SOAP の P は「次の一手」を再現可能にする設計図です
SOAP の P( plan )は、単なる予定メモではなく「次回、何を・どの条件で・どのくらい行い、いつ・何で見直すか」を残すパートです。P が具体化すると、チーム共有が速くなり、介入のブレと差し戻しが減ります。
本記事では P を 5 ブロック(目的/介入/量・頻度/安全/再評価)に分け、穴埋めで書けるテンプレと、よくある失敗の直し方までを 1 ページにまとめます。
同ジャンルで回遊する(制度・実務)
迷ったら、まずは「入口 → 総論 → 各論」の順で読むと、書類の迷いが減ります。
P を 1 行で書くテンプレ(穴埋めで OK )
忙しい日は、まず 1 行で骨格だけ固定します。次に必要な項目だけ 2 行目以降へ足すと、短くても崩れません。
P( plan ) 1 行テンプレ
(目的)のため、(介入)を(量・頻度)で実施。中止基準は(症状/バイタル)とし、(指標)で(期間)を目安に再評価する。
※「量・頻度」「中止基準」「再評価」が入るだけで、P は一気に“運用”になります。
P を崩さない 5 ブロック(目的/介入/量・頻度/安全/再評価)
P は文章力より分解が大事です。下の 5 ブロックを順番通りに埋めると、誰が読んでも再現しやすくなります。
(スマホでは横にスクロールできます)
| ブロック | 書く内容(穴埋め) | 書く理由(何が良くなるか) |
|---|---|---|
| 目的 | ( ADL/安全性/耐容能 )改善のため | 介入の狙いがブレない |
| 介入 | ( 具体的介入 )を実施し | 他者が同条件で再現できる |
| 量・頻度 | ( 回数/セット/時間 )を( 頻度 )で行う | 継続性・比較(前回との差)が担保される |
| 安全(中止基準) | 中止基準は( 症状/バイタル )とし | 安全管理が“言った/言わない”になりにくい |
| 再評価 | ( 指標 )で( 期間 )を目安に再評価する | 次回判断の軸(続ける/変える)が残る |
A(結論)を P(実装)に落とすコツ
A が「何が問題か/なぜか」まで書けても、P が「やります」だけだと次が決まりません。A の結論を、P の 5 ブロックに対応づけて“実装”します。
- 目的:A の結論(最優先で変えたい 1 点)をそのまま目的にする
- 介入:目的に直結する介入を 1〜 2 個に絞る
- 量・頻度:比較できる数字(回数/時間/距離)を 1 つ入れる
- 安全:中止の条件を 1 行で固定する(症状 or バイタル)
- 再評価:いつ・何で見直すかを先に決める
P は 5 ブロックで固定(最低ラインは 3 つ)
(目的)→(介入)→(量・頻度)→(安全)→(再評価)の順に埋めます。最低ラインは「量・頻度/中止基準/再評価」です。
(スマホでは横にスクロールできます)
| 1. 目的 | 2. 介入 | 3. 量・頻度(最低ライン) | 4. 安全(中止基準)(最低ライン) | 5. 再評価(最低ライン) |
|---|---|---|---|---|
| 何のために | 何をする | どれくらい/どのくらいの頻度 | どの条件で止める | いつ/何で見直す |
症例別ミニ例(各 1 行)
“全部書く”より、 1 行で骨格を作るのが先です。スケール名は 1 個、数字は 1〜 2 個までに絞ると増えません。
- 整形(膝 OA ):疼痛軽減と歩行耐容能改善のため、立ち上がり反復 8 回× 2 セットと屋内歩行 10 分を週 5 日実施。NRS 7/10 以上で中止し、TUG と NRS で 1 週後に再評価する。
- 脳卒中(片麻痺):移乗の介助量軽減のため、端座位リーチ 10 回× 2 セットと立位荷重練習 5 分を週 5 日実施。めまい・悪心出現で中止し、移乗の介助量と立位保持時間で 1 週後に再評価する。
- 呼吸( COPD ):息切れ自己管理と歩行耐容能改善のため、屋内歩行 6 分× 1 回を週 5 日実施( Borg 4 まで)。SpO2 88% 未満または強い息切れで中止し、6MWD と Borg で 2 週後に再評価する。
現場の詰まりどころ:P が弱いと「次の判断」が止まります
詰まりやすいのは、P が抽象で「量・期限・条件」がないケースです。まずは“直す場所”を決めると改善が早いです。
よくある失敗:NG を OK に直す早見表
“それっぽい文章”より、数値+期限+条件が強いです。下の表の OK 側に寄せるだけで、P は通りやすくなります。
(スマホでは横にスクロールできます)
| よくある NG | なぜ困るか | OK の書き換え例 |
|---|---|---|
| 歩行練習を継続 | 量・頻度がなく比較できない | 歩行練習を 10 m × 3 往復、 1 日 1 回で実施( RPE 13 以上で休憩 )。 |
| 疼痛に注意して実施 | 中止条件が曖昧 | 疼痛 NRS 7/10 以上、または疼痛増悪が 30 分以上持続で中止し報告。 |
| ADL 改善を目指す | 目的が広すぎて介入が散る | トイレ動作の介助量軽減のため、立ち上がり反復 5 回× 2 セットを実施。 |
| 様子を見て再評価 | いつ判断するか決まらない | TUG と介助量で 1 週後に再評価し、目標と介入量を見直す。 |
| 必要時に他職種と連携 | 担当と期限がない | 疼痛増悪が続く場合、主治医へ負荷量を報告し、鎮痛調整を相談(今週中)。 |
差し戻しを減らす 5 秒チェック(最低ライン)
最後に 5 秒だけ確認します。下の 4 つが入っていれば、P は“次の判断”につながりやすいです。
- 量・頻度が 1 つでも入っている(回数/分/距離)
- 中止基準が 1 行で書かれている(症状 or バイタル)
- 再評価の「指標」と「期限」がある
- 必要な連携が「誰に/いつまでに」で書かれている
よくある質問
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. P は毎回どこまで詳しく書くべきですか?
A. 毎回フルで書く必要はありません。最低限は量・頻度/中止基準/再評価の 3 点です。忙しい日は 1 行テンプレで骨格だけ固定し、変化があった日だけ介入内容や連携を足すと回りやすいです。
Q2. 中止基準は何を書けば「安全」になりますか?
A. 迷ったら、①症状(胸痛、強い息切れ、めまい、冷汗など)と、②バイタルのどちらかを 1 行で固定します。大事なのは“具体的に止める条件”が残っていることです。
Q3. 再評価は「いつ」「何で」書けばいいですか?
A. 「いつ」は 1 週/ 2 週など現場で回る単位にし、「何で」は 1 つで十分です(例:TUG、歩行距離、介助量、NRS など)。“続ける/変える”が判断できる指標を選ぶと P が締まります。
Q4. 短期目標と長期目標は P にどう書けばいいですか?
A. 迷ったら、短期目標は「 1 週〜 2 週で達成できる“介助量・回数・時間”」、長期目標は「退院・復職などの“生活場面”」に寄せます。P には短期目標を中心に置き、再評価期限( 1 週後など)と指標(TUG/介助量など)を 1 つに絞るとブレません。
Q5. P が長くなりすぎます。削る順番は?
A. ①説明文(背景)→ ②介入の羅列→ ③曖昧な注意点、の順に削り、代わりに量・頻度/中止基準/再評価を残します。文章量より“比較できる情報”が優先です。
次の一手(行動)
教育体制・人員・記録文化など“環境要因”を一度見える化すると、次の打ち手が決めやすくなります。
チェック後に「続ける/変える」の選択肢も整理したい方は、PT キャリアナビで進め方を確認しておくと迷いが減ります。
参考文献
- Weed LL. Medical records that guide and teach. N Engl J Med. 1968;278(11):593-600. doi: 10.1056/NEJM196803142781105
- Aronson MD. The Purpose of the Medical Record: Why Lawrence Weed Still Matters. Am J Med. 2019;132(11):1256-1257. doi: 10.1016/j.amjmed.2019.03.051
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


