- PT の手取り計算は「控除の順番」と「内訳の 5 点」を押さえると、求人比較がラクになります
- 求人票で先に拾う 5 つの数字|ここを揃えると比較が崩れません
- 手取り計算の流れ|最短 3 ステップで概算する
- 控除の内訳|どれが増えると手取りが減るか
- 概算の早見|控除率でラフに見積もると失敗しにくい
- 計算例|総支給 240,000 円を比較の軸で見る
- 同じ総支給でも手取りがブレる理由|見比べるのは「額」より「構造」です
- 現場の詰まりどころ|計算より先に「比較の前提」を揃える
- 求人比較に使える PDF|手取り比較シートをそのまま使えます
- よくある失敗|手取りがズレる原因は「数字不足」と「条件不足」です
- 面接で回収する数字|手取りを読み違えない質問テンプレ
- FAQ
- 次の一手
- 参考文献
- 著者情報
PT の手取り計算は「控除の順番」と「内訳の 5 点」を押さえると、求人比較がラクになります
PT の手取りを知りたいときは、年収記事を広く読む前に、総支給 → 社会保険 → 所得税 → 住民税 → 独自控除の順番を固定すると迷いにくくなります。この記事は、求人票の月給から手取りを概算し、どの求人が実際に残りやすいかを比較したい人向けに、最短 3 ステップと確認項目を整理したページです。
結論として、見るべきは総支給そのものより、基本給・固定残業・課税手当・非課税手当・独自控除の 5 点です。同じ 24 万円でも内訳次第で手取りも働き方も変わるため、面接では「何がいくらで、何時間分か」を数字で回収してください。
求人票で先に拾う 5 つの数字|ここを揃えると比較が崩れません
手取り計算で最初にやることは、税率を細かく覚えることではありません。求人票から比較に必要な数字を同じ形で抜き出すことです。ここが揃っていないと、計算が合っていても判断を間違えます。
特に、固定残業と手当が厚い求人は「総支給は高いのに、残るお金と働き方が見合わない」ことがあります。まずは次の 5 点を同じ順番で確認してください。
| 拾う数字 | なぜ必要か | 見落としやすい点 | 確認先 |
|---|---|---|---|
| 基本給 | 昇給・賞与の土台になりやすい | 手当込みの「月給」だけで見ると土台が見えない | 求人票の賃金内訳、雇用条件通知書 |
| 固定残業代 | 手取りと働き方の両方に影響する | 金額だけでなく見なし時間が必要 | 求人票、面接での口頭確認 |
| 課税手当 | 総支給だけでなく控除額も増えやすい | 資格手当・職務手当・皆勤手当などが混ざる | 月給の内訳欄 |
| 非課税手当 | 比較軸から切り分けやすい | 通勤手当を月給比較に混ぜるとブレる | 通勤費、実費支給の記載 |
| 独自控除 | 手取りを下げる最後の要因になる | 社宅費・組合費・互助会費が求人票に出ないことがある | 給与明細見本、制度説明、面接質問 |
手取り計算の流れ|最短 3 ステップで概算する
PT の手取りは、厳密に当てにいくより、比較に必要な精度でそろえる方が実用的です。求人比較の段階では、まず概算を出し、面接で内訳を回収して再計算する流れで十分です。
月給比較なら、次の 3 ステップで判断材料になります。
- 比較対象の総支給を決める(通勤手当は別枠にして、比較は課税される給与で揃える)
- 社会保険を引く(健康保険・厚生年金・雇用保険。標準報酬月額や保険料率で変わる)
- 所得税・住民税・独自控除を引く(住民税は原則 翌年 6 月から。社宅費などは別途確認)
ここで大切なのは、住民税あり/なし、扶養あり/なし、通勤費込み/別枠を揃えることです。前提が揃わないまま「A 病院の方が高い」と判断すると、後からズレやすくなります。
控除の内訳|どれが増えると手取りが減るか
総支給が上がっても、手取りが同じようには増えないのは、社会保険と税金が連動して増えるからです。特に「手当で月給を高く見せる」求人は、見かけほど残りやすくないことがあります。
見る順番は、社会保険 → 税金 → 独自控除 の順で十分です。全部を暗算するより、「どこが増えると何が連動するか」を掴む方が比較には効きます。
| 区分 | 主な中身 | 増えやすい条件 | 確認ポイント |
|---|---|---|---|
| 社会保険 | 健康保険、厚生年金、雇用保険 | 基本給や課税手当が増える | 健康保険は地域差があり、厚生年金は標準報酬月額で決まる |
| 所得税 | 毎月の源泉徴収 | 課税対象が増える、乙欄になる | 扶養控除等申告書の提出有無で見方が変わる |
| 住民税 | 前年所得に基づく特別徴収 | 原則 翌年 6 月から始まる | 初年度だけ高く見える月がある |
| 会社独自の控除 | 社宅費、組合費、互助会費、財形 など | 制度利用や加入で差が出る | 求人票に出ないことがあるため明細や制度条件を確認する |
概算の早見|控除率でラフに見積もると失敗しにくい
求人比較の初動では、まず 住民税ありで総支給の 18〜22%前後が引かれると仮置きすると、手取りの幅を掴みやすくなります。これは厳密額ではなく、扶養・地域・健康保険料率・手当構成で上下する前提の目安です。
注意したいのは、初年度前半は住民税が未開始で軽く見えやすいことです。生活費や家賃は、翌年 6 月以降の手取りで考える方が安全です。
| 総支給(月) | 控除率の目安 | 手取り概算 | 見方 |
|---|---|---|---|
| 200,000 円 | 18%〜22% | 約 156,000〜164,000 円 | 独自控除があるとさらに下がる |
| 220,000 円 | 18%〜22% | 約 172,000〜180,000 円 | 通勤費は別枠で見ると比較しやすい |
| 240,000 円 | 18%〜22% | 約 187,000〜197,000 円 | 固定残業の比率が高いと体感が伸びにくい |
| 260,000 円 | 18%〜22% | 約 203,000〜213,000 円 | 翌年から住民税が乗ると差が見えやすい |
計算例|総支給 240,000 円を比較の軸で見る
ここでの目的は「1 円単位で当てること」ではなく、比較の前提を揃えることです。求人票から見える数字で概算し、最後は内訳回収で精度を上げる、という順番にするとブレが減ります。
総支給 24 万円の求人は多く見えますが、内訳を見ないと同列には比較できません。最初は次のように置くと整理しやすいです。
| 項目 | 見方 | このページでの仮置き | ブレる理由 |
|---|---|---|---|
| 総支給 | 求人票の月給 | 240,000 円 | 通勤費や条件付き手当を混ぜると比較が崩れる |
| 控除(概算) | 社会保険+税+必要なら独自控除 | 18〜22%で仮置き | 扶養、地域、手当構成で上下する |
| 手取り(概算) | 総支給 − 控除 | 約 187,000〜197,000 円 | 社宅費などがあるとさらに下がる |
| 次に確認する数字 | 内訳の回収 | 基本給/固定残業額と時間数/手当条件 | 同じ 24 万でも伸び方と働き方が変わる |
同じ総支給でも手取りがブレる理由|見比べるのは「額」より「構造」です
総支給が同じでも、基本給の厚さと固定残業・手当の比率で、残るお金も働き方も変わります。特に固定残業が大きい求人は、見かけの月給は高くても、比較の軸としては注意が必要です。
比較で見るべきなのは「高いか安いか」より、「何を積み上げてその月給になっているか」です。
| パターン | 内訳の特徴 | 起きやすいこと | 面接で聞くべきこと |
|---|---|---|---|
| A:基本給が厚い | 基本給が高く、手当・固定残業は控えめ | 昇給・賞与の土台が安定しやすい | 賞与算定の対象項目、昇給テーブル |
| B:手当・固定残業で盛る | 資格・職務・固定残業の比率が高い | 控除が増えやすく、残業が常態化すると体感が重い | 見なし時間、超過時の支払い、残業実績 |
現場の詰まりどころ|計算より先に「比較の前提」を揃える
手取り計算でつまずく原因の多くは、計算式が難しいことではなく、比較の前提が揃っていないことです。住民税の有無、通勤費の扱い、固定残業の時間数が曖昧だと、数字が合っていても判断を誤ります。
このページで迷いやすい所へ
| 詰まりどころ | 起きること | 最短の回避策 |
|---|---|---|
| 住民税を忘れる | 初年度だけ高く見えて、翌年に落ちたように感じる | 翌年 6 月以降の手取りを前提に固定費を決める |
| 通勤費を混ぜる | 求人比較の軸がぶれて実質が読めない | 比較は課税される給与で揃え、通勤費は別枠にする |
| 固定残業の時間数がない | 働き方の重さが見えない | 金額だけでなく、見なし時間と超過時の扱いを聞く |
| 住宅手当を前提にする | 世帯主・名義・距離条件で外れる | 支給条件を先に確認する |
| 賞与の対象項目が曖昧 | 年収の期待値がズレる | 初年度の扱いと算定対象を同時に確認する |
求人比較に使える PDF|手取り比較シートをそのまま使えます
ここまでの内容を毎回頭の中だけで整理するのは大変です。そこで、求人 A / 求人 B の比較、住民税あり想定の手取り確認、固定残業・賞与・独自控除の確認を 1 枚でまとめられる PDF を用意しました。
見学や面接の前に印刷しておくと、「あとで聞けばよかった」を減らしやすくなります。数字の比較だけでなく、条件の差も同じ紙で残せる形です。
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よくある失敗|手取りがズレる原因は「数字不足」と「条件不足」です
一番多い失敗は、総支給だけを見て決めることです。同じ月給でも、固定残業の時間数、手当の課税・非課税、独自控除の有無で、実際に残るお金は変わります。
もう 1 つは、条件付き手当を満額でもらえる前提にしてしまうことです。住宅手当、皆勤手当、社宅制度は条件を外すとズレやすいため、「いくら」だけでなく「誰が対象か」まで確認してください。
面接で回収する数字|手取りを読み違えない質問テンプレ
このページのゴールは、給与交渉をすることではなく、求人条件を透明化することです。次の数字が揃うだけで、手取りの見込みと働き方のズレがかなり減ります。
最低限、次の 4 点を数字で回収してください。
- 基本給・各手当・固定残業代の金額
- 固定残業の見なし時間と、超過時の追加支給の扱い
- 住宅・資格・皆勤などの支給条件
- 賞与算定の対象項目と初年度の扱い
一言テンプレ:「条件を正確に整理したいので、基本給・手当・固定残業の内訳と、固定残業の時間数、超過時の支払い、賞与の算定対象を数値で教えていただけますか。」
FAQ
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
手取りは「総支給の何%」で見ればいいですか?
求人比較の初動では、住民税ありで 18〜22%前後が控除と仮置きすると整理しやすいです。これは厳密な税額ではなく、扶養・地域・健康保険料率・手当構成で上下する目安です。最後は内訳を回収して前提を揃えてください。
住民税はいつから引かれますか?
給与からの特別徴収は、一般に 翌年 6 月から翌年 5 月までの 12 回で行われます。入職初年度は住民税が未開始の月があるため、最初の手取りだけで家賃や固定費を決めない方が安全です。
扶養控除等申告書を出すと何が変わりますか?
毎月の所得税は、扶養控除等申告書を提出しているかどうかで、源泉徴収税額表の見方が変わります。提出している給与は原則「甲欄」、提出していない給与は原則「乙欄」で見るため、同じ月給でも月次の所得税がズレることがあります。
固定残業代がある求人は避けた方がいいですか?
一律に NG ではありません。ただし、見なし時間と超過時の支払い、そして実際の残業実績が曖昧な求人は比較しにくいです。金額だけでなく、何時間分かを必ず確認してください。
通勤手当は手取り計算に入れるべきですか?
比較をシンプルにするなら、通勤費は別枠で考える方が失敗しにくいです。非課税で扱われる範囲があるため、求人比較は基本給・課税手当・固定残業など「課税される給与」で揃えると見やすくなります。
同じ総支給でも手取りが違うのはなぜですか?
課税手当の比率、健康保険料率の地域差、固定残業の扱い、独自控除の有無で差が出ます。特に「手当で総支給を高く見せる」求人は、控除も増えやすく、見かけほど残りやすくないことがあります。
次の一手
- 全体像から整理する:PT の給料・年収ハブ
- 相場と照らして判断する:理学療法士の平均月収・年収【2026 年版】
参考文献
- 国税庁. 令和 8 年分 源泉徴収税額表. 参照
- 国税庁. No.2511 税額表の種類と使い方. 参照
- 国税庁. No.2260 所得税の税率. 参照
- 日本年金機構. 厚生年金保険料額表. 参照
- 協会けんぽ. 令和 8 年度保険料額表. 参照
- 横浜市. 個人の市民税特別徴収に関すること. 参照
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


