糖尿病フットスクリーニングを PT が実装する手順

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糖尿病フットスクリーニングを PT が実装する結論

糖尿病フットスクリーニングは、足潰瘍・感染・切断リスクの高い患者を早期に拾い、介入の優先順位をそろえるための実務です。本記事では、理学療法士が現場で迷いやすい「どこまで見て、どこで共有し、どう記録するか」を、初回評価から再評価まで一連で整理します。

まずは全体像を短時間で押さえ、次に「赤旗」「よくある失敗」「最小限の記録項目」をそろえると、チーム内のばらつきが減ります。評価全体の位置づけは 評価ハブ を起点に確認すると実装が速くなります。

実務で使うフットスクリーニング手順

初回は「問診→視診→感覚→血流サイン→リスク分類→対応決定」の順で統一すると、抜け漏れを減らせます。検査を増やしすぎるより、毎回同じ順序で回せることを優先してください。

再評価は、状態変化(新規胼胝、皮膚損傷、疼痛、歩行量変化)があれば前倒しし、安定例でも定期チェックを継続します。評価結果は、介入(保清・保湿・荷重調整・教育)とセットで記録することが重要です。

糖尿病フットスクリーニング評価フロー(PT版)
図:糖尿病フットスクリーニング評価フロー(PT版)
糖尿病フットスクリーニングの最小実装フロー(PT向け)
段階 確認項目 判定の要点 次アクション
1. 問診 潰瘍歴、しびれ、セルフケア、靴トラブル 潰瘍歴・切断歴・自己管理困難は高リスク 頻回フォロー候補として記録
2. 視診 皮膚乾燥、亀裂、胼胝、爪変形、発赤、創 皮膚損傷・感染兆候は赤旗候補 必要時は早期に医師へ共有
3. 感覚 10 g モノフィラメントで保護感覚を確認 保護感覚低下は潰瘍リスク上昇 荷重管理・靴調整・教育強化
4. 血流サイン 色調、冷感、左右差など 虚血が疑わしい所見は注意 早めに医師・専門外来へ相談
5. リスク分類 所見を統合し低/中/高へ層別化 高リスクほど再評価間隔を短く 介入計画と次回時期を明記

現場の詰まりどころ

迷いやすいのは「どこから赤旗扱いにするか」「記録が人で変わる」「教育が単発で終わる」の3点です。まずは次の3本だけを固定して、運用を崩さないことを優先してください。

よくある失敗

糖尿病フットスクリーニングで起こりやすい失敗と修正
失敗 なぜ起こるか 修正の要点
視診のみで終了 忙しく検査を省略しやすい 問診・感覚・血流サインまでを最小セット化
赤旗基準が曖昧 チームで定義が共有されていない 「新規創」「感染疑い」「虚血疑い」を即共有に統一
記録が自由記載のみ 比較できず再評価で迷う 同一フォーマットで時系列比較できる形にする

回避の手順チェック

初回5分チェック(病棟・外来・訪問共通)
チェック 実施内容 記録ポイント
問診 潰瘍歴・しびれ・自己管理状況を確認 既往と現状を分けて記録
視診 足底・趾間・踵・爪を左右比較 部位と程度を具体語で残す
感覚 保護感覚の低下有無を確認 実施条件と結果を固定書式で記録
共有 赤旗該当時は当日中に連携 誰に・いつ共有したかを明記

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

毎回フルセットで評価しないとだめですか?

必ずしも毎回フルセットは不要です。初回で基準線を作り、再評価では変化が出やすい項目を優先します。ただし、皮膚損傷や感覚低下の新規所見がある場合はフルセットで再確認してください。

赤旗として即共有すべき所見は何ですか?

新規の創傷、感染を疑う発赤・腫脹・熱感、虚血を疑う強い冷感や色調変化などは、当日中の共有対象です。記録は部位・程度・経時変化を簡潔に残します。

訪問リハでも同じ流れで使えますか?

使えます。訪問では環境要因(履物、床環境、保清習慣)が損傷リスクに直結するため、問診と教育の比重を上げる運用が有効です。

記録はどこまで詳しく残すべきですか?

最低限は「所見」「判定」「対応」「次回時期」です。自由記載だけでなく、比較できる定型欄を設けると再評価の質が安定します。

患者教育で最初に伝えるべきことは?

毎日の足観察、裸足回避、合わない靴の回避、異常時の早期相談を短く反復して伝えます。実行可能な行動を1〜2個に絞ると定着しやすくなります。

次の一手

教育体制・人員・記録文化など“環境要因”を一度見える化すると、次の打ち手が決めやすくなります。

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チェック後に『続ける/変える』の選択肢も整理したい方は、PT キャリアナビで進め方を確認しておくと迷いが減ります。


参考文献

  • Schaper NC, et al. IWGDF Guidelines on the prevention and management of diabetes-related foot disease. 2023 update. 公式サイト
  • American Diabetes Association. Standards of Care in Diabetes—Foot Care. Diabetes Care
  • 公益社団法人 日本糖尿病協会. 糖尿病足病変に関する情報. 公式サイト

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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