS・ABMS-2・IMSの使い分け

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基本動作評価ハブ|BMS・ABMS-2・IMSを目的で選ぶ

基本動作評価は、「急性期だからABMS-2」「回復期だからBMS」と病期だけで決めるより、何を確認したいか、どの動作範囲まで見たいかで選ぶと整理しやすくなります。BMS、ABMS-2(ABMS II)、IMSは、似た場面で使われることがありますが、評価する範囲と役割は同じではありません。

このハブでは、BMS・ABMS-2・IMSの位置づけと、評価後に動作分析やADL評価へどう進むかを整理します。評価尺度全体から探したい場合は、評価ハブを確認してください。

結論|病期ではなく「何を測りたいか」で選ぶ

基本動作評価では、病期は尺度を選ぶ参考情報の1つですが、それだけで第一選択を固定する必要はありません。まず、起居から立位までを簡潔に追いたいのか、移乗・歩行まで広く見たいのか、ICUで到達した移動レベルを追いたいのかを明確にします。

基本動作評価の選び方(目的別)
確認したいこと 選択候補 主に見る範囲 次の一手
起居から立位までを簡潔に追いたい ABMS-2 寝返り、起き上がり、座位保持、立ち上がり、立位保持 項目別の変化と評価条件を確認
移乗・歩行まで広く確認したい BMS 寝返りから歩行までの基本動作 低い項目から動作を絞る
ICUで到達した移動レベルを追いたい IMS ベッド上から歩行までのmobility milestone 到達度と安全性を経時的に確認
なぜその動作で失敗するか知りたい 動作分析 失敗する局面、観察所見、原因仮説 条件を変えて反応を確認
生活場面で実際にできるか知りたい ADL評価・生活場面観察 病棟や自宅での実行状況 環境・介助・道具まで確認
BMS、ABMS-2、IMS、動作分析、ADL評価の選び方と基本動作評価の流れを整理した図
基本動作評価の選び方と次の一手。図中の病期は典型的な使用場面を整理した目安であり、病期だけで尺度を固定するものではありません。また、再評価の時期は一律に24〜72時間とするのではなく、病状、介入内容、評価目的に応じて設定します。

BMSとABMS-2は名前が似ていても別の尺度

BMSとABMS-2は名称が似ていますが、同じ尺度の新旧版ではありません。開発背景、評価項目、採点方法が異なるため、「どちらが上位か」ではなく、必要な動作範囲と評価目的に合わせて選びます。

BMS|移乗・歩行まで基本動作を広く見る

BMS(Basic Movement Scale/基本動作指標)は、生活の基盤となる基本動作のCapacityを評価するために開発された尺度です。BMS version 1では9種類の基本動作を扱い、寝返り・起き上がり・足の踏み返しは実用側と非実用側を分けるため、全12判定項目で構成されます。

起居だけでなく、立ち上がり、移乗、歩行まで確認できるため、「基本動作のどこで能力が低下しているか」を広く見たい場面で候補になります。合計点だけでなく、低い項目と動作方向を確認することが、次の評価や介入につながります。

ABMS-2|起居から立位までを5項目で追う

ABMS-2(論文表記:ABMS II、Ability for Basic Movement Scale II)は、寝返り、起き上がり、座位保持、立ち上がり、立位保持の5項目を6段階で評価します。ベッドサイドを中心とした基本動作能力を簡潔に把握しやすい構成です。

原著では脳卒中発症早期の患者を対象に、後のADLとの関連が検討されています。一方、2025年には慢性期入院患者を対象とした信頼性・妥当性の報告もあり、「ABMS-2=急性期専用」と固定して考える必要はありません。対象と目的に合うかを確認して選択します。

BMSとABMS-2の基本的な違い
比較 BMS ABMS-2
正式名称 Basic Movement Scale Ability for Basic Movement Scale II
主な評価範囲 寝返りから歩行まで 寝返りから立位保持まで
構成 9種類・12判定項目 5項目・6段階
向いている問い どの基本動作で能力が低下しているか 起居から立位まで、どこまでできるか

BMSとABMS-2の採点基準や細かな使い分けは、このハブでは広げません。両尺度を直接比較したい場合は、ページ上部の比較記事へ進んでください。

IMSは「基本動作の内訳」よりICUでの到達レベルを見る

IMS(ICU Mobility Scale)は、重症患者のmobility milestoneを表すために開発された尺度です。BMSやABMS-2のように複数の基本動作をそれぞれ採点するというより、その時点で到達している最も高い移動レベルを共有する目的で使います。

そのため、「ICUだから必ずIMS」という意味ではありません。ICUで日々の移動到達度を簡潔に追いたいならIMS、起居や立位を項目別に詳しく見たいなら別の評価を組み合わせる、というように目的を分けます。

また、IMSの点数と離床の安全性は同じものではありません。循環・呼吸状態、意識、症状、ライン類などを確認し、実施可否の判断とmobilityの記録を分けて考えます。

基本動作評価の流れ|尺度を取って終わらせない

尺度を決めた後は、合計点を残すことだけを目的にせず、評価条件、低い動作、次の一手までつなげます。

  1. 安全性を確認する:意識状態、症状、循環・呼吸状態、疼痛、ライン類、転倒リスクなどから実施できるか確認します。
  2. 目的に合う尺度を選ぶ:評価したい動作範囲からBMS・ABMS-2・IMSなどを選びます。
  3. 評価条件を記録する:ベッドや椅子の高さ、支持物、履物、装具・補助具、介助方法などを残します。
  4. 内訳を見る:合計点だけでなく、どの項目が低いか、前回からどこが変わったかを確認します。
  5. 次の評価・介入を決める:動作分析、生活場面観察、環境調整、再評価など、次に確認することを絞ります。

再評価する時期は尺度共通で固定するものではありません。病状が変わったとき、介入条件を変更したとき、目標判定が必要なときなど、結果が臨床判断に使えるタイミングで再評価します。

再評価では「同じ点数」より比較できる条件を残す

基本動作の結果は、本人の能力だけでなく環境や介助方法の影響を受けます。前回と条件が違えば、得点差をそのまま改善・悪化と判断できません。

基本動作評価でそろえておきたい条件
条件 記録する内容 再評価で確認すること
環境 ベッド高、椅子高、床面など 前回と比較できる条件か
支持物 手すり、ベッド柵、テーブルなど 使用条件が変わっていないか
装具・補助具 履物、装具、杖、歩行器など 同じ補助条件で比較しているか
介助 介助位置、身体接触、声かけ 介助方法の違いが結果へ影響していないか
患者の状態 疼痛、めまい、疲労、覚醒状態など 能力以外の変化が影響していないか

条件をすべて同一にすること自体が目的ではありません。環境調整や介助方法を変えた場合は、その変更を明記したうえで「どの条件ならできたか」を残します。再評価では、比較したい軸が何かを明確にすることが重要です。

低い項目が見つかったら動作分析へ進む

BMSやABMS-2で低い項目が分かっても、その点数だけでは「なぜできないのか」までは分かりません。そこで次は、動作を局面に分けて観察し、どこで止まるか、何が起きているかを整理します。

基本動作評価と動作分析は競合するものではありません。尺度で「どの動作を見るか」を絞り、動作分析で「なぜ難しいか」を考えるという役割分担にすると、評価から介入へつなげやすくなります。

基本動作ができてもADLで実行できるとは限らない

一定条件で基本動作ができても、病棟や自宅で同じように実行できるとは限りません。評価室では立ち上がれても、自宅の低い椅子では難しい、介助者が変わると移乗できない、といった差が生じます。

生活場面へのつながりを確認するときは、ADL・IADL評価まとめへ進み、本人の能力だけでなく、環境、介助者、道具、実行状況を含めて確認してください。

よくある質問(FAQ)

Q1. BMSとABMS-2は急性期・回復期で決めればよいですか?

病期だけで固定する必要はありません。ABMS-2は脳卒中発症早期を対象とした研究で検討されていますが、慢性期入院患者を対象とした報告もあります。まず評価したい動作範囲と目的を確認し、そのうえで病期、対象疾患、実施環境を考慮します。

Q2. BMSは9項目ですか、12項目ですか?

BMS version 1で扱う基本動作は9種類です。そのうち寝返り・起き上がり・足の踏み返しは実用側と非実用側を分けて判定するため、全12判定項目となります。「9種類」と「12判定項目」を分けて理解すると整理しやすくなります。

Q3. ICUではIMSとABMS-2のどちらを使いますか?

目的で分けます。ICU内で到達した最も高いmobility levelを経時的に共有したい場合はIMSが候補になります。寝返り、起き上がり、座位保持、立ち上がり、立位保持を項目別に確認したい場合はABMS-2が候補になります。評価尺度の選択と離床の安全判断は分けて考えます。

Q4. 再評価は24〜72時間後に行えばよいですか?

尺度共通の一律ルールではありません。病状の変化、介入内容、評価目的、チームで判断が必要となる時期に応じて設定します。再評価時期そのものよりも、何を比較するのかと、評価条件がどう変わったかを残すことが重要です。

次の一手|尺度から原因分析と生活場面へつなぐ

基本動作評価は、尺度を選んで採点するところがゴールではありません。まず評価目的に合う尺度を選び、低い項目を確認し、必要に応じて動作分析や生活場面評価へ進みます。


参考文献

  1. Mori I, Takahashi T, Hamasaki M, Yamada S. Development of Basic Movement Scale (BMS) version 1: A new measure of basic movement capacity. Phys Ther Japan. 2015;42(5):434-441. doi:10.15063/rigaku.KJ00010032612. J-STAGE
  2. Tanaka T, Hashimoto K, Kobayashi K, Sugawara H, Abo M. Revised version of the Ability for Basic Movement Scale (ABMS II) as an early predictor of functioning related to activities of daily living in patients after stroke. J Rehabil Med. 2010;42(2):179-181. doi:10.2340/16501977-0487. DOI / PubMed
  3. Koumo M, Goda A, Maki Y, Yokoyama K, Katsura J, Yanagibashi K. Reliability and validity of the revised version of the Ability for Basic Movement Scale in chronic hospitalized patients: a retrospective study. Cureus. 2025;17(8):e89373. doi:10.7759/cureus.89373. PubMed
  4. Hodgson C, Needham D, Haines K, et al. Feasibility and inter-rater reliability of the ICU Mobility Scale. Heart Lung. 2014;43(1):19-24. doi:10.1016/j.hrtlng.2013.11.003. PubMed
  5. Tipping CJ, Bailey MJ, Bellomo R, et al. The ICU Mobility Scale has construct and predictive validity and is responsive: a multicenter observational study. Ann Am Thorac Soc. 2016;13(6):887-893. doi:10.1513/AnnalsATS.201510-717OC. PubMed

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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