CPOT疼痛評価とは?4項目・0〜8点の見方と評価方法

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CPOTは自己申告が難しい成人ICU患者の疼痛を4項目で評価する尺度です

CPOT(Critical-Care Pain Observation Tool)は、挿管、意識状態、鎮静などの影響で痛みを信頼して自己申告することが難しい成人ICU患者に対し、行動反応から疼痛を評価する尺度です。表情・身体運動・筋緊張・人工呼吸器への順応性または発声の4項目を各0〜2点で評価し、合計は0〜8点です。ただし、CPOTの点数だけで疼痛を確定したり、リハビリテーションの中止を決めたりする尺度ではありません。本記事では、CPOTの評価方法、点数の見方、評価タイミング、記録まで整理します。

CPOT・BPS・自己申告尺度の使い分けから確認したい方へ

ICU疼痛評価の全体像を見る

CPOTは4項目を各0〜2点、合計0〜8点で評価します

CPOTで最初に押さえたいのは、4つの行動領域をそれぞれ0〜2点で評価するという基本構造です。挿管患者と非挿管患者では、第4項目の観察対象が異なります。

※スマートフォンでは横スクロールで確認できます。

CPOTの4つの評価領域
評価領域 主に観察すること 得点
表情 顔面の緊張や苦痛を示す表情の変化 0〜2点
身体運動 防御的な動き、落ち着きのなさなどの行動変化 0〜2点
筋緊張 他動運動などで確認される筋緊張や抵抗の程度 0〜2点
人工呼吸器への順応性/発声 挿管中は人工呼吸器との順応性、非挿管時は発声による反応 0〜2点
合計 4領域の得点を合計 0〜8点

CPOTは、表情だけ、人工呼吸器との同調だけといった単一所見で判断するのではなく、4領域をまとめて評価します。人工呼吸器管理中であれば「人工呼吸器への順応性」、抜管後など非挿管時であれば「発声」を評価します。

なお、上表は尺度の構造を理解するための要約です。実際の採点では、CPOTまたは日本語版CPOT(CPOT-J)の正式な評価基準を確認して使用してください。

CPOTの4項目・0〜8点と評価前に押さえたい3ポイント
CPOTの基本構造と、点数を解釈する前に押さえたい3つのポイント

CPOTは高いほど疼痛関連行動が強い一方、単一の点数だけでは疼痛を確定しません

CPOTは0〜8点で、得点が高いほど疼痛に関連する行動反応が強いと解釈します。ただし、「○点以上なら必ず疼痛あり」という単一の絶対基準として扱う尺度ではありません。

CPOT得点を読むときのポイント
見方 解釈
得点が上昇した 疼痛関連行動が増えた可能性があり、刺激内容や変化した項目を確認する
2〜3点付近 疼痛を検出する閾値として検討した研究があるが、対象集団や評価条件によって異なる
0点だった 観察された疼痛関連行動が乏しいことを示すが、疼痛が存在しないことを保証しない
対応後に低下した 介入前後の変化として参考になるが、得点だけで介入効果を断定しない

CPOTの診断精度を検討したシステマティックレビュー・メタ解析では、2点または3点を閾値とした研究がまとめられています。一方で研究間の異質性も報告されており、患者背景や評価条件を無視して1つのカットオフをすべての患者へ当てはめることは避けます。

臨床では、合計点だけでなく「どの項目が」「どの刺激で」「どのように変化したか」まで確認することが重要です。

CPOTが0点でも「痛くない」とは判断できません

CPOTは患者の行動を観察する尺度なので、疼痛があっても行動として表れなければ得点が低くなる可能性があります。

CPOT-Jを用いた国内研究では、安静時に背部痛を自己申告していても身体を動かさなかったため、身体運動の項目が0点となり、CPOT-Jで疼痛を十分に捉えられなかった事例が報告されています。

重要:CPOTは「疼痛そのもの」を直接測定しているのではなく、疼痛に関連して現れる行動を観察しています。したがって、低得点=疼痛なしとは限りません。

特に、深い鎮静や神経筋遮断などによって観察できる行動反応が乏しい場合は、CPOTによる評価にも限界があります。尺度を機械的に当てはめるのではなく、患者が行動として反応できる状態かどうかも確認します。

自己申告できる患者ではCPOTより自己申告を優先します

CPOTは、すべてのICU患者に第一選択となる疼痛評価ではありません。患者が信頼して痛みを自己申告できる場合は、本人の自己申告を優先します。

成人ICU患者での疼痛評価の考え方
患者の状態 基本となる評価
信頼して自己申告できる NRSなどによる患者本人の自己申告を優先する
自己申告が難しい・行動観察が可能 CPOTやBPSなど、妥当性が検証された行動評価尺度を検討する
行動反応自体がほとんど観察できない CPOTだけで疼痛の有無を判断せず、評価可能性そのものを再検討する

2018年のPADISガイドラインでは、コミュニケーションが可能な成人重症患者の疼痛評価では自己申告が基準とされ、自己申告できないものの行動を観察できる患者では、CPOTやBPSなどが妥当性・信頼性の高い行動評価尺度として位置づけられています。

2025年のPADIS focused updateでは疼痛に関する従来の推奨は更新されていないため、この疼痛評価の基本的な位置づけは引き続き参照できます。

CPOTは安静時だけでなく、疼痛を伴う可能性のある動作・処置の前後で評価します

CPOTは1回だけ測定して終えるよりも、安静時の状態と、疼痛を伴う可能性のある刺激・動作に伴う変化を比較することで臨床的に活用しやすくなります。

CPOTを評価する代表的なタイミング
タイミング 確認すること
介入・処置前 安静時の基準となるCPOTと行動状態を確認する
動作・処置中 疼痛を伴う可能性のある刺激で、どの行動項目が変化したか確認する
対応後 休息、体位調整、鎮痛などの対応後に再評価し、変化を確認する

PT・OT・STが関わる場面では、体位変換、関節運動、端座位、移乗、ポジショニングなどが疼痛を伴う可能性があります。重要なのは「介入後5分」のように一律の時間へ固定することではなく、比較する条件と評価したタイミングを記録し、必要な時点で再評価することです。

CPOT-Jの国内検証研究では、研究上の評価時点として疼痛刺激の直前・直後・20分後が用いられています。ただし、これは臨床での再評価を一律に「20分後」へ固定する基準ではありません。

心拍数や血圧の上昇だけで疼痛とは判断しません

ICUでは、疼痛と同時に心拍数、血圧、呼吸数、SpO₂などが変化することがあります。しかし、バイタルサイン単独を疼痛の指標として使用することは推奨されていません。

2018年PADISガイドラインでは、心拍数、血圧、呼吸数、SpO₂、呼気終末二酸化炭素濃度などの生理学的指標は、成人重症患者の疼痛を示す妥当な指標とはせず、適切な疼痛評価を追加するきっかけとして扱うよう示されています。

つまり「血圧が上がったから痛い」と判断するのではなく、バイタル変化を認めた場合は、可能なら患者の自己申告を確認し、自己申告できなければCPOTなどの妥当性が検証された方法で追加評価します。

CPOTが上昇しても、それだけでリハビリ中止とは判断しません

CPOTは疼痛関連行動を評価する尺度であり、離床やリハビリテーションの中止基準そのものではありません。

リハ中にCPOTが上昇した場合は、合計点だけを見るのではなく、どの項目が変化したのか、どの動作・刺激で変化したのかを確認します。そのうえで患者の全身状態、安全性、自己申告の可否、呼吸・循環状態、処置や疾患の影響を合わせて判断します。

リハ中にCPOTが変化したときの確認順序
確認 見るポイント
1. 評価条件 どの動作・体位・処置で変化したか
2. CPOTの内訳 表情、身体運動、筋緊張、人工呼吸器への順応性/発声のどこが変化したか
3. 他の要因 呼吸困難、不穏、せん妄、人工呼吸器関連の問題などが影響していないか
4. 対応 必要に応じて刺激を止める、負荷を調整する、休息や体位調整を行う、チームへ共有する
5. 再評価 対応後にCPOTと全身状態を再確認する

したがって、「CPOTが○点だから続行」「○点だから中止」といった独自の固定基準を設けるのではなく、CPOTを疼痛評価の一部として安全判断へつなげます。

不穏・せん妄・呼吸困難と疼痛をCPOTだけで区別しません

しかめ面、落ち着きのない身体運動、筋緊張、人工呼吸器との非同調などは、疼痛だけで生じる反応ではありません。不穏、せん妄、呼吸困難、低酸素、人工呼吸器設定や気道の問題などでも似た行動がみられることがあります。

そのためCPOTが高値の場合も、「CPOTが高い=疼痛が原因」と直結させず、評価時の刺激と行動変化の関係、自己申告の可否、呼吸状態、意識・鎮静状態などを合わせて確認することが必要です。

反対に、せん妄や不穏が疑われるからといって疼痛評価を省略すると、疼痛を見落とす可能性があります。疼痛・鎮静・せん妄は、それぞれ目的に合った評価尺度を使い分けます。

記録では「CPOT・変化した項目・評価条件・対応・再評価」を残します

CPOTを記録するときは合計点だけでなく、何をしているときに、どの行動が変化したのかまで残すと、次の担当者が結果を解釈しやすくなります。

CPOTを記録するときに残したい項目
項目 記録する内容
評価条件 安静時、体位変換中、端座位中など
CPOT 合計点と、必要に応じて変化した領域
観察内容 表情、身体運動、筋緊張、人工呼吸器への順応性/発声の変化
対応 休息、体位調整、負荷変更、スタッフへの共有など
再評価 対応後のCPOTと全身状態の変化

記録例

安静時CPOT 0点。端座位移行時にCPOT 3点へ上昇し、表情および筋緊張の変化を認めた。臥位へ戻し体位を調整。再評価時CPOT 1点。担当看護師へ評価条件と反応を共有した。

この記録例はCPOTの公式記録様式ではなく、臨床で情報共有する際の記載例です。施設で定められた記録方法がある場合は、その運用を優先してください。

CPOTで迷いやすい4つのポイント

CPOTで避けたい解釈
迷いやすい解釈 考え方
0点だから疼痛なし 行動が乏しくても疼痛が存在する可能性がある
2点以上なら疼痛確定 2〜3点付近を閾値とした研究はあるが、単独で疼痛を確定しない
CPOT上昇=リハ中止 CPOTはリハ中止基準ではなく、全身状態と合わせて判断する
バイタル上昇=疼痛 バイタル変化は追加の疼痛評価を行うきっかけとして扱う

よくある質問

Q1. CPOTは何点満点ですか?

CPOTは4項目を各0〜2点で評価し、合計0〜8点です。表情、身体運動、筋緊張、人工呼吸器への順応性または発声を評価します。

Q2. CPOTは何点から疼痛ありと判断しますか?

2点または3点を疼痛検出の閾値として検討した研究がありますが、対象集団や評価条件によって診断性能は異なります。単一の得点だけで疼痛を確定せず、評価条件、変化した行動、自己申告の可否などと合わせて判断します。

Q3. CPOTが0点なら痛みはありませんか?

いいえ。CPOTは疼痛に関連する行動を観察する尺度なので、疼痛があっても行動として表れなければ低得点になる可能性があります。低得点だけで疼痛を否定しないことが重要です。

Q4. CPOTが上がったらリハビリを中止しますか?

CPOT単独では決めません。CPOTは疼痛関連行動を評価する尺度であり、リハビリの中止基準ではありません。変化した項目、動作との関係、自己申告、呼吸・循環状態などを確認し、安全性を総合して判断します。

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参考文献

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著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度など、医療従事者の実務に役立つ情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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