プッシャー評価の違い【比較・使い分け】BLS/SCP/4PPS を 1 分で選ぶ
転職で迷ったら、まずは「比較」と「見学の軸」を固めるのが近道です。
PT 向けの転職手順と、職場選びのチェック項目を 1 ページで整理しています。
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BLS/SCP/4PPS は、いずれも lateropulsion(プッシャー行動/押し現象)を “ 評価して言語化する ” ためのスケールです。ただし、得意な場面が違います。結論から言うと、忙しい現場で “ まず拾う ” なら 4PPS、重症度の追跡と介助量の基準づくりには BLS、典型所見の確認と教育用途には SCP が使いやすいです。
どれを使うか迷う原因は、「同じ患者でもスコアが揃わない」「押しに見えるが実は崩れ」「再評価で条件が変わる」の 3 つです。この記事は、目的別の選び方と、ズレやすいポイントの回避策までを “ 1 分で決められる形 ” に整理します。
結論:迷ったらこの選び方(目的→ 1 つ決める)
まず “ 何のために測るか ” を決めると、尺度選択はほぼ自動で決まります。スクリーニング(拾い上げ)なのか、重症度(介助量)の共有なのか、介入の焦点(押し/抵抗)をチームで揃えたいのか、目的を 1 つに絞ってください。
以下の早見で 1 つ選び、残りは “ 補助的に使う ” くらいが運用しやすいです(全員が同時に 3 つを回すほど、現場は暇ではありません)。
| あなたの目的 | 最優先の尺度 | 理由(要点) | 補助として使うなら |
|---|---|---|---|
| まず拾う(短時間で “ いる/いない ”) | 4PPS | 0〜3 点で重症度を粗く整理でき、チーム共有が速い | 重症例の追跡に BLS |
| 介助量と安全管理を “ 数字 ” で揃える | BLS | 姿勢・移乗・立位・歩行など場面別に拾え、経過追跡に向く | 入口は 4PPS |
| 典型所見(押し/抵抗)の確認と教育 | SCP | プッシャーの “ 典型三徴 ” を押さえやすく、説明しやすい | 運用は BLS/4PPS |
| 評価が割れたときの “ すり合わせ ” | BLS | どの場面で押しが出たかを分解でき、原因仮説を立てやすい | 所見確認に SCP |
1 分で決めるフロー|スクリーニング→追跡の順で固める
現場での最適解は、「入口(拾い上げ)を 1 つ」「追跡(経過)を 1 つ」に固定することです。入口は 4PPS、追跡は BLS、教育と典型所見確認に SCP、という使い分けが最もブレにくい組み合わせになります。
ただし、歩行や移乗に入る前の安全管理が優先なら、最初から BLS をメインにしても構いません。重要なのは “ 全員が同じ基準で話せる ” 状態で、患者の安全と介入の優先順位が揃うことです。
| ステップ | 質問 | はい | いいえ |
|---|---|---|---|
| 1 | 短時間で “ まず拾う ” 必要がある? | 入口は 4PPS | 入口から BLS でもよい |
| 2 | 介助量・安全管理をன別に “ 場面ごと ” で追う? | 追跡は BLS | 簡便に追うなら 4PPS 継続 |
| 3 | 新人や多職種へ “ 典型所見 ” を共有したい? | 確認に SCP を併用 | 併用せず運用を単純化 |
評価が割れる 3 大原因|ズレは “ 患者 ” より “ 条件 ” に出る
同一患者で BLS/SCP/4PPS の印象が揃わないのは珍しくありません。多くは尺度の欠点ではなく、「見ている場面が違う」「押しではなく崩れ」「条件が固定されていない」のいずれかです。原因を 1 つに仮説化すると、チームでのすり合わせが一気にラクになります。
特に “ 条件固定 ” は、再評価の質を左右します。座面高・足底接地・支持物・介助位置・歩行速度・補助具は、最低限メモしておきましょう。スコアが動いたのか、条件が動いたのかが切り分けられます。
| よくある状況 | 原因の当たり | 見直すポイント | 次の一手 |
|---|---|---|---|
| “ 押し ” に見えるが、受動誘導で抵抗が弱い | 崩れ(筋力・感覚・注意) | 足底接地/座面高/支持面の滑り | 条件を整え、抵抗の方向性が一貫するか再評価 |
| 座位は軽いのに、立位・歩行で急に強くなる | 場面依存(軽症 lateropulsion) | 立位での荷重誘導、方向転換、速度 | 入口は 4PPS、追跡は BLS に固定 |
| 評価者で結果が変わる | 条件・介助位置の違い | 介助手の位置、誘導の強さ、指示 | 評価手順を 1 枚にまとめ、チームで統一 |
| “ 全方向に固い ” 反応で迷う | 恐怖/疼痛/過緊張 | 痛み、疲労、呼吸、表情 | 課題難易度を下げ、方向特異性(押し方向)を確認 |
現場での運用テンプレ|入口 1 つ+追跡 1 つで回す
おすすめの固定セットは「入口= 4PPS」「追跡= BLS」です。入口で “ いる/いない/重い ” を共有し、追跡で “ どの場面が危ないか ” を分解して介助量と課題設定に落とします。 SCP は “ 典型所見の確認 ” と “ 教育 ” に寄せると運用が破綻しにくいです。
記録は、スコアの後ろに “ どの場面で押し/抵抗が出たか ” を 1 行添えます。例:『入口: 4PPS= 2 。座位で抵抗あり、立位で麻痺側へ押し増強。追跡: BLS は立位・歩行で高値』のように、場面を言語化しておくとカンファが速くなります。
介入に繋げるコツ|評価は “ 課題設定の順番 ” を決めるため
尺度は “ 正しい点数 ” を当てるゲームではなく、介入の順番を決めるための道具です。重症例ほど、①環境調整(支持物・座面・足底・介助位置)→②座位での重心移動→③立位→④歩行、の順に安全を積み上げる方が安定します。
また、 lateropulsion の特徴は「非麻痺側で押す」「戻すと抵抗する」という “ 能動性 ” にあります。迷ったら、受動的に非麻痺側へ誘導したときに押し返すかを観察し、方向性が一貫する条件を探してください。
よくある質問(FAQ)
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どれか 1 つだけ使うなら、結局どれが良いですか?
忙しい現場で “ まず拾う ” 目的が強いなら 4PPS、介助量や危険場面を “ 分解して追う ” なら BLS が実用的です。チームの運用を単純化したい場合は、入口と追跡を同じ尺度に固定しても構いませんが、入口= 4PPS、追跡= BLS の組み合わせが最も破綻しにくいです。
スコアが割れたとき、どれを信じればいいですか?
まず “ 条件固定 ” を疑ってください。座面高、足底、支持物、介助位置、誘導の強さが変わると、押しの出方は簡単に変わります。そのうえで「どの場面で押しが出たか」を分解できる尺度( BLS )を軸にすり合わせると、介助量と課題設定が決めやすくなります。
“ 押し ” と “ 麻痺側への崩れ ” を見分けるコツは?
見分けの核は “ 能動性 ” です。非麻痺側への受動的荷重誘導で、押し返す抵抗が方向特異的に出るなら lateropulsion を疑います。一方、抵抗が弱く、条件(足底接地や支持面)で崩れ方が大きく変わるなら、筋力・感覚・注意の要因が主かもしれません。
再評価はどれくらいの頻度が良いですか?
頻度より “ 同条件で比較できる ” ことが重要です。歩行開始、移乗の介助量変更、退院前評価など、方針が変わる節目に合わせて実施し、座面高・足底・補助具・介助位置を記録しておくとスコアの変化が臨床判断に直結します。
まとめ|目的で 1 つ選び、条件固定で “ ブレない再評価 ” にする
BLS/SCP/4PPS は、どれも lateropulsion の言語化に役立ちますが、得意領域が異なります。短時間の拾い上げは 4PPS、場面別の追跡は BLS、典型所見の確認と教育は SCP、という役割分担にすると運用が単純化します。
スコアが割れるときは、まず “ 条件固定 ” を疑い、抵抗の方向性が一貫する条件で評価を揃えてください。評価は課題設定の順番を決めるための道具なので、安全管理→段階刺激→記録→再評価のリズムで回すとチームで迷いが減ります。
おわりに
プッシャーの評価は「目的の整理→条件固定→尺度選択→所見の言語化→再評価」のリズムで回すと、介入の優先順位が自然に決まります。面談準備チェックと職場評価シートは /mynavi-medical/#download にまとめているので、転職を検討するときの整理に使ってください。
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下
参考文献
- Chow E, Parkinson S, Jenkin J, et al. Reliability and Validity of the Four-Point Pusher Score: An Assessment Tool for Measuring Lateropulsion and Pusher Behaviour in Adults after Stroke. Physiother Can. 2019;71(1):1-9. doi:10.3138/ptc.2017-69. PubMed
- Bergmann J, Krewer C, Jahn K, Müller F. Inconsistent classification of pusher behaviour in stroke patients: a comparison of the Burke Lateropulsion Scale and the Scale for Contraversive Pushing. Clin Rehabil. 2014. PubMed
- Baccini M, Paci M, Nannetti L, et al. The scale for contraversive pushing: a reliability and validity study. Neurorehabil Neural Repair. 2006. PubMed
- Koter R, Fiedler A, Schwenkreis P, Tegenthoff M, Dinse HR. Clinical Outcome Measures for Lateropulsion Poststroke. Top Stroke Rehabil. 2017. PubMed

