Pusher scale 比較の結論|SCP・BLS・CP は「目的」で使い分ける
Pusher の評価で迷うときは、尺度名ではなく「いま何を判断したいか」で選ぶと早いです。重症度の定量追跡を優先するなら SCP、ベッドサイドで短時間に偏倚を把握するなら BLS、臨床所見の補助整理として CPという順で考えると、現場で再現しやすくなります。
本記事は比較記事として、比較表→選定フロー→症例ミニケース→失敗回避の順に整理しています。導入から再評価までの全体設計は、親記事のPusher 評価の総論で先に確認できます。
SCP・BLS・CP の比較早見表
| 尺度 | 主な目的 | 向く場面 | 強み | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| SCP | pushing 行動の重症度を定量化 | 急性期〜回復期の経時評価 | 変化を追跡しやすい | 条件がずれると比較性が落ちる |
| BLS | ベッドサイドで偏倚を短時間把握 | 離床初期・初回評価 | 短時間で実施しやすい | 細かな重症度変化は拾いにくい |
| CP | 臨床所見の補助整理 | 主尺度の補完 | 観察視点を補える | 単独判断に依存しない |
3 ステップで決める選定フロー
- 目的を固定:重症度追跡か、初期スクリーニングかを先に決める。
- 場面を固定:病棟/訓練室、姿勢、介助量、時間帯をそろえる。
- 再評価を固定:週次や状態変化時など頻度を決め、同条件で追う。
症例ミニケース(急性期・回復期)
| 病期 | 症例条件 | 評価目的 | 尺度選定 | 次の一手 |
|---|---|---|---|---|
| 急性期 | 発症 5 日、初回離床、端座位で体幹偏倚あり、中等度介助 | 短時間で偏倚の有無と安全性を把握 | 第一選択は BLS、必要時に SCP を追加して基準化 | 48〜72 時間以内に同条件で再評価し、偏倚方向と介助量をセット記録 |
| 回復期 | 発症 6 週、立位練習中、日内で成績変動あり | 重症度の経時変化を追い介入優先順位を調整 | 第一選択は SCP、補助的に臨床所見を加えて解釈 | 週 1 回の同条件再評価を固定し、次回観察点を 1 つ明記 |
迷ったら、目的 → 場面 → 再評価頻度の順で固定すると、尺度選定のブレを減らせます。
現場の詰まりどころ
詰まりやすいのは尺度選びそのものより、条件を固定しないまま測定してしまうことです。まずは失敗パターンを短く確認して、回避手順に落とし込むとチーム運用が安定します。
よくある失敗
| 失敗 | 起きる理由 | 影響 |
|---|---|---|
| 目的を決めずに尺度を選ぶ | 慣れた尺度を優先してしまう | 再評価で比較しにくい |
| 毎回条件が変わる | 時間帯・姿勢・介助量が未統一 | 点数変化の解釈がぶれる |
| 単一尺度だけで判断する | 補助所見を記録しない | 介入優先順位が決めにくい |
回避の手順チェック
- 評価前に「目的・場面・再評価頻度」を 1 行で記録する。
- 場所・姿勢・介助量・時間帯をチームで統一する。
- 主尺度+補助所見で解釈し、次回の観察点を 1 つ明文化する。
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
急性期は BLS と SCP のどちらを先に使うべきですか?
離床初期で短時間把握が必要な場面では BLS が実装しやすいです。重症度を継続追跡したい場合は、早い段階で SCP を追加しベースラインを作ると再評価が安定します。
再評価頻度はどの程度が実務的ですか?
週 1 回を基本に、状態変化や介入変更の節目で追加する運用が実務的です。同一条件で行うことを優先してください。
比較記事ではどこまで手順を書くべきですか?
比較記事は「選び方と使い分け」に集中し、詳細手順は単体記事へ分離するのがカニバリ回避に有効です。
新人教育では何を最初に統一すべきですか?
尺度の暗記より先に、目的・場面・再評価頻度の 3 点を固定する運用を統一すると、記録の再現性が高まりやすいです。
次の一手
- 運用を整える:Pusher 評価の総論で全体設計をそろえる(全体像)
- 共有の型を作る:SCP の実施手順をテンプレ化する(すぐ実装)
教育体制・人員・記録文化など“環境要因”を一度見える化すると、次の打ち手が決めやすくなります。
チェック後に『続ける/変える』の選択肢も整理したい方は、PT キャリアナビで進め方を確認しておくと迷いが減ります。
参考文献
- Pedersen PM, Wandel A, Jørgensen HS, Nakayama H, Raaschou HO, Olsen TS. Ipsilateral pushing in stroke: incidence, relation to neuropsychological symptoms, and impact on rehabilitation. Arch Phys Med Rehabil. 1996;77(1):25-28.
- Karnath HO, Ferber S, Dichgans J. The origin of contraversive pushing: evidence for a second graviceptive system in humans. Neurology. 2000;55(9):1298-1304.
- Babyar SR, Peterson MG, Bohannon R, Pérennou D, Reding M. Clinical examination tools for lateropulsion or pusher syndrome following stroke: a systematic review of the literature. Clin Rehabil. 2009;23(7):639-650.
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


